difflib
--- 差分の計算の補助¶
ソースコード: Lib/difflib.py
このモジュールは、シーケンスを比較するためのクラスや関数を提供しています。例えば、ファイルの差分を計算して、それを HTML や context diff, unified diff などいろいろなフォーマットで出力するために、このモジュールを利用できます。ディレクトリやファイル群を比較するためには、 filecmp
モジュールも参照してください。
- class difflib.SequenceMatcher
柔軟性のあるクラスで、二つのシーケンスの要素が ハッシュ可能 な型であれば、どの型の要素を含むシーケンスも比較可能です。基本的なアルゴリズムは、1980年代の後半に発表された Ratcliff と Obershelp による"ゲシュタルトパターンマッチング"と大げさに名づけられたアルゴリズム以前から知られている、やや凝ったアルゴリズムです。その考え方は、"junk" 要素を含まない最も長い互いに隣接したマッチ列を探すことです。ここで、 "junk" 要素とは、空行や空白などの、意味を持たない要素のことです。 (junk を処理するのは、Ratcliff と Obershelp のアルゴリズムに追加された拡張です。)この考え方は、マッチ列の左右に隣接するシーケンスの断片に対して再帰的にあてはめられます。この方法では編集を最小にするシーケンスは生まれませんが、人間の目からみて「正しい感じ」にマッチする傾向があります。
実行時間: 基本的な Ratcliff-Obershelp アルゴリズムは、最悪の場合3乗、期待値で2乗となります。
SequenceMatcher
オブジェクトでは、最悪のケースで2乗、期待値は比較されるシーケンス中に共通に現れる要素数に非常にややこしく依存しています。最良の場合は線形時間になります。自動 junk ヒューリスティック:
SequenceMatcher
は、シーケンスの特定の要素を自動的に junk として扱うヒューリスティックをサポートしています。このヒューリスティックは、各個要素がシーケンス内に何回現れるかを数えます。ある要素の重複数が (最初のものは除いて) 合計でシーケンスの 1% 以上になり、そのシーケンスが 200 要素以上なら、その要素は "popular" であるものとしてマークされ、シーケンスのマッチングの目的からは junk として扱われます。このヒューリスティックは、SequenceMatcher
の作成時にautojunk
パラメタをFalse
に設定することで無効化できます。バージョン 3.2 で変更: Added the autojunk parameter.
- class difflib.Differ¶
テキスト行からなるシーケンスを比較するクラスです。人が読むことのできる差分を作成します。 Differ クラスは
SequenceMatcher
クラスを利用して、行からなるシーケンスを比較したり、(ほぼ)同一の行内の文字を比較したりします。Differ
クラスによる差分の各行は、2文字のコードで始まります:コード
意味
'- '
行はシーケンス1にのみ存在する
'+ '
行はシーケンス2にのみ存在する
' '
行は両方のシーケンスで同一
'? '
行は入力シーケンスのどちらにも存在しない
Lines beginning with '
?
' attempt to guide the eye to intraline differences, and were not present in either input sequence. These lines can be confusing if the sequences contain whitespace characters, such as spaces, tabs or line breaks.
