array --- 効率のよい数値アレイ


このモジュールでは、基本的な値 (文字、整数、浮動小数点数) のアレイ (array、配列) をコンパクトに表現できるオブジェクト型を定義しています。アレイはシーケンス (sequence) 型であり、中に入れるオブジェクトの型に制限があることを除けば、リストとまったく同じように振る舞います。オブジェクト生成時に一文字の 型コード を用いて型を指定します。次の型コードが定義されています:

型コード

C の型

Python の型

最小サイズ (バイト単位)

注釈

'b'

signed char

int

1

'B'

unsigned char

int

1

'u'

wchar_t

Unicode文字(unicode型)

2

(1)

'h'

signed short

int

2

'H'

unsigned short

int

2

'i'

signed int

int

2

'I'

unsigned int

int

2

'l'

signed long

int

4

'L'

unsigned long

int

4

'q'

signed long long

int

8

'Q'

unsigned long long

int

8

'f'

浮動小数点数

浮動小数点数

4

'd'

double

浮動小数点数

8

注釈:

  1. It can be 16 bits or 32 bits depending on the platform.

    バージョン 3.9 で変更: array('u') now uses wchar_t as C type instead of deprecated Py_UNICODE. This change doesn't affect to its behavior because Py_UNICODE is alias of wchar_t since Python 3.3.

    Deprecated since version 3.3, will be removed in version 4.0.

値の実際の表現はマシンアーキテクチャ (厳密に言うとCの実装) によって決まります。値の実際のサイズは itemsize 属性から得られます。

このモジュールでは次の型を定義しています:

class array.array(typecode[, initializer])

要素のデータ型が typecode に限定される新しいアレイで、 オプションの値 initializer を渡すと初期値になりますが、 リスト、 bytes-like object または適当な型のイテレーション可能オブジェクトでなければなりません。

リストか文字列を渡した場合、initializer は新たに作成されたアレイの fromlist()frombytes() あるいは fromunicode() メソッド (以下を参照) に渡され、アレイに初期項目を追加します。それ以外の場合には、イテラブルの initializerextend() メソッドに渡されます。

引数 typecode, initializer 付きで 監査イベント array.__new__ を送出します。

array.typecodes

すべての利用可能なタイプコードを含む文字列

アレイオブジェクトでは、インデクス指定、スライス、連結および反復といった、 通常のシーケンスの演算をサポートしています。スライス代入を使うときは、 代入値は同じ型コードのアレイオブジェクトでなければなりません。 それ以外のオブジェクトを指定すると TypeError を送出します。 アレイオブジェクトはバッファインターフェースを実装しており、 bytes-like objects をサポートしている場所ならどこでも利用できます。

次のデータ要素やメソッドもサポートされています:

array.typecode

アレイを作るときに使う型コード文字です。

array.itemsize

アレイの要素 1 つの内部表現に使われるバイト長です。

array.append(x)

x の新たな要素をアレイの末尾に追加します。

array.buffer_info()

アレイの内容を記憶するために使っているバッファの、現在のメモリアドレスと要素数の入ったタプル (address, length) を返します。バイト単位で表したメモリバッファの大きさは array.buffer_info()[1] * array.itemsize で計算できます。例えば ioctl() 操作のような、メモリアドレスを必要とする低レベルな (そして、本質的に危険な) I/Oインターフェースを使って作業する場合に、ときどき便利です。アレイ自体が存在し、長さを変えるような演算を適用しない限り、有効な値を返します。

注釈

C やC++ で書いたコードからアレイオブジェクトを使う場合 (buffer_info() の情報を使う意味のある唯一の方法です) は、アレイオブジェクトでサポートしているバッファインターフェースを使う方がより理にかなっています。このメソッドは後方互換性のために保守されており、新しいコードでの使用は避けるべきです。バッファインターフェースの説明は バッファプロトコル (buffer Protocol) にあります。

array.byteswap()

