17.2. socket --- 低レベルネットワークインターフェース

このモジュールは、PythonでBSD ソケット(socket) インターフェースを利用するために使用します。最近のUnixシステム、Windows, Max OS X, BeOS, OS/2など、多くのプラットフォームで利用可能です。

注釈

いくつかの振る舞いはプラットフォームに依存します。オペレーティングシステムのソケットAPIを呼び出しているためです。

C言語によるソケットプログラミングの基礎については、以下の資料を参照してください。 An Introductory 4.3BSD Interprocess Communication Tutorial (Stuart Sechrest), An Advanced 4.3BSD Interprocess Communication Tutorial (Samuel J. Leffler他), UNIX Programmer's Manual, Supplementary Documents 1(PS1:7章 PS1:8章)。ソケットの詳細については、各プラットフォームのソケット関連システムコールに関するドキュメント(Unix ではマニュアルページ、WindowsではWinSock(またはWinSock2)仕様書)も参照してください。 IPv6対応のAPIについては、 RFC 3493 "Basic Socket Interface Extensions for IPv6" を参照してください。

Pythonインターフェースは、Unixのソケット用システムコールとライブラリを、そのままPythonのオブジェクト指向スタイルに変換したものです。各種ソケット関連のシステムコールは、 socket() 関数で生成する socket オブジェクト のメソッドとして実装されています。 メソッドのパラメータはCのインターフェースよりも多少高水準で、例えば read()write() メソッドではファイルオブジェクトと同様、 受信時のバッファ確保や送信時の出力サイズなどは自動的に処理されます。

ソケットのアドレスは以下のように指定します:単一の文字列は、 AF_UNIX アドレスファミリを示します。 (host, port) のペアは AF_INET アドレスファミリを示し、 host'daring.cwi.nl' のようなインターネットドメイン形式または '100.50.200.5' のようなIPv4アドレスを文字列で、 port はポート番号を整数で指定します。 AF_INET6 アドレスファミリは (host, port, flowinfo, scopeid) の長さ4のタプルで示し、 flowinfoscopeid にはそれぞれCの struct sockaddr_in6 における sin6_flowinfosin6_scope_id の値を指定します。後方互換性のため、 socket モジュールのメソッドでは sin6_flowinfosin6_scope_id を省略する事ができますが、 scopeid を省略するとスコープを持ったIPv6アドレスの処理で問題が発生する場合があります。現在サポートされているアドレスファミリは以上です。ソケットオブジェクトで利用する事のできるアドレス形式は、ソケットオブジェクトの作成時に指定したアドレスファミリで決まります。

IPv4アドレスのホストアドレスが空文字列の場合、 INADDR_ANY として処理されます。また、 '<broadcast>' の場合は INADDR_BROADCAST として処理されます。 IPv6では後方互換性のためこの機能は用意されていませんので、IPv6をサポートするPythonプログラムでは利用しないで下さい。

IPv4/v6ソケットの host 部にホスト名を指定すると、処理結果が一定ではない場合があります。これはPythonはDNSから取得したアドレスのうち最初のアドレスを使用するので、 DNSの処理やホストの設定によって異なるIPv4/6アドレスを取得する場合があるためです。常に同じ結果が必要であれば、 host に数値のアドレスを指定してください。

バージョン 2.5 で追加: AF_NETLINK ソケットが pid, groups のペアで表現されます.

バージョン 2.6 で追加: Linuxのみ、 AF_TIPC アドレスファミリを使って TIPC を利用することができます。 TIPCはオープンで、IPベースではないクラスターコンピューター環境向けのネットワークプロトコルです。アドレスはタプルで表現され、その中身はアドレスタイプに依存します。一般的なタプルの形は (addr_type, v1, v2, v3 [, scope]) で、

  • addr_typeTIPC_ADDR_NAMESEQ, TIPC_ADDR_NAME, TIPC_ADDR_ID の1つ。

  • scopeTIPC_ZONE_SCOPE, TIPC_CLUSTER_SCOPE, TIPC_NODE_SCOPE の1つ。

  • addr_typeTIPC_ADDR_NAME の場合、 v1 はサーバータイプ、 v2 はポートID (the port identifier)、そして v3 は 0 であるべきです。

    addr_typeTIPC_ADDR_NAMESEQ の場合、 v1 はサーバータイプ、 v2 はポート番号下位(lower port number)、 v3 はポート番号上位(upper port number) です。

    addr_typeTIPC_ADDR_ID の場合、 v1 はノード、 v2 は参照、 v3 は0であるべきです。

エラー時には例外が発生します。引数型のエラーやメモリ不足の場合には通常の例外が発生し、ソケットやアドレス関連のエラーの場合は socket.error が発生します。

setblocking() メソッドで、非ブロッキングモードを使用することができます。また、より汎用的に settimeout() メソッドでタイムアウトを指定する事ができます。

socket モジュールでは、以下の定数と関数を提供しています:

exception socket.error

この例外は、ソケット関連のエラーが発生した場合に送出されます。例外の値は障害の内容を示す文字列か、または os.error と同様な (errno, string) のペアとなります。オペレーティングシステムで定義されているエラーコードについては errno を参照してください。