- class difflib.HtmlDiff¶
このクラスは、二つのテキストを左右に並べて比較表示し、行間あるいは行内の変更点を強調表示するような HTML テーブル (またはテーブルの入った完全な HTML ファイル) を生成するために使います。テーブルは完全差分モード、コンテキスト差分モードのいずれでも生成できます。
このクラスのコンストラクタは以下のようになっています:
- __init__(tabsize=8, wrapcolumn=None, linejunk=None, charjunk=IS_CHARACTER_JUNK)¶
HtmlDiff
のインスタンスを初期化します。tabsize はオプションのキーワード引数で、タブストップ幅を指定します。デフォルトは
8
です。wrapcolumn はオプションのキーワード引数で、テキストを折り返すカラム幅を指定します。デフォルトは
None
で折り返しを行いません。linejunk および charjunk はオプションのキーワード引数で、
ndiff()
(HtmlDiff
はこの関数を使って左右のテキストの差分を HTML で生成します) に渡されます。それぞれの引数のデフォルト値および説明はndiff()
のドキュメントを参照してください。
以下のメソッドが public になっています:
- make_file(fromlines, tolines, fromdesc='', todesc='', context=False, numlines=5, *, charset='utf-8')¶
fromlines と tolines (いずれも文字列のリスト) を比較し、行間または行内の変更点が強調表示された行差分の入った表を持つ完全な HTML ファイルを文字列で返します。
fromdesc および todesc はオプションのキーワード引数で、差分表示テーブルにおけるそれぞれ差分元、差分先ファイルのカラムのヘッダになる文字列を指定します (いずれもデフォルト値は空文字列です)。
context および numlines はともにオプションのキーワード引数です。context を
True
にするとコンテキスト差分を表示し、デフォルトのFalse
にすると完全なファイル差分を表示します。numlines のデフォルト値は5
で、context がTrue
の場合、numlines は強調部分の前後にあるコンテキスト行の数を制御します。context がFalse
の場合、numlines は "next" と書かれたハイパーリンクをたどった時に到達する場所が次の変更部分より何行前にあるかを制御します (値をゼロにした場合、"next" ハイパーリンクを辿ると変更部分の強調表示がブラウザの最上部に表示されるようになります)。注釈
fromdesc と todesc はエスケープされていないHTMLとして解釈されます。信頼できないソースからの入力を受け取る際には適切にエスケープされるべきです。
バージョン 3.5 で変更: charset キーワード専用引数が追加されました。HTML 文書のデフォルトの文字集合が
'ISO-8859-1'
から'utf-8'
に変更されました。
- make_table(fromlines, tolines, fromdesc='', todesc='', context=False, numlines=5)¶
fromlines と tolines (いずれも文字列のリスト) を比較し、行間または行内の変更点が強調表示された行差分の入った完全な HTML テーブルを文字列で返します。
このメソッドの引数は、
make_file()
メソッドの引数と同じです。
- difflib.context_diff(a, b, fromfile='', tofile='', fromfiledate='', tofiledate='', n=3, lineterm='\n')¶
a と b (文字列のリスト) を比較し、差分 (差分形式の行を生成する ジェネレータ) を、 context diff のフォーマット(以下「コンテキスト形式」)で返します。
コンテキスト形式は、変更があった行に前後数行を加えてある、コンパクトな表現方法です。変更箇所は、変更前/変更後に分けて表します。コンテキスト (変更箇所前後の行) の行数は n で指定し、デフォルト値は 3 です。
デフォルトで、 diff 制御行 (
***
や---
を含む行) は改行付きで生成されます。io.IOBase.readlines()
で作られた入力がio.IOBase.writelines()
で扱うのに適した diff になるので (なぜなら入力と出力の両方が改行付きのため) 、これは有用です。行末に改行文字を持たない入力に対しては、出力でも改行文字を付加しないように lineterm 引数に
""
を渡してください。コンテキスト形式は、通常、ヘッダにファイル名と変更時刻を持っています。この情報は、文字列 fromfile, tofile, fromfiledate, tofiledate で指定できます。変更時刻の書式は、通常、ISO 8601 フォーマットで表されます。指定しなかった場合のデフォルト値は、空文字列です。
>>> import sys >>> from difflib import * >>> s1 = ['bacon\n', 'eggs\n', 'ham\n', 'guido\n'] >>> s2 = ['python\n', 'eggy\n', 'hamster\n', 'guido\n'] >>> sys.stdout.writelines(context_diff(s1, s2, fromfile='before.py', ... tofile='after.py')) *** before.py --- after.py *************** *** 1,4 **** ! bacon ! eggs ! ham guido --- 1,4 ---- ! python ! eggy ! hamster guido
より詳細な例は、 difflib のコマンドラインインターフェース を参照してください。
- difflib.get_close_matches(word, possibilities, n=3, cutoff=0.6)¶