アレイのすべての要素に対して「バイトスワップ」 (リトルエンディアンとビッグエンディアンの変換) を行います。このメソッドは大きさが 1、2、4 および 8 バイトの値のみをサポートしています。他の種類の値に使うと RuntimeError を送出します。異なるバイトオーダを使うマシンで書かれたファイルからデータを読み込むときに役に立ちます。

array.count(x)

シーケンス中の x の出現回数を返します。

array.extend(iterable)

iterable から要素を取り出し、アレイの末尾に要素を追加します。 iterable が別のアレイ型である場合、二つのアレイは 全く 同じ型コードでなければなりません。それ以外の場合には TypeError を送出します。 iterable がアレイでない場合、アレイに値を追加できるような正しい型の要素からなるイテレーション可能オブジェクトでなければなりません。

array.frombytes(s)

文字列から要素を追加します。文字列は、 (ファイルから fromfile() メソッドを使って値を読み込んだときのように) マシンのデータ形式で表された値の配列として解釈されます。

バージョン 3.2 で追加: 明確化のため fromstring() の名前が frombytes() に変更されました。

array.fromfile(f, n)

ファイルオブジェクト f から (マシンのデータ形式そのままで) n 個の要素を読み出し、アレイの末尾に要素を追加します。 n 個未満の要素しか読めなかった場合は EOFError を送出しますが、それまでに読み出せた値はアレイに追加されます。

array.fromlist(list)

リストから要素を追加します。型に関するエラーが発生した場合にアレイが変更されないことを除き、 for x in list: a.append(x) と同じです。

array.fromunicode(s)

指定した Unicode 文字列のデータを使ってアレイを拡張します。アレイの型コードは 'u' でなければなりません。それ以外の場合には、 ValueError を送出します。他の型のアレイに Unicode 型のデータを追加するには、 array.frombytes(unicodestring.encode(enc)) を使ってください。

array.index(x)

アレイ中で x が出現するインデクスのうち最小の値 i を返します。

array.insert(i, x)

アレイ中の位置 i の前に値 x をもつ新しい要素を挿入します。 i の値が負の場合、アレイの末尾からの相対位置として扱います。

array.pop([i])

アレイからインデクスが i の要素を取り除いて返します。オプションの引数はデフォルトで -1 になっていて、最後の要素を取り除いて返すようになっています。

array.remove(x)

アレイ中の x のうち、最初に現れたものを取り除きます。

array.reverse()

アレイの要素の順番を逆にします。

array.tobytes()

array をマシンの値の array に変換して、 bytes の形で返します (tofile() メソッドを使ってファイルに書かれるバイト列と同じです)。

バージョン 3.2 で追加: 明確化のため tostring() の名前が tobytes() に変更されました。

array.tofile(f)

すべての要素を (マシンの値の形式で) file object f に書き込みます。

array.tolist()

アレイを同じ要素を持つ普通のリストに変換します。

array.tounicode()

アレイを Unicode 文字列に変換します。アレイの型コードは 'u' でなければなりません。それ以外の場合には ValueError を送出します。他の型のアレイから Unicode 文字列を得るには、 array.tobytes().decode(enc) を使ってください。

アレイオブジェクトを表示したり文字列に変換したりすると、 array(typecode, initializer) という形式で表現されます。 アレイが空の場合、 initializer の表示を省略します。 アレイが空でなければ、 typecode'u' の場合には文字列に、それ以外の場合には数値のリストになります。 array クラスが from array import array というふうにインポートされている限り、変換後の文字列に eval() を用いると元のアレイオブジェクトと同じデータ型と値を持つアレイに逆変換できることが保証されています。文字列表現の例を以下に示します:

array('l')
array('u', 'hello \u2641')
array('l', [1, 2, 3, 4, 5])
array('d', [1.0, 2.0, 3.14])

参考

struct モジュール

異なる種類のバイナリデータのパックおよびアンパック。

xdrlib モジュール

遠隔手続き呼び出しシステムで使われる外部データ表現仕様 (External Data Representation, XDR) のデータのパックおよびアンパック。

NumPy

The NumPy package defines another array type.