11.3. fileinput
--- 複数の入力ストリームをまたいだ行の繰り返し処理をサポートする¶
ソースコード: Lib/fileinput.py
このモジュールは標準入力やファイルの並びにまたがるループを素早く書くためのヘルパークラスと関数を提供しています。単一のファイルを読み書きしたいだけなら、 open()
を参照してください。
典型的な使い方は以下の通りです:
import fileinput
for line in fileinput.input():
process(line)
このプログラムは sys.argv[1:]
に含まれる全てのファイルをまたいで繰り返します。もし該当するものがなければ、 sys.stdin
がデフォルトとして扱われます。ファイル名として '-'
が与えられた場合も、 sys.stdin
に置き換えられます。別のファイル名リストを使いたい時には、 input()
の最初の引数にリストを与えます。単一ファイル名の文字列も受け付けます。
全てのファイルはデフォルトでテキストモードでオープンされます。しかし、 input()
や FileInput
をコールする際に mode パラメータを指定すれば、これをオーバーライドすることができます。オープン中あるいは読み込み中にI/Oエラーが発生した場合には、 OSError
が発生します。
sys.stdin
が2回以上使われた場合は、2回目以降は行を返しません。ただしインタラクティブに利用している時や明示的にリセット (sys.stdin.seek(0)
を使う) を行った場合はその限りではありません。
空のファイルは開いた後すぐ閉じられます。空のファイルはファイル名リストの最後にある場合にしか外部に影響を与えません。
ファイルの各行は、各種改行文字まで含めて返されます。ファイルの最後が改行文字で終っていない場合には、改行文字で終わらない行が返されます。
ファイルのオープン方法を制御するためのオープン時フックは、 fileinput.input()
あるいは FileInput()
の openhook パラメータで設定します。このフックは、ふたつの引数 filename と mode をとる関数でなければなりません。そしてその関数の返り値はオープンしたファイルオブジェクトとなります。このモジュールには、便利なフックが既に用意されています。
以下の関数がこのモジュールの基本的なインタフェースです:
-
fileinput.
input
(files=None, inplace=False, backup='', bufsize=0, mode='r', openhook=None)¶ FileInput
クラスのインスタンスを作ります。生成されたインスタンスは、このモジュールの関数群が利用するグローバルな状態として利用されます。この関数への引数はFileInput
クラスのコンストラクタへ渡されます。FileInput
のインスタンスはwith
文の中でコンテキストマネージャーとして使用することができます。以下の例では、仮に例外が生じてもwith
文から抜けた後で input は閉じられます:with fileinput.input(files=('spam.txt', 'eggs.txt')) as f: for line in f: process(line)
バージョン 3.2 で変更: コンテキストマネージャとして使うことができるようになりました。
バージョン 3.5.2 で変更: The bufsize parameter is no longer used.
以下の関数は fileinput.input()
関数によって作られたグローバルな状態を利用します。アクティブな状態が無い場合には、 RuntimeError
が発生します。
-
fileinput.
filename
()¶ 現在読み込み中のファイル名を返します。一行目が読み込まれる前は
None
を返します。
-
fileinput.
fileno
()¶ 現在のファイルの "ファイル記述子" を整数値で返します。ファイルがオープンされていない場合 (最初の行の前、ファイルとファイルの間) は
-1
を返します。
-
fileinput.
lineno
()¶ 最後に読み込まれた行の、累積した行番号を返します。1行目が読み込まれる前は
0
を返します。最後のファイルの最終行が読み込まれた後には、その行の行番号を返します。
-
fileinput.
filelineno
()¶ 現在のファイル中での行番号を返します。1行目が読み込まれる前は
0
を返します。最後のファイルの最終行が読み込まれた後には、その行のファイル中での行番号を返します。
-
fileinput.
isfirstline
()¶ 最後に読み込まれた行がファイルの 1 行目なら True、そうでなければ False を返します。
-
fileinput.
isstdin
()¶ 最後に読み込まれた行が
sys.stdin
から読まれていれば True、そうでなければFalseを返します。
-
fileinput.
nextfile
()¶ 現在のファイルを閉じます。次の繰り返しでは(存在すれば)次のファイルの最初の行が読み込まれます。閉じたファイルの読み込まれなかった行は、累積の行数にカウントされません。ファイル名は次のファイルの最初の行が読み込まれるまで変更されません。最初の行の読み込みが行われるまでは、この関数は呼び出されても何もしませんので、最初のファイルをスキップするために利用することはできません。最後のファイルの最終行が読み込まれた後にも、この関数は呼び出されても何もしません。
-
fileinput.
close
()¶ シーケンスを閉じます。
このモジュールのシーケンスの振舞いを実装しているクラスのサブクラスを作ることもできます:
-
class
fileinput.
FileInput
(files=None, inplace=False, backup='', bufsize=0, mode='r', openhook=None)¶ FileInput
クラスはモジュールの関数に対応するメソッドfilename()
、fileno()
、lineno()
、filelineno()
、isfirstline()
、isstdin()
、nextfile()
およびclose()
を実装しています。それに加えて、次の入力行を返すreadline()
メソッドと、シーケンスの振舞いの実装をしている__getitem__()
メソッドがあります。シーケンスはシーケンシャルに読み込むことしかできません。つまりランダムアクセスとreadline()
を混在させることはできません。mode を使用すると、
open()
に渡すファイルモードを指定することができます。これは'r'
、'rU'
、'U'
および'rb'
のうちのいずれかとなります。openhook を指定する場合は、ふたつの引数 filename と mode をとる関数でなければなりません。この関数の返り値は、オープンしたファイルオブジェクトとなります。inplace と openhook を同時に使うことはできません。
FileInput
のインスタンスはwith
文の中でコンテキストマネージャーとして使用することができます。以下の例では、仮に例外が生じてもwith
文から抜けた後で input は閉じられます:with FileInput(files=('spam.txt', 'eggs.txt')) as input: process(input)
バージョン 3.2 で変更: コンテキストマネージャとして使うことができるようになりました。
バージョン 3.4 で非推奨:
'rU'
および'U'
モード。バージョン 3.5.2 で変更: The bufsize parameter is no longer used.
インプレース(in-place)フィルタオプション: キーワード引数 inplace=True
が fileinput.input()
か FileInput
クラスのコンストラクタに渡された場合には、入力ファイルはバックアップファイルに移動され、標準出力が入力ファイルに設定されます(バックアップファイルと同じ名前のファイルが既に存在していた場合には、警告無しに置き替えられます)。これによって入力ファイルをその場で書き替えるフィルタを書くことができます。キーワード引数 backup (通常は backup='.<拡張子>'
という形で利用します)が与えられていた場合、バックアップファイルの拡張子として利用され、バックアップファイルは削除されずに残ります。デフォルトでは、拡張子は '.bak'
になっていて、出力先のファイルが閉じられればバックアップファイルも消されます。インプレースフィルタ機能は、標準入力を読み込んでいる間は無効にされます。
このモジュールには、次のふたつのオープン時フックが用意されています: