トランスポートとプロトコル
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-[ まえがき ]-

トランスポートとプロトコルは "loop.create_connection()" のような **低
水準の** イベントループ API から使われます。これらはコールバックに基づ
くプログラミングスタイルを使うことでネットワークや IPC プロトコル
(HTTP など) の高性能な実装を可能にします。

基本的にトランスポートとプロトコルはライブラリやフレームワークからのみ
使われるべきであり、高水準の asyncio アプリケーションから使われるもの
ではありません。

このドキュメントは Transports と Protocols を扱います。

-[ はじめに ]-

最上位の観点からは、トランスポートは *どのように* バイトデータを送信す
るかに影響を与え、いっぽうプロトコルは *どの* バイトデータを送信するか
を決定します (また、ある程度は *いつ* も決定します) 。

同じことを違う言い方で表現します: トランスポートはソケット (または同様
の I/O 端点) の抽象化であり、プロトコルはトランスポートから見たときの
アプリケーションの抽象化です。

さらにもう一つの見方として、トランスポートとプロトコルの2つのインター
フェースは、協調してネットワーク I/O やプロセス間 I/O の抽象インターフ
ェースを定義しています。

トランスポートオブジェクトとプロトコルオブジェクトの間には常に1対1の関
係があります: プロトコルはデータを送信するためにトランスポートのメソッ
ドを呼び出し、トランスポートは受信したデータを渡すためにプロトコルのメ
ソッドを呼び出します。

ほとんどの接続に基づくイベントループメソッド
("loop.create_connection()" など) は通常 *protocol_factory* 引数を受け
取り、 *Transport* オブジェクトで表現される確立した接続に対する
*Protocol* オブジェクトを生成するために使います。そのようなメソッドは
通常 "(transport, protocol)" タプルを返します。

-[ 内容 ]-

このページは以下の節から構成されます:

* Transports 節は asyncio の "BaseTransport", "ReadTransport",
  "WriteTransport", "Transport", "DatagramTransport", および
  "SubprocessTransport" クラスについて記述しています。

* Protocols 節は asyncio の "BaseProtocol", "Protocol",
  "BufferedProtocol", "DatagramProtocol", および "SubprocessProtocol"
  クラスについて記述しています。

* Examples 節はトランスポート、プロトコル、および低水準のイベントルー
  プ API の利用方法を紹介しています。


トランスポート
==============

**ソースコード:** Lib/asyncio/transports.py

======================================================================

トランスポートはさまざまな通信方法を抽象化するために "asyncio" が提供
するクラス群です。

トランスポートオブジェクトは常に asyncio イベントループ によってインス
タンス化されます。

asyncio は TCP, UDP, SSL, およびサブプロセスパイプのトランスポートを実
装しています。利用可能なトランスポートのメソッドはトランスポートの種類
に依存します。

トランスポートクラスは スレッド安全ではありません。


トランスポートのクラス階層構造
------------------------------

class asyncio.BaseTransport

   全てのトランスポートの基底クラスです。すべての asyncio トランスポー
   トが共有するメソッドを含んでいます。

class asyncio.WriteTransport(BaseTransport)

   書き込み専用の接続に対する基底トランスポートクラスです。

   *WriteTransport* クラスのインスタンスは "loop.connect_write_pipe()"
   イベントループメソッドから返され、 "loop.subprocess_exec()" のよう
   なサブプロセスに関連するメソッドから利用されます。

class asyncio.ReadTransport(BaseTransport)

   読み込み専用の接続に対する基底トランスポートクラスです。

   Instances of the *ReadTransport* class are returned from the
   "loop.connect_read_pipe()" event loop method and are also used by
   subprocess-related methods like "loop.subprocess_exec()".

class asyncio.Transport(WriteTransport, ReadTransport)

   TCP 接続のような、読み出しと書き込みの双方向のトランスポートを表現
   するインターフェースです。

   ユーザーはトランスポートを直接インスタンス化することはありません;
   ユーザーは、ユーティリティ関数にプロトコルファクトリとその他トラン
   スポートとプロトコルを作成するために必要な情報を渡して呼び出します
   。