バージョン 2.6 で変更: socket.errorIOError の子クラスになりました。

exception socket.herror

この例外は、C APIの gethostbyname_ex()gethostbyaddr() などで、 h_errno のようなアドレス関連のエラーが発生した場合に送出されます。

例外の値は (h_errno, string) のペアで、ライブラリの呼び出し結果を返します。 string はC関数 hstrerror() で取得した、 h_errno の意味を示す文字列です。

exception socket.gaierror

この例外は getaddrinfo()getnameinfo() でアドレス関連のエラーが発生した場合に送出されます。例外の値は (error, string) のペアで、ライブラリの呼び出し結果を返します。 string はC関数 gai_strerror() で取得した、 h_errno の意味を示す文字列です。 error の値は、このモジュールで定義される EAI_* 定数の何れかとなります。

exception socket.timeout

この例外は、あらかじめ settimeout() を呼び出してタイムアウトを有効にしてあるソケットでタイムアウトが生じた際に送出されます。例外に付属する値は文字列で、その内容は現状では常に "timed out" となります。

バージョン 2.3 で追加.

socket.AF_UNIX
socket.AF_INET
socket.AF_INET6

アドレス (およびプロトコル) ファミリーを示す定数で、 socket() の 最初の引数に指定することができます。 AF_UNIX ファミリーをサポート しないプラットフォームでは、 AF_UNIX は未定義となります。

socket.SOCK_STREAM
socket.SOCK_DGRAM
socket.SOCK_RAW
socket.SOCK_RDM
socket.SOCK_SEQPACKET

ソケットタイプを示す定数で、 socket() の2番目の引数に指定することができます。(ほとんどの場合、 SOCK_STREAMSOCK_DGRAM 以外は必要ありません。)

SO_*
socket.SOMAXCONN
MSG_*
SOL_*
IPPROTO_*
IPPORT_*
INADDR_*
IP_*
IPV6_*
EAI_*
AI_*
NI_*
TCP_*

Unixのソケット・IPプロトコルのドキュメントで定義されている各種定数。ソケットオブジェクトの setsockopt()getsockopt() で使用します。ほとんどのシンボルはUnixのヘッダファイルに従っています。一部のシンボルには、デフォルト値を定義してあります。

SIO_*
RCVALL_*

Windows の WSAIoctl() のための定数です。この定数はソケットオブジェクトの ioctl() メソッドに引数として渡されます。

バージョン 2.6 で追加.

TIPC_*

TIPC 関連の定数で、C のソケットAPIが公開しているものにマッチします。詳しい情報は TIPC のドキュメントを参照してください。

バージョン 2.6 で追加.

socket.has_ipv6

現在のプラットフォームでIPv6がサポートされているか否かを示す真偽値。

バージョン 2.3 で追加.

socket.create_connection(address[, timeout[, source_address]])

address ((host, port) ペア) で listen しているTCPサービスに接続し、ソケットオブジェクトを返します。これは socket.connect() を高級にした関数です。 host が数値でないホスト名の場合、 AF_INETAF_INET6 の両方で名前解決を試み、得られた全てのアドレスに対して成功するまで接続を試みます。この関数を使って IPv4 と IPv6 に両対応したクライアントを簡単に書くことができます。

オプションの timeout 引数を指定すると、接続を試みる前にソケットオブジェクトのタイムアウトを設定します。 timeout が指定されない場合、 getdefaulttimeout() が返すデフォルトのタイムアウト設定値を利用します。

source_address は接続する前にバインドするソースアドレスを指定するオプション引数で、指定する場合は (host, port) の2要素タプルでなければなりません。 host や port が '' か 0 だった場合は、OSのデフォルトの動作になります。

バージョン 2.6 で追加.

