19.4. mailbox
--- 様々な形式のメールボックス操作¶
ソースコード: Lib/mailbox.py
このモジュールでは二つのクラス Mailbox
および Message
をディスク上のメールボックスとそこに収められたメッセージへのアクセスと操作のために定義しています。 Mailbox
は辞書のようなキーからメッセージへの対応付けを提供しています。 Message
は email.message
モジュールの Message
を拡張して形式ごとの状態と振る舞いを追加しています。サポートされるメールボックスの形式は Maildir, mbox, MH, Babyl, MMDF です。
参考
email
モジュール- メッセージの表現と操作。
19.4.1. Mailbox
オブジェクト¶
-
class
mailbox.
Mailbox
¶ メールボックス。内容を確認したり変更したりできます。
Mailbox
自体はインタフェースを定義し形式ごとのサブクラスに継承されるように意図されたもので、インスタンス化されることは想定されていません。インスタンス化したいならばサブクラスを代わりに使うべきです。Mailbox
のインタフェースは辞書風で、小さなキーがメッセージに対応します。キーは対象となるMailbox
インスタンスが発行するもので、そのインスタンスに対してのみ意味を持ちます。一つのキーは一つのメッセージにひも付けられ、その対応はメッセージが他のメッセージで置き換えられるような更新をされたあとも続きます。メッセージを
Mailbox
インスタンスに追加するには集合風のメソッドadd()
を使います。また削除はdel
文または集合風のremove()
やdiscard()
を使って行ないます。Mailbox
インタフェースのセマンティクスと辞書のそれとは注意すべき違いがあります。メッセージは、要求されるたびに新しい表現(典型的にはMessage
インスタンス)が現在のメールボックスの状態に基づいて生成されます。同様に、メッセージがMailbox
インスタンスに追加される時も、渡されたメッセージ表現の内容がコピーされます。どちらの場合もMailbox
インスタンスにメッセージ表現への参照は保たれません。デフォルトの
Mailbox
イテレータはメッセージ表現ごとに繰り返すもので、辞書のイテレータのようにキーごとの繰り返しではありません。さらに、繰り返し中のメールボックスを変更することは安全であり整合的に定義されています。イテレータが作られた後にメールボックスに追加されたメッセージはそのイテレータからは見えません。そのイテレータが yield するまえにメールボックスから削除されたメッセージは黙ってスキップされますが、イテレータからのキーを使ったときにはそのキーに対応するメッセージが削除されているならばKeyError
を受け取ることになります。警告
十分な注意を、何か他のプロセスによっても同時に変更される可能性のあるメールボックスを更新する時は、払わなければなりません。そのようなタスクをこなすのに最も安全なメールボックス形式は Maildir で、 mbox のような単一ファイルの形式を並行した書き込みに利用するのは避けるように努力しましょう。メールボックスを更新する場面では、 必ず
lock()
とunlock()
メソッドを、ファイル内のメッセージを読んだり書き込んだり削除したりといった操作をする 前 に、呼び出してロックします。メールボックスをロックし損なうと、メッセージを失ったりメールボックス全体をぐちゃぐちゃにしたりする羽目に陥ります。Mailbox
インスタンスには次のメソッドがあります:-
add
(message)¶ メールボックスに message を追加し、それに割り当てられたキーを返します。
引数 message は
Message
インスタンス、email.message.Message
インスタンス、文字列、バイト文字列、ファイル風オブジェクト (バイナリモードで開かれていなければなりません) を使えます。 message が適切な形式に特化したMessage
サブクラスのインスタンス (例えばメールボックスがmbox
インスタンスのときのmboxMessage
インスタンス) であれば、形式ごとの情報が利用されます。そうでなければ、形式ごとに必要な情報は適当なデフォルトが使われます。バージョン 3.2 で変更: バイナリ入力のサポートが追加されました。
-
remove
(key)¶ -
__delitem__
(key)¶ -
discard
(key)¶ メールボックスから key に対応するメッセージを削除します。
対応するメッセージが無い場合、メソッドが
remove()
または__delitem__()
として呼び出されている時はKeyError
例外が送出されます。しかし、discard()
として呼び出されている場合は例外は発生しません。基づいているメールボックス形式が別のプロセスからの平行した変更をサポートしているならば、このdiscard()
の振る舞いの方が好まれるかもしれません。
-
__setitem__
(key, message)¶ key に対応するメッセージを message で置き換えます。 key に対応しているメッセージが既に無くなっている場合
KeyError
例外が送出されます。add()
と同様に、引数の message にはMessage
インスタンス、email.message.Message
インスタンス、文字列、バイト文字列、ファイル風オブジェクト (バイナリモードで開かれていなければなりません) を使えます。 message が適切な形式に特化したMessage
サブクラスのインスタンス (例えばメールボックスがmbox
インスタンスのときのmboxMessage
インスタンス) であれば、形式ごとの情報が利用されます。そうでなければ、現在 key に対応するメッセージの形式ごとの情報が変更されずに残ります。
-
iterkeys
()¶ -
keys
()¶ iterkeys()
として呼び出されると全てのキーについてのイテレータを返しますが、keys()
として呼び出されるとキーのリストを返します。
-
itervalues
()¶ -
__iter__
()¶ -
values
()¶ itervalues()
または__iter__()
として呼び出されると全てのメッセージの表現についてのイテレータを返しますが、values()
として呼び出されるとその表現のリストを返します。メッセージは適切な形式ごとのMessage
サブクラスのインスタンスとして表現されるのが普通ですが、Mailbox
インスタンスが初期化されるときに指定すればお好みのメッセージファクトリを使うこともできます。注釈
__iter__()
は辞書のそれのようにキーについてのイテレータではありません。
-
iteritems
()¶ -
items
()¶ (key, message) ペア、ただし key はキーで message はメッセージ表現、のイテレータ(
iteritems()
