4. Windows で Python を使う¶
このドキュメントは、 Python を Microsoft Windows で使うときに知っておくべき、 Windows 固有の動作についての概要を伝えることを目的としています。
ほとんどの Unix システムとサービスとは違って、Windows には、システムがサポートする Python インストールが含まれていません。Python を利用可能にするために、CPython チームは長年の間、すべての リリース で Windows インストーラをコンパイルしてきました。単独のユーザで使われるコアインタープリターとライブラリをユーザーごとに追加する Python インストールを、これらインストーラーは主として意図しています。インストーラでは単一マシンのすべてのユーザ用にインストールすることもでき、また、これとは分離されたアプリケーションローカルな配布物の ZIP ファイルも入手可能です。
PEP 11 で明記しているとおり Python のリリースは、Microsoft が延長サポート期間であるとしている Windows プラットフォームのみをサポートします。 つまり Python 3.12 は Windows 8.1 とそれより新しい Windows をサポートするということです。 Windows 7 サポートが必要な場合は、Python 3.8 をインストールしてください。
Windows で使えるインストーラには多くの様々なものがあり、それぞれが利点と欠点を持っています。
完全版インストーラ には全てのコンポーネントが含まれており、 Python を使う開発者がどんな種類のプロジェクトでも最適な選択肢です。
Microsoft ストアパッケージ は、スクリプトやパッケージの実行、 IDLE の使用やその他開発環境に適したシンプルな構成の Python です。 Windows 10 以上が求められはしますが、他のプログラムを壊すことなく安全にインストールできます。 Python やそのツールを起動する多くの便利なコマンドも提供しています。
nuget.org パッケージ は、継続的インテグレーションのための軽量なインストール構成です。 これは Python パッケージのビルドやスクリプトの実行にも使えますが、アップデート可能ではなく、ユーザーインターフェイスツールもありません。
埋め込み可能なパッケージ は、他の大きなアプリケーションに埋め込むのに適した、 Python の最小パッケージです。
4.1. 完全版インストーラ¶
4.1.1. インストール手順¶
ダウンロードできる Python 3.12 のインストーラは 4 つあります。 インタプリタの 32 ビット版、64 ビット版がそれぞれ 2 つずつあります。 WEB インストーラ は最初のダウンロードサイズは小さく、必要なコンポーネントはインストーラ実行時に必要に応じて自動的にダウンロードします。 オフラインインストーラ にはデフォルトインストールに必要なコンポーネントが含まれていて、インターネット接続はオプショナルな機能のためにだけに必要となります。 インストール時にダウンロードを避けるほかの方法については ダウンロード不要なインストール を参照して下さい。
インストーラを開始すると、2つの選択肢からひとつを選べます:
"Install Now" を選択した場合:
管理者権限は 不要です (ただし C ランタイムライブラリのシステム更新が必要であったり、 Windows の Python ランチャ をすべてのユーザ向けにインストールする場合は必要です)。
Python はあなたのユーザディレクトリにインストールされます。
Windows の Python ランチャ はこのインストールウィザード最初のページの下部のチェックボックス指定に従ってインストールされます。
標準ライブラリ、テストスイート、ランチャ、pip がインストールされます。
このインストールウィザード最初の下部のチェックボックスをチェックすれば、環境変数
PATH
にインストールディレクトリが追加されます。ショートカットはカレントユーザだけに可視になります。
"Customize installation" を選択すると、インストール場所、その他オプションやインストール後のアクションの変更などのインストールの有りようを選べます。デバッグシンボルやデバッグバイナリをインストールするならこちらを選択する必要があるでしょう。
すべてのユーザのためのインストールのためには "Customize installation" を選んでください。この場合:
管理者資格か承認が必要かもしれません。
Python は Program Files ディレクトリにインストールされます。
Windows の Python ランチャ は Windows ディレクトリにインストールされます。
オプショナルな機能はインストール中に選択できます。
標準ライブラリをバイトコードにプリコンパイルできます。
そう選択すれば、インストールディレクトリはシステム環境変数
PATH
に追加されます。ショートカットがすべてのユーザで利用できるようになります。
4.1.2. MAX_PATH の制限を除去する¶
Windows は歴史的にパスの長さが 260 文字に制限されています。 つまり、これより長いパスは解決できず結果としてエラーになるということです。
Windows の最新版では、この制限は約 32,000 文字まで拡張できます。
管理者が、グループポリシーの "Win32 の長いパスを有効にする (Enable Win32 long paths)" を有効にするか、レジストリキー HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem
の LongPathsEnabled
の値を 1
に設定する必要があります。
これにより、 open()
関数や os
モジュール、他のほとんどのパスの機能が 260 文字より長いパスを受け入れ、返すことができるようになります。
これらのオプションを変更したら、それ以上の設定は必要ありません。
バージョン 3.6 で変更: Python で長いパスのサポートが可能になりました。
4.1.3. インストーラの GUI なしでインストールする¶
インストーラの GUI で利用できるすべてのオプションは、コマンドラインからも指定できます。これによりユーザとの対話なしで数多くの機器に同じインストールを行うような、スクリプト化されたインストールを行うことができます。ちょっとしたデフォルトの変更のために、GUI を抑制することなしにこれらコマンドラインオプションをセットすることもできます。
インストーラーには、以下のオプション (/?