バージョン 2.7 で変更: source_address が追加されました。

socket.getaddrinfo(host, port[, family[, socktype[, proto[, flags]]]])

host / port 引数の指すアドレス情報を、そのサービスに接続されたソケットを作成するために必要な全ての引数が入った 5 要素のタプルに変換します。 host はドメイン名、IPv4/v6アドレスの文字列、または None です。 port'http' のようなサービス名文字列、ポート番号を表す数値、または None です。 hostportNone を指定すると C APIに NULL を渡せます。

オプションの familysocktypeproto 引数を指定すると、返されるアドレスのリストを絞り込むことができます。デフォルトではこれらの値は 0 で、絞り込まずに全て取得することを意味します。 flags 引数には AI_* 定数のうち 1 つ以上が指定でき、結果の取り方を変えることができます。デフォルトではこれは 0 です。例えば、 AI_NUMERICHOST を指定するとドメイン名解決を行わないようにし、 host がドメイン名だった場合には例外を送出します。

この関数は以下の構造をとる 5 要素のタプルのリストを返します:

(family, socktype, proto, canonname, sockaddr)

このタプルにある family, socktype, proto は、 socket() 関数を呼び出す際に指定する値と同じ整数です。 AI_CANONNAME を含んだ flags を指定した場合、 canonnamehost の canonical name を示す文字列です。そうでない場合は canonname は空文字列です。 sockaddr は、ソケットアドレスを family に依存した形式で表すタプルで、 (AF_INET の場合は 2 要素のタプル (address, port)AF_INET6 の場合は 4 要素のタプル (address, port, flow info, scope id)) socket.connect() メソッドに渡すためのものです。

次の例では example.org の 80 番ポートポートへの TCP 接続を得るためのアドレス情報を取得しようとしています。 (結果は IPv6 をサポートしているかどうかで変わります):

>>> socket.getaddrinfo("example.org", 80, 0, 0, socket.IPPROTO_TCP)
[(10, 1, 6, '', ('2606:2800:220:1:248:1893:25c8:1946', 80, 0, 0)),
 (2, 1, 6, '', ('93.184.216.34', 80))]

バージョン 2.2 で追加.

socket.getfqdn([name])

name の完全修飾ドメイン名を返します。 name が空または省略された場合、ローカルホストを指定したとみなします。完全修飾ドメイン名の取得にはまず gethostbyaddr() でチェックし、次に可能であればエイリアスを調べ、名前にピリオドを含む最初の名前を値として返します。完全修飾ドメイン名を取得できない場合、 gethostname() で返されるホスト名を返します。

バージョン 2.0 で追加.

socket.gethostbyname(hostname)

ホスト名を '100.50.200.5' のようなIPv4形式のアドレスに変換します。ホスト名としてIPv4アドレスを指定した場合、その値は変換せずにそのまま返ります。 gethostbyname() APIへのより完全なインターフェースが必要であれば、 gethostbyname_ex() を参照してください。 gethostbyname() は、IPv6名前解決をサポートしていません。IPv4/ v6のデュアルスタックをサポートする場合は getaddrinfo() を使用します。

socket.gethostbyname_ex(hostname)

ホスト名から、IPv4形式の各種アドレス情報を取得します。戻り値は (hostname, aliaslist, ipaddrlist) のタプルで、 hostnameip_address で指定したホストの正式名、 aliaslist は同じアドレスの別名のリスト(空の場合もある)、 ipaddrlist は同じホスト上の同一インターフェースのIPv4アドレスのリスト(ほとんどの場合は単一のアドレスのみ) を示します。 gethostbyname_ex() は、IPv6名前解決をサポートしていません。IPv4/v6のデュアルスタックをサポートする場合は getaddrinfo() を使用します。

socket.gethostname()

Pythonインタープリタを現在実行中のマシンのホスト名を示す文字列を取得します。

実行中マシンのIPアドレスが必要であれば、 gethostbyname(gethostname()) を使用してください。この処理は実行中ホストのアドレス-ホスト名変換が可能であることを前提としていますが、常に変換可能であるとは限りません。

注意: gethostname() は完全修飾ドメイン名を返すとは限りません。完全修飾ドメイン名が必要であれば、 gethostbyaddr(gethostname()) としてください(下記参照)。

socket.gethostbyaddr(ip_address)

(hostname, aliaslist, ipaddrlist) のタプルを返し、 hostnameip_address で指定したホストの正式名、 aliaslist は同じアドレスの別名のリスト(空の場合もある)、 ipaddrlist は同じホスト上の同一インターフェースのIPv4アドレスのリスト(ほとんどの場合は単一のアドレスのみ)を示します。完全修飾ドメイン名が必要であれば、 getfqdn() を使用してください。 gethostbyaddr() は、IPv4/IPv6の両方をサポートしています。

socket.getnameinfo(sockaddr, flags)

ソケットアドレス sockaddr から、 (host, port) のタプルを取得します。 flags の設定に従い、 host は完全修飾ドメイン名または数値形式アドレスとなります。同様に、 port は文字列のポート名または数値のポート番号となります。

バージョン 2.2 で追加.

socket.getprotobyname(protocolname)

('icmp' のような) インターネットプロトコル名を、 socket() の 第三引数として指定する事ができる定数に変換します。これは主にソケットを "raw" モード(SOCK_RAW)でオープンする場合には必要ですが、通常の ソケットモードでは第三引数に0を指定するか省略すれば正しいプロトコルが自動的に選択されます。

socket.getservbyname(servicename[, protocolname])

