8.7. array --- 効率のよい数値アレイ¶
このモジュールでは、基本的な値 (文字、整数、浮動小数点数) のアレイ (array、配列) をコンパクトに表現できるオブジェクト型を定義しています。アレイはシーケンス (sequence) 型であり、中に入れるオブジェクトの型に制限があることを除けば、リストとまったく同じように振る舞います。オブジェクト生成時に一文字の 型コード を用いて型を指定します。次の型コードが定義されています:
| 型コード | C の型 | Python の型 | 最小サイズ (バイト単位) | 注釈 | 
|---|---|---|---|---|
| 'b' | signed char | int | 1 | |
| 'B' | unsigned char | int | 1 | |
| 'u' | Py_UNICODE | Unicode文字(unicode型) | 2 | (1) | 
| 'h' | signed short | int | 2 | |
| 'H' | unsigned short | int | 2 | |
| 'i' | signed int | int | 2 | |
| 'I' | unsigned int | int | 2 | |
| 'l' | signed long | int | 4 | |
| 'L' | unsigned long | int | 4 | |
| 'q' | signed long long | int | 8 | (2) | 
| 'Q' | unsigned long long | int | 8 | (2) | 
| 'f' | 浮動小数点数 | 浮動小数点数 | 4 | |
| 'd' | double | 浮動小数点数 | 8 | 
注釈:
- タイプコード - 'u'は Python の古い Unicode 文字 (- Py_UNICODEあるいは- wchar_t) を表します。プラットフォームに依存して、これは 16bit か 32bit になります。- 'u'は将来的に他の- Py_UNICODEAPI と一緒に削除されるでしょう。- Deprecated since version 3.3, will be removed in version 4.0. 
- タイプコード - 'q'と- 'Q'は Python をビルドしたプラットフォームのCコンパイラーが C言語の- long longに対応しているか、 Windows で- __int64に対応している場合に利用可能です。- バージョン 3.3 で追加. 
値の実際の表現はマシンアーキテクチャ (厳密に言うとCの実装) によって決まります。値の実際のサイズは itemsize 属性から得られます。
このモジュールでは次の型を定義しています:
- 
class array.array(typecode[, initializer])¶
- 要素のデータ型が typecode に限定される新しいアレイで、 オプションの値 initializer を渡すと初期値になりますが、 リスト、 bytes-like object または適当な型のイテレーション可能オブジェクトでなければなりません。 - リストか文字列を渡した場合、initializer は新たに作成されたアレイの - fromlist()、- frombytes()あるいは- fromunicode()メソッド (以下を参照) に渡され、アレイに初期項目を追加します。それ以外の場合には、イテラブルの initializer は- extend()メソッドに渡されます。
- 
array.typecodes¶
- すべての利用可能なタイプコードを含む文字列 
アレイオブジェクトでは、インデクス指定、スライス、連結および反復といった、 通常のシーケンスの演算をサポートしています。スライス代入を使うときは、 代入値は同じ型コードのアレイオブジェクトでなければなりません。 それ以外のオブジェクトを指定すると TypeError を送出します。 アレイオブジェクトはバッファインタフェースを実装しており、 bytes-like objects をサポートしている場所ならどこでも利用できます。
次のデータ要素やメソッドもサポートされています:
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array.typecode¶
- アレイを作るときに使う型コード文字です。 
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array.itemsize¶
- アレイの要素 1 つの内部表現に使われるバイト長です。 
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array.append(x)¶
- 値 x の新たな要素をアレイの末尾に追加します。 
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array.buffer_info()¶
- アレイの内容を記憶するために使っているバッファの、現在のメモリアドレスと要素数の入ったタプル - (address, length)を返します。バイト単位で表したメモリバッファの大きさは- array.buffer_info()[1] * array.itemsizeで計算できます。例えば- ioctl()操作のような、メモリアドレスを必要とする低レベルな (そして、本質的に危険な) I/Oインタフェースを使って作業する場合に、ときどき便利です。アレイ自体が存在し、長さを変えるような演算を適用しない限り、有効な値を返します。- 注釈 - C やC++ で書いたコードからアレイオブジェクトを使う場合 ( - buffer_info()の情報を使う意味のある唯一の方法です) は、アレイオブジェクトでサポートしているバッファインタフェースを使う方がより理にかなっています。このメソッドは後方互換性のために保守されており、新しいコードでの使用は避けるべきです。バッファインタフェースの説明は バッファプロトコル (buffer Protocol) にあります。
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array.byteswap()¶
- アレイのすべての要素に対して「バイトスワップ」 (リトルエンディアンとビッグエンディアンの変換) を行います。このメソッドは大きさが 1、2、4 および 8 バイトの値のみをサポートしています。他の種類の値に使うと - RuntimeErrorを送出します。異なるバイトオーダを使うマシンで書かれたファイルからデータを読み込むときに役に立ちます。
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array.count(x)¶
- シーケンス中の x の出現回数を返します。 