でインストーラを実行することで確認できます) を渡すことができます:
名前 |
説明 |
---|---|
/passive |
ユーザーの操作なしでも進捗を表示する |
/quiet |
UI を表示せずにインストール・アンインストールする |
/simple |
ユーザーによるカスタマイズができないようにする |
/uninstall |
(確認無しで) Python を削除する |
/layout [ディレクトリ] |
すべてのコンポーネントを事前にダウンロードする |
/log [ファイル名] |
ログファイルの場所を指定する |
ほかのすべてのオプションは name=value
の形で渡します。value は大抵 0
で機能を無効化、 1
で機能を有効化、であるとかパスの指定です。利用可能なオプションの完全なリストは以下の通りです。
名前 |
説明 |
デフォルト |
---|---|---|
InstallAllUsers |
システムワイドなインストールを実行する。 |
0 |
TargetDir |
インストール先ディレクトリ。 |
InstallAllUsers に基いて選択されます。 |
DefaultAllUsersTargetDir |
すべてのユーザ向けインストールのためのデフォルトインストール先ディレクトリ。 |
|
DefaultJustForMeTargetDir |
自分一人用インストールのためのデフォルトインストール先ディレクトリ。 |
|
DefaultCustomTargetDir |
カスタムインストールディレクトリとしてデフォルトで GUI に表示される値。 |
(空) |
AssociateFiles |
ランチャもインストールする場合に、ファイルの関連付けを行う。 |
1 |
CompileAll |
すべての |
0 |
PrependPath |
|
0 |
AppendPath |
|
0 |
Shortcuts |
インストールするインタプリタ、ドキュメント、IDLE へのショートカットを作る。 |
1 |
Include_doc |
Python マニュアルをインストールする。 |
1 |
Include_debug |
デバッグバイナリをインストールする。 |
0 |
Include_dev |
開発者用ヘッダーとライブラリをインストールする。これを省略すると、使用不可能なインストールになる可能性があります。 |
1 |
Include_exe |
|
1 |
Include_launcher |
Windows の Python ランチャ をインストールする。 |
1 |
InstallLauncherAllUsers |
すべてのユーザーにランチャーをインストールする。 |
1 |
Include_lib |
標準ライブラリと拡張モジュールをインストールする。これを省略すると、使用不可能なインストールになる可能性があります。 |
1 |
Include_pip |
バンドル版の pip と setuptools をインストールする。 |
1 |
Include_symbols |
デバッグシンボル ( |
0 |
Include_tcltk |
Tcl/Tk サポートと IDLE をインストールする。 |
1 |
Include_test |
標準ライブラリのテストスイートをインストールする。 |
1 |
Include_tools |
ユーティリティスクリプトをインストールする。 |
1 |
LauncherOnly |
ランチャのみをインストールする。これは他のほとんどのオプションを上書きします。 |
0 |
SimpleInstall |
最大限のインストーラ GUI を無効にする。 |
0 |
SimpleInstallDescription |
単純化されたインストーラ GUI を使う際に表示するカスタムメッセージ。 |
(空) |
例えばデフォルトでシステムワイドな Python インストレーションを静かに行うには、以下コマンドを使えます (コマンドプロンプトより):
python-3.9.0.exe /quiet InstallAllUsers=1 PrependPath=1 Include_test=0
テストスイートなしの Python のパーソナルなコピーのインストールをユーザに簡単に行わせるには、以下コマンドのショートカットを作れば良いです。これはインストーラの最初のページを単純化して表示し、また、カスタマイズできないようにします:
python-3.9.0.exe InstallAllUsers=0 Include_launcher=0 Include_test=0
SimpleInstall=1 SimpleInstallDescription="Just for me, no test suite."
(ランチャのインストールを省略するとファイルの関連付けも省略されるので、これはランチャインストールを含めたシステムワイドなインストールをした場合のユーザごとインストールに限った場合のお勧めです。)
上でリストしたオプションは、実行ファイルと同じ場所の unattend.xml
と名付けられたファイルで与えることもできます。このファイルはオプションとその値のリストを指定します。値がアトリビュートとして与えられた場合、それは数値であれば数値に変換されます。エレメントテキストで与える場合は常に文字列のままです。以下は、先の例と同じオプションをセットするファイルの実例です:
<Options>
<Option Name="InstallAllUsers" Value="no" />
<Option Name="Include_launcher" Value="0" />
<Option Name="Include_test" Value="no" />
<Option Name="SimpleInstall" Value="yes" />
<Option Name="SimpleInstallDescription">Just for me, no test suite</Option>
</Options>
4.1.4. ダウンロード不要なインストール¶
Python のいくつかの機能は最初にダウンロードしたインストーラには含まれていないため、それらの機能をインストールしようと選択するとインターネット接続が必要になります。 インターネット接続が必要にならないように、全てのコンポーネントをすぐにできる限りダウンロードして、完全な 配置構成 (layout) を作成し、どんな機能が選択されたかに関わらず、それ以上インターネット接続を必要がないようにします。 この方法のダウンロードサイズは必要以上に大きくなるかもしれませんが、たくさんの回数インストールしようとする場合には、ローカルにキャッシュされたコピーを持つことはとても有用です。
コマンドプロンプトから以下のコマンドを実行して、必要なファイルをできる限り全てダウンロードします。
python-3.9.0.exe
部分は実際のインストーラの名前に置き換え、同名のファイルどうしの衝突が起こらないように、個別のディレクトリ内に配置構成を作るのを忘れないようにしてください。
python-3.9.0.exe /layout [optional target directory]
進捗表示を隠すのに /quiet
オプションを指定することもできます。
4.1.5. インストール後の変更¶
いったん Python がインストールされたら、Windows のシステム機能の「プログラムと機能」ツールから機能の追加や削除ができます。Python のエントリを選択して「アンインストールと変更」を選ぶことで、インストーラをメンテナンスモードで開きます。
インストーラ GUI で "Modify" を選ぶと、チェックボックスの選択を変えることで機能の追加削除ができます - チェックボックスの選択を変えなければ、何かがインストールされたり削除されたりはしません。いくつかのオプションはこのモードでは変更することはできません。インストールディレクトリなどです。それらを変えたいのであれば、完全に削除してから再インストールする必要があります。
"Repair" では、現在の設定で本来インストールされるべきすべてのファイルを検証し、削除されていたり更新されていたりするファイルを修正します。
"Uninstall" は Python を完全に削除します。「プログラムと機能」内の自身のエントリを持つ Windows の Python ランチャ の例外が起こります。
4.2. Microsoft ストアパッケージ¶
Added in version 3.7.2.
Microsoft ストアパッケージは、例えば生徒が主に対話型で使うことを意図した簡単にインストールできる Python インタプリタです。
このパッケージをインストールするには、最新の Windows 10 のアップデートになっていることを確認し、 Microsoft ストアアプリで "Python 3.12" と検索します。 選んだアプリが Python Software Foundation が公開したものであることを確認して、インストールします。
警告
Python は常に Microsoft ストアで無料で利用できます。 もしお金を払うように要求されたなら、正しいパッケージを選んでいません。
インストールした後は、スタートメニューから Python を見付けて起動するでしょう。
あるいは、 python
とタイプしてコマンドプロンプトや PowerShell のセッションから使えるでしょう。
さらに、 pip
や idle
とタイプして pip あるいは IDLE を利用できます。
IDLE はスタートメニューからも見付けられます。
All three commands are also available with version number suffixes, for
example, as python3.exe
and python3.x.exe
as well as
python.exe
(where 3.x
is the specific version you want to launch,
such as 3.12). Open "Manage App Execution Aliases" through Start to
select which version of Python is associated with each command. It is
recommended to make sure that pip
and idle
are consistent with
whichever version of python
is selected.
