用語集

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インタラクティブシェルにおけるデフォルトの Python プロンプトです。インタプリタでインタラクティブに実行されるコード例でよく出てきます。

...

インタラクティブシェルにおいて、インデントされたコードブロック、対応する左右の区切り文字の組 (丸括弧、角括弧、波括弧、三重引用符) の内側、デコレーターの後に、コードを入力する際に表示されるデフォルトの Python プロンプトです。

2to3

Python 2.x のコードを Python 3.x のコードに変換するツールです。ソースコードを解析してその解析木を巡回 (traverse) することで検知できる、非互換性の大部分を処理します。

2to3 は標準ライブラリの lib2to3 として利用できます。単体のツールとしての使えるスクリプトが Tools/scripts/2to3 として提供されています。 2to3 - Python 2 から 3 への自動コード変換 を参照してください。

abstract base class

(抽象基底クラス) 抽象基底クラスは duck-typing を補完するもので、 hasattr() などの別のテクニックでは不恰好であったり微妙に誤る (例えば magic methods の場合) 場合にインタフェースを定義する方法を提供します。ABC は仮想 (virtual) サブクラスを導入します。これは親クラスから継承しませんが、それでも isinstance()issubclass() に認識されます; abc モジュールのドキュメントを参照してください。Python には、多くの組み込み ABC が同梱されています。その対象は、(collections.abc モジュールで) データ構造、(numbers モジュールで) 数、(io モジュールで) ストリーム、(importlib.abc モジュールで) インポートファインダ及びローダーです。 abc モジュールを利用して独自の ABC を作成できます。

annotation

(アノテーション) 変数、クラス属性、関数のパラメータや返り値に関係するラベルです。 慣例により type hint として使われています。

ローカル変数のアノテーションは実行時にはアクセスできませんが、グローバル変数、クラス属性、関数のアノテーションはそれぞれモジュール、クラス、関数の __annotations__ 特殊属性に保持されています。

機能の説明がある variable annotation, function annotation, PEP 484, PEP 526 を参照してください。

引数 (argument)

(実引数) 関数を呼び出す際に、 関数 (または メソッド) に渡す値です。実引数には2種類あります:

  • キーワード引数: 関数呼び出しの際に引数の前に識別子がついたもの (例: name=) や、 ** に続けた辞書の中の値として渡された引数。例えば、次の complex() の呼び出しでは、 35 がキーワード引数です:

    complex(real=3, imag=5)
    complex(**{'real': 3, 'imag': 5})
    
  • 位置引数: キーワード引数以外の引数。位置引数は引数リストの先頭に書くことができ、また * に続けた iterable の要素として渡すことができます。例えば、次の例では 35 は両方共位置引数です:

    complex(3, 5)
    complex(*(3, 5))
    

実引数は関数の実体において名前付きのローカル変数に割り当てられます。割り当てを行う規則については 呼び出し (call) を参照してください。シンタックスにおいて実引数を表すためにあらゆる式を使うことが出来ます。評価された値はローカル変数に割り当てられます。

仮引数 、FAQ の 実引数と仮引数の違いは何ですか?PEP 362 を参照してください。

asynchronous context manager

(非同期コンテキストマネージャ) __aenter__()__aexit__() メソッドを定義することで async with 文内の環境を管理するオブジェクトです。 PEP 492 で導入されました。

asynchronous generator

(非同期ジェネレータ) asynchronous generator iterator を返す関数です。 async def で定義されたコルーチン関数に似ていますが、 yield 式を持つ点で異なります。 yield 式は async for ループで使用できる値の並びを生成するのに使用されます。

通常は非同期ジェネレータ関数を指しますが、文脈によっては 非同期ジェネレータイテレータ を指す場合があります。 意図された意味が明らかでない場合、 明瞭化のために完全な単語を使用します。

非同期ジェネレータ関数には、 async for 文や async with 文だけでなく await 式もあることがあります。

asynchronous generator iterator

(非同期ジェネレータイテレータ) asynchronous generator 関数で生成されるオブジェクトです。

これは、 __anext__() メソッドを使って呼び出されたときに awaitable オブジェクトを返す asynchronous iterator です。 この awaitable オブジェクトは、次の yield 式までの非同期ジェネレータ関数の本体を実行します。

yield にくるたびに、その位置での実行状態 (ローカル変数と保留状態の try 文) 処理は一時停止されます。 __anext__() で返された他の awaitable によって 非同期ジェネレータイテレータ が実際に再開されたとき、中断した箇所を取得します。 PEP 492 および PEP 525 を参照してください。

asynchronous iterable

(非同期イテラブル) async for 文の中で使用できるオブジェクトです。 自身の __aiter__() メソッドから asynchronous iterator を返さなければなりません。 PEP 492 で導入されました。

asynchronous iterator

(非同期イテレータ) __aiter__()__anext__() メソッドを実装したオブジェクトです。 __anext__awaitable オブジェクトを返さなければなりません。 async forStopAsyncIteration 例外を送出するまで、非同期イテレータの __anext__() メソッドが返す awaitable を解決します。 PEP 492 で導入されました。

属性

(属性) オブジェクトに関連付けられ、ドット表記式によって名前で参照される値です。例えば、オブジェクト o が属性 a を持っているとき、その属性は o.a で参照されます。

awaitable

(待機可能) await 式で使用することが出来るオブジェクトです。 coroutine か、 __await__() メソッドがあるオブジェクトです。 PEP 492 を参照してください。