「十分」なマッチの上位のリストを返します。word はマッチさせたいシーケンス (大概は文字列) です。possibilities は word にマッチさせるシーケンスのリスト (大概は文字列のリスト) です。
オプションの引数 n (デフォルトでは
3
)はメソッドの返すマッチの最大数です。n は0
より大きくなければなりません。オプションの引数 cutoff (デフォルトでは
0.6
)は、区間 [0, 1] に入る小数の値です。word との一致率がそれ未満の possibilities の要素は無視されます。possibilities の要素でマッチした上位(多くても n 個)は、類似度のスコアに応じて(一番似たものを先頭に)ソートされたリストとして返されます。
>>> get_close_matches('appel', ['ape', 'apple', 'peach', 'puppy']) ['apple', 'ape'] >>> import keyword >>> get_close_matches('wheel', keyword.kwlist) ['while'] >>> get_close_matches('pineapple', keyword.kwlist) [] >>> get_close_matches('accept', keyword.kwlist) ['except']
- difflib.ndiff(a, b, linejunk=None, charjunk=IS_CHARACTER_JUNK)¶
a と b (文字列のリスト) を比較し、差分 (差分形式の行を生成する ジェネレータ) を、
Differ
のスタイルで返します。オプションのキーワード引数 linejunk と charjunk には、フィルタ関数 (または
None
) を渡します。linejunk: 文字列型の引数 1 つを受け取る関数です。文字列が junk の場合は真を、そうでない場合は偽を返します。デフォルトでは
None
です。モジュールレべルの関数IS_LINE_JUNK()
は、高々 1 つのシャープ記号('#'
)を除いて可視の文字を含まない行をフィルタリングするものです。しかし、下層にあるSequenceMatcher
クラスが、どの行が雑音となるほど頻繁に登場するかを動的に分析します。このクラスによる分析は、この関数を使用するよりも通常うまく動作します。charjunk: 文字 (長さ1の文字列) を受け取る関数です。文字列が junk の場合は真を、そうでない場合は偽を返します。デフォルトでは、モジュールレべルの関数
IS_CHARACTER_JUNK()
であり、これは空白文字類 (空白またはタブ、改行文字をこれに含めてはいけません) をフィルタして排除します。>>> diff = ndiff('one\ntwo\nthree\n'.splitlines(keepends=True), ... 'ore\ntree\nemu\n'.splitlines(keepends=True)) >>> print(''.join(diff), end="") - one ? ^ + ore ? ^ - two - three ? - + tree + emu
- difflib.restore(sequence, which)¶
差分を生成した元の二つのシーケンスのうち一つを返します。
Differ.compare()
またはndiff()
によって生成された sequence を与えられると、行頭のプレフィクスを取りのぞいてファイル 1 または 2 (引数 which で指定される) に由来する行を復元します。例:
>>> diff = ndiff('one\ntwo\nthree\n'.splitlines(keepends=True), ... 'ore\ntree\nemu\n'.splitlines(keepends=True)) >>> diff = list(diff) # materialize the generated delta into a list >>> print(''.join(restore(diff, 1)), end="") one two three >>> print(''.join(restore(diff, 2)), end="") ore tree emu
- difflib.unified_diff(a, b, fromfile='', tofile='', fromfiledate='', tofiledate='', n=3, lineterm='\n')¶
a と b (文字列のリスト) を比較し、差分 (差分形式の行を生成する ジェネレータ) を、 unified diff フォーマット(以下「ユニファイド形式」)で返します。
ユニファイド形式は変更があった行にコンテキストとなる前後数行を加えた、コンパクトな表現方法です。変更箇所は (変更前/変更後を分離したブロックではなく) インラインスタイルで表されます。コンテキストの行数は、n で指定し、デフォルト値は 3 です。
デフォルトで、 diff 制御行 (
---
,+++
,@@
を含む行) は改行付きで生成されます。io.IOBase.readlines()
で作られた入力がio.IOBase.writelines()
で扱うのに適した diff になるので (なぜなら入力と出力の両方が改行付きのため) 、これは有用です。行末に改行文字を持たない入力に対しては、出力でも改行文字を付加しないように lineterm 引数に
""
を渡してください。The unified diff format normally has a header for filenames and modification times. Any or all of these may be specified using strings for fromfile, tofile, fromfiledate, and tofiledate. The modification times are normally expressed in the ISO 8601 format. If not specified, the strings default to blanks.