仮想環境は python -m venv
で作成し、有効化して普通に使えます。
既に別のバージョンの Python をインストールして PATH
変数に追加してある場合は、 Microsoft ストアのものではない python.exe
として使えます。
新しくインストールした Python にアクセスするには、 python3.exe
あるいは python3.x.exe
として使えます。
py.exe
ランチャーはこの Python のインストールを見つけますが、従来のインストーラーによるインストールを優先します。
Python を除去するには、「設定」を開き「アプリと機能」を使うか、「スタート」にある Python を右クリックしてアンインストールします。 アンインストールでは、この Python に直接インストールした全てのパッケージが除去されますが、仮想環境はどれも除去されません。
4.2.1. 既知の問題¶
4.2.1.1. Redirection of local data, registry, and temporary paths¶
Microsoft ストアアプリの制限により、 Python スクリプトには TEMP
やレジストリのような共有の場所への完全な書き込み権限は無いでしょう。
その代わり、個人用のところへ書き込みます。
スクリプトで共有の場所で変更しなければならない場合は、完全版のインストーラでインストールする必要があります。
At runtime, Python will use a private copy of well-known Windows folders and the registry.
For example, if the environment variable %APPDATA%
is c:\Users\<user>\AppData\
,
then when writing to C:\Users\<user>\AppData\Local
will write to
C:\Users\<user>\AppData\Local\Packages\PythonSoftwareFoundation.Python.3.8_qbz5n2kfra8p0\LocalCache\Local\
.
When reading files, Windows will return the file from the private folder, or if that does not exist, the
real Windows directory. For example reading C:\Windows\System32
returns the contents of C:\Windows\System32
plus the contents of C:\Program Files\WindowsApps\package_name\VFS\SystemX86
.
You can find the real path of any existing file using os.path.realpath()
:
>>> import os
>>> test_file = 'C:\\Users\\example\\AppData\\Local\\test.txt'
>>> os.path.realpath(test_file)
'C:\\Users\\example\\AppData\\Local\\Packages\\PythonSoftwareFoundation.Python.3.8_qbz5n2kfra8p0\\LocalCache\\Local\\test.txt'
When writing to the Windows Registry, the following behaviors exist:
Reading from
HKLM\\Software
is allowed and results are merged with theregistry.dat
file in the package.Writing to
HKLM\\Software
is not allowed if the corresponding key/value exists, i.e. modifying existing keys.Writing to
HKLM\\Software
is allowed as long as a corresponding key/value does not exist in the package and the user has the correct access permissions.
For more detail on the technical basis for these limitations, please consult Microsoft's documentation on packaged full-trust apps, currently available at docs.microsoft.com/en-us/windows/msix/desktop/desktop-to-uwp-behind-the-scenes
4.3. nuget.org パッケージ¶
Added in version 3.5.2.
nuget.org パッケージはサイズを縮小した Python 環境で、システム全体で使える Python が無い継続的インテグレーションやビルドシステムで使うことを意図しています。 nuget は ".NET のためのパッケージマネージャ" ですが、ビルド時に使うツールを含んだパッケージに対しても非常に上手く動作します。
nuget の使用方法についての最新の情報を得るには nuget.org に行ってください。 ここから先は Python 開発者にとって十分な要約です。
nuget.exe
コマンドラインツールは、例えば curl や PowerShell を使って https://aka.ms/nugetclidl
から直接ダウンロードできるでしょう。
このツールを次のように使って、 64 bit あるいは 32 bit のマシン向けの最新バージョンの Python がインストールできます:
nuget.exe install python -ExcludeVersion -OutputDirectory .
nuget.exe install pythonx86 -ExcludeVersion -OutputDirectory .
特定のバージョンを選択するには、 -Version 3.x.y
を追加してください。
出力ディレクトリは .
から変更されることがあり、パッケージはサブディレクトリにインストールされます。
デフォルトではサブディレクトリはパッケージと同じ名前になり、 -ExcludeVersion
オプションを付けないとこの名前はインストールされたバージョンを含みます。
サブディレクトリの中にはインストールされた Python を含んでいる tools
ディレクトリがあります:
# Without -ExcludeVersion
> .\python.3.5.2\tools\python.exe -V
Python 3.5.2
# With -ExcludeVersion
> .\python\tools\python.exe -V
Python 3.5.2
一般的には、 nuget パッケージはアップグレードできず、より新しいバージョンは横並びにインストールされ、フルパスで参照されます。 そうする代わりに、手動で直接パッケージを削除し、再度インストールすることもできます。 多くの CI システムは、ビルド間でファイルを保存しておかない場合、この作業を自動的に行います。
tools
ディレクトリと同じ場所に build\native
ディレクトリがあります。
このディレクトリは、インストールされた Python を参照する C++ プロジェクトで使える MSBuild プロパティファイル python.props
を含みます。
ここに設定を入れると自動的にヘッダを使い、ビルド時にライプラリをインポートします。
The package information pages on nuget.org are www.nuget.org/packages/python for the 64-bit version and www.nuget.org/packages/pythonx86 for the 32-bit version.
4.4. 埋め込み可能なパッケージ¶
Added in version 3.5.
埋め込み用の配布 (embedded distribution) は、最小限の Python 環境を含んだ ZIP ファイルです。これは、エンドユーザから直接的にアクセスされるのではなく何かアプリケーションの一部として動作することを意図したものです。
展開されると、埋め込み用の配布は、環境変数、システムレジストリの設定、インストールされているパッケージといったユーザのシステムから (ほぼ) 完全に独立しています。
ZIP 内には標準ライブラリがプリコンパイルにより最適化された .pyc
として含まれ、また、 python3.dll
, python37.dll
, python.exe
, pythonw.exe
のすべてが入っています。(IDLE のようなすべての依存物を含む) Tcl/tk、pip、Python ドキュメントは含まれていません。
注釈
The embedded distribution does not include the Microsoft C Runtime and it is
the responsibility of the application installer to provide this. The
runtime may have already been installed on a user's system previously or
automatically via Windows Update, and can be detected by finding
ucrtbase.dll
in the system directory.