BDFL

慈悲深き終身独裁者 (Benevolent Dictator For Life) の略です。Python の作者、Guido van Rossum のことです。

binary file

(バイナリファイル) bytes-like オブジェクト の読み込みおよび書き込みができる ファイルオブジェクト です。 バイナリファイルの例は、バイナリモード ('rb', 'wb' or 'rb+') で開かれたファイル、 sys.stdin.buffersys.stdout.bufferio.BytesIOgzip.GzipFile. のインスタンスです。

str オブジェクトの読み書きができるファイルオブジェクトについては、 text file も参照してください。

bytes-like object

バッファプロトコル (buffer Protocol) をサポートしていて、 C 言語の意味で 連続した contiguous バッファーを提供可能なオブジェクト。 bytes, bytearray, array.array や、多くの一般的な memoryview オブジェクトがこれに当たります。 bytes-like オブジェクトは、データ圧縮、バイナリファイルへの保存、ソケットを経由した送信など、バイナリデータを要求するいろいろな操作に利用することができます。

幾つかの操作ではバイナリデータを変更する必要があります。 その操作のドキュメントではよく "読み書き可能な bytes-like オブジェクト" に言及しています。 変更可能なバッファーオブジェクトには、 bytearraybytearraymemoryview などが含まれます。 また、他の幾つかの操作では不変なオブジェクト内のバイナリデータ ("読み出し専用の bytes-like オブジェクト") を必要します。それには bytesbytesmemoryview オブジェクトが含まれます。

bytecode

(バイトコード) Python のソースコードは、 Python プログラムの CPython インタプリタの内部表現であるバイトコードへとコンパイルされます。 バイトコードは .pyc ファイルにキャッシュされ、同じファイルが二度目に実行されるときはより高速になります (ソースコードからバイトコードへの再度のコンパイルは回避されます)。 この "中間言語 (intermediate language)" は、各々のバイトコードに対応する機械語を実行する 仮想マシン で動作するといえます。 重要な注意として、バイトコードは異なる Python 仮想マシン間で動作することや、Python リリース間で安定であることは期待されていません。

バイトコードの命令一覧は dis モジュール にあります。

クラス

(クラス) ユーザー定義オブジェクトを作成するためのテンプレートです。クラス定義は普通、そのクラスのインスタンス上の操作をするメソッドの定義を含みます。

class variable

(クラス変数) クラス上に定義され、クラスレベルで (つまり、クラスのインスタンス上ではなしに) 変更されることを目的としている変数です。

coercion

(型強制) 同じ型の 2 引数を伴う演算の最中に行われる、ある型のインスタンスの別の型への暗黙の変換です。 例えば、 int(3.15) は浮動小数点数を整数 3 に変換します。しかし 3+4.5 では、各引数は型が異なり(一つは整数、一つは浮動小数点数)、加算をする前に同じ型に変換できなければ TypeError 例外が投げられます。 型強制がなかったら、すべての引数は、たとえ互換な型であっても、単に 3+4.5 ではなく float(3)+4.5 というように、プログラマーが同じ型に正規化しなければいけません。

complex number

(複素数) よく知られている実数系を拡張したもので、すべての数は実部と虚部の和として表されます。虚数は虚数単位 (-1 の平方根) に実数を掛けたもので、一般に数学では i と書かれ、工学では j と書かれます。Python は複素数に組み込みで対応し、後者の表記を取っています。虚部は末尾に j をつけて書きます。例えば 3+1j です。 math モジュールの複素数版を利用するには、 cmath を使います。複素数の使用はかなり高度な数学の機能です。必要性を感じなければ、ほぼ間違いなく無視してしまってよいでしょう。

context manager

(コンテキストマネージャ) __enter__()__exit__() メソッドを定義することで with 文内の環境を管理するオブジェクトです。PEP 343 を参照してください。

context variable

(コンテキスト変数) コンテキストに依存して異なる値を持つ変数。 これは、ある変数の値が各々の実行スレッドで異なり得るスレッドローカルストレージに似ています。 しかしコンテキスト変数では、 1 つの実行スレッドにいくつかのコンテキストがあり得、コンテキスト変数の主な用途は並列な非同期タスクの変数の追跡です。 contextvars を参照してください。

contiguous

(隣接、連続) バッファが厳密に C-連続 または Fortran 連続 である場合に、そのバッファは連続しているとみなせます。 ゼロ次元バッファは C 連続であり Fortran 連続です。 一次元の配列では、その要素は必ずメモリ上で隣接するように配置され、添字がゼロから始まり増えていく順序で並びます。 多次元の C-連続な配列では、メモリアドレス順に要素を巡る際には最後の添え字が最初に変わるのに対し、 Fortran 連続な配列では最初の添え字が最初に動きます。

コルーチン

(コルーチン) コルーチンはサブルーチンのより一般的な形式です。 サブルーチンには決められた地点から入り、別の決められた地点から出ます。 コルーチンには多くの様々な地点から入る、出る、再開することができます。 コルーチンは async def 文で実装できます。 PEP 492 を参照してください。

coroutine function

(コルーチン関数) coroutine オブジェクトを返す関数です。 コルーチン関数は async def 文で実装され、awaitasync for、 および async with キーワードを持つことが出来ます。 これらは PEP 492 で導入されました。

CPython

python.org で配布されている、Python プログラミング言語の標準的な実装です。"CPython" という単語は、この実装を Jython や IronPython といった他の実装と区別する必要が有る場合に利用されます。

decorator

(デコレータ) 別の関数を返す関数で、通常、 @wrapper 構文で関数変換として適用されます。デコレータの一般的な利用例は、 classmethod()staticmethod() です。

デコレータの文法はシンタックスシュガーです。次の2つの関数定義は意味的に同じものです:

def f(...):
    ...
f = staticmethod(f)

@staticmethod
def f(...):
    ...

