queue --- 同期キュークラス

ソースコード: Lib/queue.py


queue モジュールは、複数プロデューサ-複数コンシューマ(multi-producer, multi-consumer)キューを実装します。これは、複数のスレッドの間で情報を安全に交換しなければならないときのマルチスレッドプログラミングで特に有益です。このモジュールの Queue クラスは、必要なすべてのロックセマンティクスを実装しています。これはPythonのスレッドサポートの状況に依存します。 threading モジュールを参照してください。

このモジュールでは3種類のキューが実装されています。それらはキューから取り出されるエントリの順番だけが違います。 FIFO キューでは、最初に追加されたエントリが最初に取り出されます。 LIFO キューでは、最後に追加されたエントリが最初に取り出されます(スタックのように振る舞います)。 優先順位付きキュー(priority queue)では、エントリは(heapq モジュールを利用して)ソートされ、 最も低い値のエントリが最初に取り出されます。

内部的には、これらの3種類のキューは競争スレッドを一時的にブロックするためにロックを使っています; しかし、スレッド内での再入を扱うようには設計されていません。

In addition, the module implements a "simple" FIFO queue type, SimpleQueue, whose specific implementation provides additional guarantees in exchange for the smaller functionality.

queue モジュールは以下のクラスと例外を定義します:

class queue.Queue(maxsize=0)

FIFO キューのコンストラクタです。 maxsize はキューに入れられる要素数の上限を設定する整数です。 いったんこの大きさに達したら、挿入処理はキューの要素が消費されるまでブロックされます。 maxsize が0以下の場合は、キューの大きさは無限です。

class queue.LifoQueue(maxsize=0)

LIFO キューのコンストラクタです。 maxsize はキューに入れられる要素数の上限を設定する整数です。 いったんこの大きさに達したら、挿入処理はキューの要素が消費されるまでブロックされます。 maxsize が0以下の場合は、キューの大きさは無限です。

class queue.PriorityQueue(maxsize=0)

優先順位付きキューのコンストラクタです。maxsize はキューに置くことのできる要素数の上限を設定する整数です。いったんこの大きさに達したら、挿入はキューの要素が消費されるまでブロックされます。もし maxsize が0以下であるならば、キューの大きさは無限です。

最小の値を持つ要素が最初に検索されます (最小の値を持つ値は、sorted(list(entries))[0] によって返されるものです)。典型的な要素のパターンは、(priority_number, data) 形式のタプルです。

If the data elements are not comparable, the data can be wrapped in a class that ignores the data item and only compares the priority number:

from dataclasses import dataclass, field
from typing import Any

@dataclass(order=True)
class PrioritizedItem:
    priority: int
    item: Any=field(compare=False)
class queue.SimpleQueue

Constructor for an unbounded FIFO queue. Simple queues lack advanced functionality such as task tracking.

バージョン 3.7 で追加.

exception queue.Empty

空の Queue オブジェクトで、非ブロックメソッド get() (または get_nowait()) が呼ばれたとき、送出される例外です。

exception queue.Full

満杯の Queue オブジェクトで、非ブロックメソッド put() (または put_nowait()) が呼ばれたとき、送出される例外です。

キューオブジェクト

キューオブジェクト(Queue, LifoQueue, PriorityQueue)は、以下のpublicメソッドを提供しています。

Queue.qsize()

キューの近似サイズを返します。ここで、qsize() > 0 は後続の get() がブロックしないことを保証しないこと、また qsize() < maxsize が put() がブロックしないことを保証しないことに注意してください。

Queue.empty()

キューが空の場合は True を返し、そうでなければ False を返します。empty() が True を返しても、後続の put() の呼び出しがブロックしないことは保証されません。同様に、empty() が False を返しても、後続の get() の呼び出しがブロックしないことは保証されません。

Queue.full()

キューが一杯の場合は True を返し、そうでなければ False を返します。full() が True を返しても、後続の get() の呼び出しがブロックしないことは保証されません。同様に、full() が False を返しても、後続の put() の呼び出しがブロックしないことは保証されません。

Queue.put(item, block=True, timeout=None)

item をキューに入れます。 もしオプション引数 block が真で timeoutNone (デフォルト) の場合は、必要であればフリースロットが利用可能になるまでブロックします。 timeout が正の数の場合は、最大で timeout 秒間ブロックし、その時間内に空きスロットが利用可能にならなければ、例外 Full を送出します。 そうでない場合 (block が偽) は、空きスロットが直ちに利用できるならば、キューにアイテムを置きます。 できないならば、例外 Full を送出します (この場合 timeout は無視されます)。