として呼び出された場合)、またはリスト(items()
として呼び出された場合)を返します。メッセージは適切な形式ごとのMessage
サブクラスのインスタンスとして表現されるのが普通ですが、Mailbox
インスタンスが初期化されるときに指定すればお好みのメッセージファクトリを使うこともできます。
-
get
(key, default=None)¶ -
__getitem__
(key)¶ key に対応するメッセージの表現を返します。対応するメッセージが存在しない場合、
get()
として呼び出されたなら default を返しますが、__getitem__()
として呼び出されたならKeyError
例外が送出されます。メッセージは適切な形式ごとのMessage
サブクラスのインスタンスとして表現されるのが普通ですが、Mailbox
スタンスが初期化されるときに指定すればお好みのメッセージファクトリを使うこともできます。
-
get_message
(key)¶ key に対応するメッセージの表現を形式ごとの
Message
サブクラスのインスタンスとして返します。もし対応するメッセージが存在しなければKeyError
例外が送出されます。
-
get_string
(key)¶ key に対応するメッセージの文字列表現を返すか、そのようなメッセージが存在しない場合は
KeyError
例外を送出します。このメッセージはemail.message.Message
を通して処理されて7ビットクリーンな表現へ変換されます。
-
get_file
(key)¶ key に対応するメッセージの表現をファイル風表現として返します。もし対応するメッセージが存在しなければ
KeyError
例外が送出されます。ファイル風オブジェクトはバイナリモードで開かれているように振る舞います。このファイルは必要がなくなったら閉じなければなりません。バージョン 3.2 で変更: ファイルオブジェクトは実際はバイナリファイルです; 以前は誤ってテキストモードで返されていました。 また、現在ファイル風オブジェクトはコンテキストマネージャプロトコルをサポートしています:
with
文を用いることで自動的にファイルを閉じることができます。注釈
他の表現方法とは違い、ファイル風オブジェクトはそれを作り出した
Mailbox
インスタンスやそれが基づいているメールボックスと独立である必要がありません。より詳細な説明は各サブクラスごとにあります。
-
__contains__
(key)¶ key がメッセージに対応していれば
True
を、そうでなければFalse
を返します。
-
__len__
()¶ メールボックス中のメッセージ数を返します。
-
clear
()¶ メールボックスから全てのメッセージを削除します。
-
pop
(key, default=None)¶ key に対応するメッセージの表現を返します。メッセージは適切な形式ごとの
Message
サブクラスのインスタンスとして表現されるのが普通ですが、Mailbox
インスタンスが初期化されるときに指定すればお好みのメッセージファクトリを使うこともできます。
-
popitem
()¶ 任意に選んだ (key, message) ペアを返します。ただしここで key はキーで message はメッセージ表現です。もしメールボックスが空ならば、
KeyError
例外を送出します。メッセージは適切な形式ごとのMessage
サブクラスのインスタンスとして表現されるのが普通ですが、Mailbox
インスタンスが初期化されるときに指定すればお好みのメッセージファクトリを使うこともできます。
-
update
(arg)¶ 引数 arg は key から message へのマッピングまたは (key, message) ペアのイテレート可能オブジェクトでなければなりません。メールボックスは、各 key と message のペアについて
__setitem__()
を使ったかのように key に対応するメッセージが message になるように更新されます。__setitem__()
と同様に、 key は既存のメールボックス中のメッセージに対応しているものでなければならず、そうでなければKeyError
が送出されます。ですから、一般的には arg にMailbox
インスタンスを渡すのは間違いです。注釈
辞書と違い、キーワード引数はサポートされていません。
-
flush
()¶ 保留されている変更をファイルシステムに書き込みます。
Mailbox
のサブクラスによっては変更はいつも直ちにファイルに書き込まれflush()
は何もしないということもありますが、それでもこのメソッドを呼ぶように習慣付けておきましょう。
-
lock
()¶ メールボックスの排他的アドバイザリロックを取得し、他のプロセスが変更しないようにします。ロックが取得できない場合
ExternalClashError
が送出されます。ロック機構はメールボックス形式によって変わります。メールボックスの内容に変更を加えるときは いつも ロックを掛けるべきです。
-
unlock
()¶ メールボックスのロックが存在する場合は解放します。
-
19.4.1.1. Maildir
¶
-
class
mailbox.
Maildir
(dirname, factory=None, create=True)¶ Maildir 形式のメールボックスのための
Mailbox
のサブクラス。パラメータ factory は呼び出し可能オブジェクトで (バイナリモードで開かれているかのように振る舞う)ファイル風メッセージ表現を受け付けて好みの表現を返すものです。 factory がNone
ならば、MaildirMessage
がデフォルトのメッセージ表現として使われます。 create がTrue
ならばメールボックスが存在しないときには作成します。path ではなく dirname と命名される歴史的な理由のためです。
Maildir はディレクトリ型のメールボックス形式でメール転送エージェント qmail 用に発明され、現在では多くの他のプログラムでもサポートされているものです。Maildir メールボックス中のメッセージは共通のディレクトリ構造の下で個別のファイルに保存されます。このデザインにより、Maildir メールボックスは複数の無関係のプログラムからデータを失うことなくアクセスしたり変更したりできます。そのためロックは不要です。
Maildir メールボックスには三つのサブディレクトリ
tmp
,new
,cur
があります。メッセージはまずtmp
サブディレクトリに瞬間的に作られた後、new
サブディレクトリに移動されて配送を完了します。メールユーザエージェントが引き続いてcur
サブディレクトリにメッセージを移動しメッセージの状態についての情報をファイル名に追加される特別な "info" セクションに保存することができます。Courier メール転送エージェントによって導入されたスタイルのフォルダもサポートされます。主たるメールボックスのサブディレクトリは
'.'