サードパーティのパッケージはアプリケーションのインストーラによって、埋め込み用配布と同じ場所にインストールされるべきです。通常の Python インストレーションのように依存性管理に pip を使うことは、この配布ではサポートされません。ですが、ちょっとした注意を払えば、自動更新のために pip を含めて利用することはできるかもしれません。一般的には、ユーザに更新を提供する前に開発者が新しいバージョンとの互換性を保証できるよう、サードパーティーのパッケージはアプリケーションの一部として扱われるべきです ("vendoring")。
この配布の 2 つのお勧めできるユースケースを、以下で説明します。
4.4.1. Python アプリケーション¶
Python で記述された、必ずしもユーザにその事実を意識させる必要のないアプリケーションです。埋め込み用配布はこのケースで、インストールパッケージ内に Python のプライベートバージョンを含めるのに使えるでしょう。その事実がどのように透過的であるべきかに依存して (あるいは逆に、どのようにプロフェッショナルにみえるべきか)、2 つの選択肢があります。
ランチャとなる特別な実行ファイルを使うことはちょっとしたコーディングを必要としますが、ユーザにとっては最も透過的なユーザ体験となります。カスタマイズされたランチャでは、何もしなければ Python で実行されるプログラムの明白な目印はありません; アイコンはカスタマイズし、会社名やバージョン情報を指定し、ファイルの関連付けがそれに相応しく振舞うようにできます。ほとんどのケースではカスタムランチャは、ハードコードされたコマンドライン文字列で単純に Py_Main
を呼び出すので済むはずです。
より簡単なアプローチは、 python.exe
または pythonw.exe
を必要なコマンドライン引数とともに直接呼び出すバッチファイルかショートカットを提供することです。この場合、そのアプリケーションは実際の名前ではなく Python であるようにみえるので、ほかに動作している Python プロセスやファイルの関連付けと区別するのにユーザが困るかもしれません。
後者のアプローチではパッケージは、パス上で利用可能であることを保証するために、Python 実行ファイルと同じディレクトリにインストールされるべきです。特別なランチャの場合はアプリケーション起動前に検索パスを指定する機会があるので、パッケージはほかの場所に配置できます。
4.4.2. Python の埋め込み¶
ネイティブコードで書かれ、時々スクリプト言語のようなものを必要とするようなアプリケーションです。Python 埋め込み用の配布はこの目的に使えます。一般的に、アプリケーションの大半がネイティブコード内にあり、一部が python.exe
を呼び出すか、直接的に python3.dll
を使います。どちらのケースでも、ロード可能な Python インタプリタを提供するのには、埋め込み用の配布を展開してアプリケーションのインストレーションのサブディレクトリに置くことで十分です。
アプリケーションが使うパッケージは、インタプリタ初期化前に検索パスを指定する機会があるので、任意の場所にインストールできます。また、埋め込み用配布を使うのと通常の Python インストレーションを使うのとでの根本的な違いはありません。
4.5. 別のバンドル¶
標準の CPython の配布物の他に、追加の機能を持っている修正されたパッケージがあります。以下は人気のあるバージョンとそのキーとなる機能です:
- ActivePython
マルチプラットフォーム互換のインストーラー、ドキュメント、 PyWin32
- Anaconda
人気のある (numpy, scipy や pandas のような) 科学系モジュールと、パッケージマネージャ
conda
。- Enthought Deployment Manager
"次世代の Python 環境とパッケージマネージャー" ("The Next Generation Python Environment and Package Manager")。
以前は Enthought が Canopy を提供していましたが、これは 2016 年にサポートが終了しました。
- WinPython
ビルド済みの科学系パッケージと、パッケージのビルドのためのツールを含む、Windows 固有のディストリビューション。
これらパッケージは Python や他のライブラリの最新バージョンが含まれるとは限りませんし、コア Python チームはこれらを保守もしませんしサポートもしませんのでご理解ください。
4.6. Python を構成する¶
コマンドプロンプトより便利に Python を実行するために、Windows のデフォルトの環境変数をいくつか変えたいと思うかもしれません。インストーラは PATH
と PATHEXT
変数を構成させるオプションを提供してはいますが、これは単独のシステムワイドなインストレーションの場合にだけ頼りになるものです。もしもあなたが定常的に複数バージョンの Python を使うのであれば、 Windows の Python ランチャ の利用を検討してください。
4.6.1. 補足: 環境変数の設定¶
Windows では、環境変数を恒久的にユーザレベルとシステムレベルの両方で設定でき、あるいはコマンドプロンプトから一時的にも設定できます。
一時的に環境変数を設定するには、コマンドプロンプトを開き set コマンドを使います:
C:\>set PATH=C:\Program Files\Python 3.9;%PATH%
C:\>set PYTHONPATH=%PYTHONPATH%;C:\My_python_lib
C:\>python
これらの変更は、以降に実行される同じコンソール内で実行される任意のコマンドに適用され、また、そのコンソールから開始するすべてのアプリケーションに引き継がれます。
パーセント記号で変数名を囲んだものは既存の変数の値で展開されるので、新しい値を最初にも最後にも追加することができます。 python.exe が入っているディレクトリを PATH
に追加することは、Python の適切なバージョンが起動するように保証するための一般的な方法です。
デフォルトの環境変数を恒久的に変更するには、「スタート」をクリックして検索ボックスで「環境変数を編集」を検索するか、(コンピュータのプロパティなどから) システムの詳細設定 を開いて 環境変数の設定 ボタンをクリックしてください。これで立ち上がるダイアログで、ユーザ環境変数とシステム環境変数を追加したり修正したりできます。システム変数を変更するにはあなたのマシンへの制限のないアクセス (つまり管理者権限) が必要です。
注釈
Windows はシステム変数の 後ろに ユーザ変数を結合します。この振る舞いにより PATH
の修正時に期待とは異なる結果になることがあります。
PYTHONPATH
変数は Python のすべてのバージョンで使われるので、インストールされているすべての Python バージョンに互換性のあるコードだけがパスの一覧に含まれているのでない限り、これは恒久的な設定をすべきではありません。
参考
- https://learn.microsoft.com/windows/win32/procthread/environment-variables
Windows の環境変数の概要
- https://learn.microsoft.com/windows-server/administration/windows-commands/set_1
一時的に環境変数を変更するための
set
コマンドについて- https://learn.microsoft.com/windows-server/administration/windows-commands/setx
恒久的に環境変数を変更するための
setx
コマンドについて。
4.6.2. Python 実行ファイルを見つける¶
バージョン 3.5 で変更.