同じ概念がクラスにも存在しますが、あまり使われません。デコレータについて詳しくは、 関数定義 および クラス定義 のドキュメントを参照してください。

descriptor

(デスクリプタ) メソッド __get__(), __set__(), あるいは __delete__() を定義しているオブジェクトです。あるクラス属性がデスクリプタであるとき、属性探索によって、束縛されている特別な動作が呼び出されます。通常、get,set,deleteのために a.b と書くと、 a のクラス辞書内でオブジェクト b を検索しますが、 b がデスクリプタであればそれぞれのデスクリプタメソッドが呼び出されます。デスクリプタの理解は、 Python を深く理解する上で鍵となります。というのは、デスクリプタこそが、関数、メソッド、プロパティ、クラスメソッド、静的メソッド、そしてスーパクラスの参照といった多くの機能の基盤だからです。

デスクリプタのメソッドに関して詳しくは、 デスクリプタ (descriptor) の実装 を参照してください。

dictionary

(辞書) 任意のキーを値に対応付ける連想配列です。 __hash__() メソッドと __eq__() メソッドを実装した任意のオブジェクトをキーにできます。 Perl ではハッシュ (hash) と呼ばれています。

dictionary view

(辞書ビュー) dict.keys()dict.values()dict.items() が返すオブジェクトです。 辞書の項目の動的なビューを提供します。 すなわち、辞書が変更されるとビューはそれを反映します。 辞書ビューを強制的に完全なリストにするには list(dictview) を使用してください。 辞書ビューオブジェクト を参照してください。

docstring

クラス、関数、モジュールの最初の式である文字列リテラルです。そのスイートの実行時には無視されますが、コンパイラによって識別され、そのクラス、関数、モジュールの __doc__ 属性として保存されます。イントロスペクションできる(訳注: 属性として参照できる)ので、オブジェクトのドキュメントを書く標準的な場所です。

duck-typing

あるオブジェクトが正しいインタフェースを持っているかを決定するのにオブジェクトの型を見ないプログラミングスタイルです。代わりに、単純にオブジェクトのメソッドや属性が呼ばれたり使われたりします。(「アヒルのように見えて、アヒルのように鳴けば、それはアヒルである。」)インタフェースを型より重視することで、上手くデザインされたコードは、ポリモーフィックな代替を許して柔軟性を向上させます。ダックタイピングは type()isinstance() による判定を避けます。 (ただし、ダックタイピングを 抽象基底クラス で補完することもできます。) その代わり、典型的に hasattr() 判定や EAFP プログラミングを利用します。

EAFP

「認可をとるより許しを請う方が容易 (easier to ask for forgiveness than permission、マーフィーの法則)」の略です。この Python で広く使われているコーディングスタイルでは、通常は有効なキーや属性が存在するものと仮定し、その仮定が誤っていた場合に例外を捕捉します。この簡潔で手早く書けるコーディングスタイルには、 try 文および except 文がたくさんあるのが特徴です。このテクニックは、C のような言語でよく使われている LBYL スタイルと対照的なものです。

expression

(式) 何かの値と評価される、一まとまりの構文 (a piece of syntax) です。言い換えると、式とはリテラル、名前、属性アクセス、演算子や関数呼び出しなど、値を返す式の要素の積み重ねです。他の多くの言語と違い、Python では言語の全ての構成要素が式というわけではありません。 while のように、式としては使えない もあります。代入も式ではなく文です。

extension module

(拡張モジュール) C や C++ で書かれたモジュールで、Python の C API を利用して Python コアやユーザーコードとやりとりします。

f-string

'f''F' が先頭に付いた文字列リテラルは "f-string" と呼ばれ、これは フォーマット済み文字列リテラル の短縮形の名称です。 PEP 498 も参照してください。

file object

(ファイルオブジェクト) 下位のリソースへのファイル志向 API (read()write() メソッドを持つもの) を公開しているオブジェクトです。ファイルオブジェクトは、作成された手段によって、実際のディスク上のファイルや、その他のタイプのストレージや通信デバイス (例えば、標準入出力、インメモリバッファ、ソケット、パイプ、等) へのアクセスを媒介できます。ファイルオブジェクトは file-like objectsstreams とも呼ばれます。

ファイルオブジェクトには実際には 3 種類あります: 生の バイナリーファイル、バッファされた バイナリーファイル、そして テキストファイル です。インターフェイスは io モジュールで定義されています。ファイルオブジェクトを作る標準的な方法は open() 関数を使うことです。

file-like object

file object と同義です。

finder

(ファインダ) インポートされているモジュールの loader の発見を試行するオブジェクトです。

Python 3.3 以降では 2 種類のファインダがあります。 sys.meta_path で使用される meta path finder と、 sys.path_hooks で使用される path entry finder です。

詳細については PEP 302PEP 420 および PEP 451 を参照してください。

floor division

一番近い小さい整数に丸める数学除算。floor division 演算子は // です。例えば、 11 // 42 になり、 float の true division の結果 2.75 と異なります。 (-11) // 4-2.75小さい方に 丸めるので -3 になることに注意してください。 PEP 238 を参照してください。

function

(関数) 呼び出し側に値を返す一連の文のことです。関数には0以上の 実引数 を渡すことが出来ます。実体の実行時に引数を使用することが出来ます。 仮引数メソッド関数定義 を参照してください。

function annotation

(関数アノテーション) 関数のパラメータや返り値の annotation です。

関数アノテーションは、通常は 型ヒント のために使われます: 例えば、この関数は 2 つの int 型の引数を取ると期待され、また int 型の返り値を持つと期待されています。

def sum_two_numbers(a: int, b: int) -> int:
   return a + b

関数アノテーションの文法は 関数定義 の節で解説されています。

機能の説明がある variable annotationPEP 484 を参照してください。

__future__

互換性のない新たな言語機能を現在のインタプリタで有効にするためにプログラマが利用できる擬似モジュールです。

__future__ モジュールを import してその変数を評価すれば、新たな機能が初めて追加されたのがいつで、いつ言語デフォルトの機能になるかわかります:

>>> import __future__
>>> __future__.division
_Feature((2, 2, 0, 'alpha', 2), (3, 0, 0, 'alpha', 0), 8192)
garbage collection