がファイル名の先頭であればフォルダと見なされます。フォルダ名はMaildir
によって先頭の'.'
を除いて表現されます。各フォルダはまた Maildir メールボックスですがさらにフォルダを含むことはできません。その代わり、論理的包含関係は例えば "Archived.2005.07" のような'.'
を使ったレベル分けで表わされます。注釈
本来の Maildir 仕様ではある種のメッセージのファイル名にコロン (
':'
) を使う必要があります。しかしながら、オペレーティングシステムによってはこの文字をファイル名に含めることができないことがあります。そういった環境で Maildir のような形式を使いたい場合、代わりに使われる文字を指定する必要があります。感嘆符 ('!'
) を使うのが一般的な選択です。以下の例を見てください:import mailbox mailbox.Maildir.colon = '!'
colon
属性はインスタンスごとにセットしても構いません。Maildir
インスタンスにはMailbox
の全てのメソッドに加え以下のメソッドもあります:-
list_folders
()¶ 全てのフォルダ名のリストを返します。
-
get_folder
(folder)¶ 名前が folder であるフォルダを表わす
Maildir
インスタンスを返します。そのようなフォルダが存在しなければNoSuchMailboxError
例外が送出されます。
-
remove_folder
(folder)¶ 名前が folder であるフォルダを削除します。もしフォルダに一つでもメッセージが含まれていれば
NotEmptyError
例外が送出されフォルダは削除されません。
-
clean
()¶ 過去36時間以内にアクセスされなかったメールボックス内の一時ファイルを削除します。Maildir 仕様はメールを読むプログラムはときどきこの作業をすべきだとしています。
Maildir
で実装されたMailbox
のいくつかのメソッドには特別な注意が必要です:-
add
(message)¶ -
__setitem__
(key, message)¶ -
update
(arg)¶ 警告
これらのメソッドは一意的なファイル名をプロセスIDに基づいて生成します。複数のスレッドを使う場合は、同じメールボックスを同時に操作しないようにスレッド間で調整しておかないと検知されない名前の衝突が起こりメールボックスを壊すかもしれません。
-
flush
()¶ Maildir メールボックスへの変更は即時に適用されるので、このメソッドは何もしません。
-
get_file
(key)¶ ホストのプラットフォームによっては、返されたファイルが開いている間、元になったメッセージを変更したり削除したりできない場合があります。
-
参考
- qmail の maildir マニュアルページ
- Maildir 形式のオリジナルの仕様。
- Using maildir format
- Maildir 形式の発明者による注意書き。更新された名前生成規則と "info" の解釈についても含まれます。
- Courier の maildir マニュアルページ
- Maildir 形式のもう一つの仕様。フォルダをサポートする一般的な拡張について記述されています。
19.4.1.2. mbox
¶
-
class
mailbox.
mbox
(path, factory=None, create=True)¶ mbox 形式のメールボックスのための
Mailbox
のサブクラス。パラメータ factory は呼び出し可能オブジェクトで (バイナリモードで開かれているかのように振る舞う)ファイル風メッセージ表現を受け付けて好みの表現を返すものです。 factory がNone
ならば、mboxMessage
がデフォルトのメッセージ表現として使われます。 create がTrue
ならばメールボックスが存在しないときには作成します。mbox 形式は Unixシステム上でメールを保存する古くからある形式です。mbox メールボックスでは全てのメッセージが一つのファイルに保存されておりそれぞれのメッセージは "From " という5文字で始まる行を先頭に付けられています。
mbox 形式には幾つかのバリエーションがあり、それぞれオリジナルの形式にあった欠点を克服すると主張しています。互換性のために、
mbox
はオリジナルの(時に mboxo と呼ばれる) 形式を実装しています。すなわち、 Content-Length ヘッダはもしあっても無視され、メッセージのボディにある行頭の "From " はメッセージを保存する際に ">From " に変換されますが、この ">From " は読み出し時にも "From " に変換されません。
参考
- qmail の mbox マニュアルページ
- mbox 形式の仕様および種々のバリエーション。
- tin の mbox マニュアルページ
- もう一つの mbox 形式の仕様でロックについての詳細を含む。
- Configuring Netscape Mail on Unix: Why The Content-Length Format is Bad
- バリエーションの一つではなくオリジナルの mbox を使う理由。
- "mbox" is a family of several mutually incompatible mailbox formats
- mbox バリエーションの歴史。
19.4.1.3. MH
¶
-
class
mailbox.