自動的に作成される Python インタープリタのスタートメニュー項目を使うだけでなく、Python をコマンドプロンプトから起動したいと思うかもしれません。 インストーラにはそのための設定を行うオプションがあります。
インストーラの最初のページに "Add Python to PATH" というラベルのオプションがあり、これを選択するとインストーラはインストール場所を環境変数 PATH
に追加します。
Scripts\
フォルダの場所も追加されます。
これによりコマンドプロンプトから python とタイプしてインタプリタを起動したり、 pip とタイプしてパッケージインストーラを起動したりできます。
コマンドラインからの起動なので、スクリプトをコマンドライン引数付きで起動することもできます。
コマンドライン の文章を参照して下さい。
インストール時にこのオプションを有効にしていなかったとしても、インストーラを再度実行して「Modify」を選んで、それを有効にし直せます。あるいはそうせずとも、 PATH
変数は手動で修正できます。 補足: 環境変数の設定 を参照してください。環境変数 PATH
には Python インストールディレクトリを含む必要があります。ほかのエントリとはセミコロンで区切って繋いでください。これの実例は以下のようになります (以下最初の 2 つのエントリは既に存在しているものと仮定しています):
C:\WINDOWS\system32;C:\WINDOWS;C:\Program Files\Python 3.9
4.7. UTF-8 モード¶
Added in version 3.7.
Windows still uses legacy encodings for the system encoding (the ANSI Code
Page). Python uses it for the default encoding of text files (e.g.
locale.getencoding()
).
This may cause issues because UTF-8 is widely used on the internet and most Unix systems, including WSL (Windows Subsystem for Linux).
You can use the Python UTF-8 Mode to change the default text
encoding to UTF-8. You can enable the Python UTF-8 Mode via
the -X utf8
command line option, or the PYTHONUTF8=1
environment
variable. See PYTHONUTF8
for enabling UTF-8 mode, and
補足: 環境変数の設定 for how to modify environment variables.
When the Python UTF-8 Mode is enabled, you can still use the system encoding (the ANSI Code Page) via the "mbcs" codec.
Note that adding PYTHONUTF8=1
to the default environment variables
will affect all Python 3.7+ applications on your system.
If you have any Python 3.7+ applications which rely on the legacy
system encoding, it is recommended to set the environment variable
temporarily or use the -X utf8
command line option.
注釈
Even when UTF-8 mode is disabled, Python uses UTF-8 by default on Windows for:
Console I/O including standard I/O (see PEP 528 for details).
The filesystem encoding (see PEP 529 for details).
4.8. Windows の Python ランチャ¶
Added in version 3.3.
Windows の Python ランチャは、異なる Python のバージョンの位置の特定と実行を助けるユーティリティです。スクリプト (またはコマンドライン) で特定の Python のバージョンの設定を与えられると、位置を特定し、そのバージョンを実行します。
環境変数 PATH
による方法と違って、このランチャは Python の一番適切なバージョンを、正しく選択します。このランチャはシステムワイドなものよりもユーザごとのインストレーションの方を優先し、また、新しくインストールされた順よりも言語のバージョンを優先します。
ランチャのオリジナルの仕様は PEP 397 にあります。
4.8.1. 最初に¶
4.8.1.1. コマンドラインから起動する¶
バージョン 3.6 で変更.
Python 3.3 とそれ以降のシステムワイドなインストールでは、ランチャーが PATH
に追加されます。ランチャーは、入手可能なあらゆる Python のバージョンに互換性があるため、実際にどのバージョンの Python がインストールされているのかは重要ではありません。ランチャーが使えるかを確認するには以下のコマンドをコマンドプロンプトで実行してください:
py
インストールされている最新バージョンの Python が起動するはずです。 通常どおりに終了することもできますし、追加のコマンドライン引数を指定して直接 Python に渡すこともできます。
複数のバージョンの Python (たとえば 3.7 と 3.12) がインストールされている場合は、Python 3.12 が起動することになります。Python 3.7 を起動したいなら、次のコマンドを実行してみてください:
py -3.7
インストールしてある Python 2 の最新バージョンを起動したい場合は、次のコマンドを実行してみてください:
py -2
以下のようなエラーが出るようであれば、ランチャはインストールされていません:
'py' is not recognized as an internal or external command,
operable program or batch file.
このコマンド:
py --list
これは、現在インストールされている Python のバージョンを表示します。
The -x.y
argument is the short form of the -V:Company/Tag
argument,
which allows selecting a specific Python runtime, including those that may have
come from somewhere other than python.org. Any runtime registered by following
PEP 514 will be discoverable. The --list
command lists all available
runtimes using the -V:
format.
When using the -V:
argument, specifying the Company will limit selection to
runtimes from that provider, while specifying only the Tag will select from all
providers. Note that omitting the slash implies a tag:
# Select any '3.*' tagged runtime
py -V:3
# Select any 'PythonCore' released runtime
py -V:PythonCore/
# Select PythonCore's latest Python 3 runtime
py -V:PythonCore/3
The short form of the argument (-3
) only ever selects from core Python
releases, and not other distributions. However, the longer form (-V:3
) will
select from any.
The Company is matched on the full string, case-insenitive. The Tag is matched
oneither the full string, or a prefix, provided the next character is a dot or a
hyphen. This allows -V:3.1
to match 3.1-32
, but not 3.10
. Tags are
sorted using numerical ordering (3.10
is newer than 3.1
), but are
compared using text (-V:3.01
does not match 3.1
).
4.8.1.2. 仮想環境 (Virtual environments)¶
Added in version 3.5.
