組み込み関数

Python インタプリタには数多くの関数と型が組み込まれており、いつでも利用できます。それらをここにアルファベット順に挙げます。

組み込み関数

abs()

delattr()

hash()

memoryview()

set()

all()

dict()

help()

min()

setattr()

any()

dir()

hex()

next()

slice()

ascii()

divmod()

id()

object()

sorted()

bin()

enumerate()

input()

oct()

staticmethod()

bool()

eval()

int()

open()

str()

breakpoint()

exec()

isinstance()

ord()

sum()

bytearray()

filter()

issubclass()

pow()

super()

bytes()

float()

iter()

print()

tuple()

callable()

format()

len()

property()

type()

chr()

frozenset()

list()

range()

vars()

classmethod()

getattr()

locals()

repr()

zip()

compile()

globals()

map()

reversed()

__import__()

complex()

hasattr()

max()

round()

abs(x)

数の絶対値を返します。引数は整数、浮動小数点数または __abs__() が実装されたオブジェクトです。引数が複素数なら、その絶対値 (magnitude) が返されます。

all(iterable)

iterable の全ての要素が真ならば (もしくは iterable が空ならば) True を返します。以下のコードと等価です:

def all(iterable):
    for element in iterable:
        if not element:
            return False
    return True
any(iterable)

iterable のいずれかの要素が真ならば True を返します。iterable が空なら False を返します。以下のコードと等価です:

def any(iterable):
    for element in iterable:
        if element:
            return True
    return False
ascii(object)

repr() と同様、オブジェクトの印字可能な表現を含む文字列を返しますが、repr() によって返された文字列中の非 ASCII 文字は \x\u\U エスケープを使ってエスケープされます。これは Python 2 の repr() によって返されるのと同じ文字列を作ります。

bin(x)

整数を先頭に "0b" が付いた 2 進文字列に変換します。 結果は Python の式としても使える形式になります。

>>> bin(3)
'0b11'
>>> bin(-10)
'-0b1010'

先頭に "0b" が付いて欲しい、もしくは付いて欲しくない場合には、次の方法のどちらでも使えます。

>>> format(14, '#b'), format(14, 'b')
('0b1110', '1110')
>>> f'{14:#b}', f'{14:b}'
('0b1110', '1110')

より詳しいことは format() も参照してください。

class bool([x])

ブール値、即ち True または False のどちらかを返します。x は標準の 真理値判定手続き を用いて変換されます。x が偽または省略されている場合、この関数は False を返します。それ以外の場合、True を返します。bool クラスは int クラスの派生クラスです(数値型 int, float, complex を参照してください)。このクラスからさらに派生することはできません。ブール値のインスタンスは FalseTrue のみです(ブール値 を参照してください)。

バージョン 3.7 で変更: x は位置専用引数になりました。

breakpoint(*args, **kws)

この関数により、呼び出された箇所からデバッガへ移行します。 特に、この関数は args および kws をそのまま sys.breakpointhook() に渡して呼び出します。 デフォルトでは、 sys.breakpointhook() は引数無しで pdb.set_trace() を呼び出します。 このケースでは、 pdb.set_trace() は単なる便利な関数なので、明示的に pdb をインポートしたり、デバッガに入るためにキーをたくさん打ち込む必要はありません。 ただし、 sys.breakpointhook() は他の関数を設定することもでき、 breakpoint() は自動的にその関数を呼び出します。これにより、最適なデバッガに移行できます。

引数 breakpointhook 付きで 監査イベント builtins.breakpoint を送出します。

バージョン 3.7 で追加.

class bytearray([source[, encoding[, errors]]])

新しいバイト配列を返します。bytearray クラスは0 <= x < 256の範囲の整数からなる変更可能な配列です。ミュータブルなシーケンス型 に記述されている変更可能な配列に対する普通のメソッドの大半を備えています。また、bytes 型が持つメソッドの大半も備えています(see bytes と bytearray の操作)。

オプションの source 引数は、配列を異なる方法で初期化するのに使われます:

  • 文字列 の場合、 encoding (と、オプションの errors) 引数も与えなければなりません。このとき bytearray() は文字列を str.encode() でバイトに変換して返します。

  • 整数 の場合、配列はそのサイズになり、null バイトで初期化されます。

  • バッファインターフェース に適合するオブジェクトの場合、そのオブジェクトの読み出し専用バッファがバイト配列の初期化に使われます。

  • イテラブル の場合、範囲 0 <= x < 256 内の整数のイテラブルでなければならず、それらが配列の初期の内容として使われます。

引数がなければ、長さ 0 の配列が生成されます。

バイナリシーケンス型 --- bytes, bytearray, memoryviewbytearray オブジェクト も参照してください。

class bytes([source[, encoding[, errors]]])

範囲 0 <= x < 256 の整数のイミュータブルなシーケンスである "bytes" オブジェクトを返します。 bytesbytearray のイミュータブル版です。オブジェクトを変化させないようなメソッドや、インデクシングやスライシングのふるまいは、これと同様のものです。

従って、コンストラクタ引数は bytearray() のものと同様に解釈されます。

バイト列オブジェクトはリテラルでも生成できます。 文字列およびバイト列リテラル を参照してください。

バイナリシーケンス型 --- bytes, bytearray, memoryview, バイトオブジェクト, bytes と bytearray の操作 も参照してください。

callable(object)

object 引数が呼び出し可能オブジェクトであれば True を、そうでなければ False を返します。この関数が True を返しても、呼び出しは失敗する可能性がありますが、False であれば、 object の呼び出しは決して成功しません。なお、クラスは呼び出し可能 (クラスを呼び出すと新しいインスタンスを返します) です。また、インスタンスはクラスが __call__() メソッドを持つなら呼び出し可能です。

バージョン 3.2 で追加: この関数は Python 3.0 で一度取り除かれましたが、Python 3.2 で復活しました。

chr(i)

Unicode コードポイントが整数 i である文字を表す文字列を返します。例えば chr(97) は文字列 'a' を、 chr(8364) は文字列 '€' を返します。 ord() の逆です。

引数の有効な範囲は 0 から 1,114,111 (16 進数で 0x10FFFF) です。 i が範囲外の場合 ValueError が送出されます。

@classmethod

メソッドをクラスメソッドへ変換します。

クラスメソッドは、インスタンスメソッドが暗黙の第一引数としてインスタンスをとるように、第一引数としてクラスをとります。クラスメソッドを宣言するには、以下のイディオムを使います:

class C:
    @classmethod
    def f(cls, arg1, arg2): ...

@classmethod 形式は関数 デコレータ です。詳しくは 関数定義 を参照してください。

クラスメソッドは、(C.f() のように) クラスから呼び出すことも、(C().f() のように) インスタンスから呼び出すこともできます。 インスタンスはそのクラスが何であるかを除いて無視されます。 クラスメソッドが派生クラスから呼び出される場合は、その派生クラスオブジェクトが暗黙の第一引数として渡されます。

クラスメソッドは C++ や Java の静的メソッドとは異なります。静的メソッドは、この節の staticmethod() を参照してください。クラスメソッドについてより詳しいことは 標準型の階層 を参照してください。

バージョン 3.9 で変更: クラスメソッドは property() など、他の デスクリプタ をラップすることができるようになりました。

compile(source, filename, mode, flags=0, dont_inherit=False, optimize=-1)

source をコードオブジェクト、もしくは、 AST オブジェクトにコンパイルします。 コードオブジェクトは exec() 文で実行したり、 eval() 呼び出しで評価できます。 source は通常の文字列、 バイト列、 AST オブジェクトのいずれでもかまいません。 AST オブジェクトへの、また、 AST オブジェクトからのコンパイルの方法は、 ast モジュールのドキュメントを参照してください。

filename 引数には、コードの読み出し元のファイルを与えなければなりません; ファイルから読み出されるのでなければ、認識可能な値を渡して下さい ('<string>' が一般的に使われます)。

mode 引数は、コンパイルされるコードの種類を指定します; source が一連の文から成るなら 'exec' 、単一の式から成るなら 'eval' 、単一の対話的文の場合 'single' です。(後者の場合、評価が None 以外である式文が印字されます)。

オプション引数 flagsdont_inherit は、どの コンパイラオプション を有効化するか、 将来の機能 のどれを許可するかを制御します。どちらの引数も存在しない (またはどちらもゼロである) 場合は、 compile() の呼び出し元のコードに作用したものと同じフラグでコンパイルされます。 flags 引数が与えられて dont_inherit が与えられない (またはゼロ) の場合、上記に加えて flags 引数で与えられたコンパイラオプションと future 文が使われます。 dont_inherit がゼロでない整数の場合、 flags 引数で指定されたオプションだけが有効です -- 呼び出し元コードに適用されたフラグ (将来の機能とコンパイラオプション) は無視されます。