MH
(path, factory=None, create=True)¶ MH 形式のメールボックスのための
Mailbox
のサブクラス。パラメータ factory は呼び出し可能オブジェクトで (バイナリモードで開かれているかのように振る舞う)ファイル風メッセージ表現を受け付けて好みの表現を返すものです。 factory がNone
ならば、MHMessage
がデフォルトのメッセージ表現として使われます。 create がTrue
ならばメールボックスが存在しないときには作成します。MH はディレクトリに基づいたメールボックス形式で MH Message Handling System というメールユーザエージェントのために発明されました。 MH メールボックス中のそれぞれのメッセージは一つのファイルとして収められています。 MH メールボックスにはメッセージの他に別の MH メールボックス (フォルダ と呼ばれます)を含んでもかまいません。フォルダは無限にネストできます。 MH メールボックスにはもう一つ シーケンス という名前付きのリストでメッセージをサブフォルダに移動することなく論理的に分類するものがサポートされています。シーケンスは各フォルダの
.mh_sequences
というファイルで定義されます。MH
クラスは MH メールボックスを操作しますが、 mh の動作の全てを模倣しようとはしていません。特に、 mh が状態と設定を保存するcontext
や.mh_profile
といったファイルは書き換えませんし影響も受けません。MH
インスタンスにはMailbox
の全てのメソッドの他に次のメソッドがあります:-
list_folders
()¶ 全てのフォルダ名のリストを返します。
-
get_folder
(folder)¶ folder という名前のフォルダを表わす
MH
インスタンスを返します。もしフォルダが存在しなければNoSuchMailboxError
例外が送出されます。
-
remove_folder
(folder)¶ 名前が folder であるフォルダを削除します。もしフォルダに一つでもメッセージが含まれていれば
NotEmptyError
例外が送出されフォルダは削除されません。
-
get_sequences
()¶ folder という名前のフォルダを削除します。フォルダにメッセージが一つでも残っていれば、
NotEmptyError
例外が送出されフォルダは削除されません。
-
set_sequences
(sequences)¶ シーケンス名をキーのリストに対応付ける辞書を返します。シーケンスが一つもなければ空の辞書を返します。
-
pack
()¶ メールボックス中のシーケンスを
get_sequences()
で返されるような名前とキーのリストを対応付ける辞書 sequences に基づいて再定義します。注釈
番号付けの間隔を詰める必要に応じてメールボックス中のメッセージの名前を付け替えます。シーケンスのリストのエントリもそれに応じて更新されます。
既に発行されたキーはこの操作によって無効になるのでそれ以降使ってはなりません:
-
remove
(key)¶ -
__delitem__
(key)¶ -
discard
(key)¶ これらのメソッドはメッセージを直ちに削除します。名前の前にコンマを付加してメッセージに削除の印を付けるという MH の規約は使いません。
-
lock
()¶ -
unlock
()¶ 3種類のロック機構が使われます --- ドットロッキングと、もし使用可能ならば
flock()
とlockf()
システムコールです。 MH メールボックスに対するロックとは.mh_sequences
のロックと、それが影響を与える操作中だけの個々のメッセージファイルに対するロックを意味します。
-
get_file
(key)¶ ホストプラットフォームにより、ファイルが開かれたままの場合はメッセージを削除することができない場合があります。
-
flush
()¶ MH メールボックスへの変更は即時に適用されますのでこのメソッドは何もしません。
-
参考
- nmh - Message Handling System
- mh の改良版である nmh のホームページ。
- MH & nmh: Email for Users & Programmers
- GPLライセンスの mh および nmh の本で、このメールボックス形式についての情報があります。
19.4.1.4. Babyl
¶
-
class
mailbox.
Babyl
(path, factory=None, create=True)¶ Babyl 形式のメールボックスのための
Mailbox
のサブクラス。パラメータ factory は呼び出し可能オブジェクトで (バイナリモードで開かれているかのように振る舞う)ファイル風メッセージ表現を受け付けて好みの表現を返すものです。 factory がNone
ならば、BabylMessage
がデフォルトのメッセージ表現として使われます。 create がTrue
ならばメールボックスが存在しないときには作成します。Babyl は単一ファイルのメールボックス形式で Emacs に付属している Rmail メールユーザエージェントで使われているものです。メッセージの開始は Control-Underscore (
'\037'
) および Control-L ('\014'
) の二文字を含む行で示されます。メッセージの終了は次のメッセージの開始または最後のメッセージの場合には Control-Underscore を含む行で示されます。Babyl メールボックス中のメッセージには二つのヘッダのセット、オリジナルヘッダといわゆる可視ヘッダ、があります。可視ヘッダは典型的にはオリジナルヘッダの一部を分り易いように再整形したり短くしたりしたものです。 Babyl メールボックス中のそれぞれのメッセージには ラベル というそのメッセージについての追加情報を記録する短い文字列のリストを伴い、メールボックス中に見出されるユーザが定義した全てのラベルのリストは Babyl オプションセクションに保持されます。
Babyl
インスタンスにはMailbox
の全てのメソッドの他に次のメソッドがあります:-
get_labels
()¶ メールボックスで使われているユーザが定義した全てのラベルのリストを返します。
注釈
メールボックスにどのようなラベルが存在するかを決めるのに、Babyl オプションセクションのリストを参考にせず、実際のメッセージを捜索しますが、Babyl セクションもメールボックスが変更されたときにはいつでも更新されます。
Babyl
で実装されたMailbox
のいくつかのメソッドには特別な注意が必要です:-
get_file
(key)¶ Babyl メールボックスにおいて、メッセージのヘッダはボディと繋がって格納されていません。ファイル風の表現を生成するために、ヘッダとボディがファイルと同じ API を持つ
io.BytesIO
インスタンスに一緒にコピーされます。その結果、ファイル風オブジェクトは元にしているメールボックスとは真に独立していますが、文字列表現と比べてメモリーを節約することにはなりません。
-
参考
- Format of Version 5 Babyl Files
- Babyl 形式の仕様。
- Reading Mail with Rmail
- Rmail のマニュアルで Babyl のセマンティクスについての情報も少しある。
19.4.1.5. MMDF
¶
-
class
mailbox.