(標準ライブラリの venv
モジュールか外部ツール virtualenv
で作った) 仮想環境がアクティブな状態で Python の明示的なバージョンを指定せずにランチャを起動すると、ランチャはグローバルなインタプリタではなくその仮想環境のものを実行します。グローバルなほうのインタプリタを実行するには、仮想環境の動作を停止するか、または明示的にグローバルな Python バージョンを指定してください。
4.8.1.3. スクリプトから起動する¶
テスト用の Python スクリプトを作成しましょう。hello.py
という名前で以下の内容のファイルを作成してください
#! python
import sys
sys.stdout.write("hello from Python %s\n" % (sys.version,))
hello.py が存在するディレクトリで、下記コマンドを実行してください:
py hello.py
インストールされている最新の Python 2.x のバージョン番号が表示されるはずです。では、1行目を以下のように変更してみてください:
#! python3
コマンドを再実行すると、今度は最新の Python 3.x の情報が表示されるはずです。これまでのコマンドラインの例と同様に、より細かいバージョン修飾子を指定することもできます。Python 3.7 がインストールされている場合、最初の行を #! python3.7
に変更すると、3.7 のバージョン情報が表示されるはずです。
コマンドからの呼び出しとは異なり、後ろに何もつかない "python" はインストールされている Python2.x の最新バージョンを利用することに注意してください。これは後方互換性と、 python
が一般的に Python 2 を指すUnix との互換性のためです。
4.8.1.4. ファイルの関連付けから起動する¶
インストール時に、ランチャは Python ファイル (すなわち .py
, .pyw
, .pyc
ファイル) に関連付けられたはずです。そのため、これらのファイルを Windows のエクスプローラーでダブルクリックした際はランチャが使われ、上で述べたのと同じ機能を使ってスクリプトが使われるべきバージョンを指定できるようになります。
このことによる重要な利点は、単一のランチャが先頭行の内容によって複数の Python バージョンを同時にサポートできることです。
4.8.2. シェバン (shebang) 行¶
スクリプトファイルの先頭の行が #!
で始まっている場合は、その行はシェバン (shebang) 行として知られています。
Linux や他の Unix 系 OS はこうした行をもともとサポートしているため、それらのシステムでは、スクリプトがどのように実行されるかを示すために広く使われます。
Windows の Python ランチャは、Windows 上の Python スクリプトが同じ機能を使用できるようにし、上の例ではそれらの機能の使用法を示しています。
Python スクリプトのシェバン行を Unix-Windows 間で移植可能にするため、このランチャは、どのインタプリタが使われるかを指定するための大量の '仮想' コマンドをサポートしています。サポートされる仮想コマンドには以下のものがあります:
/usr/bin/env
/usr/bin/python
/usr/local/bin/python
python
具体的に、もしスクリプトの1行目が
#! /usr/bin/python
The default Python will be located and used. As many Python scripts written
to work on Unix will already have this line, you should find these scripts can
be used by the launcher without modification. If you are writing a new script
on Windows which you hope will be useful on Unix, you should use one of the
shebang lines starting with /usr
.
Any of the above virtual commands can be suffixed with an explicit version
(either just the major version, or the major and minor version).
Furthermore the 32-bit version can be requested by adding "-32" after the
minor version. I.e. /usr/bin/python3.7-32
will request usage of the
32-bit python 3.7.
Added in version 3.7: python ランチャの 3.7 からは、末尾に "-64" を付けて 64-bit 版を要求できます。
さらに、マイナーバージョン無しのメジャーバージョンとアーキテクチャだけ (例えば、 /usr/bin/python3-64
) で指定できます。
バージョン 3.11 で変更: The "-64" suffix is deprecated, and now implies "any architecture that is
not provably i386/32-bit". To request a specific environment, use the new
-V:TAG
argument with the complete tag.
The /usr/bin/env
form of shebang line has one further special property.
Before looking for installed Python interpreters, this form will search the
executable PATH
for a Python executable matching the name provided
as the first argument. This corresponds to the behaviour of the Unix env
program, which performs a PATH
search.
If an executable matching the first argument after the env
command cannot
be found, but the argument starts with python
, it will be handled as
described for the other virtual commands.
The environment variable PYLAUNCHER_NO_SEARCH_PATH
may be set
(to any value) to skip this search of PATH
.
Shebang lines that do not match any of these patterns are looked up in the
[commands]
section of the launcher's .INI file.
This may be used to handle certain commands in a way that makes sense for your
system. The name of the command must be a single argument (no spaces in the
shebang executable), and the value substituted is the full path to the
executable (additional arguments specified in the .INI will be quoted as part
of the filename).
[commands]
/bin/xpython=C:\Program Files\XPython\python.exe
Any commands not found in the .INI file are treated as Windows executable paths that are absolute or relative to the directory containing the script file. This is a convenience for Windows-only scripts, such as those generated by an installer, since the behavior is not compatible with Unix-style shells. These paths may be quoted, and may include multiple arguments, after which the path to the script and any additional arguments will be appended.