インターネットサービス名とプロトコルから、そのサービスのポート番号を取得します。省略可能なプロトコル名として、 'tcp''udp' のどちらかを指定することができます。指定がなければどちらのプロトコルにもマッチします。

socket.getservbyport(port[, protocolname])

インターネットポート番号とプロトコル名から、サービス名を取得します。省略可能なプロトコル名として、 'tcp''udp' のどちらかを指定することができます。指定がなければどちらのプロトコルにもマッチします。

socket.socket([family[, type[, proto]]])

アドレスファミリ、ソケットタイプ、プロトコル番号を指定してソケットを作成します。アドレスファミリには AF_INET (デフォルト値)・ AF_INET6AF_UNIX を指定することができます。ソケットタイプには SOCK_STREAM (デフォルト値)・ SOCK_DGRAM ・または他の SOCK_ 定数の何れかを指定します。プロトコル番号は通常省略するか、または0を指定します。

socket.socketpair([family[, type[, proto]]])

指定されたアドレスファミリー、ソケットタイプ、プロトコル番号から、接続されたソケットのペアを作成します。アドレスファミリー、ソケットタイプ、プロトコル番号は socket() 関数と同様に指定します。デフォルトのアドレスファミリは、プラットフォームで定義されていれば AF_UNIX, そうでなければ AF_INET が使われます。

バージョン 2.4 で追加.

socket.fromfd(fd, family, type[, proto])

ファイル記述子 (ファイルオブジェクトの fileno() メソッドが返す整数) fd を複製して、ソケットオブジェクトを構築します。アドレスファミリとプロトコル番号は socket() と同様に指定します。ファイル記述子 はソケットを指していなければなりませんが、実際にソケットであるかどうかのチェックは行っていません。このため、ソケット以外のファイル記述子 を指定するとその後の処理が失敗する場合があります。この関数が必要な事はあまりありませんが、 (Unixのinetデーモンに起動されるプログラムのように) ソケットを標準入力や標準出力として使用するプログラムでソケットオプションの取得や設定を行うために使われます。この関数で使用するソケットは、ブロッキングモードと想定しています。 利用可能: Unix

socket.ntohl(x)

32ビットの正の整数のバイトオーダを、ネットワークバイトオーダからホストバイトオーダに変換します。ホストバイトオーダとネットワークバイトオーダが一致するマシンでは、この関数は何もしません。それ以外の場合は4バイトのスワップを行います。

socket.ntohs(x)

16ビットの正の整数のバイトオーダを、ネットワークバイトオーダからホストバイトオーダに変換します。ホストバイトオーダとネットワークバイトオーダが一致するマシンでは、この関数は何もしません。それ以外の場合は2バイトのスワップを行います。

socket.htonl(x)

32ビットの正の整数のバイトオーダを、ホストバイトオーダからネットワークバイトオーダに変換します。ホストバイトオーダとネットワークバイトオーダが一致するマシンでは、この関数は何もしません。それ以外の場合は4バイトのスワップを行います。

socket.htons(x)

16ビットの正の整数のバイトオーダを、ホストバイトオーダからネットワークバイトオーダに変換します。ホストバイトオーダとネットワークバイトオーダが一致するマシンでは、この関数は何もしません。それ以外の場合は2バイトのスワップを行います。

socket.inet_aton(ip_string)

ドット記法によるIPv4アドレス('123.45.67.89' など)を32ビットにパックしたバイナリ形式に変換し、長さ4の文字列オブジェクトとして返します。この関数が返す値は、標準Cライブラリの struct in_addr 型を使用する関数に渡す事ができます。

inet_aton() はドットが 3 個以下の文字列も受け取ります; 詳細については Unix のマニュアル inet(3) を参照してください。

IPv4アドレス文字列が不正であれば、 socket.error が発生します。このチェックは、この関数で使用しているCの実装 inet_aton() で行われます。

inet_aton() は、IPv6をサポートしません。IPv4/v6のデュアルスタックをサポートする場合は inet_pton() を使用します。

socket.inet_ntoa(packed_ip)

32ビットにパックしたバイナリ形式のIPv4アドレスを、ドット記法による文字列 ('123.45.67.89' など)に変換します。この関数が返す値は、標準Cライブラリの struct in_addr 型を使用する関数に渡す事ができます。

この関数に渡す文字列の長さが4バイト以外であれば、 socket.error が発生します。 inet_ntoa() は、IPv6をサポートしません。IPv4/v6のデュアルスタックをサポートする場合は inet_pton() を使用します。

socket.inet_pton(address_family, ip_string)