MMDF
(path, factory=None, create=True)¶ MMDF 形式のメールボックスのための
Mailbox
のサブクラス。パラメータ factory は呼び出し可能オブジェクトで (バイナリモードで開かれているかのように振る舞う)ファイル風メッセージ表現を受け付けて好みの表現を返すものです。 factory がNone
ならば、MMDFMessage
がデフォルトのメッセージ表現として使われます。 create がTrue
ならばメールボックスが存在しないときには作成します。MMDF は単一ファイルのメールボックス形式で Multichannel Memorandum Distribution Facility というメール転送エージェント用に発明されたものです。各メッセージは mbox と同様の形式で収められますが、前後を4つの Control-A (
'\001'
) を含む行で挟んであります。mbox 形式と同じようにそれぞれのメッセージの開始は "From " の5文字を含む行で示されますが、それ以外の場所での "From " は格納の際 ">From " には変えられません。それは追加されたメッセージ区切りによって新たなメッセージの開始と見間違うことが避けられるからです。
参考
- mmdf man page from tin
- ニュースリーダ tin のドキュメント中の MMDF 形式仕様。
- MMDF
- Multichannel Memorandum Distribution Facility についてのウィキペディアの記事。
19.4.2. Message
objects¶
-
class
mailbox.
Message
(message=None)¶ email.message
モジュールのMessage
のサブクラス。mailbox.Message
のサブクラスはメールボックス形式ごとの状態と動作を追加します。message が省略された場合、新しいインスタンスはデフォルトの空の状態で生成されます。 message が
email.message.Message
インスタンスならばその内容がコピーされます。さらに、 message がMessage
インスタンスならば、形式固有の情報も可能な限り変換されます。 message が文字列かバイト列またはファイルならば、読まれ解析されるべき RFC 2822 準拠のメッセージを含んでいなければなりません。ファイルはバイナリモードで開かれているべきですが、後方互換性のためテキストモードファイルも受け付けます。サブクラスにより提供される形式ごとの状態と動作は様々ですが、一般に或るメールボックスに固有のものでないプロパティだけがサポートされます(おそらくプロパティのセットはメールボックス形式ごとに固有でしょうが)。例えば、単一ファイルメールボックス形式におけるファイルオフセットやディレクトリ式メールボックス形式におけるファイル名は保持されません、というのもそれらは元々のメールボックスにしか適用できないからです。しかし、メッセージがユーザに読まれたかどうかあるいは重要だとマークされたかどうかという状態は保持されます、というのはそれらはメッセージ自体に適用されるからです。
Mailbox
インスタンスを使って取得したメッセージを表現するのにMessage
インスタンスが使われなければいけないとは要求していません。ある種の状況ではMessage
による表現を生成するのに必要な時間やメモリーが受け入れられないこともあります。そういった状況ではMailbox
インスタンスは文字列やファイル風オブジェクトの表現も提供できますし、Mailbox
インスタンスを初期化する際にメッセージファクトリーを指定することもできます。
19.4.2.1. MaildirMessage
¶
-
class
mailbox.
MaildirMessage
(message=None)¶ Maildir 固有の動作をするメッセージ。引数 message は
Message
のコンストラクタと同じ意味を持ちます。通常、メールユーザエージェントは
new
サブディレクトリにある全てのメッセージをユーザが最初にメールボックスを開くか閉じるかした後でcur
サブディレクトリに移動し、メッセージが実際に読まれたかどうかを記録します。cur
にある各メッセージには状態情報を保存するファイル名に付け加えられた "info" セクションがあります。(メールリーダの中には "info" セクションをnew
にあるメッセージに付けることもあります。) "info" セクションには二つの形式があります。一つは "2," の後に標準化されたフラグのリストを付けたもの (たとえば "2,FR")、もう一つは "1," の後にいわゆる実験的情報を付け加えるものです。 Maildir の標準的なフラグは以下の通りです:Flag 意味 説明 D ドラフト(Draft) 作成中 F フラグ付き(Flagged) 重要とされたもの P 通過(Passed) 転送、再送またはバウンス R 返答済み(Replied) 返答されたもの S 既読(Seen) 読んだもの T ごみ(Trashed) 削除予定とされたもの MaildirMessage
インスタンスは以下のメソッドを提供します:-
get_subdir
()¶ "new" (メッセージが
new
サブディレクトリに保存されるべき場合) または "cur" (メッセージがcur
サブディレクトリに保存されるべき場合)のどちらかを返します。注釈
メッセージは通常メールボックスがアクセスされた後、メッセージが読まれたかどうかに関わらず
new
からcur
に移動されます。メッセージmsg
は"S" in msg.get_flags()
がTrue
ならば読まれています。
-
set_subdir
(subdir)¶ メッセージが保存されるべきサブディレクトリをセットします。パラメータ subdir は "new" または "cur" のいずれかでなければなりません。
-
get_flags
()¶ 現在セットされているフラグを特定する文字列を返します。メッセージが標準 Maildir 形式に準拠しているならば、結果はアルファベット順に並べられたゼロまたは1回の
'D'
、'F'
、'P'
、'R'
、'S'
、'T'
をつなげたものです。空文字列が返されるのはフラグが一つもない場合、または "info" が実験的セマンティクスを使っている場合です。
-
set_flags
(flags)¶ flags で指定されたフラグをセットし、他のフラグは下ろします。
-
add_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグをセットしますが他のフラグは変えません。一度に二つ以上のフラグをセットすることは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。現在の "info" はフラグの代わりに実験的情報を使っていても上書きされます。
-
remove_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグを下ろしますが他のフラグは変えません。一度に二つ以上のフラグを取り除くことは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。"info" がフラグの代わりに実験的情報を使っている場合は現在の "info" は書き換えられません。
-
get_date
()¶ メッセージの配送日時をエポックからの秒数を表わす浮動小数点数で返します。
-
set_date
(date)¶ メッセージの配送日時を date にセットします。date はエポックからの秒数を表わす浮動小数点数です。
-
get_info
()¶ メッセージの "info" を含む文字列を返します。このメソッドは実験的 (即ちフラグのリストでない) "info" にアクセスし、また変更するのに役立ちます。
-
set_info
(info)¶ "info" に文字列 info をセットします。
-
MaildirMessage
インスタンスが mboxMessage
や MMDFMessage
のインスタンスに基づいて生成されるとき、 Status および X-Status ヘッダは省かれ以下の変換が行われます:
結果の状態 | mboxMessage または MMDFMessage の状態 |
---|---|
"cur" サブディレクトリ | O フラグ |
F フラグ | F フラグ |
R フラグ | A フラグ |
S フラグ | R フラグ |
T フラグ | D フラグ |
MaildirMessage
インスタンスが MHMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MHMessage の状態 |
---|---|
"cur" サブディレクトリ | "unseen" シーケンス |
"cur" サブディレクトリおよび S フラグ | "unseen" シーケンス無し |
F フラグ | "flagged" シーケンス |
R フラグ | "replied" シーケンス |
MaildirMessage
インスタンスが BabylMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | BabylMessage の状態 |
---|---|
"cur" サブディレクトリ | "unseen" ラベル |
"cur" サブディレクトリおよび S フラグ | "unseen" ラベル無し |
P フラグ | "forwarded" または "resent" ラベル |
R フラグ | "answered" ラベル |
T フラグ | "deleted" ラベル |
19.4.2.2. mboxMessage
¶
-
class
mailbox.