4.8.3. シェバン行の引数¶
シェバン行では Python インタプリタに渡される追加の引数を指定することもできます。たとえば、シェバン行に以下のように書かれているとしましょう:
#! /usr/bin/python -v
この場合、Python は -v
オプション付きで起動するでしょう
4.8.4. カスタマイズ¶
4.8.4.1. INI ファイルによるカスタマイズ¶
ランチャは2つの .ini ファイルを探しに行きます。具体的には、現在のユーザーのアプリケーションデータディレクトリ (%LOCALAPPDATA%
または $env:LocalAppData
) の py.ini
と、ランチャと同じディレクトリにある py.ini
です。'コンソール' 版のランチャ (つまり py.exe) と 'Windows' 版のランチャ (つまり pyw.exe) は同一の .ini ファイルを使用します。
"application data" ディレクトリで指定された設定は、実行ファイルの隣にあるものより優先されます。そのため、ランチャの隣にある .ini ファイルへの書き込みアクセスができないユーザは、グローバルな .ini ファイル内のコマンドを上書き (override) できます。
4.8.4.2. デフォルトのPythonバージョンのカスタマイズ¶
どのバージョンの Python をコマンドで使用するかを定めるため、バージョン修飾子がコマンドに含められることがあります。 バージョン修飾子はメジャーバージョン番号で始まり、オプションのピリオド ('.') とマイナーバージョン指定子がそれに続きます。 さらに、 "-32" や "-64" を追記して 32-bit あるいは 64-bit のどちらの実装が要求されるかを指示できます。
たとえば、#!python
というシェバン行はバージョン修飾子を含みませんが、#!python3
はメジャーバージョンを指定するバージョン修飾子を含みます。
コマンドにバージョン修飾子が見つからない場合、環境変数 PY_PYTHON
を設定して、デフォルトのバージョン修飾子を指定できます。
設定されていない場合、デフォルト値は "3" です。
この変数には "3", "3.7", "3.7-32", "3.7-64" のような任意の値をコマンドラインから指定できます。
("-64" オプションは Python 3.7 以降のランチャでしか使えないことに注意してください。)
マイナーバージョン修飾子が見つからない場合、環境変数 PY_PYTHON{major}
(ここで {major}
は、上記で決定された現在のメジャーバージョン修飾子) を設定して完全なバージョンを指定することができます。そういったオプションが見つからなければ、ランチャはインストール済みの Python バージョンを列挙して、見つかったそのメジャーバージョン向けマイナーリリースのうち最新のものを使用します。保証されているわけではありませんが、通常はそのメジャーバージョン系で最も後にインストールしたバージョンになります。
64-bit Windows で、同一の (major.minor) Python バージョンの 32-bit と 64-bit の両方の実装がインストールされていた場合、64-bit バージョンのほうが常に優先されます。これはランチャが 32-bit と 64-bit のどちらでも言えることで、32-bit のランチャは、指定されたバージョンが使用可能であれば、64-bit の Python を優先して実行します。これは、どのバージョンが PC にインストールされているかのみでランチャの挙動を予見でき、それらがインストールされた順番に関係なくなる (つまり最後にインストールされた Python とランチャが 32-bit か 64-bit かを知らなくともよい) ようにするためです。上に記したとおり、オプションの "-32", "-64" サフィックスでこの挙動を変更できます。
例:
関連するオプションが設定されていない場合、
python
およびpython2
コマンドはインストールされている最新の Python 2.x バージョンを使用し、python3
コマンドはインストールされている最新の Python 3.x を使用します。python3.7
コマンドは、バージョンが完全に指定されているため、全くオプションを参照しません。PY_PYTHON=3
の場合、python
およびpython3
コマンドはともにインストールされている最新の Python 3 を使用します。PY_PYTHON=3.7-32
の場合、python
コマンドは 32-bit 版の 3.7 を使用しますが、python3
コマンドはインストールされている最新の Python を使用します (メジャーバージョンが指定されているため、PY_PYTHON は全く考慮されません。)PY_PYTHON=3
でPY_PYTHON3=3.7
の場合、python
およびpython3
はどちらも 3.7 を使用します
環境変数に加え、同じ設定をランチャが使う INI ファイルで構成することができます。INI ファイルの該当するセクションは [defaults]
と呼ばれ、キー名は環境変数のキー名から PY_
という接頭辞を取ったものと同じです (INI ファイルのキー名は大文字小文字を区別しないことにご注意ください)。環境変数の内容は INI ファイルでの指定を上書きします。
例えば:
PY_PYTHON=3.7
と設定することは、INI ファイルに下記が含まれることと等価です:
[defaults]
python=3.7
PY_PYTHON=3
とPY_PYTHON3=3.7
を設定することは、INI ファイルに下記が含まれることと等価です:
[defaults]
python=3
python3=3.7
4.8.5. 診断¶
環境変数 PYLAUNCHER_DEBUG
が設定されていたら (設定値が何であっても)、ランチャは診断情報を stderr (つまりコンソール) に出力します。この情報のメッセージは詳細で しかも きついものですが、どういったバージョンの Python が検知されたか、なぜ特定のバージョンが選択されたか、そして、対象の Python を実行するのに使われた正確なコマンドラインを教えてくれます。これは主にテストやデバッグのためのものです。
4.8.6. Dry Run¶
If an environment variable PYLAUNCHER_DRYRUN
is set (to any value),
the launcher will output the command it would have run, but will not actually
launch Python. This may be useful for tools that want to use the launcher to
detect and then launch Python directly. Note that the command written to
standard output is always encoded using UTF-8, and may not render correctly in
the console.
4.8.7. Install on demand¶
If an environment variable PYLAUNCHER_ALLOW_INSTALL
is set (to any
value), and the requested Python version is not installed but is available on
the Microsoft Store, the launcher will attempt to install it. This may require
user interaction to complete, and you may need to run the command again.
An additional PYLAUNCHER_ALWAYS_INSTALL
variable causes the launcher
to always try to install Python, even if it is detected. This is mainly intended
for testing (and should be used with PYLAUNCHER_DRYRUN
).
4.8.8. Return codes¶
The following exit codes may be returned by the Python launcher. Unfortunately, there is no way to distinguish these from the exit code of Python itself.
The names of codes are as used in the sources, and are only for reference. There is no way to access or resolve them apart from reading this page. Entries are listed in alphabetical order of names.
名前 |
値 |
説明 |
---|---|---|
RC_BAD_VENV_CFG |
107 |
A |
RC_CREATE_PROCESS |
101 |
Failed to launch Python. |
RC_INSTALLING |
111 |
An install was started, but the command will need to be re-run after it completes. |
RC_INTERNAL_ERROR |
109 |
Unexpected error. Please report a bug. |
RC_NO_COMMANDLINE |
108 |
Unable to obtain command line from the operating system. |
RC_NO_PYTHON |
103 |
Unable to locate the requested version. |
RC_NO_VENV_CFG |
106 |
A |
4.9. モジュールの検索¶
These notes supplement the description at sys.path モジュール検索パスの初期化 with detailed Windows notes.