IPアドレスを、アドレスファミリ固有の文字列からパックしたバイナリ形式に変換します。 inet_pton() は、 struct in_addr 型 (inet_aton() と同様)や struct in6_addr を使用するライブラリやネットワークプロトコルを呼び出す際に使用することができます。

現在サポートされている address_family は、 AF_INETAF_INET6 です。 ip_string に不正なIPアドレス文字列を指定すると、 socket.error が発生します。有効な ip_string は、 address_familyinet_pton() の実装によって異なります。

利用可能: Unix (サポートしていないプラットフォームもあります)。

バージョン 2.3 で追加.

socket.inet_ntop(address_family, packed_ip)

パックしたIPアドレス(数文字の文字列オブジェクト)を、 '7.10.0.5''5aef:2b::8' などの標準的な、アドレスファミリ固有の文字列形式に変換します。 inet_ntop() は(inet_ntoa() と同様に) struct in_addr 型や struct in6_addr 型のオブジェクトを返すライブラリやネットワークプロトコル等で使用することができます。

現在サポートされている address_family は、 AF_INETAF_INET6 です。 packed_ip の長さが指定したアドレスファミリで適切な長さでなければ、 ValueError が発生します。 inet_ntop() でエラーとなると、 socket.error が発生します。

利用可能: Unix (サポートしていないプラットフォームもあります)。

バージョン 2.3 で追加.

socket.getdefaulttimeout()

新規に生成されたソケットオブジェクトの、デフォルトのタイムアウト値を浮動小数点形式の秒数で返します。タイムアウトを使用しない場合には None を返します。最初に socket モジュールがインポートされた時の初期値は None です。

バージョン 2.3 で追加.

socket.setdefaulttimeout(timeout)

新規に生成されたソケットオブジェクトの、デフォルトのタイムアウト値を浮動小数点形式の秒数で指定します。タイムアウトを使用しない場合には None を指定します。最初に socket モジュールがインポートされた時の初期値は None です。

バージョン 2.3 で追加.

socket.SocketType

ソケットオブジェクトの型を示す型オブジェクト。 type(socket(...)) と同じです。

参考

SocketServer モジュール

ネットワークサーバの開発を省力化するためのクラス群。

Module ssl

ソケットオブジェクトに対する TLS/SSL ラッパー.

17.2.1. socket オブジェクト

ソケットオブジェクトは以下のメソッドを持ちます。 makefile() 以外のメソッドは、Unixのソケット用システムコールに対応しています。

socket.accept()

接続を受け付けます。ソケットはアドレスにbind済みで、listen中である必要があります。戻り値は (conn, address) のペアで、 conn は接続を通じてデータの送受信を行うための 新しい ソケットオブジェクト、 address は接続先でソケットにbindしているアドレスを示します。

socket.bind(address)

ソケットを address にbindします。bind済みのソケットを再バインドする事はできません。(address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります -- 前述。)

注釈

本来、このメソッドは単一のタプルのみを引数として受け付けますが、以前は AF_INET アドレスを示す二つの値を指定する事ができました。これは本来の仕様ではなく、Python 2.0以降では使用することはできません。

socket.close()

ソケットをクローズします。以降、このソケットでは全ての操作が失敗します。リモート端点ではキューに溜まったデータがフラッシュされた後はそれ以上のデータを受信しません。ソケットはガベージコレクション時に自動的にクローズされます。

注釈

close() は接続に関連付けられたリソースを解放しますが、接続をすぐに切断するとは限りません。接続を即座に切断したい場合は、 close() の前に shutdown() を呼び出してください。

socket.connect(address)

address で示されるリモートソケットに接続します。(address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります --- 前述。)

注釈

本来、このメソッドは単一のタプルのみを引数として受け付けますが、以前は AF_INET アドレスを示す二つの値を指定する事ができました。これは本来の仕様ではなく、Python 2.0以降では使用することはできません。

socket.connect_ex(address)

connect(address) と同様ですが、C言語の connect() 関数の呼び出しでエラーが発生した場合には例外を送出せずにエラーを戻り値として返します。(これ以外の、"host not found,"等のエラーの場合には例外が発生します。)処理が正常に終了した場合には 0 を返し、エラー時には errno の値を返します。この関数は、非同期接続をサポートする場合などに使用することができます。

注釈

本来、このメソッドは単一のタプルのみを引数として受け付けますが、以前は AF_INET アドレスを示す二つの値を指定する事ができました。これは本来の仕様ではなく、Python 2.0以降では使用することはできません。

socket.fileno()

ソケットのファイル記述子を整数型で返します。ファイル記述子は、 select.select() などで使用します。

Windowsではこのメソッドで返された小整数をファイル記述子を扱う箇所 (os.fdopen() など) で利用できません。 Unix にはこの制限はありません。

socket.getpeername()