mboxMessage
(message=None)¶ mbox 固有の動作をするメッセージ。引数 message は
Message
のコンストラクタと同じ意味を持ちます。mbox メールボックス中のメッセージは単一ファイルにまとめて格納されています。送り主のエンベロープアドレスおよび配送日時は通常メッセージの開始を示す "From " から始まる行に記録されますが、正確なフォーマットに関しては mbox の実装ごとに大きな違いがあります。メッセージの状態を示すフラグ、たとえば読んだかどうかあるいは重要だとマークを付けられているかどうかといったようなもの、は典型的には Status および X-Status に収められます。
規定されている mbox メッセージのフラグは以下の通りです:
Flag 意味 説明 R 読んだもの 読んだもの O 古い(Old) 以前に MUA に発見された D 削除(Deleted) 削除予定とされたもの F フラグ付き(Flagged) 重要とされたもの A 返答済み(Answered) 返答されたもの "R" および "O" フラグは Status ヘッダに記録され、 "D"、"F"、"A" フラグは X-Status ヘッダに記録されます。フラグとヘッダは通常記述された順番に出現します。
mboxMessage
インスタンスは以下のメソッドを提供します:-
get_from
()¶ mbox メールボックスのメッセージの開始を示す "From " 行を表わす文字列を返します。先頭の "From " および末尾の改行は含まれません。
-
set_from
(from_, time_=None)¶ "From " 行を from_ にセットします。 from_ は先頭の "From " や末尾の改行を含まない形で指定しなければなりません。利便性のために、 time_ を指定して適切に整形して from_ に追加させることができます。 time_ を指定する場合、それは
time.struct_time
インスタンス、time.strftime()
に渡すのに適したタプル、またはTrue
(この場合time.gmtime()
を使います) のいずれかでなければなりません。
-
get_flags
()¶ 現在セットされているフラグを特定する文字列を返します。メッセージが規定された形式に準拠しているならば、結果は次の順に並べられた 0回か1回の
'R'
、'O'
、'D'
、'F'
、'A'
です。
-
set_flags
(flags)¶ flags で指定されたフラグをセットして、他のフラグは下ろします。flags は並べられたゼロまたは1回の
'R'
、'O'
、'D'
、'F'
、'A'
です。
-
add_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグをセットしますが他のフラグは変えません。一度に二つ以上のフラグをセットすることは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。
-
remove_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグを下ろしますが他のフラグは変えません。一二つ以上のフラグを取り除くことは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。
-
mboxMessage
インスタンスが MaildirMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、 MaildirMessage
インスタンスの配送日時に基づいて "From " 行が作り出され、次の変換が行われます:
結果の状態 | MaildirMessage の状態 |
---|---|
R フラグ | S フラグ |
O フラグ | "cur" サブディレクトリ |
D フラグ | T フラグ |
F フラグ | F フラグ |
A フラグ | R フラグ |
mboxMessage
インスタンスが MHMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MHMessage の状態 |
---|---|
R フラグおよび O フラグ | "unseen" シーケンス無し |
O フラグ | "unseen" シーケンス |
F フラグ | "flagged" シーケンス |
A フラグ | "replied" シーケンス |
mboxMessage
インスタンスが BabylMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | BabylMessage の状態 |
---|---|
R フラグおよび O フラグ | "unseen" ラベル無し |
O フラグ | "unseen" ラベル |
D フラグ | "deleted" ラベル |
A フラグ | "answered" ラベル |
mboxMessage
インスタンスが MMDFMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、"From " 行はコピーされ全てのフラグは直接対応します:
結果の状態 | MMDFMessage の状態 |
---|---|
R フラグ | R フラグ |
O フラグ | O フラグ |
D フラグ | D フラグ |
F フラグ | F フラグ |
A フラグ | A フラグ |
19.4.2.3. MHMessage
¶
-
class
mailbox.