   *Transport* クラスのインスタンスは、"loop.create_connection()",
   "loop.create_unix_connection()", "loop.create_server()",
   "loop.sendfile()" などのイベントループメソッドから返されたり、これ
   らのメソッドから利用されたりします。

class asyncio.DatagramTransport(BaseTransport)

   データグラム (UDP) 接続のためのトランスポートです。

   *DatagramTransport* クラスのインスタンスは
   "loop.create_datagram_endpoint()" イベントループメソッドから返され
   ます。

class asyncio.SubprocessTransport(BaseTransport)

   親プロセスとその子プロセスの間の接続を表現する抽象クラスです。

   *SubprocessTransport* クラスのインスタンスは
   "loop.subprocess_shell()" と "loop.subprocess_exec()" の2つのイベン
   トループメソッドから返されます。


基底トランスポート
------------------

BaseTransport.close()

   トランスポートをクローズします。

   トランスポートが発信データのバッファーを持っていた場合、バッファー
   されたデータは非同期にフラッシュされます。それ以降データは受信され
   ません。バッファーされていたデータがすべてフラッシュされた後、その
   プロトコルの "protocol.connection_lost()" メソッドが引数 "None" で
   呼び出されます。

BaseTransport.is_closing()

   トランスポートを閉じている最中か閉じていた場合 "True" を返します。

BaseTransport.get_extra_info(name, default=None)

   トランスポートまたはそれが背後で利用しているリソースの情報を返しま
   す。

   *name* は取得するトランスポート特有の情報を表す文字列です。

   *default* は、取得したい情報が取得可能でなかったり、サードパーティ
   のイベントループ実装や現在のプラットフォームがその情報の問い合わせ
   をサポートしていない場合に返される値です。

   例えば、以下のコードはトランスポート内のソケットオブジェクトを取得
   しようとします:

      sock = transport.get_extra_info('socket')
      if sock is not None:
          print(sock.getsockopt(...))

   いくつかのトランスポートで問い合わせ可能な情報のカテゴリを示します:

   * ソケット:

     * "'peername'": ソケットが接続されているリモートアドレスで、
       "socket.socket.getpeername()" の結果になります (エラーのときは
       "None")

     * "'socket'": "socket.socket" のインスタンスになります

     * "'sockname'": ソケット自身のアドレスで、
       "socket.socket.getsockname()" の結果になります

   * SSL ソケット:

     * "'compression'": 圧縮アルゴリズムで、
       "ssl.SSLSocket.compression()" の結果になります。圧縮されていな
       いときは "None" になります

     * "'cipher'": 3 個の値 (使用されている暗号アルゴリズムの名称、使
       用が定義されている SSL プロトコルのバージョン、および使用されて
       いる秘密鍵のビット数) からなるタプルで、
       "ssl.SSLSocket.cipher()" の結果になります

     * "'peercert'": ピアの証明書で、"ssl.SSLSocket.getpeercert()" の
       結果になります

     * "'sslcontext'": "ssl.SSLContext" のインスタンスになります

     * "'ssl_object'": "ssl.SSLObject" または "ssl.SSLSocket" インスタ
       ンス

   * パイプ:

     * "'pipe'": パイプオブジェクトです

   * サブプロセス:

     * "'subprocess'": "subprocess.Popen" のインスタンスになります

BaseTransport.set_protocol(protocol)

   トランスポートに新しいプロトコルを設定します。

   プロトコルの切り替えは、両方のプロトコルのドキュメントで切り替えが
   サポートされている場合にのみ行うべきです。

BaseTransport.get_protocol()

   現在のプロトコルを返します。


読み出し専用のトランスポート
----------------------------

ReadTransport.is_reading()

   トランスポートが新しいデータを受信中の場合 "True" を返します。

   バージョン 3.7 で追加.