ソケットが接続しているリモートアドレスを返します。この関数は、リモート IPv4/v6ソケットのポート番号を調べる場合などに使用します。 address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります(前述)。この関数をサポートしていないシステムも存在します。

socket.getsockname()

ソケット自身のアドレスを返します。この関数は、IPv4/v6ソケットのポート番号を調べる場合などに使用します。(address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります --- 前述。)

socket.getsockopt(level, optname[, buflen])

ソケットに指定されたオプションを返します(Unixのマニュアルページ getsockopt(2) を参照)。 SO_* 等のシンボルは、このモジュールで定義しています。 buflen を省略した場合、取得するオブションは整数とみなし、整数型の値を戻り値とします。 buflen を指定した場合、長さ buflen のバッファでオプションを受け取り、このバッファを文字列として返します。このバッファは、呼び出し元プログラムで struct モジュール等を利用して内容を読み取ることができます。

socket.ioctl(control, option)
プラットフォーム

Windows

ioctl() メソッドは WSAIoctl システムインタフェースへの制限されたインタフェースです。詳しい情報については、 Win32 documentation を参照してください。

他のプラットフォームでは一般的な fcntl.fcntl()fcntl.ioctl() が使われるでしょう; これらの関数は第 1 引数としてソケットオブジェクトを取ります。

バージョン 2.6 で追加.

socket.listen(backlog)

ソケットをListenし、接続を待ちます。引数 backlog には接続キューの最大の長さ(0以上)を指定します。 backlog の最大数はシステムに依存します (通常は5)。最小値は必ず 0 です。

socket.makefile([mode[, bufsize]])

ソケットに関連付けられた ファイルオブジェクト を返します (ファイルオブジェクトについては ファイルオブジェクト を参照)。ファイルオブジェクトはその close() メソッドが呼ばれた際もソケットを明示的にクローズせずにソケットオブジェクトへの参照を削除するだけです。このため、ソケットは、どこからも参照されなくなってからクローズされます。

ソケットはブロッキングモードでなければなりません(タイムアウトを設定することもできません)。オプション引数の modebufsize には、 file() 組み込み関数と同じ値を指定します。

注釈

Windows では、 makefile() によって作成される file-like オブジェクトは、 subprocess.Popen() などのファイル記述子のある file オブジェクトを期待している場所で利用することはできません。

socket.recv(bufsize[, flags])

ソケットからデータを受信し、文字列として返します。受信する最大バイト数は、 bufsize で指定します。 flags のデフォルト値は0です。値の意味についてはUnixマニュアルページの recv(2) を参照してください。

注釈

ハードウェアおよびネットワークの現実に最大限マッチするように、 bufsize の値は比較的小さい2の累乗、たとえば 4096、にすべきです。

socket.recvfrom(bufsize[, flags])

ソケットからデータを受信し、結果をタプル (string, address) として返します。 string は受信データの文字列で、 address は送信元のアドレスを示します。オプション引数 flags については、 Unix のマニュアルページ recv(2) を参照してください。デフォルトは0です。 (address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります(前述))

socket.recvfrom_into(buffer[, nbytes[, flags]])

ソケットからデータを受信し、そのデータを新しい文字列として返す代わりに buffer に書きます。戻り値は (nbytes, address) のペアで、 nbytes は受信したデータのバイト数を、 address はデータを送信したソケットのアドレスです。オプション引数 flags (デフォルト:0) の意味については、 Unix マニュアルページ recv(2) を参照してください。(address のフォーマットは前述のとおりアドレスファミリーに依存します。)

バージョン 2.5 で追加.

socket.recv_into(buffer[, nbytes[, flags]])

nbytes バイトまでのデータをソケットから受信して、そのデータを新しい文字列にするのではなく buffer に保存します。 nbytes が指定されない(あるいは0が指定された)場合、 buffer の利用可能なサイズまで受信します。受信したバイト数を返り値として返します。オプション引数 flags (デフォルト:0) の意味については、 Unix マニュアルページ recv(2) を参照してください。

バージョン 2.5 で追加.

socket.send(string[, flags])

ソケットにデータを送信します。ソケットはリモートソケットに接続済みでなければなりません。オプション引数 flags の意味は、上記 recv() と同じです。戻り値として、送信したバイト数を返します。アプリケーションでは、必ず戻り値をチェックし、全てのデータが送られた事を確認する必要があります。データの一部だけが送信された場合、アプリケーションで残りのデータを再送信してください。 ソケットプログラミング HOWTO に、さらに詳しい情報があります。

socket.sendall(string[, flags])

ソケットにデータを送信します。ソケットはリモートソケットに接続済みでなければなりません。オプション引数 flags の意味は、上記 recv() と同じです。 send() と異なり、このメソッドは string の全データを送信するか、エラーが発生するまで処理を継続します。正常終了の場合は None を返し、エラー発生時には例外が発生します。エラー発生時、送信されたバイト数を調べる事はできません。

socket.sendto(string, address)
socket.sendto(string, flags, address)