MHMessage
(message=None)¶ MH 固有の動作をするメッセージ。引数 message は
Message
のコンストラクタと同じ意味を持ちます。MH メッセージは伝統的な意味あいにおいてマークやフラグをサポートしません。しかし、MH メッセージにはシーケンスがあり任意のメッセージを論理的にグループ分けできます。いくつかのメールソフト(標準の mh や nmh はそうではありませんが) は他の形式におけるフラグとほぼ同じようにシーケンスを使います:
シーケンス 説明 unseen 読んではいないが既にMUAに見つけられている replied 返答されたもの flagged 重要とされたもの MHMessage
インスタンスは以下のメソッドを提供します:-
get_sequences
()¶ このメッセージを含むシーケンスの名前のリストを返す。
-
set_sequences
(sequences)¶ このメッセージを含むシーケンスのリストをセットする。
-
add_sequence
(sequence)¶ sequence をこのメッセージを含むシーケンスのリストに追加する。
-
remove_sequence
(sequence)¶ sequence をこのメッセージを含むシーケンスのリストから除く。
-
MHMessage
インスタンスが MaildirMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MaildirMessage の状態 |
---|---|
"unseen" シーケンス | S フラグ無し |
"replied" シーケンス | R フラグ |
"flagged" シーケンス | F フラグ |
MHMessage
インスタンスが mboxMessage
や MMDFMessage
のインスタンスに基づいて生成されるとき、 Status および X-Status ヘッダは省かれ以下の変換が行われます:
結果の状態 | mboxMessage または MMDFMessage の状態 |
---|---|
"unseen" シーケンス | R フラグ無し |
"replied" シーケンス | A フラグ |
"flagged" シーケンス | F フラグ |
MHMessage
インスタンスが BabylMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | BabylMessage の状態 |
---|---|
"unseen" シーケンス | "unseen" ラベル |
"replied" シーケンス | "answered" ラベル |
19.4.2.4. BabylMessage
¶
-
class
mailbox.
BabylMessage
(message=None)¶ Babyl 固有の動作をするメッセージ。引数 message は
Message
のコンストラクタと同じ意味を持ちます。ある種のメッセージラベルは アトリビュート と呼ばれ、規約により特別な意味が与えられています。アトリビュートは以下の通りです:
ラベル 説明 unseen 読んではいないが既にMUAに見つけられている deleted 削除予定とされたもの filed 他のファイルまたはメールボックスにコピーされた answered 返答されたもの forwarded 転送された edited ユーザによって変更された resent 再送された デフォルトでは Rmail は可視ヘッダのみ表示します。
BabylMessage
クラスはしかし、オリジナルヘッダをより完全だという理由で使います。可視ヘッダは望むならそのように指示してアクセスすることができます。BabylMessage
インスタンスは以下のメソッドを提供します:-
get_labels
()¶ メッセージに付いているラベルのリストを返します。
-
set_labels
(labels)¶ メッセージに付いているラベルのリストを labels にセットします。
-
add_label
(label)¶ メッセージに付いているラベルのリストに label を追加します。
-
remove_label
(label)¶ メッセージに付いているラベルのリストから label を削除します。
-
set_visible
(visible)¶ メッセージの可視ヘッダを visible のヘッダと同じにセットします。引数 visible は
Message
インスタンスまたはemail.message.Message
インスタンス、文字列、ファイル風オブジェクト(テキストモードで開かれてなければなりません)のいずれかです。
-
update_visible
()¶ BabylMessage
インスタンスのオリジナルヘッダが変更されたとき、可視ヘッダは自動的に対応して変更されるわけではありません。このメソッドは可視ヘッダを以下のように更新します。対応するオリジナルヘッダのある可視ヘッダはオリジナルヘッダの値がセットされます。対応するオリジナルヘッダの無い可視ヘッダは除去されます。そして、オリジナルヘッダにあって可視ヘッダに無い Date 、 From 、 Reply-To 、 To 、 CC 、 Subject は可視ヘッダに追加されます。
-
BabylMessage
インスタンスが MaildirMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MaildirMessage の状態 |
---|---|
"unseen" ラベル | S フラグ無し |
"deleted" ラベル | T フラグ |
"answered" ラベル | R フラグ |
"forwarded" ラベル | P フラグ |
BabylMessage
インスタンスが mboxMessage
や MMDFMessage
のインスタンスに基づいて生成されるとき、 Status および X-Status ヘッダは省かれ以下の変換が行われます:
結果の状態 | mboxMessage または MMDFMessage の状態 |
---|---|
"unseen" ラベル | R フラグ無し |
"deleted" ラベル | D フラグ |
"answered" ラベル | A フラグ |
BabylMessage
インスタンスが MHMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MHMessage の状態 |
---|---|
"unseen" ラベル | "unseen" シーケンス |
"answered" ラベル | "replied" シーケンス |
19.4.2.5. MMDFMessage
¶
-
class
mailbox.