ReadTransport.pause_reading()

   トランスポートの受信側を一時停止します。 "resume_reading()" メソッ
   ドが呼び出されるまでプロトコルの "protocol.data_received()" メソッ
   ドにデータは渡されません。

   バージョン 3.7 で変更: このメソッドはべき等です。すなわちトランスポ
   ートがすでに停止していたりクローズしていても呼び出すことができます
   。

ReadTransport.resume_reading()

   受信を再開します。データが読み込み可能になるとプロトコルの
   "protocol.data_received()" メソッドが再び呼び出されるようになります
   。

   バージョン 3.7 で変更: このメソッドはべき等です。すなわちトランスポ
   ートがすでにデータを読み込み中であっても呼び出すことができます。


書き込み専用のトランスポート
----------------------------

WriteTransport.abort()

   未完了の処理が完了するのを待たず、即座にトランスポートをクローズし
   ます。バッファーされているデータは失われます。このメソッドの呼び出
   し以降データは受信されません。最終的にプロトコルの
   "protocol.connection_lost()" メソッドが引数 "None" で呼び出されます
   。

WriteTransport.can_write_eof()

   トランスポートが "write_eof()" メソッドをサポートしている場合
   "True" を返し、そうでない場合は "False" を返します。

WriteTransport.get_write_buffer_size()

   トランスポートで使用されている出力バッファーの現在のサイズを返しま
   す。

WriteTransport.get_write_buffer_limits()

   書き込みフロー制御の *最高* および *最低* 水位点を取得します。
   "(low, high)" タプルを返します。ここで *low* と *high* はバイト数を
   あらわす正の整数です。

   水位点の設定は "set_write_buffer_limits()" で行います。

   バージョン 3.4.2 で追加.

WriteTransport.set_write_buffer_limits(high=None, low=None)

   書き込みフロー制御の *最高* および *最低* 水位点を設定します。

   (バイト数をあらわす) これら2つの値はプロトコルの
   "protocol.pause_writing()" と "protocol.resume_writing()" の2つのメ
   ソッドがいつ呼ばれるかを制御します。指定する場合、 *low* は *high*
   と等しいかまたは *high* より小さくなければなりません。また、 *high*
   も *low* も負の値を指定することはできません。

   "pause_writing()" はバッファーサイズが *high* の値以上になった場合
   に呼び出されます。書き込みが一時停止している場合、バッファーサイズ
   が *low* の値以下になると "resume_writing()" メソッドが呼び出されま
   す。

   デフォルト値は実装固有になります。 *high* のみ与えられた場合、
   *low* は *high* 以下の実装固有のデフォルト値になります。 *high* を
   ゼロに設定すると *low* も強制的にゼロになり、バッファーが空でなくな
   るとすぐに "pause_writing()" メソッドが呼び出されるようになります。
   *low* をゼロに設定すると、バッファーが空にな "resume_writing()" が
   呼び出されるようになります。どちらかにゼロを設定することは I/O と計
   算を並行に実行する機会を減少させるため、一般に最適ではありません。

   上限値と下限値を取得するには "get_write_buffer_limits()" メソッドを
   使ってください。

WriteTransport.write(data)

   トランスポートにバイト列 *data* を書き込みます。

   このメソッドはブロックしません; データをバッファーし、非同期に送信
   する準備を行います。

WriteTransport.writelines(list_of_data)

   バイト列のデータのリスト (またはイテラブル) をトランスポートに書き
   込みます。この振る舞いはイテラブルを yield して各要素で "write()"
   を呼び出すことと等価ですが、より効率的な実装となる場合があります。

WriteTransport.write_eof()

   バッファーされた全てのデータをフラッシュした後トランスポートの送信
   側をクローズします。送信側をクローズした後もデータを受信することは
   可能です。

   このメソッドはトランスポート (例えば SSL) がハーフクローズドな接続
   をサポートしていない場合 "NotImplementedError" を送出します。