有効化するコンパイラオプションと future 文はビットフィールドで指定可能で、ビット単位の OR をとることで複数のオプションを一緒に指定することができます。特定の future 機能を指定するために必要なビットフィールドの情報は、 __future__ モジュールにおける _Feature インスタンスの compiler_flag 属性で得ることができます。 コンパイラフラグ の情報は ast モジュールの PyCF_ で始まるフラグで得ることができます。

引数 optimize は、コンパイラの最適化レベルを指定します; デフォルトの値 -1 は、インタプリタの -O オプションで与えられるのと同じ最適化レベルを選びます。明示的なレベルは、 0 (最適化なし、 __debug__ は真)、 1 (assert は取り除かれ、 __debug__ は偽)、 2 (docstring も取り除かれる) です。

この関数は、コンパイルされたソースが不正である場合 SyntaxError を、ソースがヌルバイトを含む場合 ValueError を送出します。

Python コードをパースしてその AST 表現を得たいのであれば、 ast.parse() を参照してください。

引数 source, filename を指定して 監査イベント compile を送出します。

注釈

複数行に渡るコードの文字列を 'single''eval' モードでコンパイルするとき、入力は一つ以上の改行文字で終端されなければなりません。これは、 code モジュールで不完全な文と完全な文を検知しやすくするためです。

警告

AST オブジェクトにコンパイルしているときに、十分に大きい文字列や複雑な文字列によって Python の抽象構文木コンパイラのスタックが深さの限界を越えることで、 Python インタプリタをクラッシュさせられます。

バージョン 3.2 で変更: Windows や Mac の改行も受け付けます。また 'exec' モードでの入力が改行で終わっている必要もありません。optimize 引数が追加されました。

バージョン 3.5 で変更: 以前は source にヌルバイトがあったときに TypeError を送出していました。

バージョン 3.8 で追加: ast.PyCF_ALLOW_TOP_LEVEL_AWAIT フラグを渡してトップレベルの await, async for, および async with のサポートを有効化することができるようになりました。

class complex([real[, imag]])

real + imag*1j の複素数を返すか、文字列や数を複素数に変換します。第一引数が文字列なら、それが複素数と解釈され、この関数は第二引数無しで呼び出されなければなりません。第二引数は文字列であってはなりません。それぞれの引数は (複素数を含む) 任意の数値型です。 imag が省略された場合、標準の値はゼロで、このコンストラクタは intfloat のような数値変換としてはたらきます。両方の引数が省略された場合、 0j を返します。

一般的な Python オブジェクト x に対して、 complex(x)x.__complex__() に処理を委譲します。 __complex__() が定義されていない場合は __float__() にフォールバックします。 __float__() も定義されていない場合は __index__() にフォールバックします。

注釈

文字列から変換するとき、その文字列は中央の +- 演算子の周りに空白を含んではなりません。例えば、complex('1+2j') はいいですが、complex('1 + 2j')ValueError を送出します。

複素数型については 数値型 int, float, complex に説明があります。

バージョン 3.6 で変更: コードリテラル中で桁をグループ化するのにアンダースコアを利用できます。

バージョン 3.8 で変更: __complex__()__float__() が定義されていない場合、__index__() へフォールバックします。

delattr(object, name)

setattr() の親戚です。引数はオブジェクトと文字列です。文字列はオブジェクトの属性のうち一つの名前でなければなりません。この関数は、オブジェクトが許すなら、指名された属性を削除します。例えば、 delattr(x, 'foobar')del x.foobar と等価です。

class dict(**kwarg)
class dict(mapping, **kwarg)
class dict(iterable, **kwarg)

新しい辞書を作成します。 dict オブジェクトは辞書クラスです。このクラスに関するドキュメンテーションは dictマッピング型 --- dict を参照してください。

他のコンテナについては、 ビルトインの list, set, tuple クラスおよび collections モジュールを参照してください。

dir([object])

引数がない場合、現在のローカルスコープにある名前のリストを返します。引数がある場合、そのオブジェクトの有効な属性のリストを返そうと試みます。

オブジェクトが __dir__() という名のメソッドを持つなら、そのメソッドが呼び出され、属性のリストを返さなければなりません。これにより、カスタムの __getattr__()__getattribute__() 関数を実装するオブジェクトは、dir() が属性を報告するやり方をカスタマイズできます。

オブジェクトが __dir__() を提供していない場合、定義されていればオブジェクトの __dict__ 属性から、そして型オブジェクトから、情報を収集しようと試みます。結果のリストは完全であるとは限らず、また、カスタムの __getattr__() を持つ場合、不正確になるかもしれません。

デフォルトの dir() メカニズムは、完全というより最重要な情報を作成しようとするため、異なる型のオブジェクトでは異なって振る舞います:

  • オブジェクトがモジュールオブジェクトの場合、リストにはモジュールの属性の名前が含まれます。

  • オブジェクトが型オブジェクトやクラスオブジェクトの場合、リストにはその属性の名前と、再帰的にたどったその基底クラスの属性が含まれます。

  • それ以外の場合には、リストにはオブジェクトの属性名、クラス属性名、再帰的にたどった基底クラスの属性名が含まれます。

返されるリストはアルファベット順に並べられています。例えば:

>>> import struct
>>> dir()   # show the names in the module namespace  
['__builtins__', '__name__', 'struct']
>>> dir(struct)   # show the names in the struct module 
['Struct', '__all__', '__builtins__', '__cached__', '__doc__', '__file__',
 '__initializing__', '__loader__', '__name__', '__package__',
 '_clearcache', 'calcsize', 'error', 'pack', 'pack_into',
 'unpack', 'unpack_from']
>>> class Shape:
...     def __dir__(self):
...         return ['area', 'perimeter', 'location']
>>> s = Shape()
>>> dir(s)
['area', 'location', 'perimeter']

注釈

dir() は主に対話プロンプトでの使用に便利なように提供されているので、厳密性や一貫性を重視して定義された名前のセットというよりも、むしろ興味を引くような名前のセットを返そうとします。また、この関数の細かい動作はリリース間で変わる可能性があります。例えば、引数がクラスであるとき、メタクラス属性は結果のリストに含まれません。

divmod(a, b)

2 つの (複素数でない) 数を引数として取り、整数の除法を行ったときの商と剰余からなる対を返します。混合した被演算子型では、二項算術演算子での規則が適用されます。整数では、結果は (a // b, a % b) と同じです。浮動小数点数では、結果は (q, a % b) で、ここで q は通常 math.floor(a / b) ですが、それより 1 小さくなることもあります。いずれにせよ、q * b + a % ba に非常に近く、a % b がゼロでなければその符号は b と同じで、0 <= abs(a % b) < abs(b) です。

enumerate(iterable, start=0)

enumerate オブジェクトを返します。 iterable は、シーケンスか iterator か、あるいはイテレーションをサポートするその他のオブジェクトでなければなりません。 enumerate() によって返されたイテレータの __next__() メソッドは、 (デフォルトでは 0 となる start からの) カウントと、 iterable 上のイテレーションによって得られた値を含むタプルを返します。

>>> seasons = ['Spring', 'Summer', 'Fall', 'Winter']
>>> list(enumerate(seasons))
[(0, 'Spring'), (1, 'Summer'), (2, 'Fall'), (3, 'Winter')]
>>> list(enumerate(seasons, start=1))
[(1, 'Spring'), (2, 'Summer'), (3, 'Fall'), (4, 'Winter')]

次と等価です:

def enumerate(sequence, start=0):
    n = start
    for elem in sequence:
        yield n, elem
        n += 1
eval(expression[, globals[, locals]])

文字列とオプションの引数 globalslocals をとります。globals を与える場合は辞書でなくてはなりません。locals を与える場合は任意のマッピングオブジェクトにできます。

expression 引数は Python 式 (技術的な言い方では、条件のリスト) として構文解析され評価されます。 このとき辞書 globals および locals はそれぞれグローバルおよびローカルな名前空間として使われます。 globals 辞書が与えられ、 __builtins__ をキーとする値が含まれていない場合、 expression が構文解析される前に、組み込みモジュール builtins の辞書への参照がキー __builtins__ の値として挿入されます。 よって、 expression は通常、標準の builtins モジュールへの完全なアクセスを有し、制限された環境は伝播します。 locals 辞書が省略された場合、デフォルトは globals 辞書です。 辞書が両方とも省略された場合、表現式は eval() が呼び出されている環境の globals 辞書と locals 辞書の下で実行されます。 eval() は、それが実行される環境の ネストされたスコープ (非ローカルのオブジェクト) を参照できないことに注意してください。