(ガベージコレクション) これ以降使われることのないメモリを解放する処理です。 Pythonは、参照カウントと、循環参照を検出し破壊する循環ガベージコレクタを使ってガベージコレクションを行います。 ガベージコレクタは gc モジュールを使って操作できます。

ジェネレータ

(ジェネレータ) generator iterator を返す関数です。 通常の関数に似ていますが、 yield 式を持つ点で異なります。 yield 式は、 for ループで使用できたり、next() 関数で値を 1 つずつ取り出したりできる、値の並びを生成するのに使用されます。

通常はジェネレータ関数を指しますが、文脈によっては ジェネレータイテレータ を指す場合があります。 意図された意味が明らかでない場合、 明瞭化のために完全な単語を使用します。

generator iterator

(ジェネレータイテレータ) generator 関数で生成されるオブジェクトです。

yield のたびに局所実行状態 (局所変数や未処理の try 文などを含む) を記憶して、処理は一時的に中断されます。 ジェネレータイテレータ が再開されると、中断した位置を取得します (通常の関数が実行のたびに新しい状態から開始するのと対照的です)。

generator expression

(ジェネレータ式) イテレータを返す式です。 普通の式に、ループ変数を定義する for 節、範囲、そして省略可能な if 節がつづいているように見えます。 こうして構成された式は、外側の関数に向けて値を生成します:

>>> sum(i*i for i in range(10))         # sum of squares 0, 1, 4, ... 81
285
generic function

(ジェネリック関数) 異なる型に対し同じ操作をする関数群から構成される関数です。呼び出し時にどの実装を用いるかはディスパッチアルゴリズムにより決定されます。

single dispatchfunctools.singledispatch() デコレータ、PEP 443 を参照してください。

GIL

global interpreter lock を参照してください。

global interpreter lock

(グローバルインタプリタロック) CPython インタプリタが利用している、一度に Python の バイトコード を実行するスレッドは一つだけであることを保証する仕組みです。これにより (dict などの重要な組み込み型を含む) オブジェクトモデルが同時アクセスに対して暗黙的に安全になるので、 CPython の実装がシンプルになります。インタプリタ全体をロックすることで、マルチプロセッサマシンが生じる並列化のコストと引き換えに、インタプリタを簡単にマルチスレッド化できるようになります。

ただし、標準あるいは外部のいくつかの拡張モジュールは、圧縮やハッシュ計算などの計算の重い処理をするときに GIL を解除するように設計されています。また、I/O 処理をする場合 GIL は常に解除されます。

過去に "自由なマルチスレッド化" したインタプリタ (供用されるデータを細かい粒度でロックする) が開発されましたが、一般的なシングルプロセッサの場合のパフォーマンスが悪かったので成功しませんでした。このパフォーマンスの問題を克服しようとすると、実装がより複雑になり保守コストが増加すると考えられています。

hash-based pyc

(ハッシュベース pyc ファイル) 正当性を判別するために、対応するソースファイルの最終更新時刻ではなくハッシュ値を使用するバイトコードのキャッシュファイルです。

hashable

(ハッシュ可能) ハッシュ可能 なオブジェクトとは、生存期間中変わらないハッシュ値を持ち (__hash__() メソッドが必要)、他のオブジェクトと比較ができる (__eq__() メソッドが必要) オブジェクトです。同値なハッシュ可能オブジェクトは必ず同じハッシュ値を持つ必要があります。

ハッシュ可能なオブジェクトは辞書のキーや集合のメンバーとして使えます。辞書や集合のデータ構造は内部でハッシュ値を使っているからです。

Python のイミュータブルな組み込みオブジェクトは、ほとんどがハッシュ可能です。(リストや辞書のような) ミュータブルなコンテナはハッシュ不可能です。(タプルや frozenset のような) イミュータブルなコンテナは、要素がハッシュ可能であるときのみハッシュ可能です。 ユーザー定義のクラスのインスタンスであるようなオブジェクトはデフォルトでハッシュ可能です。 それらは全て (自身を除いて) 比較結果は非等価であり、ハッシュ値は id() より得られます。

IDLE

Python の統合開発環境 (Integrated DeveLopment Environment) です。IDLE は Python の標準的な配布に同梱されている基本的な機能のエディタとインタプリタ環境です。

immutable

(イミュータブル) 固定の値を持ったオブジェクトです。イミュータブルなオブジェクトには、数値、文字列、およびタプルなどがあります。これらのオブジェクトは値を変えられません。別の値を記憶させる際には、新たなオブジェクトを作成しなければなりません。イミュータブルなオブジェクトは、固定のハッシュ値が必要となる状況で重要な役割を果たします。辞書のキーがその例です。

import path

path based finder が import するモジュールを検索する場所 (または path entry) のリスト。 import 中、このリストは通常 sys.path から来ますが、サブパッケージの場合は親パッケージの __path__ 属性からも来ます。

importing

あるモジュールの Python コードが別のモジュールの Python コードで使えるようにする処理です。

importer

モジュールを探してロードするオブジェクト。 finderloader のどちらでもあるオブジェクト。

interactive

(対話的) Python には対話的インタプリタがあり、文や式をインタプリタのプロンプトに入力すると即座に実行されて結果を見ることができます。 python と何も引数を与えずに実行してください。(コンピュータのメインメニューから Pythonの対話的インタプリタを起動できるかもしれません。) 対話的インタプリタは、新しいアイデアを試してみたり、モジュールやパッケージの中を覗いてみる(help(x) を覚えておいてください) のに非常に便利なツールです。