ソケットにデータを送信します。このメソッドでは接続先を address で指定するので、接続済みではいけません。オプション引数 flags の意味は、上記 recv() と同じです。戻り値として、送信したバイト数を返します。(address のフォーマットはアドレスファミリによって異なります --- 前述。)

socket.setblocking(flag)

ソケットのブロッキング・非ブロッキングモードを指定します。 flag が0 の場合は非ブロッキングモード、0以外の場合はブロッキングモードとなります。全てのソケットは、初期状態ではブロッキングモードです。非ブロッキングモードでは、 recv() メソッド呼び出し時に読み込みデータが無かったり send() メソッド呼び出し時にデータを処理する事ができないような場合に error 例外が発生します。しかし、ブロッキングモードでは呼び出しは処理が行われるまでブロックされます。 s.setblocking(0)s.settimeout(0.0) と、 s.setblocking(1)s.settimeout(None) とそれぞれ同じ意味を持ちます。

socket.settimeout(value)

ソケットのブロッキング処理のタイムアウト値を指定します。 value には、正の浮動小数点で秒数を指定するか、もしくは None を指定します。浮動小数点値を指定した場合、操作が完了する前に value で指定した秒数が経過すると timeout が発生します。タイムアウト値に None を指定すると、ソケットのタイムアウトを無効にします。 s.settimeout(0.0)s.setblocking(0) と、 s.settimeout(None)s.setblocking(1) とそれぞれ同じ意味を持ちます。

バージョン 2.3 で追加.

socket.gettimeout()

ソケットに指定されたタイムアウト値を取得します。タイムアウト値が設定されている場合には浮動小数点型で秒数が、設定されていなければ None が返ります。この値は、最後に呼び出された setblocking() または settimeout() によって設定されます。

バージョン 2.3 で追加.

ソケットのブロッキングとタイムアウトについて: ソケットオブジェクトのモードは、ブロッキング・非ブロッキング・タイムアウトの何れかとなります。初期状態では常にブロッキングモードです。ブロッキングモードでは、処理が完了するまで、もしくはシステムが (接続タイムアウトなどの) エラーを返すまでブロックされます。非ブロッキングモードでは、処理を行う事ができなければ(不幸にもシステムによって異なる値の)エラーとなります。タイムアウトモードでは、ソケットに指定したタイムアウトまで、もしくはシステムがエラーを返すまでに完了しなければ処理は失敗となります。 setblocking() メソッドは、 settimeout() の省略形式です。

内部的には、タイムアウトモードではソケットを非ブロッキングモードに設定します。ブロッキングとタイムアウトの設定は、ソケットと同じネットワーク端点へ接続するファイル記述子にも反映されます。この結果、 makefile() で作成したファイルオブジェクトはブロッキングモードでのみ使用することができます。これは非ブロッキングモードとタイムアウトモードでは、即座に完了しないファイル操作はエラーとなるためです。

註: connect() はタイムアウト設定に従います。一般的に、 settimeout()connect() の前に呼ぶかタイムアウト値を create_connection() に渡すことをおすすめします。システムのネットワークスタックは Python のソケットタイムアウトの設定を無視して、自身のコネクションタイムアウトエラーを返すこともあります。

socket.setsockopt(level, optname, value)

ソケットのオプションを設定します(Unixのマニュアルページ setsockopt(2) を参照)。 SO_* 等のシンボルは、このモジュールで定義しています。 value には、整数または文字列をバッファとして指定する事ができます。文字列を指定する場合、文字列には適切なビットを設定するようにします。(struct モジュールを利用すれば、Cの構造体を文字列にエンコードする事ができます。)

socket.shutdown(how)

接続の片方向、または両方向を切断します。 howSHUT_RD の場合、以降は受信を行えません。 howSHUT_WR の場合、以降は送信を行えません。 howSHUT_RDWR の場合、以降は送受信を行えません。プラットフォームによっては、接続の片方向をシャットダウンすると相手側も閉じられます。(例えば、 Mac OS X では、 shutdown(SHUT_WR) をすると、接続の相手側はもう read ができなくなります)

read() メソッドと write() メソッドは存在しませんので注意してください。代わりに flags を省略した recv()send() を使うことができます。

ソケットオブジェクトには以下の socket コンストラクタに渡された値に対応した (読み出し専用) 属性があります。

socket.family

ソケットファミリー。

バージョン 2.5 で追加.

socket.type

ソケットタイプ。

バージョン 2.5 で追加.

socket.proto

ソケットプロトコル。

バージョン 2.5 で追加.

17.2.2.