データグラムトランスポート
--------------------------

DatagramTransport.sendto(data, addr=None)

   リモートピア *addr* (トランスポート依存の対象アドレス) にバイト列
   *data* を送信します。*addr* が "None" の場合、データはトランスポー
   トの作成時に指定された送信先に送られます。

   このメソッドはブロックしません; データをバッファーし、非同期に送信
   する準備を行います。

DatagramTransport.abort()

   未完了の処理が完了するのを待たず、即座にトランスポートをクローズし
   ます。バッファーされているデータは失われます。このメソッドの呼び出
   し以降データは受信されません。最終的にプロトコルの
   "protocol.connection_lost()" メソッドが引数 "None" で呼び出されます
   。


サブプロセス化されたトランスポート
----------------------------------

SubprocessTransport.get_pid()

   サブプロセスのプロセス ID (整数) を返します。

SubprocessTransport.get_pipe_transport(fd)

   整数のファイル記述子 *fd* に該当する通信パイプのトランスポートを返
   します:

   * "0": 標準入力 (*stdin*) の読み込み可能ストリーミングトランスポー
     ト。サブプロセスが "stdin=PIPE" で作成されていない場合は "None"

   * "1": 標準出力 (*stdout*) の書き込み可能ストリーミングトランスポー
     ト。サブプロセスが "stdout=PIPE" で作成されていない場合は "None"

   * "2": 標準エラー出力 (*stderr*) の書き込み可能ストリーミングトラン
     スポート。サブプロセスが "stderr=PIPE" で作成されていない場合は
     "None"

   * その他の *fd*: "None"

SubprocessTransport.get_returncode()

   サブプロセスのリターンコードを整数で返します。サブプロセスがリター
   ンしなかった場合は "None" を返します。
   "subprocess.Popen.returncode" 属性と同じです。

SubprocessTransport.kill()

   サブプロセスを強制終了 (kill) します。

   POSIX システムでは、この関数はサブプロセスに SIGKILL を送信します。
   Windows では、このメソッドは "terminate()" の別名です。

   "subprocess.Popen.kill()" も参照してください。

SubprocessTransport.send_signal(signal)

   サブプロセスにシグナル *signal* を送信します。
   "subprocess.Popen.send_signal()" と同じです。

SubprocessTransport.terminate()

   サブプロセスを停止します。

   POSIX システムでは、このメソッドはサブプロセスに SIGTERM を送信しま
   す。Windows では、Windows API 関数 TerminateProcess() が呼び出され
   ます。

   "subprocess.Popen.terminate()" も参照してください。

SubprocessTransport.close()

   "kill()" メソッドを呼び出すことでサブプロセスを強制終了します。

   サブプロセスがまだリターンしていない場合、 *stdin*, *stdout*, およ
   び *stderr* の各パイプのトランスポートをクローズします。


プロトコル
==========

**ソースコード:** Lib/asyncio/protocols.py

======================================================================

asyncio はネットワークプロトコルを実装するために使う抽象基底クラス群を
提供します。これらのクラスは トランスポート と組み合わせて使うことが想
定されています。

抽象基底プロトコルクラスの派生クラスはメソッドの一部または全てを実装す
ることができます。これらのメソッドは全てコールバックです: それらは、デ
ータを受信した、などの決まったイベントに対してトランスポートから呼び出
されます。基底プロトコルメソッドは対応するトランスポートから呼び出され
るべきです。


基底プロトコル
--------------

class asyncio.BaseProtocol

   全てのプロトコルクラスが共有する全てのメソッドを持った基底プロトコ
   ルクラスです。

class asyncio.Protocol(BaseProtocol)

   ストリーミングプロトコル (TCP, Unix ソケットなど) を実装するための
   基底クラスです。

class asyncio.BufferedProtocol(BaseProtocol)

   受信バッファーを手動で制御するストリーミングプロトコルを実装するた
   めの基底クラスです。

class asyncio.DatagramProtocol(BaseProtocol)