interpreted

Python はインタプリタ形式の言語であり、コンパイラ言語の対極に位置します。 (バイトコードコンパイラがあるために、この区別は曖昧ですが。) ここでのインタプリタ言語とは、ソースコードのファイルを、まず実行可能形式にしてから実行させるといった操作なしに、直接実行できることを意味します。インタプリタ形式の言語は通常、コンパイラ形式の言語よりも開発/デバッグのサイクルは短いものの、プログラムの実行は一般に遅いです。 対話的 も参照してください。

interpreter shutdown

Python インタープリターはシャットダウンを要請された時に、モジュールやすべてのクリティカルな内部構造をなどの、すべての確保したリソースを段階的に開放する、特別なフェーズに入ります。 このフェーズは ガベージコレクタ を複数回呼び出します。 これによりユーザー定義のデストラクターや weakref コールバックが呼び出されることがあります。 シャットダウンフェーズ中に実行されるコードは、それが依存するリソースがすでに機能しない(よくある例はライブラリーモジュールや warning 機構です) ために様々な例外に直面します。

インタープリタがシャットダウンする主な理由は __main__ モジュールや実行されていたスクリプトの実行が終了したことです。

iterable

(反復可能オブジェクト) 要素を一度に 1 つずつ返せるオブジェクトです。 反復可能オブジェクトの例には、(list, str, tuple といった) 全てのシーケンス型や、 dictファイルオブジェクト といった幾つかの非シーケンス型、 あるいは Sequence 意味論を実装した __iter__() メソッドか __getitem__() メソッドを持つ任意のクラスのインスタンスが含まれます。

反復可能オブジェクトは for ループ内やその他多くのシーケンス (訳注: ここでのシーケンスとは、シーケンス型ではなくただの列という意味)が必要となる状況 (zip(), map(), ...) で利用できます。 反復可能オブジェクトを組み込み関数 iter() の引数として渡すと、 オブジェクトに対するイテレータを返します。 このイテレータは一連の値を引き渡す際に便利です。 通常は反復可能オブジェクトを使う際には、 iter() を呼んだりイテレータオブジェクトを自分で操作する必要はありません。 for 文ではこの操作を自動的に行い、一時的な無名の変数を作成してループを回している間イテレータを保持します。 イテレータシーケンスジェネレータ も参照してください。

iterator

(イテレータ) データの流れを表現するオブジェクトです。イテレータの __next__() メソッドを繰り返し呼び出す (または組み込み関数 next() に渡す) と、流れの中の要素を一つずつ返します。データがなくなると、代わりに StopIteration 例外を送出します。その時点で、イテレータオブジェクトは尽きており、それ以降は __next__() を何度呼んでも StopIteration を送出します。イテレータは、そのイテレータオブジェクト自体を返す __iter__() メソッドを実装しなければならないので、イテレータは他の iterable を受理するほとんどの場所で利用できます。はっきりとした例外は複数の反復を行うようなコードです。 (list のような) コンテナオブジェクトは、自身を iter() 関数にオブジェクトに渡したり for ループ内で使うたびに、新たな未使用のイテレータを生成します。これをイテレータで行おうとすると、前回のイテレーションで使用済みの同じイテレータオブジェクトを単純に返すため、空のコンテナのようになってしまします。

詳細な情報は イテレータ型 にあります。

key function

(キー関数) キー関数、あるいは照合関数とは、ソートや順序比較のための値を返す呼び出し可能オブジェクト(callable)です。例えば、 locale.strxfrm() をキー関数に使えば、ロケール依存のソートの慣習にのっとったソートキーを返します。

Python の多くのツールはキー関数を受け取り要素の並び順やグループ化を管理します。 min(), max(), sorted(), list.sort(), heapq.merge(), heapq.nsmallest(), heapq.nlargest(), itertools.groupby() 等があります。

キー関数を作る方法はいくつかあります。 例えば str.lower() メソッドを大文字小文字を区別しないソートを行うキー関数として使うことが出来ます。 あるいは、lambda r: (r[0], r[2]) のような lambda 式からキー関数を作ることができます。 また、 operator モジュールは attrgetter(), itemgetter(), methodcaller() という 3 つのキー関数コンストラクタを提供しています。 キー関数の作り方と使い方の例は Sorting HOW TO を参照してください。

keyword argument

実引数 を参照してください。

lambda

(ラムダ) 無名のインライン関数で、関数が呼び出されたときに評価される 1 つの を含みます。ラムダ関数を作る構文は lambda [parameters]: expression です。

LBYL

「ころばぬ先の杖 (look before you leap)」 の略です。このコーディングスタイルでは、呼び出しや検索を行う前に、明示的に前提条件 (pre-condition) 判定を行います。 EAFP アプローチと対照的で、 if 文がたくさん使われるのが特徴的です。

マルチスレッド化された環境では、LBYL アプローチは "見る" 過程と "飛ぶ" 過程の競合状態を引き起こすリスクがあります。例えば、if key in mapping: return mapping[key] というコードは、判定の後、別のスレッドが探索の前に mapping から key を取り除くと失敗します。この問題は、ロックするか EAFP アプローチを使うことで解決できます。

list

(リスト) Python の組み込みの シーケンス です。リストという名前ですが、リンクリストではなく、他の言語で言う配列 (array) と同種のもので、要素へのアクセスは O(1) です。

list comprehension

(リスト内包表記) シーケンス中の全てあるいは一部の要素を処理して、その結果からなるリストを返す、コンパクトな方法です。 result = ['{:#04x}'.format(x) for x in range(256) if x % 2 == 0] とすると、 0 から 255 までの偶数を 16進数表記 (0x..) した文字列からなるリストを生成します。 if 節はオプションです。 if 節がない場合、 range(256) の全ての要素が処理されます。