以下は TCP/IP プロトコルの簡単なサンプルとして、受信したデータをクライアントにそのまま返送するサーバ (接続可能なクライアントは一件のみ) と、サーバに接続するクライアントの例を示します。サーバでは、 socket()bind()listen()accept() を実行し (複数のクライアントからの接続を受け付ける場合、 accept() を複数回呼び出します)、クライアントでは socket()connect() だけを呼び出しています。サーバでは sendall() / recv() メソッドは listen 中のソケットで実行するのではなく、 accept() で取得したソケットに対して実行している点にも注意してください。

次のクライアントとサーバは、IPv4 のみをサポートしています。

# Echo server program
import socket

HOST = ''                 # Symbolic name meaning all available interfaces
PORT = 50007              # Arbitrary non-privileged port
s = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_STREAM)
s.bind((HOST, PORT))
s.listen(1)
conn, addr = s.accept()
print 'Connected by', addr
while 1:
    data = conn.recv(1024)
    if not data: break
    conn.sendall(data)
conn.close()
# Echo client program
import socket

HOST = 'daring.cwi.nl'    # The remote host
PORT = 50007              # The same port as used by the server
s = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_STREAM)
s.connect((HOST, PORT))
s.sendall('Hello, world')
data = s.recv(1024)
s.close()
print 'Received', repr(data)

次のサンプルは上記のサンプルとほとんど同じですが、IPv4 と IPv6 の両方をサポートしています。サーバでは、IPv4/v6 の両方ではなく、利用可能な最初のアドレスファミリだけを listen しています。ほとんどの IPv6 対応システムでは IPv6 が先に現れるため、サーバは IPv4 には応答しません。クライアントでは名前解決の結果として取得したアドレスに順次接続を試み、最初に接続に成功したソケットにデータを送信しています。

# Echo server program
import socket
import sys

HOST = None               # Symbolic name meaning all available interfaces
PORT = 50007              # Arbitrary non-privileged port
s = None
for res in socket.getaddrinfo(HOST, PORT, socket.AF_UNSPEC,
                              socket.SOCK_STREAM, 0, socket.AI_PASSIVE):
    af, socktype, proto, canonname, sa = res
    try:
        s = socket.socket(af, socktype, proto)
    except socket.error as msg:
        s = None
        continue
    try:
        s.bind(sa)
        s.listen(1)
    except socket.error as msg:
        s.close()
        s = None
        continue
    break
if s is None:
    print 'could not open socket'
    sys.exit(1)
conn, addr = s.accept()
print 'Connected by', addr
while 1:
    data = conn.recv(1024)
    if not data: break
    conn.send(data)
conn.close()
# Echo client program
import socket
import sys

HOST = 'daring.cwi.nl'    # The remote host
PORT = 50007              # The same port as used by the server
s = None
for res in socket.getaddrinfo(HOST, PORT, socket.AF_UNSPEC, socket.SOCK_STREAM):
    af, socktype, proto, canonname, sa = res
    try:
        s = socket.socket(af, socktype, proto)
    except socket.error as msg:
        s = None
        continue
    try:
        s.connect(sa)
    except socket.error as msg:
        s.close()
        s = None
        continue
    break
if s is None:
    print 'could not open socket'
    sys.exit(1)
s.sendall('Hello, world')
data = s.recv(1024)
s.close()
print 'Received', repr(data)

最後の例は、Windowsで raw socket を利用して非常にシンプルなネットワークスニファーを書きます。このサンプルを実行するには、インタフェースを操作するための管理者権限が必要です。

import socket

# the public network interface
HOST = socket.gethostbyname(socket.gethostname())

# create a raw socket and bind it to the public interface
s = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_RAW, socket.IPPROTO_IP)
s.bind((HOST, 0))

# Include IP headers
s.setsockopt(socket.IPPROTO_IP, socket.IP_HDRINCL, 1)

# receive all packages
s.ioctl(socket.SIO_RCVALL, socket.RCVALL_ON)

# receive a package
print s.recvfrom(65565)

# disabled promiscuous mode
s.ioctl(socket.SIO_RCVALL, socket.RCVALL_OFF)

この例の実行を、ほとんど間を空けずに何度も実行すると、以下のエラーが起こるかもしれません:

socket.error: [Errno 98] Address already in use

これは以前の実行がソケットを TIME_WAIT 状態のままにし、すぐには再利用出来ないことで起こります。

これを防ぐのに、 socket フラグの socket.SO_REUSEADDR があります:

s = socket.socket(socket.AF_INET, socket.SOCK_STREAM)
s.setsockopt(socket.SOL_SOCKET, socket.SO_REUSEADDR, 1)
s.bind((HOST, PORT))

SO_REUSEADDR フラグは、 TIME_WAIT 状態にあるローカルソケットをそのタイムアウト期限が自然に切れるのを待つことなく再利用することをカーネルに伝えます。