返される値は、式が評価された結果になります。構文エラーは例外として報告されます。例:

>>> x = 1
>>> eval('x+1')
2

この関数は (compile() で生成されるような) 任意のコードオブジェクトを実行するのにも利用できます。この場合、文字列の代わりにコードオブジェクトを渡します。このコードオブジェクトが、引数 mode'exec' としてコンパイルされている場合、 eval() が返す値は None になります。

ヒント: exec() 関数により文の動的な実行がサポートされています。globals() および locals() 関数は、それぞれ現在のグローバルおよびローカルな辞書を返すので、それらを eval()exec() に渡して使うことができます。

リテラルだけを含む式の文字列を安全に評価できる関数、 ast.literal_eval() も参照してください。

引数 code_object を指定して 監査イベント exec を送出します。

exec(object[, globals[, locals]])

This function supports dynamic execution of Python code. object must be either a string or a code object. If it is a string, the string is parsed as a suite of Python statements which is then executed (unless a syntax error occurs). 1 If it is a code object, it is simply executed. In all cases, the code that's executed is expected to be valid as file input (see the section ファイル入力 in the Reference Manual). Be aware that the nonlocal, yield, and return statements may not be used outside of function definitions even within the context of code passed to the exec() function. The return value is None.

いずれの場合でも、オプションの部分が省略されると、コードは現在のスコープ内で実行されます。globals だけが与えられたなら、辞書でなくてはならず(辞書のサブクラスではない)、グローバル変数とローカル変数の両方に使われます。globalslocals が与えられたなら、それぞれグローバル変数とローカル変数として使われます。locals を指定する場合は何らかのマップ型オブジェクトでなければなりません。モジュールレベルでは、グローバルとローカルは同じ辞書です。exec が globalslocals として別のオブジェクトを取った場合、コードはクラス定義に埋め込まれたかのように実行されます。

globals 辞書がキー __builtins__ に対する値を含まなければ、そのキーに対して、組み込みモジュール builtins の辞書への参照が挿入されます。ですから、実行されるコードを exec() に渡す前に、 globals に自作の __builtins__ 辞書を挿入することで、コードがどの組み込みを利用できるか制御できます。

引数 code_object を指定して 監査イベント exec を送出します。

注釈

組み込み関数 globals() および locals() は、それぞれ現在のグローバルおよびローカルの辞書を返すので、それらを exec() の第二、第三引数にそのまま渡して使うと便利なことがあります。

注釈

標準では locals は後に述べる関数 locals() のように動作します: 標準の locals 辞書に対する変更を試みてはいけません。 exec() の呼び出しが返る時にコードが locals に与える影響を知りたいなら、明示的に locals 辞書を渡してください。

filter(function, iterable)

iterable の要素のうち function が真を返すものでイテレータを構築します。iterable はシーケンスか、反復をサポートするコンテナか、イテレータです。functionNone なら、恒等関数を仮定します。すなわち、iterable の偽である要素がすべて除去されます。

なお、filter(function, iterable) は、関数が None でなければジェネレータ式 (item for item in iterable if function(item)) と同等で、関数が None なら (item for item in iterable if item) と同等です。

function が偽を返すような iterable の各要素を返す補完的関数は、 itertools.filterfalse() を参照してください。

class float([x])

数または文字列 x から生成された浮動小数点数を返します。

引数が文字列の場合、10進数を含んだ文字列にしてください。先頭に符号が付いていたり、空白中に埋め込まれていてもかまいません。符号として '+''-' を追加できます。'+' は、作られる値に何の影響も与えません。引数は NaN (not-a-number) や正負の無限大を表す文字列でもかまいません。正確には、入力は、前後の空白を取り除いた後に以下の文法に従う必要があります:

sign           ::=  "+" | "-"
infinity       ::=  "Infinity" | "inf"
nan            ::=  "nan"
numeric_value  ::=  floatnumber | infinity | nan
numeric_string ::=  [sign] numeric_value

ここで floatnumber浮動小数点数リテラル で記述されている Python の浮動小数点数リテラルです。大文字か小文字かは関係なく、例えば "inf"、 "Inf"、 "INFINITY" 、 "iNfINity" は全て正の無限大として使える綴りです。

一方で、引数が整数または浮動小数点数なら、(Python の浮動小数点数の精度で) 同じ値の浮動小数点数が返されます。引数が Python の浮動小数点数の範囲外なら、 OverflowError が送出されます。

一般の Python オブジェクト x に対して、float(x)x.__float__() に委譲します。 __float__() が定義されていない場合、__index__() へフォールバックします。

引数が与えられなければ、0.0 が返されます。

例:

>>> float('+1.23')
1.23
>>> float('   -12345\n')
-12345.0
>>> float('1e-003')
0.001
>>> float('+1E6')
1000000.0
>>> float('-Infinity')
-inf

浮動小数点数型については、 数値型 int, float, complex も参照してください。

バージョン 3.6 で変更: コードリテラル中で桁をグループ化するのにアンダースコアを利用できます。

バージョン 3.7 で変更: x は位置専用引数になりました。

バージョン 3.8 で変更: __float__() が定義されていない場合、__index__() へフォールバックします。

format(value[, format_spec])

valueformat_spec で制御される "書式化された" 表現に変換します。 format_spec の解釈は value 引数の型に依存しますが、ほとんどの組み込み型で使われる標準的な構文が存在します: 書式指定ミニ言語仕様

デフォルトの format_spec は空の文字列です。それは通常 str(value) の呼び出しと同じ結果になります。

format(value, format_spec) の呼び出しは、 type(value).__format__(value, format_spec) に翻訳され、これは value の __format__() メソッドの検索をするとき、インスタンス辞書を回避します。このメソッドの探索が object に到達しても format_spec が空にならなかったり、 format_spec や返り値が文字列でなかったりした場合、 TypeError が送出されます。

バージョン 3.4 で変更: format_spec が空の文字列でない場合 object().__format__(format_spec)TypeError を送出します。

class frozenset([iterable])

新しい frozenset オブジェクトを返します。オプションで iterable から得られた要素を含みます。 frozenset はビルトインクラスです。このクラスに関するドキュメントは frozensetset(集合)型 --- set, frozenset を参照してください。

他のコンテナについては、ビルトインクラス set, list, tuple, dictcollections モジュールを見てください。

getattr(object, name[, default])

object の指名された属性の値を返します。 name は文字列でなくてはなりません。文字列がオブジェクトの属性の一つの名前であった場合、戻り値はその属性の値になります。例えば、 getattr(x, 'foobar')x.foobar と等価です。指名された属性が存在しない場合、 default が与えられていればそれが返され、そうでない場合には AttributeError が送出されます。

注釈

プライベートな名前のマングリング はコンパイル時に行われます。そのため、プライベートな属性 (先頭に2つのアンダースコアを伴う名前を持つ属性) の値を getattr() で取り出すためには、属性名を手動でマングリングする必要があります。

globals()

Return the dictionary implementing the current module namespace. For code within functions, this is set when the function is defined and remains the same regardless of where the function is called.

hasattr(object, name)

引数はオブジェクトと文字列です。文字列がオブジェクトの属性名の一つであった場合 True を、そうでない場合 False を返します。 (この関数は、 getattr(object, name) を呼び出して AttributeError を送出するかどうかを見ることで実装されています。)

hash(object)

オブジェクトのハッシュ値を (存在すれば) 返します。ハッシュ値は整数です。これらは辞書を検索する際に辞書のキーを高速に比較するために使われます。等しい値となる数値は等しいハッシュ値を持ちます (1 と 1.0 のように型が異なっていてもです)。

注釈

独自の __hash__() メソッドを実装したオブジェクトを使う場合、hash() が実行するマシンのビット幅に合わせて戻り値を切り捨てることに注意してください。詳しくは __hash__() を参照してください。

help([object])

組み込みヘルプシステムを起動します。(この関数は対話的な使用のためのものです。) 引数が与えられていない場合、対話的ヘルプシステムはインタプリタコンソール上で起動します。引数が文字列の場合、文字列はモジュール、関数、クラス、メソッド、キーワード、またはドキュメントの項目名として検索され、ヘルプページがコンソール上に印字されます。引数がその他のオブジェクトの場合、そのオブジェクトに関するヘルプページが生成されます。

help() を呼び出したときに関数の引数リストにスラッシュ (/) が現れた場合は、スラッシュより前の引数が位置専用引数だという意味であることに注意してください。 より詳しいことは、 位置専用引数についての FAQ の記事 を参照してください。