   データグラム (UDP) プロトコルを実装するための基底クラスです。

class asyncio.SubprocessProtocol(BaseProtocol)

   子プロセスと (一方向パイプを通じて) 通信するプロトコルを実装するた
   めの基底クラスです。


基底プロトコル
--------------

全ての asyncio プロトコルは基底プロトコルのコールバックを実装すること
ができます。

-[ 通信のコールバック ]-

コネクションコールバックは全てのプロトコルから、成功したコネクションそ
れぞれにつきただ一度だけ呼び出されます。その他の全てのプロトコルコール
バックはこれら2つのメソッドの間に呼び出すことができます。

BaseProtocol.connection_made(transport)

   コネクションが作成されたときに呼び出されます。

   引数 *transport* はコネクションをあらわすトランスポートです。プロト
   コルはトランスポートへの参照を保存する責任を負います。

BaseProtocol.connection_lost(exc)

   コネクションが失われた、あるいはクローズされたときに呼び出されます
   。

   引数は例外オブジェクトまたは "None" になります。"None" のとき、通常
   の EOF が受信されたか、あるいはコネクションがこちら側から中止または
   クローズされたことを意味します。

-[ フロー制御コールバック ]-

フロー制御コールバックは、プロトコルによって実行される書き込み処理を停
止または再開するためにトランスポートから呼び出されます。

詳しくは "set_write_buffer_limits()" メソッドのドキュメントを参照して
ください。

BaseProtocol.pause_writing()

   トランスポートのバッファーサイズが最高水位点 (high watermark) を超
   えたときに呼び出されます。

BaseProtocol.resume_writing()

   トランスポートのバッファーサイズが最低水位点 (low watermark) に達し
   たきに呼び出されます。

バッファーサイズが最高水位点と等しい場合、 "pause_writing()" は呼び出
されません: バッファーサイズは必ず制限値を超えなければなりません。

それに対して、 "resume_writing()" はバッファーサイズが最低水位点と等し
いかそれよりも小さい場合に呼び出されます。これらの境界条件は、どちらの
基準値もゼロである場合の処理が期待通りとなることを保証するために重要で
す。


ストリーミングプロトコル
------------------------

"loop.create_server()", "loop.create_unix_server()",
"loop.create_connection()", "loop.create_unix_connection()",
"loop.connect_accepted_socket()", "loop.connect_read_pipe()", そして
"loop.connect_write_pipe()" などのイベントメソッドはストリーミングプロ
トコルを返すファクトリを受け付けます。

Protocol.data_received(data)

   データを受信したときに呼び出されます。*data* は受信したデータを含む
   空ではないバイト列オブジェクトになります。

   データがバッファーされるか、チャンキングされるか、または再構築され
   るかはトランスポートに依存します。一般には、特定のセマンティクスを
   信頼するべきではなく、代わりにデータのパースを全般的かつ柔軟に行う
   べきです。ただし、データは常に正しい順序で受信されます。

   このメソッドは、コネクションがオープンである間は何度でも呼び出すこ
   とができます。

   いっぽうで、 "protocol.eof_received()" メソッドは最大でも一度だけ呼
   び出されます。いったん *eof_received()* が呼び出されると、それ以降
   "data_received()" は呼び出されません。

Protocol.eof_received()

   コネクションの相手方がこれ以上データを送信しないことを伝えてきたと
   き (例えば相手方が asyncio を使用しており、 "transport.write_eof()"
   を呼び出した場合) に呼び出されます。

   このメソッドは ("None" を含む) 偽値 を返すことがあり、その場合トラ
   ンスポートは自身をクローズします。一方メソッドが真値を返す場合は、
   利用しているプロトコルがトランスポートをクローズするかどうかを決め
   ます。デフォルトの実装は "None" を返すため、コネクションは暗黙のう
   ちにクローズされます。

   SSL を含む一部のトランスポートはハーフクローズ接続をサポートしませ
   ん。そのような場合このメソッドが真値を返すとコネクションはクローズ
   されます。

ステートマシン:

   start -> connection_made
       [-> data_received]*
       [-> eof_received]?
   -> connection_lost -> end


バッファリングされたストリーミングプロトコル
--------------------------------------------

バージョン 3.7 で追加.

