10. 標準ライブラリをひとめぐり¶
10.1. オペレーティングシステムとのインターフェース¶
os モジュールは、オペレーティングシステムと対話するための多くの関数を提供しています:
>>> import os
>>> os.getcwd() # 現在の作業ディレクトリを返す
'C:\\Python315'
>>> os.chdir('/server/accesslogs') # 現在の作業ディレクトリを変更する
>>> os.system('mkdir today') # システムシェルで mkdir コマンドを実行する
0
from os import * ではなく、 import os 形式を使うようにしてください。そうすることで、動作が大きく異なる組み込み関数 open() が os.open() で遮蔽されるのを避けられます。
組み込み関数 dir() および help() は、 os のような大規模なモジュールで作業をするときに、対話的な操作上の助けになります:
>>> import os
>>> dir(os)
<OSモジュールの関数すべてのリストを返す>
>>> help(os)
<モジュールの docstring から生成された詳細なマニュアルを返す>
shutil モジュールは、日常的なファイルやディレクトリの管理作業に使いやすい高水準のインターフェースを提供しています。
>>> import shutil
>>> shutil.copyfile('data.db', 'archive.db')
'archive.db'
>>> shutil.move('/build/executables', 'installdir')
'installdir'
10.2. ファイルのワイルドカード¶
glob モジュールでは、ディレクトリのワイルドカード検索からファイルのリストを生成するための関数を提供しています:
>>> import glob
>>> glob.glob('*.py')
['primes.py', 'random.py', 'quote.py']
10.3. コマンドライン引数¶
一般的なユーティリティスクリプトでは、コマンドライン引数を処理する必要がよくあります。
これらの引数は sys モジュールの argv 属性にリストとして格納されます。
例として、次の demo.py ファイルを見てみましょう。
# ファイル demo.py
import sys
print(sys.argv)
以下は、コマンドライン上で python demo.py one two three と実行した時の出力です:
['demo.py', 'one', 'two', 'three']
argparse モジュールは、コマンドライン引数を処理するためのより高度な仕組みを提供しています。
次のスクリプトでは、1 つ以上のファイル名と、必要に応じて指定する表示行数を取り出します。
import argparse
parser = argparse.ArgumentParser(
prog='top',
description='Show top lines from each file')
parser.add_argument('filenames', nargs='+')
parser.add_argument('-l', '--lines', type=int, default=10)
args = parser.parse_args()
print(args)
コマンドラインで python top.py --lines=5 alpha.txt beta.txt を実行すると、上のスクリプトは args.lines を 5 、 args.filenames を ['alpha.txt', 'beta.txt'] に設定します。
10.4. エラー出力のリダイレクトとプログラムの終了¶
sys モジュールには、 stdin, stdout, stderr を表す属性も存在します。 stderr は、警告やエラーメッセージを出力して、 stdout がリダイレクトされた場合でも読めるようにするために便利です:
>>> sys.stderr.write('Warning, log file not found starting a new one\n')
Warning, log file not found starting a new one
sys.exit() は、スクリプトを終了させるもっとも直接的な方法です。
10.5. 文字列のパターンマッチ¶
re モジュールでは、より高度な文字列処理のための正規表現を提供しています。正規表現は複雑な一致検索や操作に対して簡潔で最適化された解決策を提供します:
>>> import re
>>> re.findall(r'\bf[a-z]*', 'which foot or hand fell fastest')
['foot', 'fell', 'fastest']
>>> re.sub(r'(\b[a-z]+) \1', r'\1', 'cat in the the hat')
'cat in the hat'
最小限の機能だけが必要なら、読みやすくデバッグしやすい文字列メソッドの方がお勧めです:
>>> 'tea for too'.replace('too', 'two')
'tea for two'
10.6. 数学¶
math モジュールは、浮動小数点演算のための C 言語ライブラリ関数にアクセスする手段を提供しています:
>>> import math
>>> math.cos(math.pi / 4)
0.70710678118654757
>>> math.log(1024, 2)
10.0
random モジュールは、乱数に基づいた要素選択のためのツールを提供しています:
>>> import random
>>> random.choice(['apple', 'pear', 'banana'])
'apple'
>>> random.sample(range(100), 10) # 重複なしでサンプリング
[30, 83, 16, 4, 8, 81, 41, 50, 18, 33]
>>> random.random() # [0.0, 1.0) の区間内のランダムな float
0.17970987693706186
>>> random.randrange(6) # range(6) からランダムに選ばれた integer
4
statistics モジュールは数値データの基礎的な統計的特性(平均、中央値、分散等)を計算します:
>>> import statistics
>>> data = [2.75, 1.75, 1.25, 0.25, 0.5, 1.25, 3.5]
>>> statistics.mean(data)
1.6071428571428572
>>> statistics.median(data)
1.25
>>> statistics.variance(data)
1.3720238095238095
SciPy プロジェクト <https://scipy.org> は数値処理のための多くのモジュールを提供しています。
10.7. インターネットへのアクセス¶
インターネットにアクセスしたりインターネットプロトコルを処理したりするための多くのモジュールがあります。最も単純な2つのモジュールは、 URL からデータを取得するための urllib.request と、メールを送るための smtplib です:
>>> from urllib.request import urlopen
>>> with urlopen('https://docs.python.org/3/') as response:
... for line in response:
... line = line.decode() # bytes を str に変換する
... if 'updated' in line:
... print(line.rstrip()) # 末尾の改行を除く
...
Last updated on Nov 11, 2025 (20:11 UTC).