MMDFMessage
(message=None)¶ MMDF 固有の動作をするメッセージ。引数 message は
Message
のコンストラクタと同じ意味を持ちます。mbox メールボックスのメッセージと同様に、MMDF メッセージは送り主のアドレスと配送日時が最初の "From " で始まる行に記録されています。同様に、メッセージの状態を示すフラグは通常 Status および X-Status ヘッダに収められています。
よく使われる MMDF メッセージのフラグは mbox メッセージのものと同一で以下の通りです:
Flag 意味 説明 R 読んだもの 読んだもの O 古い(Old) 以前に MUA に発見された D 削除(Deleted) 削除予定とされたもの F フラグ付き(Flagged) 重要とされたもの A 返答済み(Answered) 返答されたもの "R" および "O" フラグは Status ヘッダに記録され、 "D"、"F"、"A" フラグは X-Status ヘッダに記録されます。フラグとヘッダは通常記述された順番に出現します。
MMDFMessage
インスタンスはmboxMessage
インスタンスと同一の以下のメソッドを提供します:-
get_from
()¶ mbox メールボックスのメッセージの開始を示す "From " 行を表わす文字列を返します。先頭の "From " および末尾の改行は含まれません。
-
set_from
(from_, time_=None)¶ "From " 行を from_ にセットします。 from_ は先頭の "From " や末尾の改行を含まない形で指定しなければなりません。利便性のために、 time_ を指定して適切に整形して from_ に追加させることができます。 time_ を指定する場合、それは
time.struct_time
インスタンス、time.strftime()
に渡すのに適したタプル、またはTrue
(この場合time.gmtime()
を使います) のいずれかでなければなりません。
-
get_flags
()¶ 現在セットされているフラグを特定する文字列を返します。メッセージが規定された形式に準拠しているならば、結果は次の順に並べられた 0回か1回の
'R'
、'O'
、'D'
、'F'
、'A'
です。
-
set_flags
(flags)¶ flags で指定されたフラグをセットして、他のフラグは下ろします。flags は並べられたゼロまたは1回の
'R'
、'O'
、'D'
、'F'
、'A'
です。
-
add_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグをセットしますが他のフラグは変えません。一度に二つ以上のフラグをセットすることは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。
-
remove_flag
(flag)¶ flag で指定されたフラグを下ろしますが他のフラグは変えません。一二つ以上のフラグを取り除くことは、flag に2文字以上の文字列を指定すればできます。
-
MMDFMessage
インスタンスが MaildirMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、"From"行が MaildirMessage
インスタンスの配信日をもとに生成され、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MaildirMessage の状態 |
---|---|
R フラグ | S フラグ |
O フラグ | "cur" サブディレクトリ |
D フラグ | T フラグ |
F フラグ | F フラグ |
A フラグ | R フラグ |
MMDFMessage
インスタンスが MHMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | MHMessage の状態 |
---|---|
R フラグおよび O フラグ | "unseen" シーケンス無し |
O フラグ | "unseen" シーケンス |
F フラグ | "flagged" シーケンス |
A フラグ | "replied" シーケンス |
MMDFMessage
インスタンスが BabylMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、以下の変換が行われます:
結果の状態 | BabylMessage の状態 |
---|---|
R フラグおよび O フラグ | "unseen" ラベル無し |
O フラグ | "unseen" ラベル |
D フラグ | "deleted" ラベル |
A フラグ | "answered" ラベル |
MMDFMessage
インスタンスが mboxMessage
インスタンスに基づいて生成されるとき、"From"行がコピーされ、全てのフラグが直接対応します:
結果の状態 | mboxMessage の状態 |
---|---|
R フラグ | R フラグ |
O フラグ | O フラグ |
D フラグ | D フラグ |
F フラグ | F フラグ |
A フラグ | A フラグ |
19.4.3. 例外¶
mailbox
モジュールでは以下の例外クラスが定義されています:
-
exception
mailbox.
Error
¶ 他の全てのモジュール固有の例外の基底クラス。
-
exception
mailbox.
NoSuchMailboxError
¶ メールボックスがあると思っていたが見つからなかった場合に送出されます。これはたとえば
Mailbox
のサブクラスを存在しないパスでインスタンス化しようとしたとき(かつ create パラメータはFalse
であった場合)、あるいは存在しないフォルダを開こうとした時などに発生します。
-
exception
mailbox.
NotEmptyError
¶ メールボックスが空であることを期待されているときに空でない場合、たとえばメッセージの残っているフォルダを削除しようとした時などに送出されます。
-
exception
mailbox.
ExternalClashError
¶ メールボックスに関係したある条件がプログラムの制御を外れてそれ以上作業を続けられなくなった場合、たとえば他のプログラムが既に保持しているロックを取得しようとして失敗したとき、あるいは一意的に生成されたファイル名が既に存在していた場合などに送出されます。
19.4.4. 使用例¶
メールボックス中の面白そうなメッセージのサブジェクトを全て印字する簡単な例:
import mailbox
for message in mailbox.mbox('~/mbox'):
subject = message['subject'] # Could possibly be None.
if subject and 'python' in subject.lower():
print(subject)
Babyl メールボックスから MH メールボックスへ全てのメールをコピーし、変換可能な全ての形式固有の情報を変換する:
import mailbox
destination = mailbox.MH('~/Mail')
destination.lock()
for message in mailbox.Babyl('~/RMAIL'):
destination.add(mailbox.MHMessage(message))
destination.flush()
destination.unlock()
この例は幾つかのメーリングリストのメールをソートするものです。他のプログラムと平行して変更を加えることでメールが破損したり、プログラムを中断することでメールを失ったり、はたまた半端なメッセージがメールボックス中にあることで途中で終了してしまう、といったことを避けるように注意深く扱っています:
import mailbox
import email.errors
list_names = ('python-list', 'python-dev', 'python-bugs')
boxes = {name: mailbox.mbox('~/email/%s' % name) for name in list_names}
inbox = mailbox.Maildir('~/Maildir', factory=None)
for key in inbox.iterkeys():
try:
message = inbox[key]
except email.errors.MessageParseError:
continue # The message is malformed. Just leave it.
for name in list_names:
list_id = message['list-id']
if list_id and name in list_id:
# Get mailbox to use
box = boxes[name]
# Write copy to disk before removing original.
# If there's a crash, you might duplicate a message, but
# that's better than losing a message completely.
box.lock()
box.add(message)
box.flush()
box.unlock()
# Remove original message
inbox.lock()
inbox.discard(key)
inbox.flush()
inbox.unlock()
break # Found destination, so stop looking.
for box in boxes.itervalues():
box.close()