バッファー付きプロトコルは  ストリーミングプロトコル をサポートするイ
ベントループメソッドで利用することができます。

"BufferedProtocol" 実装は受信バッファーの手動での明示的な割り当てや制
御を可能にします。イベントループはプロトコルにより提供されるバッファを
利用することにより不要なデータのコピーを避けることができます。これによ
り大量のデータを受信するプロトコルにおいて顕著なパフォーマンスの向上を
もたらします。精巧なプロトコル実装によりバッファー割り当ての数を劇的に
減少させることができます。

以下に示すコールバックは "BufferedProtocol" インスタンスに対して呼び出
されます:

BufferedProtocol.get_buffer(sizehint)

   新しい受信バッファを割り当てるために呼び出します。

   *sizehint* は返されるバッファーの推奨される最小サイズです。
   *sizehint* によって推奨された値より小さい、または大きいサイズのバッ
   ファーを返すことは容認されています。 -1 がセットされた場合、バッフ
   ァーサイズは任意となります。サイズがゼロのバッファーを返すとエラー
   になります。

   "get_buffer()" は バッファープロトコル を実装したオブジェクトを返さ
   なければなりません。

BufferedProtocol.buffer_updated(nbytes)

   受信データによりバッファが更新された場合に呼び出されます。

   *nbytes* はバッファに書き込まれた総バイト数です。

BufferedProtocol.eof_received()

   "protocol.eof_received()" メソッドのドキュメントを参照してください
   。

コネクションの間、 "get_buffer()" は何度でも呼び出すことができます。し
かし "protocol.eof_received()" が呼び出されるのは最大でも1回で、もし呼
び出されると、それ以降 "get_buffer()" と "buffer_updated()" が呼び出さ
れることはありません。

ステートマシン:

   start -> connection_made
       [-> get_buffer
           [-> buffer_updated]?
       ]*
       [-> eof_received]?
   -> connection_lost -> end


データグラムプロトコル
----------------------

データグラムプロトコルのインスタンスは
"loop.create_datagram_endpoint()" メソッドに渡されたプロトコルファクト
リによって生成されるべきです。

DatagramProtocol.datagram_received(data, addr)

   データグラムを受信したときに呼び出されます。*data* は受信データを含
   むバイトオブジェクトです。*addr* はデータを送信するピアのアドレスで
   す; 正確な形式はトランスポートに依存します。

DatagramProtocol.error_received(exc)

   直前の送信あるいは受信が "OSError" を送出したときに呼び出されます。
   *exc* は "OSError" のインスタンスになります。

   このメソッドが呼ばれるのは、トランスポート (UDP など) がデータグラ
   ムを受信側に配信できなかったことが検出されたなどの、まれな場合にお
   いてのみです。ほとんどの場合、データグラムが配信できなければそのま
   ま通知されることなく破棄されます。

注釈:

  BSD システム (macOS, FreeBSD など) ではフロー制御はサポートされてい
  ません。これは非常に多くのパケットを書き込もうとしたことによる送信の
  失敗を検出する信頼できる方法が存在しないためです。ソケットは常に '準
  備ができた状態' のように振る舞いますが、超過したパケットは破棄されま
  す。この場合 "errno" を "errno.ENOBUFS" に設定した "OSError" 例外が
  送出されることがあります。もし例外が送出された場合は
  "DatagramProtocol.error_received()" に通知されますが、送出されない場
  合は単に無視されます。


サブプロセスプロトコル
----------------------

サブプロセスプロトコルのインスタンスは  "loop.subprocess_exec()" と
"loop.subprocess_shell()" メソッドに渡されたプロトコルファクトリにより
生成されるべきです。