この関数は、 site モジュールから、組み込みの名前空間に移されました。

バージョン 3.4 で変更: pydocinspect への変更により、呼び出し可能オブジェクトの報告されたシグニチャがより包括的で一貫性のあるものになりました。

hex(x)

Convert an integer number to a lowercase hexadecimal string prefixed with "0x". If x is not a Python int object, it has to define an __index__() method that returns an integer. Some examples:

>>> hex(255)
'0xff'
>>> hex(-42)
'-0x2a'

整数を大文字の 16 進文字列や小文字の 16 進文字列、先頭の "0x" 付きや "0x" 無しに変換したい場合は、次に挙げる方法が使えます:

>>> '%#x' % 255, '%x' % 255, '%X' % 255
('0xff', 'ff', 'FF')
>>> format(255, '#x'), format(255, 'x'), format(255, 'X')
('0xff', 'ff', 'FF')
>>> f'{255:#x}', f'{255:x}', f'{255:X}'
('0xff', 'ff', 'FF')

より詳しいことは format() も参照してください。

16を底として16進数文字列を整数に変換するには int() も参照してください。

注釈

浮動小数点数の16進文字列表記を得たい場合には、 float.hex() メソッドを使って下さい。

id(object)

オブジェクトの "識別値" を返します。この値は整数で、このオブジェクトの有効期間中は一意かつ定数であることが保証されています。有効期間が重ならない 2 つのオブジェクトは同じ id() 値を持つかもしれません。

CPython implementation detail: This is the address of the object in memory.

引数 id を指定して 監査イベント builtins.id を送出します。

input([prompt])

引数 prompt が存在すれば、それが末尾の改行を除いて標準出力に書き出されます。次に、この関数は入力から 1 行を読み込み、文字列に変換して (末尾の改行を除いて) 返します。 EOF が読み込まれたとき、 EOFError が送出されます。例:

>>> s = input('--> ')  
--> Monty Python's Flying Circus
>>> s  
"Monty Python's Flying Circus"

readline モジュールが読み込まれていれば、 input() はそれを使って精緻な行編集やヒストリ機能を提供します。

引数 prompt 付きで 監査イベント builtins.input を送出します。

引数 result 付きで 監査イベント builtins.input/result を送出します。

class int([x])
class int(x, base=10)

数値または文字列 x から作成された整数オブジェクトを返します。引数が与えられない場合には 0 を返します。 x__int__() が定義されている場合は、 int(x)x.__int__() を返します。 x__index__() が定義されている場合は、 `x.__index__() を返します。 x__trunc__() が定義されている場合は、 `x.__trunc__() を返します。 浮動小数点数については、これは 0 に近い側へ切り捨てます。

x が数値でない、あるいは base が与えられた場合、 x は文字列、 bytes インスタンス、 bytearray インスタンスのいずれかで、基数 base整数リテラル で表されたものでなければなりません。 オプションで、リテラルの前に + あるいは - を (中間のスペースなしで) 付けることができます。 また、リテラルは余白で囲むことができます。 基数 n のリテラルは、 0 から n-1 の数字に値 10-35 を持つ a から z (または A から Z) を加えたもので構成されます。 デフォルトの base は 10 です。 許される値は 0 と 2--36 です。 基数 2, 8, 16 のリテラルは、別の記法としてコード中の整数リテラルのように 0b/0B, 0o/0O, 0x/0X を前に付けることができます。 基数 0 はコードリテラルとして厳密に解釈することを意味します。 その結果、実際の基数は 2, 8, 10, 16 のどれかになります。 したがって int('010', 0) は有効ではありませんが、 int('010')int('010', 8) は有効です。

整数型については、 数値型 int, float, complex も参照してください。

バージョン 3.4 で変更: baseint のインスタンスでなく、base オブジェクトが base.__index__ メソッドを持っている場合、そのメソッドを呼んで底に対する整数を得ることができます。以前のバージョンでは base.__index__ ではなく base.__int__ を使用していました。

バージョン 3.6 で変更: コードリテラル中で桁をグループ化するのにアンダースコアを利用できます。

バージョン 3.7 で変更: x は位置専用引数になりました。

バージョン 3.8 で変更: __int__() が定義されていない場合、__index__() へフォールバックします。

バージョン 3.9.14 で変更: int string inputs and string representations can be limited to help avoid denial of service attacks. A ValueError is raised when the limit is exceeded while converting a string x to an int or when converting an int into a string would exceed the limit. See the integer string conversion length limitation documentation.

isinstance(object, classinfo)

object 引数が classinfo 引数のインスタンスであるか、 (直接、間接、または 仮想) サブクラスのインスタンスの場合に True を返します。 object が与えられた型のオブジェクトでない場合、この関数は常に False を返します。 classinfo が型オブジェクトのタプル (あるいは再帰的に複数のタプル) の場合、 object がそれらのいずれかのインスタンスであれば True を返します。 classinfo が型や型からなるタプル、あるいは複数のタプルのいずれでもない場合、 TypeError 例外が送出されます。

issubclass(class, classinfo)

Return True if class is a subclass (direct, indirect or virtual) of classinfo. A class is considered a subclass of itself. classinfo may be a tuple of class objects (or recursively, other such tuples), in which case return True if class is a subclass of any entry in classinfo. In any other case, a TypeError exception is raised.

iter(object[, sentinel])

イテレータ オブジェクトを返します。 第二引数があるかどうかで、第一引数の解釈は大きく異なります。 第二引数がない場合、 object は反復プロトコル (__iter__() メソッド) か、シーケンスプロトコル (引数が 0 から開始する __getitem__() メソッド) をサポートする集合オブジェクトでなければなりません。これらのプロトコルが両方ともサポートされていない場合、 TypeError が送出されます。 第二引数 sentinel が与えられているなら、 object は呼び出し可能オブジェクトでなければなりません。この場合に生成されるイテレータは、 __next__() を呼ぶ毎に object を引数無しで呼び出します。返された値が sentinel と等しければ、 StopIteration が送出され、そうでなければ、戻り値がそのまま返されます。

イテレータ型 も見てください。

2引数形式の iter() の便利な利用方法の1つは、ブロックリーダーの構築です。 例えば、バイナリのデータベースファイルから固定幅のブロックをファイルの終端に到達するまで読み出すには次のようにします:

from functools import partial
with open('mydata.db', 'rb') as f:
    for block in iter(partial(f.read, 64), b''):
        process_block(block)
len(s)

オブジェクトの長さ (要素の数) を返します。引数はシーケンス (文字列、バイト列、タプル、リスト、range 等) かコレクション (辞書、集合、凍結集合等) です。

CPython implementation detail: len は、例えば range(2 ** 100) のような、 sys.maxsize を超える長さに対して OverflowError を送出します。

class list([iterable])

list は、実際には関数ではなくミュータブルなシーケンス型で、 リスト型 (list)シーケンス型 --- list, tuple, range にドキュメント化されています。

locals()

現在のローカルシンボルテーブルを表す辞書を更新して返します。 関数ブロックで locals() を呼び出したときは自由変数が返されますが、クラスブロックでは返されません。 モジュールレベルでは、 locals()globals() は同じ辞書であることに注意してください。

注釈

この辞書の内容は変更してはいけません; 変更しても、インタプリタが使うローカル変数や自由変数の値には影響しません。

map(function, iterable, ...)

function を、結果を返しながら iterable の全ての要素に適用するイテレータを返します。追加の iterable 引数が渡されたなら、 function はその数だけの引数を取らなければならず、全てのイテラブルから並行して取られた要素に適用されます。複数のイテラブルが与えられたら、このイテレータはその中の最短のイテラブルが尽きた時点で止まります。関数の入力がすでに引数タプルに配置されている場合は、 itertools.starmap() を参照してください。

max(iterable, *[, key, default])
max(arg1, arg2, *args[, key])

iterable の中で最大の要素、または2つ以上の引数の中で最大のものを返します。

位置引数が1つだけ与えられた場合、それは空でない iterable でなくてはいけません。その iterable の最大の要素が返されます。2 つ以上のキーワード無しの位置引数が与えられた場合、その位置引数の中で最大のものが返されます。

任意のキーワード専用引数が 2 つあります。 key 引数は引数を 1 つ取る順序関数 (list.sort() のもののように) を指定します。 default 引数は与えられたイテラブルが空の場合に返すオブジェクトを指定します。 イテラブルが空で default が与えられていない場合 ValueError が送出されます。

最大の要素が複数あるとき、この関数はそのうち最初に現れたものを返します。これは、sorted(iterable, key=keyfunc, reverse=True)[0]heapq.nlargest(1, iterable, key=keyfunc) のような、他のソート安定性を維持するツールと両立します。

バージョン 3.4 で追加: default キーワード専用引数。

バージョン 3.8 で変更: key 引数が None であることを許容します。

class memoryview(object)

与えられたオブジェクトから作られた "メモリビュー" オブジェクトを返します。詳しくは メモリビュー を参照してください。

min(iterable, *[, key, default])
min(arg1, arg2, *args[, key])

iterable の中で最小の要素、または2つ以上の引数の中で最小のものを返します。

位置引数が1つだけ与えられた場合、それは空でない iterable でなくてはいけません。その iterable の最小の要素が返されます。2 つ以上のキーワード無しの位置引数が与えられた場合、その位置引数の中で最小のものが返されます。

任意のキーワード専用引数が 2 つあります。 key 引数は引数を 1 つ取る順序関数 (list.sort() のもののように) を指定します。 default 引数は与えられたイテラブルが空の場合に返すオブジェクトを指定します。 イテラブルが空で default が与えられていない場合 ValueError が送出されます。

最小の要素が複数あるとき、この関数はそのうち最初に現れたものを返します。これは、sorted(iterable, key=keyfunc)[0]heapq.nsmallest(1, iterable, key=keyfunc) のような、他のソート安定性を維持するツールと両立します。

バージョン 3.4 で追加: default キーワード専用引数。

バージョン 3.8 で変更: key 引数が None であることを許容します。

next(iterator[, default])

iterator__next__() メソッドを呼び出すことにより、次の要素を取得します。イテレータが尽きている場合、 default が与えられていればそれが返され、そうでなければ StopIteration が送出されます。

class object

特徴を持たない新しいオブジェクトを返します。 object は全てのクラスの基底クラスです。これは、 Python のクラスの全てのインスタンスに共通のメソッド群を持ちます。この関数はいかなる引数も受け付けません。

注釈

object__dict__持たない ので、 object クラスのインスタンスに任意の属性を代入することはできません。

oct(x)

整数を先頭に "0o" が付いた 8 進文字列に変換します。 結果は Python の式としても使える形式になります。

>>> oct(8)
'0o10'
>>> oct(-56)
'-0o70'

整数を接頭辞の "0o" 付きや "0o" 無しの 8 進文字列に変換したい場合は、次に挙げる方法が使えます。

>>> '%#o' % 10, '%o' % 10
('0o12', '12')
>>> format(10, '#o'), format(10, 'o')
('0o12', '12')
>>> f'{10:#o}', f'{10:o}'
('0o12', '12')

より詳しいことは format() も参照してください。

open(file, mode='r', buffering=-1, encoding=None, errors=None, newline=None, closefd=True, opener=None)

file を開き、対応する ファイルオブジェクト を返します。ファイルを開くことができなければ、OSError が送出されます。 この関数の利用例について、 ファイルを読み書きする を参照してください。

filepath-like object で、開くファイルの (絶対または現在のワーキングディレクトリに対する相対) パス名を与えるものか、または、ラップするファイルの整数のファイルディスクリプタです。(ファイルディスクリプタが与えられた場合は、それは closefdFalse に設定されていない限り、返された I/O オブジェクトが閉じられるときに閉じられます。)

mode はオプションの文字列で、ファイルが開かれるモードを指定します。デフォルトは 'r' で、読み込み用にテキストモードで開くという意味です。その他のよく使われる値は、書き込み (ファイルがすでに存在する場合はそのファイルを切り詰めます) 用の 'w'、排他的な生成用の 'x'、追記用の 'a' です (いくつかの Unix システムでは、全て の書き込みが現在のファイルシーク位置に関係なくファイルの末尾に追加されます)。テキストモードでは、encoding が指定されていない場合に使われるエンコーディングはプラットフォームに依存します:locale.getpreferredencoding(False) を使って現在のロケールエンコーディングを取得します。(rawバイト列の読み書きには、バイナリモードを使い、encoding は未指定のままとします) 指定可能なモードは次の表の通りです。

文字

意味

'r'

読み込み用に開く (デフォルト)

'w'

書き込み用に開き、まずファイルを切り詰める

'x'

排他的な生成に開き、ファイルが存在する場合は失敗する

'a'

書き込み用に開き、ファイルが存在する場合は末尾に追記する

'b'

バイナリモード

't'

テキストモード (デフォルト)

'+'

更新用に開く (読み込み・書き込み用)

デフォルトのモードは 'r' (開いてテキストの読み込み、'rt' と同義) です。モード 'w+''w+b' はファイルを開いて切り詰めます。モード 'r+''r+b' はファイルを切り詰めずに開きます。

概要 で触れられているように、Python はバイナリとテキストの I/O を区別します。(mode 引数に 'b' を含めて) バイナリモードで開かれたファイルは、内容をいかなるデコーディングもせずに bytes オブジェクトとして返します。(デフォルトや、 mode 引数に 't' が含まれたときの) テキストモードでは、ファイルの内容は str として返され、バイト列はまず、プラットフォーム依存のエンコーディングか、encoding が指定された場合は指定されたエンコーディングを使ってデコードされます。

さらに 'U' という許可されているモード文字がありますが、これの効果は無くなっていて非推奨とされています。 以前はこのモード文字は、テキストモードでの universal newlines を有効にしていましたが、 Python 3.0 ではそれがデフォルトの挙動となりました。 より詳細なことは newline 引数のドキュメントを参照してください。

注釈

Python は、下層のオペレーティングシステムがテキストファイルをどう認識するかには依存しません; すべての処理は Python 自身で行われ、よってプラットフォーム非依存です。

buffering is an optional integer used to set the buffering policy. Pass 0 to switch buffering off (only allowed in binary mode), 1 to select line buffering (only usable in text mode), and an integer > 1 to indicate the size in bytes of a fixed-size chunk buffer. Note that specifying a buffer size this way applies for binary buffered I/O, but TextIOWrapper (i.e., files opened with mode='r+') would have another buffering. To disable buffering in TextIOWrapper, consider using the write_through flag for io.TextIOWrapper.reconfigure(). When no buffering argument is given, the default buffering policy works as follows:

  • バイナリファイルは固定サイズのチャンクでバッファリングされます。バッファサイズは、下層のデバイスの「ブロックサイズ」を決定するヒューリスティックを用いて選択され、それが不可能な場合は代わりに io.DEFAULT_BUFFER_SIZE が使われます。多くのシステムでは、典型的なバッファサイズは 4096 か 8192 バイト長になるでしょう。

  • 「対話的な」テキストファイル (isatty()True を返すファイル) は行バッファリングを使用します。 その他のテキストファイルは、上で説明したバイナリファイル用の方針を使用します。

encoding はファイルのエンコードやデコードに使われる text encoding の名前です。このオプションはテキストモードでのみ使用してください。デフォルトエンコーディングはプラットフォーム依存 (locale.getpreferredencoding() が返すもの) ですが、Pythonでサポートされているエンコーディングはどれでも使えます。詳しくは codecs モジュール内のサポートしているエンコーディングのリストを参照してください。

errors はオプションの文字列で、エンコードやデコードでのエラーをどのように扱うかを指定するものです。バイナリモードでは使用できません。様々な標準のエラーハンドラが使用可能です (エラーハンドラ に列記されています) が、 codecs.register_error() に登録されているエラー処理の名前も使用可能です。標準のエラーハンドラの名前には、以下のようなものがあります:

  • 'strict' はエンコーディングエラーがあると例外 ValueError を発生させます。デフォルト値である None も同じ効果です。

  • 'ignore' はエラーを無視します。エンコーディングエラーを無視することで、データが失われる可能性があることに注意してください。

  • 'replace' は、不正な形式のデータが存在した場所に('?' のような) 置換マーカーを挿入します。

  • 'surrogateescape' は正しくないバイト列をユニコードの下位サロゲート領域のうち U+DC80 から U+DCFF の範囲のコードユニットであらわします。データの書き込み時に surrogateescape エラーハンドラが使われると、これらのサロゲートコードユニットは元と同じバイト列に変換されます。これはエンコーディングが不明なファイルを処理するのに便利です。

  • 'xmlcharrefreplace' はファイルへの書き込み時のみサポートされます。そのエンコーディングでサポートされない文字は、&#nnn; 形式の適切な XML 文字参照で置換されます。