loader

モジュールをロードするオブジェクト。 load_module() という名前のメソッドを定義していなければなりません。ローダーは一般的に finder から返されます。詳細は PEP 302 を、 abstract base class については importlib.abc.Loader を参照してください。

magic method

special method のくだけた同義語です。

mapping

(マッピング) 任意のキー探索をサポートしていて、 MappingMutableMapping抽象基底クラス で指定されたメソッドを実装しているコンテナオブジェクトです。例えば、 dict, collections.defaultdict, collections.OrderedDict, collections.Counter などです。

meta path finder

sys.meta_path を検索して得られた finder. meta path finder は path entry finder と関係はありますが、別物です。

meta path finder が実装するメソッドについては importlib.abc.MetaPathFinder を参照してください。

metaclass

(メタクラス) クラスのクラスです。クラス定義は、クラス名、クラスの辞書と、基底クラスのリストを作ります。メタクラスは、それら 3 つを引数として受け取り、クラスを作る責任を負います。ほとんどのオブジェクト指向言語は(訳注:メタクラスの)デフォルトの実装を提供しています。Python が特別なのはカスタムのメタクラスを作成できる点です。ほとんどのユーザーに取って、メタクラスは全く必要のないものです。しかし、一部の場面では、メタクラスは強力でエレガントな方法を提供します。たとえば属性アクセスのログを取ったり、スレッドセーフ性を追加したり、オブジェクトの生成を追跡したり、シングルトンを実装するなど、多くの場面で利用されます。

詳細は メタクラス を参照してください。

method

(メソッド) クラス本体の中で定義された関数。そのクラスのインスタンスの属性として呼び出された場合、メソッドはインスタンスオブジェクトを第一 引数 として受け取ります (この第一引数は通常 self と呼ばれます)。 関数ネストされたスコープ も参照してください。

method resolution order

(メソッド解決順序) 探索中に基底クラスが構成要素を検索される順番です。 2.3 以降の Python インタープリタが使用するアルゴリズムの詳細については The Python 2.3 Method Resolution Order を参照してください。

module

(モジュール) Python コードの組織単位としてはたらくオブジェクトです。モジュールは任意の Python オブジェクトを含む名前空間を持ちます。モジュールは importing の処理によって Python に読み込まれます。

パッケージ を参照してください。

module spec

モジュールをロードするのに使われるインポート関連の情報を含む名前空間です。 importlib.machinery.ModuleSpec のインスタンスです。

MRO

method resolution order を参照してください。

mutable

(ミュータブル) ミュータブルなオブジェクトは、 id() を変えることなく値を変更できます。 イミュータブル) も参照してください。

named tuple

"名前付きタプル" という用語は、タプルを継承していて、インデックスが付く要素に対し属性を使ってのアクセスもできる任意の型やクラスに適用されています。 その型やクラスは他の機能も持っていることもあります。

time.localtime()os.stat() の返り値を含むいくつかの組み込み型は名前付きタプルです。 他の例は sys.float_info です:

>>> sys.float_info[1]                   # indexed access
1024
>>> sys.float_info.max_exp              # named field access
1024
>>> isinstance(sys.float_info, tuple)   # kind of tuple
True

(上の例のように) いくつかの名前付きタプルは組み込み型になっています。 その他にも名前付きタプルは、通常のクラス定義で tuple を継承し、名前のフィールドを定義して作成できます。 そのようなクラスは手動で書いたり、 collections.namedtuple() ファクトリ関数で作成したりできます。 後者の方法は、手動で書いた名前付きタプルや組み込みの名前付きタプルには無い付加的なメソッドを追加できます。

namespace

(名前空間) 変数が格納される場所です。名前空間は辞書として実装されます。名前空間にはオブジェクトの (メソッドの) 入れ子になったものだけでなく、局所的なもの、大域的なもの、そして組み込みのものがあります。名前空間は名前の衝突を防ぐことによってモジュール性をサポートする。例えば関数 builtins.openos.open() は名前空間で区別されています。また、どのモジュールが関数を実装しているか明示することによって名前空間は可読性と保守性を支援します。例えば、random.seed()itertools.islice() と書くと、それぞれモジュール randomitertools で実装されていることが明らかです。

namespace package

(名前空間パッケージ) サブパッケージのコンテナとして提供される PEP 420 package 。Namespace package はおそらく物理表現を持たず、 __init__.py ファイルがないため、 regular package と異なります。

module を参照してください。

nested scope

(ネストされたスコープ) 外側で定義されている変数を参照する機能です。例えば、ある関数が別の関数の中で定義されている場合、内側の関数は外側の関数中の変数を参照できます。ネストされたスコープはデフォルトでは変数の参照だけができ、変数の代入はできないので注意してください。ローカル変数は、最も内側のスコープで変数を読み書きします。同様に、グローバル変数を使うとグローバル名前空間の値を読み書きします。 nonlocal で外側の変数に書き込めます。

new-style class

(新スタイルクラス) 今では全てのクラスオブジェクトに使われている味付けの古い名前です。以前の Python のバージョンでは、新スタイルクラスのみが __slots__ 、デスクリプタ、 __getattribute__() 、クラスメソッド、そして静的メソッド等の Python の新しい、多様な機能を利用できました。

object

(オブジェクト) 状態 (属性や値) と定義された振る舞い (メソッド) をもつ全てのデータ。もしくは、全ての 新スタイルクラス の究極の基底クラスのこと。

package

(パッケージ) サブモジュールや再帰的にサブパッケージを含むことの出来る module のことです。専門的には、パッケージは __path__ 属性を持つ Python オブジェクトです。

regular packagenamespace package を参照してください。

parameter

(仮引数) 名前付の実体で 関数 (や メソッド ) の定義において関数が受ける 実引数 を指定します。仮引数には5種類あります:

  • 位置またはキーワード: 位置 でまたは キーワード引数 として渡すことができる引数を指定します。これはたとえば以下の foobar のように、デフォルトの仮引数の種類です:

    def func(foo, bar=None): ...
    