>>> import smtplib
>>> server = smtplib.SMTP('localhost')
>>> server.sendmail('soothsayer@example.org', 'jcaesar@example.org',
... """To: jcaesar@example.org
... From: soothsayer@example.org
...
... Beware the Ides of March.
... """)
>>> server.quit()
(2つ目の例は localhost でメールサーバーが動いている必要があることに注意してください。)
10.8. 日付と時刻¶
datetime モジュールは、日付や時刻の単純な操作から複雑な操作まで行えるクラスを提供します。
日付や時刻の算術演算にも対応していますが、出力のフォーマットや各種操作に必要な属性を効率よく取り出すことに重点を置いています。
タイムゾーンを扱えるオブジェクトもサポートしています。
>>> # 日付は簡単に作成してフォーマットできる
>>> import datetime as dt
>>> now = dt.date.today()
>>> now
datetime.date(2003, 12, 2)
>>> now.strftime("%m-%d-%y. %d %b %Y is a %A on the %d day of %B.")
'12-02-03. 02 Dec 2003 is a Tuesday on the 02 day of December.'
>>> # 日付はカレンダーに基づく計算をサポートする
>>> birthday = dt.date(1964, 7, 31)
>>> age = now - birthday
>>> age.days
14368
10.9. データ圧縮¶
一般的なデータアーカイブと圧縮形式は、以下のようなモジュールによって直接的にサポートされます: zlib, gzip, bz2, lzma, zipfile, tarfile。
>>> import zlib
>>> s = b'witch which has which witches wrist watch'
>>> len(s)
41
>>> t = zlib.compress(s)
>>> len(t)
37
>>> zlib.decompress(t)
b'witch which has which witches wrist watch'
>>> zlib.crc32(s)
226805979
10.10. パフォーマンスの計測¶
Python ユーザの中には、同じ問題を異なったアプローチで解いた際の相対的なパフォーマンスについて知りたいという深い興味を持っている人がいます。Python は、そういった疑問に即座に答える計測ツールを提供しています。
例えば、引数の入れ替え操作に対して、伝統的なアプローチの代わりにタプルのパックやアンパックを使ってみたいと思うかもしれません。 timeit モジュールを使えば、パフォーマンスがほんの少し良いことがすぐに分かります:
>>> from timeit import Timer
>>> Timer('t=a; a=b; b=t', 'a=1; b=2').timeit()
0.57535828626024577
>>> Timer('a,b = b,a', 'a=1; b=2').timeit()
0.54962537085770791
timeit では小さい粒度を提供しているのに対し、 profile や pstats モジュールではより大きなコードブロックにおいて律速となる部分を判定するためのツールを提供しています。
10.11. 品質管理¶
高い品質のソフトウェアを開発するための一つのアプローチは、各関数に対して開発と同時にテストを書き、開発の過程で頻繁にテストを走らせるというものです。
doctest モジュールは、モジュールの docstring に埋め込まれたテストを探し、実行結果を検証します。
テストを作るには、典型的な呼び出し例とその結果を docstring に貼り付けるだけです。
これにより、利用者に使用例を示すと同時に、コードがドキュメントに書かれたとおりに動き続けていることを確認できます。
def average(values):
"""数値のリストの算術平均を計算する。
>>> print(average([20, 30, 70]))
40.0
"""
return sum(values) / len(values)
import doctest
doctest.testmod() # docstring に埋め込まれたテストを自動的に評価
unittest モジュールは doctest モジュールほど気楽に使えるものではありませんが、より網羅的なテストセットを別のファイルで管理することができます:
import unittest
class TestStatisticalFunctions(unittest.TestCase):
def test_average(self):
self.assertEqual(average([20, 30, 70]), 40.0)
self.assertEqual(round(average([1, 5, 7]), 1), 4.3)
with self.assertRaises(ZeroDivisionError):
average([])
with self.assertRaises(TypeError):
average(20, 30, 70)
unittest.main() # コマンドラインからこれを呼び出すとテストがすべて実行される
10.12. バッテリー同梱¶
Python には「バッテリー同梱 (batteries included)」という哲学があります。 この哲学が特によく表れているのは、規模の大きなパッケージが備える洗練された堅牢な機能です。 例えば:
xmlrpc.clientとxmlrpc.serverモジュールを使うと、遠隔手続き呼び出しを簡単に実装できます。 名前に XML が含まれていますが、XML の知識や XML を直接扱う作業は必要ありません。emailパッケージは、MIME やその他の RFC 5322 に基づくメッセージ文書を含む電子メールメッセージを管理するためのライブラリです。実際にメッセージを送信したり受信したりするsmtplibやpoplibと違って、email パッケージには (添付文書を含む) 複雑なメッセージ構造の構築やデコードを行ったり、インターネット標準のエンコードやヘッダプロトコルの実装を行ったりするための完全なツールセットを備えています。jsonパッケージはこの一般的なデータ交換形式のパースをロバストにサポートしています。csvモジュールはデータベースや表計算で一般的にサポートされている CSV ファイルを直接読み書きするのをサポートしています。xml.etree.ElementTree、xml.domならびにxml.saxパッケージは XML の処理をサポートしています。総合すると、これらのモジュールによって Python アプリケーションと他のツールの間でとても簡単にデータを受け渡すことが出来ます。sqlite3モジュールは、SQLite データベースライブラリを Python から使うためのラッパーです。 データを永続的に保存でき、標準とは少し異なる SQL の構文で更新やアクセスができます。国際化に関する機能は、
gettext,locale,codecsパッケージといったモジュール群でサポートされています。