SubprocessProtocol.pipe_data_received(fd, data)

   子プロセスが標準出力または標準エラー出力のパイプにデータを書き込ん
   だ時に呼び出されます。

   *fd* はパイプのファイル記述子を表す整数です。

   *data* は受信データを含む空でないバイトオブジェクトです。

SubprocessProtocol.pipe_connection_lost(fd, exc)

   子プロセスと通信するパイプのいずれかがクローズされたときに呼び出さ
   れます。

   *fd* はクローズされたファイル記述子を表す整数です。

SubprocessProtocol.process_exited()

   子プロセスが終了したときに呼び出されます。


使用例
======


TCP エコーサーバー
------------------

"loop.create_server()" メソッドを使って TCP エコーサーバーを生成し、受
信したデータをそのまま送り返して、最後にコネクションをクローズします:

   import asyncio


   class EchoServerProtocol(asyncio.Protocol):
       def connection_made(self, transport):
           peername = transport.get_extra_info('peername')
           print('Connection from {}'.format(peername))
           self.transport = transport

       def data_received(self, data):
           message = data.decode()
           print('Data received: {!r}'.format(message))

           print('Send: {!r}'.format(message))
           self.transport.write(data)

           print('Close the client socket')
           self.transport.close()


   async def main():
       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()

       server = await loop.create_server(
           lambda: EchoServerProtocol(),
           '127.0.0.1', 8888)

       async with server:
           await server.serve_forever()


   asyncio.run(main())

参考: ストリームを使った TCP エコーサーバー の例では高水準の
    "asyncio.start_server()" 関数を使っています。


TCP エコークライアント
----------------------

"loop.create_connection()" メソッドを使った TCP エコークライアントは、
データを送信したあとコネクションがクローズされるまで待機します:

   import asyncio


   class EchoClientProtocol(asyncio.Protocol):
       def __init__(self, message, on_con_lost):
           self.message = message
           self.on_con_lost = on_con_lost

       def connection_made(self, transport):
           transport.write(self.message.encode())
           print('Data sent: {!r}'.format(self.message))

       def data_received(self, data):
           print('Data received: {!r}'.format(data.decode()))

       def connection_lost(self, exc):
           print('The server closed the connection')
           self.on_con_lost.set_result(True)


   async def main():
       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()

       on_con_lost = loop.create_future()
       message = 'Hello World!'

       transport, protocol = await loop.create_connection(
           lambda: EchoClientProtocol(message, on_con_lost),
           '127.0.0.1', 8888)

       # Wait until the protocol signals that the connection
       # is lost and close the transport.
       try:
           await on_con_lost
       finally:
           transport.close()


   asyncio.run(main())

参考:

  ストリームを使った TCP エコークライアント の例では高水準の
  "asyncio.open_connection()" 関数を使っています。


UDP エコーサーバー
------------------

"loop.create_datagram_endpoint()" メソッドを使った UDP エコーサーバー
は受信したデータをそのまま送り返します:

   import asyncio


   class EchoServerProtocol:
       def connection_made(self, transport):
           self.transport = transport

       def datagram_received(self, data, addr):
           message = data.decode()
           print('Received %r from %s' % (message, addr))
           print('Send %r to %s' % (message, addr))
           self.transport.sendto(data, addr)


   async def main():
       print("Starting UDP server")

       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()

       # One protocol instance will be created to serve all
       # client requests.
       transport, protocol = await loop.create_datagram_endpoint(
           lambda: EchoServerProtocol(),
           local_addr=('127.0.0.1', 9999))

       try:
           await asyncio.sleep(3600)  # Serve for 1 hour.
       finally:
           transport.close()


   asyncio.run(main())