>>> s1 = ['bacon\n', 'eggs\n', 'ham\n', 'guido\n'] >>> s2 = ['python\n', 'eggy\n', 'hamster\n', 'guido\n'] >>> sys.stdout.writelines(unified_diff(s1, s2, fromfile='before.py', tofile='after.py')) --- before.py +++ after.py @@ -1,4 +1,4 @@ -bacon -eggs -ham +python +eggy +hamster guido
より詳細な例は、 difflib のコマンドラインインターフェース を参照してください。
- difflib.diff_bytes(dfunc, a, b, fromfile=b'', tofile=b'', fromfiledate=b'', tofiledate=b'', n=3, lineterm=b'\n')¶
dfunc を使用して a と b (bytes オブジェクトのリスト) を比較して、差分形式の行 (これも bytes オブジェクトです) を*dfunc* の戻り値の形式で返します。dfunc は、呼び出し可能である必要があります。一般に、これは
unified_diff()
またはcontext_diff()
です。未知のエンコーディングまたは一貫性のないエンコーディングのデータ同士を比較できます。n 以外のすべての入力は、bytes オブジェクトである必要があります。n 以外のすべての入力を損失なく str に変換して、
dfunc(a, b, fromfile, tofile, fromfiledate, tofiledate, n, lineterm)
を呼び出すことにより動作します。dfunc の出力は、bytes 型に変換されます。これにより、受け取る差分形式の行のエンコーディングは、a と b の未知または一貫性のないエンコーディングと同一になります。Added in version 3.5.
- difflib.IS_LINE_JUNK(line)¶
無視できる行のとき
True
を返します。行 line は空白、または'#'
ひとつのときに無視できます。それ以外のときには無視できません。古いバージョンではndiff()
の引数 linejunk にデフォルトで使用されました。
- difflib.IS_CHARACTER_JUNK(ch)¶
無視できる文字のとき
True
を返します。文字 ch が空白、またはタブ文字のときには無視できます。それ以外の時には無視できません。ndiff()
の引数 charjunk としてデフォルトで使用されます。
参考
- Pattern Matching: The Gestalt Approach
John W. Ratcliff と D. E. Metzener による類似のアルゴリズムに関する議論。Dr. Dobb's Journal 1988年7月号掲載。
SequenceMatcherオブジェクト¶
SequenceMatcher
クラスには、以下のようなコンストラクタがあります:
- class difflib.SequenceMatcher(isjunk=None, a='', b='', autojunk=True)¶
オプションの引数 isjunk は、
None
(デフォルトの値です) にするか、単一の引数をとる関数でなければなりません。後者の場合、関数はシーケンスの要素を受け取り、要素が junk であり、無視すべきである場合に限り真を返すようにしなければなりません。isjunk にNone
を渡すと、lambda x: False
を渡したのと同じになります; すなわち、いかなる要素も無視しなくなります。例えば以下のような引数を渡すと:lambda x: x in " \t"
空白とタブ文字を無視して文字のシーケンスを比較します。
オプションの引数 a と b は、比較される文字列で、デフォルトでは空の文字列です。両方のシーケンスの要素は、 ハッシュ可能 である必要があります。
オプションの引数 autojunk は、自動 junk ヒューリスティックを無効にするために使えます。
バージョン 3.2 で変更: Added the autojunk parameter.