Queue.put_nowait(item)

put(item, False) と等価です。

Queue.get(block=True, timeout=None)

キューからアイテムを取り除き、それを返します。 オプション引数 block が真で timeoutNone (デフォルト) の場合は、必要であればアイテムが取り出せるようになるまでブロックします。 もし timeout が正の数の場合は、最大で timeout 秒間ブロックし、その時間内でアイテムが取り出せるようにならなければ、例外 Empty を送出します。 そうでない場合 (block が偽) は、直ちにアイテムが取り出せるならば、それを返します。 できないならば、例外 Empty を送出します (この場合 timeout は無視されます)。

Prior to 3.0 on POSIX systems, and for all versions on Windows, if block is true and timeout is None, this operation goes into an uninterruptible wait on an underlying lock. This means that no exceptions can occur, and in particular a SIGINT will not trigger a KeyboardInterrupt.

Queue.get_nowait()

get(False) と等価です。

キューに入れられたタスクが全てコンシューマスレッドに処理されたかどうかを追跡するために 2つのメソッドが提供されます。

Queue.task_done()

過去にキューに入れられたタスクが完了した事を示します。キューのコンシューマスレッドに利用されます。タスクの取り出しに使われた各 get() の後に task_done() を呼び出すと、取り出したタスクに対する処理が完了した事をキューに教えます。

join() がブロックされていた場合、全itemが処理された (キューに put() された全てのitemに対して task_done() が呼び出されたことを意味します) 時に復帰します。

キューにある要素より多く呼び出された場合 ValueError が発生します。

Queue.join()

キューにあるすべてのアイテムが取り出されて処理されるまでブロックします。

キューにitemが追加される度に、未完了タスクカウントが増やされます。コンシューマスレッドが task_done() を呼び出して、itemを受け取ってそれに対する処理が完了した事を知らせる度に、未完了タスクカウントが減らされます。未完了タスクカウントが0になったときに、 join() のブロックが解除されます。

キューに入れたタスクが完了するのを待つ例:

def worker():
    while True:
        item = q.get()
        if item is None:
            break
        do_work(item)
        q.task_done()

q = queue.Queue()
threads = []
for i in range(num_worker_threads):
    t = threading.Thread(target=worker)
    t.start()
    threads.append(t)

for item in source():
    q.put(item)

# block until all tasks are done
q.join()

# stop workers
for i in range(num_worker_threads):
    q.put(None)
for t in threads:
    t.join()

SimpleQueue オブジェクト

SimpleQueue オブジェクトは以下のpublicメソッドを提供しています。

SimpleQueue.qsize()

キューの近似サイズを返します。ここで、qsize() > 0 であるからといって、後続の get() の呼び出しがブロックしないことが保証されないことに注意してください。

SimpleQueue.empty()

キューが空の場合は True を返し、そうでなければ False を返します。 empty() が False を返しても、後続の get() の呼び出しがブロックしないことは保証されません。

SimpleQueue.put(item, block=True, timeout=None)

Put item into the queue. The method never blocks and always succeeds (except for potential low-level errors such as failure to allocate memory). The optional args block and timeout are ignored and only provided for compatibility with Queue.put().

CPython implementation detail: This method has a C implementation which is reentrant. That is, a put() or get() call can be interrupted by another put() call in the same thread without deadlocking or corrupting internal state inside the queue. This makes it appropriate for use in destructors such as __del__ methods or weakref callbacks.

SimpleQueue.put_nowait(item)

put(item) と等価です。:meth:`Queue.put_nowait`との互換性のためのメソッドです。

SimpleQueue.get(block=True, timeout=None)

キューからアイテムを取り除き、それを返します。 オプション引数 block が真で timeoutNone (デフォルト) の場合は、必要であればアイテムが取り出せるようになるまでブロックします。 もし timeout が正の数の場合は、最大で timeout 秒間ブロックし、その時間内でアイテムが取り出せるようにならなければ、例外 Empty を送出します。 そうでない場合 (block が偽) は、直ちにアイテムが取り出せるならば、それを返します。 できないならば、例外 Empty を送出します (この場合 timeout は無視されます)。

SimpleQueue.get_nowait()

get(False) と等価です。

参考

multiprocessing.Queue クラス

(マルチスレッドではなく) マルチプロセスの文脈で使用されるキュークラス。

collections.deque は、ロックなしで append()popleft() といったアトミック操作が可能なキューの実装です。