  • 'backslashreplace' は不正なデータを Python のバックスラッシュ付きのエスケープシーケンスで置換します。

  • 'namereplace' (書き込み時のみサポートされています) はサポートされていない文字を \N{...} エスケープシーケンスで置換します。

newlineuniversal newlines モードの動作を制御します (テキストモードでのみ動作します)。None, '', '\n', '\r', '\r\n' のいずれかです。これは以下のように動作します:

  • ストリームからの入力の読み込み時、newlineNone の場合、ユニバーサル改行モードが有効になります。入力中の行は '\n', '\r', または '\r\n' で終わり、呼び出し元に返される前に '\n' に変換されます。 '' の場合、ユニバーサル改行モードは有効になりますが、行末は変換されずに呼び出し元に返されます。その他の正当な値の場合、入力行は与えられた文字列でのみ終わり、行末は変換されずに呼び出し元に返されます。

  • ストリームへの出力の書き込み時、newlineNone の場合、全ての '\n' 文字はシステムのデフォルトの行セパレータ os.linesep に変換されます。 newline'' または '\n' の場合は変換されません。newline がその他の正当な値の場合、全ての '\n' 文字は与えられた文字列に変換されます。

closefdFalse で、ファイル名ではなくてファイル記述子が与えられた場合、下層のファイル記述子はファイルが閉じられた後も開いたままとなります。 ファイル名が与えられた場合、closefdTrue (デフォルト値) でなければなりません。 そうでない場合エラーが送出されます。

呼び出し可能オブジェクトを opener として与えることで、カスタムのオープナーが使えます。そしてファイルオブジェクトの下層のファイル記述子は、opener を (file, flags) で呼び出して得られます。opener は開いたファイル記述子を返さなければなりません。 (os.openopener として渡すと、None を渡したのと同様の機能になります)。

新たに作成されたファイルは 継承不可 です。

次の例は os.open() 関数の dir_fd 引数を使い、与えられたディレクトリからの相対パスで指定されたファイルを開きます:

>>> import os
>>> dir_fd = os.open('somedir', os.O_RDONLY)
>>> def opener(path, flags):
...     return os.open(path, flags, dir_fd=dir_fd)
...
>>> with open('spamspam.txt', 'w', opener=opener) as f:
...     print('This will be written to somedir/spamspam.txt', file=f)
...
>>> os.close(dir_fd)  # don't leak a file descriptor

open() 関数が返す file object の型はモードに依存します。 open() をファイルをテキストモード ('w', 'r', 'wt', 'rt', など) で開くのに使ったときは io.TextIOBase (特に io.TextIOWrapper) のサブクラスを返します。 ファイルをバッファリング付きのバイナリモードで開くのに使ったときは io.BufferedIOBase のサブクラスを返します。 実際のクラスは様々です。 読み込みバイナリモードでは io.BufferedReader を返します。 書き込みバイナリモードや追記バイナリモードでは io.BufferedWriter を返します。 読み書きモードでは io.BufferedRandom を返します。 バッファリングが無効なときはrawストリーム、すなわち io.RawIOBase のサブクラスである io.FileIO を返します。

fileinput 、(open() が宣言された場所である) ioosos.pathtempfileshutil などの、ファイル操作モジュールも参照してください。

引数 file, mode, flags を指定して 監査イベント open を送出します。

modeflags の2つの引数は呼び出し時の値から修正されたり、推量により設定されたりする可能性があります。

バージョン 3.3 で変更:
  • opener 引数を追加しました。

  • 'x' モードを追加しました。

  • 以前は IOError が送出されました; それは現在 OSError のエイリアスです。

  • 既存のファイルを 排他的生成モード('x')で開いた場合、 FileExistsError を送出するようになりました。

バージョン 3.4 で変更:
  • ファイルが継承不可になりました。

Deprecated since version 3.4, will be removed in version 3.10: 'U' モード。

バージョン 3.5 で変更:
  • システムコールが中断されシグナルハンドラが例外を送出しなかった場合、この関数は InterruptedError 例外を送出する代わりにシステムコールを再試行するようになりました (論拠については PEP 475 を参照してください)。

  • 'namereplace' エラーハンドラが追加されました。

バージョン 3.6 で変更:
  • os.PathLike を実装したオブジェクトを受け入れるようになりました。

  • Windowsでは、コンソールバッファのオープンは、io.FileIO ではなく、io.RawIOBase のサブクラスを返すでしょう。

ord(c)

1 文字の Unicode 文字を表す文字列に対し、その文字の Unicode コードポイントを表す整数を返します。例えば、 ord('a') は整数 97 を返し、 ord('€') (ユーロ記号) は 8364 を返します。これは chr() の逆です。

pow(base, exp[, mod])

baseexp 乗を返します; mod があれば、baseexp 乗に対する mod の剰余を返します (pow(base, exp) % mod より効率よく計算されます)。二引数の形式 pow(base, exp) は、冪乗演算子を使った base**exp と等価です。

The arguments must have numeric types. With mixed operand types, the coercion rules for binary arithmetic operators apply. For int operands, the result has the same type as the operands (after coercion) unless the second argument is negative; in that case, all arguments are converted to float and a float result is delivered. For example, pow(10, 2) returns 100, but pow(10, -2) returns 0.01. For a negative base of type int or float and a non-integral exponent, a complex result is delivered. For example, pow(-9, 0.5) returns a value close to 3j.

baseexpint オペランドで mod が存在するとき、 mod もまた整数型でなければならず、かつゼロであってはいけません。 mod が存在して exp が負の整数の場合、 basemod と互いに素 (最大公約数が1) でなければなりません。この場合、 inv_basebase に対する mod を法とするモジュラ逆数 (baseinv_base の積を mod で割った余りが1になるような数) として、 pow(inv_base, -exp, mod) が返されます。

以下は``97`` を法とする 38 のモジュラ逆数の計算例です:

>>> pow(38, -1, mod=97)
23
>>> 23 * 38 % 97 == 1
True

バージョン 3.8 で変更: int オペランドに対して、三引数形式の pow で第二引数に負の値を取ることができるようになりました。これによりモジュラ逆数の計算が可能になります。

バージョン 3.8 で変更: キーワード引数を取ることができるようになりました。以前は位置引数だけがサポートされていました。

print(*objects, sep=' ', end='\n', file=sys.stdout, flush=False)

objectssep で区切りながらテキストストリーム file に表示し、最後に end を表示します。sependfileflush を与える場合、キーワード引数として与える必要があります。

キーワードなしの引数はすべて、 str() がするように文字列に変換され、 sep で区切られながらストリームに書き出され、最後に end が続きます。 sepend の両方とも、文字列でなければなりません。これらを None にすると、デフォルトの値が使われます。 objects が与えられなければ、 print()end だけを書き出します。

file 引数は、 write(string) メソッドを持つオブジェクトでなければなりません。指定されないか、 None である場合、 sys.stdout が使われます。表示される引数は全てテキスト文字列に変換されますから、 print() はバイナリモードファイルオブジェクトには使用できません。代わりに file.write(...) を使ってください。

出力がバッファ化されるかどうかは通常 file で決まりますが、flush キーワード引数が真ならストリームは強制的にフラッシュされます。

バージョン 3.3 で変更: キーワード引数 flush が追加されました。

class property(fget=None, fset=None, fdel=None, doc=None)

property 属性を返します。

fget は属性値を取得するための関数です。fset は属性値を設定するための関数です。fdel は属性値を削除するための関数です。doc は属性の docstring を作成します。

典型的な使用法は、属性 x の処理の定義です:

class C:
    def __init__(self):
        self._x = None

    def getx(self):
        return self._x

    def setx(self, value):
        self._x = value

    def delx(self):
        del self._x

    x = property(getx, setx, delx, "I'm the 'x' property.")

cC のインスタンスならば、c.x は getter を呼び出し、c.x = value は setter を、del c.x は deleter を呼び出します。

doc は、与えられれば property 属性のドキュメント文字列になります。 与えられなければ、 property は fget のドキュメント文字列 (もしあれば) をコピーします。 そのため property()デコレータ として使えば、読み出し専用 property を作るのは容易です:

class Parrot:
    def __init__(self):
        self._voltage = 100000

    @property
    def voltage(self):
        """Get the current voltage."""
        return self._voltage

@property デコレータは voltage() を同じ名前のまま 読み出し専用属性の "getter" にし、voltage のドキュメント文字列を "Get the current voltage." に設定します。

property オブジェクトは getter, setter, deleter メソッドを持っています。これらのメソッドをデコレータとして使うと、対応するアクセサ関数がデコレートされた関数に設定された、 property のコピーを作成できます。これを一番分かりやすく説明する例があります:

class C:
    def __init__(self):
        self._x = None

    @property
    def x(self):
        """I'm the 'x' property."""
        return self._x