SequenceMatcher オブジェクトは3つのデータ属性を持っています: bjunk は、 isjunk が
True
であるような b の要素の集合です; bpopular は、 (無効でなければ) ヒューリスティックによって popular であると考えられる非ジャンク要素の集合です; b2j は、 b の残りの要素をそれらが生じる位置のリストに写像する dict です。この 3 つはset_seqs()
またはset_seq2()
で b がリセットされる場合は常にリセットされます。Added in version 3.2: bjunk および bpopular 属性。
SequenceMatcher
オブジェクトは以下のメソッドを持ちます:- set_seqs(a, b)¶
比較される2つの文字列を設定します。
SequenceMatcher
オブジェクトは、2つ目のシーケンスについての詳細な情報を計算し、キャッシュします。 1つのシーケンスをいくつものシーケンスと比較する場合、まずset_seq2()
を使って文字列を設定しておき、別の文字列を1つずつ比較するために、繰り返しset_seq1()
を呼び出します。- set_seq1(a)¶
比較を行う1つ目のシーケンスを設定します。比較される2つ目のシーケンスは変更されません。
- set_seq2(b)¶
比較を行う2つ目のシーケンスを設定します。比較される1つ目のシーケンスは変更されません。
- find_longest_match(alo=0, ahi=None, blo=0, bhi=None)¶
a[alo:ahi]
とb[blo:bhi]
の中から、最長のマッチ列を探します。isjunk が省略されたか
None
の時、find_longest_match()
はa[i:i+k]
がb[j:j+k]
と等しいような(i, j, k)
を返します。その値はalo <= i <= i+k <= ahi
かつblo <= j <= j+k <= bhi
となります。(i', j', k')
でも、同じようになります。さらにk >= k'
,i <= i'
がi == i'
,j <= j'
でも同様です。言い換えると、いくつものマッチ列すべてのうち、 a 内で最初に始まるものを返します。そしてその a 内で最初のマッチ列すべてのうち b 内で最初に始まるものを返します。>>> s = SequenceMatcher(None, " abcd", "abcd abcd") >>> s.find_longest_match(0, 5, 0, 9) Match(a=0, b=4, size=5)
引数 isjunk が与えられている場合、上記の通り、はじめに最長のマッチ列を判定します。ブロック内に junk 要素が見当たらないような追加条件の際はこれに該当しません。次にそのマッチ列を、その両側の junk 要素にマッチするよう、できる限り広げていきます。そのため結果となる列は、探している列のたまたま直前にあった同一の junk 以外の junk にはマッチしません。
以下は前と同じサンプルですが、空白を junk とみなしています。これは
' abcd'
が2つ目の列の末尾にある' abcd'
にマッチしないようにしています。代わりに'abcd'
にはマッチします。そして 2つ目の文字列中、一番左の'abcd'
にマッチします:>>> s = SequenceMatcher(lambda x: x==" ", " abcd", "abcd abcd") >>> s.find_longest_match(0, 5, 0, 9) Match(a=1, b=0, size=4)
どんな列にもマッチしない時は、
(alo, blo, 0)
を返します。このメソッドは named tuple
Match(a, b, size)
を返します。バージョン 3.9 で変更: デフォルト引数が追加されました。
- get_matching_blocks()¶
マッチした互いに重複の無いシーケンスを表す、3つ組の値のリストを返します。 それぞれの値は
(i, j, n)
という形式で表され、a[i:i+n] == b[j:j+n]
という関係を意味します。3つの値は i と j の間で単調に増加します。最後の3つ組はダミーで、
(len(a), len(b), 0)
という値を持ちます。これはn == 0
である唯一のタプルです。もし(i, j, n)
と(i', j', n')
がリストで並んでいる3つ組で、2つ目が最後の3つ組でなければ、i+n < i'
またはj+n < j'
です。言い換えると並んでいる3つ組は常に隣接していない同じブロックを表しています。>>> s = SequenceMatcher(None, "abxcd", "abcd") >>> s.get_matching_blocks() [Match(a=0, b=0, size=2), Match(a=3, b=2, size=2), Match(a=5, b=4, size=0)]
- get_opcodes()¶
a を b にするための方法を記述する5つのタプルを返します。それぞれのタプルは
(tag, i1, i2, j1, j2)
という形式であらわされます。最初のタプルはi1 == j1 == 0
であり、i1 はその前にあるタプルの i2 と同じ値です。同様に j1 は前の j2 と同じ値になります。tag の値は文字列であり、次のような意味です:
値
意味
'replace'
a[i1:i2]
はb[j1:j2]
に置き換えられる。'delete'
a[i1:i2]
は削除される。この時、j1 == j2
である。'insert'
b[j1:j2]
がa[i1:i1]
に挿入される。この時i1 == i2
である。'equal'
a[i1:i2] == b[j1:j2]
(サブシーケンスは等しい).例えば:
>>> a = "qabxcd" >>> b = "abycdf" >>> s = SequenceMatcher(None, a, b) >>> for tag, i1, i2, j1, j2 in s.get_opcodes(): ... print('{:7} a[{}:{}] --> b[{}:{}] {!r:>8} --> {!r}'.format( ... tag, i1, i2, j1, j2, a[i1:i2], b[j1:j2])) delete a[0:1] --> b[0:0] 'q' --> '' equal a[1:3] --> b[0:2] 'ab' --> 'ab' replace a[3:4] --> b[2:3] 'x' --> 'y' equal a[4:6] --> b[3:5] 'cd' --> 'cd' insert a[6:6] --> b[5:6] '' --> 'f'
- get_grouped_opcodes(n=3)¶
最大 n 行までのコンテキストを含むグループを生成するような、 ジェネレータ を返します。
このメソッドは、
get_opcodes()
で返されるグループの中から、似たような差異のかたまりに分け、間に挟まっている変更の無い部分を省きます。グループは
get_opcodes()
と同じ書式で返されます。
- ratio()¶
[0, 1] の範囲の浮動小数点数で、シーケンスの類似度を測る値を返します。
T が2つのシーケンスの要素数の総計だと仮定し、M をマッチした数とすると、この値は 2.0*M / T であらわされます。もしシーケンスがまったく同じ場合、値は
1.0
となり、まったく異なる場合には0.0
となります。このメソッドは
get_matching_blocks()
またはget_opcodes()
がまだ呼び出されていない場合には非常にコストが高いです。この場合、上限を素早く計算するために、quick_ratio()
もしくはreal_quick_ratio()
を最初に試してみる方がいいかもしれません。注釈
注意:
ratio()
の呼び出しの結果は引数の順序に依存します。例えば次の通りです:>>> SequenceMatcher(None, 'tide', 'diet').ratio() 0.25 >>> SequenceMatcher(None, 'diet', 'tide').ratio() 0.5
The three methods that return the ratio of matching to total characters can give
different results due to differing levels of approximation, although
quick_ratio()
and real_quick_ratio()
are always at least as large as ratio()
:
>>> s = SequenceMatcher(None, "abcd", "bcde")
>>> s.ratio()
0.75
>>> s.quick_ratio()
0.75
>>> s.real_quick_ratio()
1.0
SequenceMatcher の例¶
この例は2つの文字列を比較します。空白を "junk" とします:
>>> s = SequenceMatcher(lambda x: x == " ",
... "private Thread currentThread;",
... "private volatile Thread currentThread;")
ratio()
returns a float in [0, 1], measuring the similarity of the
sequences. As a rule of thumb, a ratio()
value over 0.6 means the
sequences are close matches:
>>> print(round(s.ratio(), 3))
0.866
If you're only interested in where the sequences match,
get_matching_blocks()
is handy:
>>> for block in s.get_matching_blocks():
... print("a[%d] and b[%d] match for %d elements" % block)
a[0] and b[0] match for 8 elements
a[8] and b[17] match for 21 elements
a[29] and b[38] match for 0 elements
Note that the last tuple returned by get_matching_blocks()
is always a dummy, (len(a), len(b), 0)
, and this is the only case in which the last
tuple element (number of elements matched) is 0
.
If you want to know how to change the first sequence into the second, use
get_opcodes()
:
>>> for opcode in s.get_opcodes():
... print("%6s a[%d:%d] b[%d:%d]" % opcode)
equal a[0:8] b[0:8]
insert a[8:8] b[8:17]
equal a[8:29] b[17:38]
参考
SequenceMatcher
を使った、シンプルで使えるコードを知るには、このモジュールの関数get_close_matches()
を参照してください。Simple version control recipe for a small application built with
SequenceMatcher
.