  • 位置のみ: 位置によってのみ与えられる引数を指定します。Python に引数が位置のみであることを定義する文法はありませんが、組み込み関数には位置のみの引数を持つもの (例: abs()) があります。

  • キーワード専用: キーワードによってのみ与えられる引数を指定します。キーワード専用の引数を定義できる場所は、例えば以下の kw_only1kw_only2 のように、関数定義の仮引数リストに含めた可変長位置引数または裸の * の後です:

    def func(arg, *, kw_only1, kw_only2): ...
    
  • 可変長位置: (他の仮引数で既に受けられた任意の位置引数に加えて) 任意の個数の位置引数が与えられることを指定します。このような仮引数は、以下の args のように仮引数名の前に * をつけることで定義できます:

    def func(*args, **kwargs): ...
    
  • 可変長キーワード: (他の仮引数で既に受けられた任意のキーワード引数に加えて) 任意の個数のキーワード引数が与えられることを指定します。このような仮引数は、上の例の kwargs のように仮引数名の前に ** をつけることで定義できます。

仮引数はオプションと必須の引数のどちらも指定でき、オプションの引数にはデフォルト値も指定できます。

仮引数 、FAQ の 実引数と仮引数の違いは何ですか?inspect.Parameter クラス、 関数定義 セクション、PEP 362 を参照してください。

path entry

path based finder が import するモジュールを探す import path 上の1つの場所です。

path entry finder

sys.path_hooks にある callable (つまり path entry hook) が返した finder です。与えられた path entry にあるモジュールを見つける方法を知っています。

パスエントリーファインダが実装するメソッドについては importlib.abc.PathEntryFinder を参照してください。

path entry hook

sys.path_hook リストにある callable で、指定された path entry にあるモジュールを見つける方法を知っている場合に path entry finder を返します。

path based finder

デフォルトの meta path finder の1つは、モジュールの import path を検索します。

path-like object

(path-like オブジェクト) ファイルシステムパスを表します。 path-like オブジェクトは、パスを表す str オブジェクトや bytes オブジェクト、または os.PathLike プロトコルを実装したオブジェクトのどれかです。 os.PathLike プロトコルをサポートしているオブジェクトは os.fspath() を呼び出すことで str または bytes のファイルシステムパスに変換できます。 os.fsdecode()os.fsencode() はそれぞれ str あるいは bytes になるのを保証するのに使えます。 PEP 519 で導入されました。

PEP

Python Enhancement Proposal。PEP は、Python コミュニティに対して情報を提供する、あるいは Python の新機能やその過程や環境について記述する設計文書です。 PEP は、機能についての簡潔な技術的仕様と提案する機能の論拠 (理論) を伝えるべきです。

PEP は、新機能の提案にかかる、コミュニティによる問題提起の集積と Python になされる設計決断の文書化のための最上位の機構となることを意図しています。PEP の著者にはコミュニティ内の合意形成を行うこと、反対意見を文書化することの責務があります。

PEP 1 を参照してください。

portion

PEP 420 で定義されている、namespace package に属する、複数のファイルが (zipファイルに格納されている場合もある) 1つのディレクトリに格納されたもの。

位置引数 (positional argument)

実引数 を参照してください。

provisional API

(暫定 API) 標準ライブラリの後方互換性保証から計画的に除外されたものです。そのようなインタフェースへの大きな変更は、暫定であるとされている間は期待されていませんが、コア開発者によって必要とみなされれば、後方非互換な変更 (インタフェースの削除まで含まれる) が行われえます。このような変更はむやみに行われるものではありません -- これは API を組み込む前には見落とされていた重大な欠陥が露呈したときにのみ行われます。

暫定 API についても、後方互換性のない変更は「最終手段」とみなされています。問題点が判明した場合でも後方互換な解決策を探すべきです。

このプロセスにより、標準ライブラリは問題となるデザインエラーに長い間閉じ込められることなく、時代を超えて進化を続けられます。詳細は PEP 411 を参照してください。

provisional package

provisional API を参照してください。

Python 3000

Python 3.x リリースラインのニックネームです。(Python 3 が遠い将来の話だった頃に作られた言葉です。) "Py3k" と略されることもあります。

Pythonic

他の言語で一般的な考え方で書かれたコードではなく、Python の特に一般的なイディオムに従った考え方やコード片。例えば、Python の一般的なイディオムでは for 文を使ってイテラブルのすべての要素に渡ってループします。他の多くの言語にはこの仕組みはないので、Python に慣れていない人は代わりに数値のカウンターを使うかもしれません:

for i in range(len(food)):
    print(food[i])

これに対し、きれいな Pythonic な方法は:

for piece in food:
    print(piece)
qualified name

(修飾名) モジュールのグローバルスコープから、そのモジュールで定義されたクラス、関数、メソッドへの、 "パス" を表すドット名表記です。 PEP 3155 で定義されています。トップレベルの関数やクラスでは、修飾名はオブジェクトの名前と同じです:

>>> class C:
...     class D:
...         def meth(self):
...             pass
...
>>> C.__qualname__
'C'
>>> C.D.__qualname__
'C.D'
>>> C.D.meth.__qualname__
'C.D.meth'

モジュールへの参照で使われると、完全修飾名 (fully qualified name) はすべての親パッケージを含む全体のドット名表記、例えば email.mime.text を意味します:

>>> import email.mime.text
>>> email.mime.text.__name__
'email.mime.text'
reference count