    @x.setter
    def x(self, value):
        self._x = value

    @x.deleter
    def x(self):
        del self._x

このコードは最初の例と等価です。追加の関数には、必ず元の property と同じ名前 (この例では x) を与えて下さい。

返される property オブジェクトも、コンストラクタの引数に対応した fget, fset, および fdel 属性を持ちます。

バージョン 3.5 で変更: 属性オブジェクトのドックストリングが書き込み可能になりました。

class range(stop)
class range(start, stop[, step])

range は、実際には関数ではなくイミュータブルなシーケンス型で、 rangeシーケンス型 --- list, tuple, range にドキュメント化されています。

repr(object)

オブジェクトの印字可能な表現を含む文字列を返します。この関数は多くの型について、 eval() に渡されたときと同じ値を持つようなオブジェクトを表す文字列を生成しようとします。そうでない場合は、山括弧に囲まれたオブジェクトの型の名前と追加の情報 (大抵の場合はオブジェクトの名前とアドレスを含みます) を返します。クラスは、 __repr__() メソッドを定義することで、この関数によりそのクラスのインスタンスが返すものを制御することができます。

reversed(seq)

要素を逆順に取り出すイテレータ (reverse iterator) を返します。 seq__reversed__() メソッドを持つか、シーケンス型プロトコル (__len__() メソッド、および、 0 以上の整数を引数とする __getitem__() メソッド) をサポートするオブジェクトでなければなりません。

round(number[, ndigits])

number の小数部を ndigists 桁に丸めた値を返します。ndigits が省略されたり、None だった場合、入力値に最も近い整数を返します。

round() をサポートする組み込み型では、値は 10 のマイナス ndigits 乗の倍数の中で最も近いものに丸められます; 二つの倍数が同じだけ近いなら、偶数を選ぶ方に (そのため、例えば round(0.5)round(-0.5) は両方とも 0 に、 round(1.5)2 に) 丸められます。 ndigits には任意の整数値が有効となります (正の整数、ゼロ、負の整数)。 返り値は ndigits が指定されていないか None の場合は整数、そうでなければ返り値は number と同じ型です。

一般的な Python オブジェクト number に対して、round は処理を number.__round__ に移譲します。

注釈

浮動小数点数に対する round() の振る舞いは意外なものかもしれません: 例えば、 round(2.675, 2) は予想通りの 2.68 ではなく 2.67 を与えます。これはバグではありません: これはほとんどの小数が浮動小数点数で正確に表せないことの結果です。詳しくは 浮動小数点演算、その問題と制限 を参照してください。

class set([iterable])

オプションで iterable の要素を持つ、新しい set オブジェクトを返します。 set は組み込みクラスです。このクラスについて詳しい情報は setset(集合)型 --- set, frozenset を参照してください。

他のコンテナについては collections モジュールや組み込みの frozensetlisttupledict クラスを参照してください。

setattr(object, name, value)

getattr() の相方です。引数はオブジェクト、文字列、それから任意の値です。文字列は既存の属性または新たな属性の名前にできます。この関数は指定したオブジェクトが許せば、値を属性に関連付けます。例えば、 setattr(x, 'foobar', 123)x.foobar = 123 と等価です。

注釈

プライベートな名前のマングリング はコンパイル時に行われます。そのため、プライベートな属性 (先頭に2つのアンダースコアを伴う名前を持つ属性) の値を setattr() でセットするためには、属性名を手動でマングリングする必要があります。

class slice(stop)
class slice(start, stop[, step])

Return a slice object representing the set of indices specified by range(start, stop, step). The start and step arguments default to None. Slice objects have read-only data attributes start, stop and step which merely return the argument values (or their default). They have no other explicit functionality; however they are used by NumPy and other third party packages. Slice objects are also generated when extended indexing syntax is used. For example: a[start:stop:step] or a[start:stop, i]. See itertools.islice() for an alternate version that returns an iterator.

sorted(iterable, /, *, key=None, reverse=False)

iterable の要素を並べ替えた新たなリストを返します。

2 つのオプション引数があり、これらはキーワード引数として指定されなければなりません。

key には 1 引数関数を指定します。これは iterable の各要素から比較キーを展開するのに使われます (例えば、 key=str.lower のように指定します)。 デフォルト値は None です (要素を直接比較します)。

reverse は真偽値です。 True がセットされた場合、リストの要素は個々の比較が反転したものとして並び替えられます。

旧式の cmp 関数を key 関数に変換するには functools.cmp_to_key() を使用してください。

組み込みの sorted() 関数は安定なことが保証されています。同等な要素の相対順序を変更しないことが保証されていれば、ソートは安定です。これは複数のパスでソートを行なうのに役立ちます(例えば部署でソートしてから給与の等級でソートする場合)。

The sort algorithm uses only < comparisons between items. While defining an __lt__() method will suffice for sorting, PEP 8 recommends that all six rich comparisons be implemented. This will help avoid bugs when using the same data with other ordering tools such as max() that rely on a different underlying method. Implementing all six comparisons also helps avoid confusion for mixed type comparisons which can call reflected the __gt__() method.

ソートの例と簡単なチュートリアルは ソート HOW TO を参照して下さい。

@staticmethod

メソッドを静的メソッドへ変換します。

静的メソッドは暗黙の第一引数を受け取りません。静的メソッドを宣言するには、このイディオムを使ってください:

class C:
    @staticmethod
    def f(arg1, arg2, ...): ...

@staticmethod 形式は関数 デコレータ です。詳しくは 関数定義 を参照してください。

静的メソッドは (C.f() のよう) クラスから呼び出したり、 (C().f() のように) インスタンスから呼び出したりできます。

Python における静的メソッドは Java や C++ における静的メソッドと類似しています。クラスコンストラクタの代替を生成するのに役立つ変種、 classmethod() も参照してください。

あらゆるデコレータと同じく、 staticmethod は普通の関数のように呼べ、その返り値で処理が行えます。 この機能は、クラス本体から関数を参照する必要があり、かつ、インスタンスメソッドに自動変換されるのを避けたいケースで必要になります。 そのようなケースでは、このイディオムが使えます:

class C:
    builtin_open = staticmethod(open)

静的メソッドについて詳しい情報は 標準型の階層 を参照してください。

class str(object='')
class str(object=b'', encoding='utf-8', errors='strict')

objectstr 版を返します。詳細は str() を参照してください。

str は組み込みの文字列 クラス です。文字列に関する一般的な情報は、テキストシーケンス型 --- str を参照してください。

sum(iterable, /, start=0)

startiterable の要素を左から右へ合計し、総和を返します。 iterable の要素は通常は数値で、start の値は文字列であってはなりません。

使う場面によっては、 sum() よりもいい選択肢があります。文字列からなるシーケンスを結合する高速かつ望ましい方法は ''.join(sequence) を呼ぶことです。浮動小数点数値を拡張された精度で加算するには、 math.fsum() を参照してください。一連のイテラブルを連結するには、 itertools.chain() の使用を考えてください。

バージョン 3.8 で変更: start パラメータをキーワード引数として指定することができるようになりました。

super([type[, object-or-type]])

メソッドの呼び出しを type の親または兄弟クラスに委譲するプロキシオブジェクトを返します。これはクラスの中でオーバーライドされた継承メソッドにアクセスするのに便利です。

The object-or-type determines the method resolution order to be searched. The search starts from the class right after the type.