Differ オブジェクト¶
Differ
オブジェクトによって生成された差分が 最小 であるなどとは言いません。むしろ、最小の差分はしばしば直観に反しています。その理由は、どこでもできるとなれば一致を見いだしてしまうからで、ときには思いがけなく100ページも離れたマッチになってしまうのです。一致点を互いに隣接したマッチに制限することで、場合によって長めの差分を出力するというコストを掛けることにはなっても、ある種の局所性を保つことができるのです。
Differ
は、以下のようなコンストラクタを持ちます:
- class difflib.Differ(linejunk=None, charjunk=None)
オプションのキーワードパラメータ linejunk と charjunk は、フィルタ関数を渡します (使わないときは
None
):linejunk: ひとつの文字列引数を受け取る関数です。文字列が junk のときに真を返します。デフォルトでは、
None
であり、どんな行であっても junk とは見なされません。charjunk: この関数は文字(長さ1の文字列)を引数として受け取り、文字が junk であるときに真を返します。デフォルトは
None
であり、どんな文字も junk とは見なされません。これらの junk フィルター関数により、差分を発見するマッチングが高速化し、差分の行や文字が無視されることがなくなります。説明については、
find_longest_match()
メソッドの isjunk 引数の説明をご覧ください。Differ
オブジェクトは、以下の1つのメソッドを通して利用されます。(差分を生成します):- compare(a, b)¶
文字列からなる2つのシーケンスを比較し、差分(を表す文字列からなるシーケンス)を生成します。
各シーケンスの要素は、改行で終わる独立した単一行からなる文字列でなければなりません。そのようなシーケンスは、ファイル風オブジェクトの
readlines()
メソッドによって得ることができます。(得られる)差分は改行文字で終了する文字列のシーケンスとして得られ、ファイル風オブジェクトのwritelines()
メソッドによって出力できる形になっています。
Differ の例¶
This example compares two texts. First we set up the texts, sequences of
individual single-line strings ending with newlines (such sequences can also be
obtained from the readlines()
method of file-like objects):
>>> text1 = ''' 1. Beautiful is better than ugly.
... 2. Explicit is better than implicit.
... 3. Simple is better than complex.
... 4. Complex is better than complicated.
... '''.splitlines(keepends=True)
>>> len(text1)
4
>>> text1[0][-1]
'\n'
>>> text2 = ''' 1. Beautiful is better than ugly.
... 3. Simple is better than complex.
... 4. Complicated is better than complex.
... 5. Flat is better than nested.
... '''.splitlines(keepends=True)
次に Differ オブジェクトをインスタンス化します:
>>> d = Differ()
注意: Differ
オブジェクトをインスタンス化するとき、行 junk と文字 junk をフィルタリングする関数を渡すことができます。詳細は Differ()
コンストラクタを参照してください。
最後に、2つを比較します:
>>> result = list(d.compare(text1, text2))
result
は文字列のリストなので、pretty-printしてみましょう:
>>> from pprint import pprint
>>> pprint(result)
[' 1. Beautiful is better than ugly.\n',
'- 2. Explicit is better than implicit.\n',
'- 3. Simple is better than complex.\n',
'+ 3. Simple is better than complex.\n',
'? ++\n',
'- 4. Complex is better than complicated.\n',
'? ^ ---- ^\n',
'+ 4. Complicated is better than complex.\n',
'? ++++ ^ ^\n',
'+ 5. Flat is better than nested.\n']
これは、複数行の文字列として、次のように出力されます:
>>> import sys
>>> sys.stdout.writelines(result)
1. Beautiful is better than ugly.
- 2. Explicit is better than implicit.
- 3. Simple is better than complex.
+ 3. Simple is better than complex.
? ++
- 4. Complex is better than complicated.
? ^ ---- ^
+ 4. Complicated is better than complex.
? ++++ ^ ^
+ 5. Flat is better than nested.
difflib のコマンドラインインターフェース¶
This example shows how to use difflib to create a diff
-like utility.
""" Command line interface to difflib.py providing diffs in four formats:
* ndiff: lists every line and highlights interline changes.
* context: highlights clusters of changes in a before/after format.
* unified: highlights clusters of changes in an inline format.
* html: generates side by side comparison with change highlights.