UDP エコークライアント
----------------------

"loop.create_datagram_endpoint()" メソッドを使った UDP エコークライア
ントはデータを送信し、応答を受信するとトランスポートをクローズします:

   import asyncio


   class EchoClientProtocol:
       def __init__(self, message, on_con_lost):
           self.message = message
           self.on_con_lost = on_con_lost
           self.transport = None

       def connection_made(self, transport):
           self.transport = transport
           print('Send:', self.message)
           self.transport.sendto(self.message.encode())

       def datagram_received(self, data, addr):
           print("Received:", data.decode())

           print("Close the socket")
           self.transport.close()

       def error_received(self, exc):
           print('Error received:', exc)

       def connection_lost(self, exc):
           print("Connection closed")
           self.on_con_lost.set_result(True)


   async def main():
       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()

       on_con_lost = loop.create_future()
       message = "Hello World!"

       transport, protocol = await loop.create_datagram_endpoint(
           lambda: EchoClientProtocol(message, on_con_lost),
           remote_addr=('127.0.0.1', 9999))

       try:
           await on_con_lost
       finally:
           transport.close()


   asyncio.run(main())


既存のソケットへの接続
----------------------

プロトコルを設定した "loop.create_connection()" メソッドを使ってソケッ
トがデータを受信するまで待機します:

   import asyncio
   import socket


   class MyProtocol(asyncio.Protocol):

       def __init__(self, on_con_lost):
           self.transport = None
           self.on_con_lost = on_con_lost

       def connection_made(self, transport):
           self.transport = transport

       def data_received(self, data):
           print("Received:", data.decode())

           # We are done: close the transport;
           # connection_lost() will be called automatically.
           self.transport.close()

       def connection_lost(self, exc):
           # The socket has been closed
           self.on_con_lost.set_result(True)


   async def main():
       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()
       on_con_lost = loop.create_future()

       # Create a pair of connected sockets
       rsock, wsock = socket.socketpair()

       # Register the socket to wait for data.
       transport, protocol = await loop.create_connection(
           lambda: MyProtocol(on_con_lost), sock=rsock)

       # Simulate the reception of data from the network.
       loop.call_soon(wsock.send, 'abc'.encode())

       try:
           await protocol.on_con_lost
       finally:
           transport.close()
           wsock.close()

   asyncio.run(main())

参考:

  ファイル記述子の読み込みイベントを監視する 例では低レベルの
  "loop.add_reader()" メソッドを使ってファイル記述子 (FD) を登録してい
  ます。

  ストリームを使ってデータを待ち受けるオープンなソケットを登録する 例
  ではコルーチン内で "open_connection()" 関数によって生成されたストリ
  ームを使っています。


loop.subprocess_exec() と SubprocessProtocol
--------------------------------------------

サブプロセスからの出力を受け取り、サブプロセスが終了するまで待機するた
めに使われるサブプロセスプロトコルの例です。

サブプロセスは "loop.subprocess_exec()" メソッドにより生成されます:

   import asyncio
   import sys

   class DateProtocol(asyncio.SubprocessProtocol):
       def __init__(self, exit_future):
           self.exit_future = exit_future
           self.output = bytearray()

       def pipe_data_received(self, fd, data):
           self.output.extend(data)

       def process_exited(self):
           self.exit_future.set_result(True)

   async def get_date():
       # Get a reference to the event loop as we plan to use
       # low-level APIs.
       loop = asyncio.get_running_loop()

       code = 'import datetime; print(datetime.datetime.now())'
       exit_future = asyncio.Future(loop=loop)

       # Create the subprocess controlled by DateProtocol;
       # redirect the standard output into a pipe.
       transport, protocol = await loop.subprocess_exec(
           lambda: DateProtocol(exit_future),
           sys.executable, '-c', code,
           stdin=None, stderr=None)

       # Wait for the subprocess exit using the process_exited()
       # method of the protocol.
       await exit_future

       # Close the stdout pipe.
       transport.close()

       # Read the output which was collected by the
       # pipe_data_received() method of the protocol.
       data = bytes(protocol.output)
       return data.decode('ascii').rstrip()

   date = asyncio.run(get_date())
   print(f"Current date: {date}")

高水準の API を使って書かれた 同様の例 も参照してください。