For example, if __mro__ of object-or-type is D -> B -> C -> A -> object and the value of type is B, then super() searches C -> A -> object.

object-or-type__mro__ 属性は、 getattr()super() の 両方で使われる、メソッド解決の探索順序を列記します。 この属性は動的で、継承の階層構造が更新されれば、随時変化します。

第 2 引数が省かれたなら、返されるスーパーオブジェクトは束縛されません。第 2 引数がオブジェクトであれば、 isinstance(obj, type) は真でなければなりません。第 2 引数が型であれば、 issubclass(type2, type) は真でなければなりません (これはクラスメソッドに役に立つでしょう)。

super の典型的な用途は 2 つあります。第一に、単継承のクラス階層構造で super は名前を明示することなく親クラスを参照するのに使え、それゆえコードをメンテナンスしやすくなります。この用途は他のプログラミング言語で見られる super の用途によく似ています。

2つ目の用途は動的な実行環境において協調的 (cooperative) な多重継承をサポートすることです。これは Python に特有の用途で、静的にコンパイルされる言語や、単継承のみをサポートする言語には見られないものです。この機能により、同じ名前のメソッドを実装する複数の基底クラスを使った "ダイヤモンド型* の継承構造を実装することができます。良い設計は、そのような実装において、どのような場合でも同じ呼び出しシグネチャを持つように強制します。 (理由は呼び出しの順序が実行時に決定されること、呼び出し順序はクラス階層構造の変化に順応すること、そして呼び出し順序が実行時まで未知の兄弟クラスが含まれる場合があることです)。

両方の用途において、典型的なスーパークラスの呼び出しは次のようになります:

class C(B):
    def method(self, arg):
        super().method(arg)    # This does the same thing as:
                               # super(C, self).method(arg)

メソッドのルックアップに加えて、 super() は属性のルックアップに対しても同様に動作します。考えうる用途のひとつは親クラスや兄弟クラスの descriptors (デスクリプタ) を呼び出すことです。

なお、super()super().__getitem__(name) のような明示的なドット表記属性探索の束縛処理の一部として実装されています。これは、 __getattribute__() メソッドを予測可能な順序でクラスを検索するように実装し、協調的な多重継承をサポートすることで実現されています。従って、 super() は文や super()[name] のような演算子を使った暗黙の探索向けには定義されていません。

また、 super() の使用は引数無しの形式を除きメソッド内部に限定されないことにも注目して下さい。2引数の形式は、必要な要素を正確に指定するので、適当な参照を作ることができます。クラス定義中における引数無しの形式は、定義されているクラスを取り出すのに必要な詳細を、通常の方法で現在のインスタンスにアクセスするようにコンパイラが埋めるのではたらきます。

super() を用いて協調的なクラスを設計する方法の実践的な提案は、 guide to using super() を参照してください。

class tuple([iterable])

tuple は、実際は関数ではなくイミュータブルなシーケンス型で、タプル型 (tuple)シーケンス型 --- list, tuple, range にドキュメント化されています。

class type(object)
class type(name, bases, dict, **kwds)

引数が1つだけの場合、object の型を返します。返り値は型オブジェクトで、一般に object.__class__ によって返されるのと同じオブジェクトです。

オブジェクトの型の判定には、 isinstance() 組み込み関数を使うことが推奨されます。これはサブクラスを考慮するからです。

引数が3つの場合、新しい型オブジェクトを返します。これは本質的には class 文の動的な書式です。 name 文字列はクラス名で、 __name__ 属性になります。 bases 基底クラスのタプルで、 __bases__ 属性になります; 空の場合は全てのクラスの基底クラスである object が追加されます。 dict は、クラス本体の属性とメソッドの定義を含む辞書です; 辞書は __dict__ 属性になる前にコピーされたり、ラップされることがあります。以下の2つの文は同じ type オブジェクトを生成します:

>>> class X:
...     a = 1
...
>>> X = type('X', (), dict(a=1))

型オブジェクト も参照してください。

三引数形式の呼び出しに与えられたキーワード引数は、(metaclass を除く) クラス定義におけるキーワード引数と同様に、適切なメタクラスの機構 (通常は __init_subclass__()) に渡されます。

クラス生成をカスタマイズする も参照してください。

バージョン 3.6 で変更: type.__new__ をオーバーライドしていない type のサブクラスは、オブジェクトの型を得るのに1引数形式を利用することができません。

vars([object])

モジュール、クラス、インスタンス、あるいはそれ以外の __dict__ 属性を持つオブジェクトの、 __dict__ 属性を返します。

モジュールやインスタンスのようなオブジェクトは、更新可能な __dict__ 属性を持っています。ただし、それ以外のオブジェクトでは __dict__ 属性への書き込みが制限されている場合があります。書き込みに制限がある例としては、辞書を直接更新されることを防ぐために types.MappingProxyType を使っているクラスがあります。

引数がなければ、vars()locals() のように振る舞います。ただし、辞書 locals への更新は無視されるため、辞書 locals は読み出し時のみ有用であることに注意してください。

指定されたオブジェクトに __dict__ 属性がない場合 (たとえばそのクラスが __slots__ 属性を定義している場合)、 TypeError 例外が送出されます。

zip(*iterables)

それぞれのイテラブルから要素を集めたイテレータを作ります。

この関数はタプルのイテレータを返し、その i 番目のタプルは引数シーケンスまたはイテラブルそれぞれの i 番目の要素を含みます。このイテレータは、入力イテラブルの中で最短のものが尽きたときに止まります。単一のイテラブル引数が与えられたときは、1 要素のタプルからなるイテレータを返します。引数がなければ、空のイテレータを返します。次と等価です:

def zip(*iterables):
    # zip('ABCD', 'xy') --> Ax By
    sentinel = object()
    iterators = [iter(it) for it in iterables]
    while iterators:
        result = []
        for it in iterators:
            elem = next(it, sentinel)
            if elem is sentinel:
                return
            result.append(elem)
        yield tuple(result)

イテラブルの左から右への評価順序は保証されています。そのため zip(*[iter(s)]*n) を使ってデータ系列を長さ n のグループにクラスタリングするイディオムが使えます。これは、各出力タプルがイテレータを n 回呼び出した結果となるよう、 同じ イテレータを n 回繰り返します。これは入力を長さ n のチャンクに分割する効果があります。

zip() は、長い方のイテラブルの終端にある対にならない値を考慮したい場合は、等しくない長さの入力に対して使うべきではありません。そのような値が重要な場合、代わりに itertools.zip_longest() を使ってください。

zip() に続けて * 演算子を使うと、zip したリストを元に戻せます:

>>> x = [1, 2, 3]
>>> y = [4, 5, 6]
>>> zipped = zip(x, y)
>>> list(zipped)
[(1, 4), (2, 5), (3, 6)]
>>> x2, y2 = zip(*zip(x, y))
>>> x == list(x2) and y == list(y2)
True
__import__(name, globals=None, locals=None, fromlist=(), level=0)

注釈

これは importlib.import_module() とは違い、日常の Python プログラミングでは必要ない高等な関数です。

この関数は import 文により呼び出されます。 (builtins モジュールをインポートして builtins.__import__ に代入することで) この関数を置き換えて import 文のセマンティクスを変更することができますが、同様のことをするのに通常はインポートフック (PEP 302 参照) を利用する方が簡単で、かつデフォルトのインポート実装が使用されていることを仮定するコードとの間で問題が起きないので、このやり方は 強く 推奨されません。 __import__() を直接使用することも推奨されず、 importlib.import_module() の方が好まれます。

この関数は、モジュール name をインポートし、 globalslocals が与えられれば、パッケージのコンテキストで名前をどう解釈するか決定するのに使います。 fromlistname で与えられるモジュールからインポートされるべきオブジェクトまたはサブモジュールの名前を与ます。標準の実装では locals 引数はまったく使われず、 globalsimport 文のパッケージコンテキストを決定するためにのみ使われます。

level は絶対と相対どちらのインポートを使うかを指定します。 0 (デフォルト) は絶対インポートのみ実行します。正の level の値は、 __import__() を呼び出したディレクトリから検索対象となる親ディレクトリの数を示します (詳細は PEP 328 を参照してください)。

name 変数が package.module 形式であるとき、通常は、name で指名されたモジュール ではなく、最上位のパッケージ (最初のドットまでの名前) が返されます。しかしながら、空でない fromlist 引数が与えられると、 name で指名されたモジュールが返されます。

例えば、文 import spam は、以下のコードのようなバイトコードに帰結します:

spam = __import__('spam', globals(), locals(), [], 0)

import spam.ham は、この呼び出しになります:

spam = __import__('spam.ham', globals(), locals(), [], 0)

ここで __import__() がどのように最上位モジュールを返しているかに注意して下さい。 import 文により名前が束縛されたオブジェクトになっています。

一方で、文 from spam.ham import eggs, sausage as saus は、以下となります

_temp = __import__('spam.ham', globals(), locals(), ['eggs', 'sausage'], 0)
eggs = _temp.eggs
saus = _temp.sausage

ここで、__import__() から spam.ham モジュールが返されます。このオブジェクトから、インポートされる名前が取り出され、それぞれの名前として代入されます。

単純に名前からモジュール (パッケージの範囲内であるかも知れません) をインポートしたいなら、 importlib.import_module() を使ってください。

バージョン 3.3 で変更: 負の level の値はサポートされなくなりました (デフォルト値の 0 に変更されます)。

バージョン 3.9 で変更: コマンドラインオプション -E or -I が指定された場合、環境変数 PYTHONCASEOK は無視されるようになりました。

脚注

1

なお、パーサは Unix スタイルの行末の記法しか受け付けません。コードをファイルから読んでいるなら、必ず、改行変換モードで Windows や Mac スタイルの改行を変換してください。