(参照カウント) あるオブジェクトに対する参照の数。参照カウントが0になったとき、そのオブジェクトは破棄されます。参照カウントは通常は Python のコード上には現れませんが、 CPython 実装の重要な要素です。 sys モジュールは、プログラマーが任意のオブジェクトの参照カウントを知るための getrefcount() 関数を提供しています。

regular package

伝統的な、 __init__.py ファイルを含むディレクトリとしての package

namespace package を参照してください。

__slots__

クラス内での宣言で、インスタンス属性の領域をあらかじめ定義しておき、インスタンス辞書を排除することで、メモリを節約します。これはよく使われるテクニックですが、正しく扱うには少しトリッキーなので、稀なケース、例えばメモリが死活問題となるアプリケーションでインスタンスが大量に存在する、といったときを除き、使わないのがベストです。

sequence

(シーケンス) 整数インデクスによる効率的な要素アクセスを __getitem__() 特殊メソッドを通じてサポートし、長さを返す __len__() メソッドを定義した iterable です。組み込みシーケンス型には、 list, str, tuple, bytes などがあります。 dict__getitem__()__len__() もサポートしますが、検索の際に整数ではなく任意の immutable なキーを使うため、シーケンスではなくマッピング (mapping) とみなされているので注意してください。

collections.abc.Sequence 抽象基底クラスは __getitem__()__len__() だけでなく count()index(),、__contains__()__reversed__() よりも 豊富なインターフェイスを定義しています。この拡張されたインターフェイスを実装している型は register() を使用することで明示的に登録することが出来ます。

single dispatch

generic function の一種で実装は一つの引数の型により選択されます。

slice

(スライス) 一般に シーケンス の一部を含むオブジェクト。スライスは、添字表記 [] で与えられた複数の数の間にコロンを書くことで作られます。例えば、 variable_name[1:3:5] です。角括弧 (添字) 記号は slice オブジェクトを内部で利用しています。

special method

(特殊メソッド) ある型に特定の操作、例えば加算をするために Python から暗黙に呼び出されるメソッド。この種類のメソッドは、メソッド名の最初と最後にアンダースコア 2 つがついています。特殊メソッドについては 特殊メソッド名 で解説されています。

statement

(文) 文はスイート (コードの"ブロック") に不可欠な要素です。文は かキーワードから構成されるもののどちらかです。後者には ifwhilefor があります。

text encoding

ユニコード文字列をエンコードするコーデックです。

text file

(テキストファイル) str オブジェクトを読み書きできる file object です。 しばしば、テキストファイルは実際にバイト指向のデータストリームにアクセスし、 テキストエンコーディング を自動的に行います。 テキストファイルの例は、 sys.stdin, sys.stdout, io.StringIO インスタンスなどをテキストモード ('r' or 'w') で開いたファイルです。

bytes-like オブジェクト を読み書きできるファイルオブジェクトについては、 バイナリファイル も参照してください。

triple-quoted string

(三重クォート文字列) 3つの連続したクォート記号(")かアポストロフィー(')で囲まれた文字列。通常の(一重)クォート文字列に比べて表現できる文字列に違いはありませんが、幾つかの理由で有用です。1つか2つの連続したクォート記号をエスケープ無しに書くことができますし、行継続文字(\)を使わなくても複数行にまたがることができるので、ドキュメンテーション文字列を書く時に特に便利です。

type

(型) Python オブジェクトの型はオブジェクトがどのようなものかを決めます。あらゆるオブジェクトは型を持っています。オブジェクトの型は __class__ 属性でアクセスしたり、type(obj) で取得したり出来ます。

type alias

(型エイリアス) 型の別名で、型を識別子に代入して作成します。

型エイリアスは 型ヒント を単純化するのに有用です。例えば:

from typing import List, Tuple

def remove_gray_shades(
        colors: List[Tuple[int, int, int]]) -> List[Tuple[int, int, int]]:
    pass

これは次のようにより読みやすくできます:

from typing import List, Tuple

Color = Tuple[int, int, int]

def remove_gray_shades(colors: List[Color]) -> List[Color]:
    pass

機能の説明がある typingPEP 484 を参照してください。

type hint

(型ヒント) 変数、クラス属性、関数のパラメータや返り値の期待される型を指定する annotation です。

型ヒントは必須ではなく Python では強制ではありませんが、静的型解析ツールにとって有用であり、IDE のコード補完とリファクタリングの手助けになります。

グローバル変数、クラス属性、関数で、ローカル変数でないものの型ヒントは typing.get_type_hints() で取得できます。

機能の説明がある typingPEP 484 を参照してください。

universal newlines

テキストストリームの解釈法の一つで、以下のすべてを行末と認識します: Unix の行末規定 '\n'、Windows の規定 '\r\n'、古い Macintosh の規定 '\r'。利用法について詳しくは、 PEP 278PEP 3116 、さらに bytes.splitlines() も参照してください。

variable annotation

(変数アノテーション) 変数あるいはクラス属性の annotation

変数あるいはクラス属性に注釈を付けたときは、代入部分は任意です:

class C:
    field: 'annotation'

変数アノテーションは通常は 型ヒント のために使われます: 例えば、この変数は int の値を取ることを期待されています:

count: int = 0

変数アノテーションの構文については 注釈付き代入文 (annotated assignment statements) 節で解説しています。

この機能について解説している function annotation, PEP 484, PEP 526 を参照してください。

virtual environment

(仮想環境)協調的に切り離された実行環境です。これにより Python ユーザとアプリケーションは同じシステム上で動いている他の Python アプリケーションの挙動に干渉することなく Python パッケージのインストールと更新を行うことができます。

venv を参照してください。

virtual machine

(仮想マシン) 完全にソフトウェアにより定義されたコンピュータ。 Python の仮想マシンは、バイトコードコンパイラが出力した バイトコード を実行します。

Zen of Python

(Pythonの悟り) Python を理解し利用する上での導きとなる、Python の設計原則と哲学をリストにしたものです。対話プロンプトで "import this" とするとこのリストを読めます。