trace --- Python 文実行のトレースと追跡¶
ソースコード: Lib/trace.py
trace モジュールにより、プログラム実行のトレース、 注釈された文のカバレッジの一覧の作成、呼び出し元/呼び出し先の関係の出力、プログラム実行中に実行された関数の表の作成を行うことができます。
これは別のプログラム中やコマンドラインから利用することができます。
参考
- Coverage.py
- サードパーティの人気なカバレッジツールで、 HTML 出力に加えて分岐カバレッジのような高度な機能も提供しています。 
コマンドラインからの使用¶
trace モジュールはコマンドラインから起動することができます。これは次のように簡単です
python -m trace --count -C . somefile.py ...
これで、 somefile.py の実行中に import された Python モジュールの注釈付きリストがカレントディレクトリに生成されます。
- --help¶
- 使い方を表示して終了します。 
- --version¶
- モジュールのバージョンを表示して終了します。 
Added in version 3.8: 実行可能なモジュールを走らせられる --module オプションが追加されました。
主要なオプション¶
trace を実行するときには、以下のオプションの少なくとも 1 つを指定しなければいけません。 --listfuncs オプションは、 --trace オプション、 --count オプションと相互排他的です。 --listfuncs が与えられたとき、 --trace オプション、 --count オプションの両方とも受け付けず、他の場合も同様です。
- -c, --count¶
- プログラム完了時に、それぞれの文が何回実行されたかを示す注釈付きリストのファイルを生成します。下記の - --coverdir,- --file,- --no-reportも参照してください。
- -t, --trace¶
- 実行された通りに行を表示します。 
- -l, --listfuncs¶
- プログラム実行の際に実行された関数を表示します。 
- -T, --trackcalls¶
- プログラム実行によって明らかになった呼び出しの関係を表示します。 
修飾的オプション¶
- -C, --coverdir=<dir>¶
- レポートファイルを保存するディレクトリを指定します。 - package.moduleについてのカバレッジレポートは- dir/package/module.coverに書き込まれます。
- -m, --missing¶
- 注釈付きリストの生成時に、実行されなかった行に - >>>>>>の印を付けます。
- -g, --timing¶
- 各行の先頭にプログラム開始からの時間を付けます。トレース中にだけ使われます。 
フィルターオプション¶
これらのオプションは複数回指定できます。
- --ignore-module=<mod>¶
- 指定されたモジュールと(パッケージだった場合は)そのサブモジュールを無視します。引数はカンマ区切りのモジュール名リストです。 
- --ignore-dir=<dir>¶
- 指定されたディレクトリとサブディレクトリ中のモジュールとパッケージを全て無視します。引数は - os.pathsepで区切られたディレクトリのリストです。
プログラミングインターフェース¶
- class trace.Trace(count=1, trace=1, countfuncs=0, countcallers=0, ignoremods=(), ignoredirs=(), infile=None, outfile=None, timing=False)¶
- 文 (statement) や式 (expression) の実行をトレースするオブジェクトを作成します。引数は全てオプションです。count は行数を数えます。trace は行実行のトレースを行います。countfuncs は実行中に呼ばれた関数を列挙します。countcallers は呼び出しの関係を追跡します。ignoremods は無視するモジュールやパッケージのリストです。ignoredirs は無視するパッケージやモジュールを含むディレクトリのリストです。infile は保存された集計 (count) 情報を読むファイルの名前です。outfile は更新された集計 (count) 情報を書き出すファイルの名前です。timing は、タイムスタンプをトレース開始時点からの相対秒数で表示します。 - runctx(cmd, globals=None, locals=None)¶
- 指定された globals と locals 環境下で、コマンドを実行して、現在のトレースパラメータに基づいてその実行から統計情報を集めます。定義しない場合、globals と locals はデフォルトで空の辞書となります。 
 - results()¶
- 与えられた - Traceインスタンスの- run,- runctx,- runfuncの以前の呼び出しについて集計した結果を納めた- CoverageResultsオブジェクトを返します。蓄積されたトレース結果はリセットしません。
 
- class trace.CoverageResults¶
- カバレッジ結果のコンテナで、 - Trace.results()で生成されるものです。ユーザーが直接生成するものではありません。- update(other)¶
- 別の - CoverageResultsオブジェクトのデータを統合します。
 - write_results(show_missing=True, summary=False, coverdir=None, *, ignore_missing_files=False)¶
- カバレッジ結果を書き出します。ヒットしなかった行も出力するには show_missing を指定します。モジュールごとの概要を出力に含めるには summary を指定します。coverdir に指定するのは結果ファイルを出力するディレクトリです。 - Noneの場合は各ソースファイルごとの結果がそれぞれのディレクトリに置かれます。- ignore_missing_files が - Trueの場合には、すでに存在しないファイルのカバレッジカウントはサイレントに無視されます。そうでなければ、ファイルが見つからないと- FileNotFoundErrorが発生します。- バージョン 3.13 で変更: ignore_missing_files 引数が追加されました。 
 
簡単な例でプログラミングインターフェースの使い方を見てみましょう:
import sys
import trace
# create a Trace object, telling it what to ignore, and whether to
# do tracing or line-counting or both.
tracer = trace.Trace(
    ignoredirs=[sys.prefix, sys.exec_prefix],
    trace=0,
    count=1)
# run the new command using the given tracer
tracer.run('main()')
# make a report, placing output in the current directory
r = tracer.results()
r.write_results(show_missing=True, coverdir=".")