"""
import sys, os, difflib, argparse
from datetime import datetime, timezone
def file_mtime(path):
t = datetime.fromtimestamp(os.stat(path).st_mtime,
timezone.utc)
return t.astimezone().isoformat()
def main():
parser = argparse.ArgumentParser()
parser.add_argument('-c', action='store_true', default=False,
help='Produce a context format diff (default)')
parser.add_argument('-u', action='store_true', default=False,
help='Produce a unified format diff')
parser.add_argument('-m', action='store_true', default=False,
help='Produce HTML side by side diff '
'(can use -c and -l in conjunction)')
parser.add_argument('-n', action='store_true', default=False,
help='Produce a ndiff format diff')
parser.add_argument('-l', '--lines', type=int, default=3,
help='Set number of context lines (default 3)')
parser.add_argument('fromfile')
parser.add_argument('tofile')
options = parser.parse_args()
n = options.lines
fromfile = options.fromfile
tofile = options.tofile
fromdate = file_mtime(fromfile)
todate = file_mtime(tofile)
with open(fromfile) as ff:
fromlines = ff.readlines()
with open(tofile) as tf:
tolines = tf.readlines()
if options.u:
diff = difflib.unified_diff(fromlines, tolines, fromfile, tofile, fromdate, todate, n=n)
elif options.n:
diff = difflib.ndiff(fromlines, tolines)
elif options.m:
diff = difflib.HtmlDiff().make_file(fromlines,tolines,fromfile,tofile,context=options.c,numlines=n)
else:
diff = difflib.context_diff(fromlines, tolines, fromfile, tofile, fromdate, todate, n=n)
sys.stdout.writelines(diff)
if __name__ == '__main__':
main()
ndiff example¶
This example shows how to use difflib.ndiff()
.
"""ndiff [-q] file1 file2
or
ndiff (-r1 | -r2) < ndiff_output > file1_or_file2
Print a human-friendly file difference report to stdout. Both inter-
and intra-line differences are noted. In the second form, recreate file1
(-r1) or file2 (-r2) on stdout, from an ndiff report on stdin.
In the first form, if -q ("quiet") is not specified, the first two lines
of output are
-: file1
+: file2
Each remaining line begins with a two-letter code:
"- " line unique to file1
"+ " line unique to file2
" " line common to both files
"? " line not present in either input file
Lines beginning with "? " attempt to guide the eye to intraline
differences, and were not present in either input file. These lines can be
confusing if the source files contain tab characters.
The first file can be recovered by retaining only lines that begin with
" " or "- ", and deleting those 2-character prefixes; use ndiff with -r1.
The second file can be recovered similarly, but by retaining only " " and
"+ " lines; use ndiff with -r2; or, on Unix, the second file can be
recovered by piping the output through
sed -n '/^[+ ] /s/^..//p'
"""
__version__ = 1, 7, 0
import difflib, sys
def fail(msg):
out = sys.stderr.write
out(msg + "\n\n")
out(__doc__)
return 0
# open a file & return the file object; gripe and return 0 if it
# couldn't be opened
def fopen(fname):
try:
return open(fname)
except IOError as detail:
return fail("couldn't open " + fname + ": " + str(detail))
# open two files & spray the diff to stdout; return false iff a problem
def fcompare(f1name, f2name):
f1 = fopen(f1name)
f2 = fopen(f2name)
if not f1 or not f2:
return 0
a = f1.readlines(); f1.close()
b = f2.readlines(); f2.close()
for line in difflib.ndiff(a, b):
print(line, end=' ')
return 1
# crack args (sys.argv[1:] is normal) & compare;
# return false iff a problem
def main(args):
import getopt
try:
opts, args = getopt.getopt(args, "qr:")
except getopt.error as detail:
return fail(str(detail))
noisy = 1
qseen = rseen = 0
for opt, val in opts:
if opt == "-q":
qseen = 1
noisy = 0
elif opt == "-r":
rseen = 1
whichfile = val
if qseen and rseen:
return fail("can't specify both -q and -r")
if rseen:
if args:
return fail("no args allowed with -r option")
if whichfile in ("1", "2"):
restore(whichfile)
return 1
return fail("-r value must be 1 or 2")
if len(args) != 2:
return fail("need 2 filename args")
f1name, f2name = args
if noisy:
print('-:', f1name)
print('+:', f2name)
return fcompare(f1name, f2name)
# read ndiff output from stdin, and print file1 (which=='1') or
# file2 (which=='2') to stdout
def restore(which):
restored = difflib.restore(sys.stdin.readlines(), which)
sys.stdout.writelines(restored)
if __name__ == '__main__':
main(sys.argv[1:])