._pth
ファイルが見付からなかったときは、 Windows では sys.path
は次のように設定されます:
最初に空のエントリが追加されます。これはカレントディレクトリを指しています。
その次に、
PYTHONPATH
環境変数が存在するとき、 環境変数 で解説されているように追加されます。 Windows ではドライブ識別子 (C:\
など)と区別するために、この環境変数に含まれるパスの区切り文字はセミコロンでなければならない事に注意してください。追加で "アプリケーションのパス" を
HKEY_CURRENT_USER
かHKEY_LOCAL_MACHINE
の中の\SOFTWARE\Python\PythonCore{version}\PythonPath
のサブキーとして登録することができます。サブキーはデフォルト値としてセミコロンで区切られたパス文字列を持つことができ、書くパスがsys.path
に追加されます。 (既存のインストーラーはすべて HKLM しか利用しないので、 HKCU は通常空です)PYTHONHOME
が設定されている場合、それが "Python Home" として扱われます。 それ以外の場合、 "Python Home" を推定するために Python の実行ファイルのパスから "目印ファイル" (Lib\os.py
またはpythonXY.zip
) が探されます。 Python home が見つかった場合、そこからいくつかのサブディレクトリ (Lib
,plat-win
など) がsys.path
に追加されます。 見つからなかった場合、コアとなる Python path はレジストリに登録された PythonPath から構築されます。Python Home が見つからず、環境変数
PYTHONPATH
が指定されず、レジストリエントリが見つからなかった場合、関連するデフォルトのパスが利用されます (例:.\Lib;.\plat-win
など)。
メインの実行ファイルと同じ場所か一つ上のディレクトリに pyvenv.cfg
がある場合、以下の異なった規則が適用されます:
PYTHONHOME
が設定されておらず、home
が絶対パスの場合、home 推定の際メインの実行ファイルから推定するのではなくこのパスを使います。
結果としてこうなります:
python.exe
かそれ以外の Python ディレクトリにある .exe ファイルを実行したとき (インストールされている場合でも PCbuild から直接実行されている場合でも) core path が利用され、レジストリ内の core path は無視されます。それ以外のレジストリの "application paths" は常に読み込まれます。Python が他の .exe ファイル (他のディレクトリに存在する場合や、COM経由で組み込まれる場合など) にホストされている場合は、 "Python Home" は推定されず、レジストリにある core path が利用されます。それ以外のレジストリの "application paths" は常に読み込まれます。
Python がその home を見つけられず、レジストリの値もない場合 (これはいくつかのとてもおかしなインストレーションセットアップの凍結された .exe)、パスは最小限のデフォルトとして相対パスが使われます。
自身のアプリケーションや配布物に Python をバンドルしたい場合には、以下の助言 (のいずれかまたは組合せ) によりほかのインストレーションとの衝突を避けることができます:
Include a
._pth
file alongside your executable containing the directories to include. This will ignore paths listed in the registry and environment variables, and also ignoresite
unlessimport site
is listed.If you are loading
python3.dll
orpython37.dll
in your own executable, explicitly callPy_SetPath()
or (at least)Py_SetProgramName()
beforePy_Initialize()
.自身のアプリケーションから
python.exe
を起動する前に、PYTHONPATH
をクリアしたり上書きし、PYTHONHOME
をセットしてください。If you cannot use the previous suggestions (for example, you are a distribution that allows people to run
python.exe
directly), ensure that the landmark file (Lib\os.py
) exists in your install directory. (Note that it will not be detected inside a ZIP file, but a correctly named ZIP file will be detected instead.)
これらはシステムワイドにインストールされたファイルが、あなたのアプリケーションにバンドルされた標準ライブラリのコピーに優先しないようにします。これをしなければあなたのアプリケーションのユーザは、何かしら問題を抱えるかもしれません。上で列挙した最初の提案が最善です。ほかのものはレジストリ内の非標準のパスやユーザの site-packages の影響を少し受けやすいからです。
バージョン 3.6 で変更: Add ._pth
file support and removes applocal
option from
pyvenv.cfg
.
バージョン 3.6 で変更: Add pythonXX.zip
as a potential landmark when directly adjacent
to the executable.
バージョン 3.6 で非推奨: Modules specified in the registry under Modules
(not PythonPath
)
may be imported by importlib.machinery.WindowsRegistryFinder
.
This finder is enabled on Windows in 3.6.0 and earlier, but may need to
be explicitly added to sys.meta_path
in the future.
4.10. 追加のモジュール¶
Python は全プラットフォーム互換を目指していますが、 Windows にしかないユニークな機能もあります。標準ライブラリと外部のライブラリの両方で、幾つかのモジュールと、そういった機能を使うためのスニペットがあります。
Windows 固有の標準モジュールは、 MS Windows 固有のサービス に書かれています。
4.10.1. PyWin32¶
The PyWin32 module by Mark Hammond is a collection of modules for advanced Windows-specific support. This includes utilities for:
Component Object Model (COM)
Win32 API 呼び出し
レジストリ
イベントログ
Microsoft Foundation Classes (MFC) user interfaces
PythonWin は PyWin32 に付属している、サンプルのMFCアプリケーションです。これはビルトインのデバッガを含む、組み込み可能なIDEです。
参考
- Win32 How Do I...?
by Tim Golden
- Python and COM
by David and Paul Boddie
4.10.2. cx_Freeze¶
cx_Freeze
wraps Python scripts into executable Windows programs
(*.exe
files). When you have done this, you can distribute your
application without requiring your users to install Python.
4.11. Windows 上で Python をコンパイルする¶
CPython を自分でコンパイルしたい場合、最初にすべきことは ソース を取得することです。最新リリース版のソースか、新しい チェックアウト をダウンロードできます。
ソースツリーには Microsoft Visual Studio でのビルドのソリューションファイルとプロジェクトファイルが含まれていて、これが公式の Python リリースに使われているコンパイラです。これらファイルは PCbuild
ディレクトリ内にあります。
ビルドプロセスについての一般的な情報は、PCbuild/readme.txt
にあります。
拡張モジュールについては、 Windows 上での C および C++ 拡張モジュールのビルド を参照してください。
4.12. ほかのプラットフォーム¶
Python の継続的な開発の中で、過去にサポートされていた幾つかのプラットフォームが (ユーザーや開発者の不足のために) サポートされなくなっています。すべてのサポートされないプラットフォームについての詳細は PEP 11 をチェックしてください。
Windows CE is no longer supported since Python 3 (if it ever was).
The Cygwin installer offers to install the Python interpreter as well
コンパイル済みインストーラが提供されているプラットフォームについての詳細な情報は Python for Windows を参照してください。