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array.extend(iterable)¶
- iterable から要素を取り出し、アレイの末尾に要素を追加します。 iterable が別のアレイ型である場合、二つのアレイは 全く 同じ型コードでなければなりません。それ以外の場合には - TypeErrorを送出します。 iterable がアレイでない場合、アレイに値を追加できるような正しい型の要素からなるイテレーション可能オブジェクトでなければなりません。
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array.frombytes(s)¶
- 文字列から要素を追加します。文字列は、 (ファイルから - fromfile()メソッドを使って値を読み込んだときのように) マシンのデータ形式で表された値の配列として解釈されます。- バージョン 3.2 で追加: 明確化のため - fromstring()の名前が- frombytes()に変更されました。
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array.fromfile(f, n)¶
- ファイルオブジェクト f から (マシンのデータ形式そのままで) n 個の要素を読み出し、アレイの末尾に要素を追加します。 n 個未満の要素しか読めなかった場合は - EOFErrorを送出しますが、それまでに読み出せた値はアレイに追加されます。 f は本当の組み込みファイルオブジェクトでなければなりません。- read()メソッドをもつ他の型では動作しません。
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array.fromlist(list)¶
- リストから要素を追加します。型に関するエラーが発生した場合にアレイが変更されないことを除き、 - for x in list: a.append(x)と同じです。
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array.fromstring()¶
- frombytes()に対する廃止予定のエイリアス
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array.fromunicode(s)¶
- 指定した Unicode 文字列のデータを使ってアレイを拡張します。アレイの型コードは - 'u'でなければなりません。それ以外の場合には、- ValueErrorを送出します。他の型のアレイに Unicode 型のデータを追加するには、- array.frombytes(unicodestring.encode(enc))を使ってください。
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array.index(x)¶
- アレイ中で x が出現するインデクスのうち最小の値 i を返します。 
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array.insert(i, x)¶
- アレイ中の位置 i の前に値 x をもつ新しい要素を挿入します。 i の値が負の場合、アレイの末尾からの相対位置として扱います。 
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array.pop([i])¶
- アレイからインデクスが i の要素を取り除いて返します。オプションの引数はデフォルトで - -1になっていて、最後の要素を取り除いて返すようになっています。
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array.remove(x)¶
- アレイ中の x のうち、最初に現れたものを取り除きます。 
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array.reverse()¶
- アレイの要素の順番を逆にします。 
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array.tobytes()¶
- array をマシンの値の array に変換して、 bytes の形で返します ( - tofile()メソッドを使ってファイルに書かれるバイト列と同じです)。- バージョン 3.2 で追加: 明確化のため - tostring()の名前が- tobytes()に変更されました。
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array.tofile(f)¶
- すべての要素を (マシンの値の形式で) file object f に書き込みます。 
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array.tolist()¶
- アレイを同じ要素を持つ普通のリストに変換します。 
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array.tounicode()¶
- アレイを Unicode 文字列に変換します。アレイの型コードは - 'u'でなければなりません。それ以外の場合には- ValueErrorを送出します。他の型のアレイから Unicode 文字列を得るには、- array.tobytes().decode(enc)を使ってください。
アレイオブジェクトを表示したり文字列に変換したりすると、 array(typecode, initializer) という形式で表現されます。
アレイが空の場合、 initializer の表示を省略します。
アレイが空でなければ、 typecode が 'u' の場合には文字列に、それ以外の場合には数値のリストになります。
array クラスが from array import array というふうにインポートされている限り、変換後の文字列に eval() を用いると元のアレイオブジェクトと同じデータ型と値を持つアレイに逆変換できることが保証されています。文字列表現の例を以下に示します:
array('l')
array('u', 'hello \u2641')
array('l', [1, 2, 3, 4, 5])
array('d', [1.0, 2.0, 3.14])
参考
- structモジュール
- 異なる種類のバイナリデータのパックおよびアンパック。
- xdrlibモジュール
- 遠隔手続き呼び出しシステムで使われる外部データ表現仕様 (External Data Representation, XDR) のデータのパックおよびアンパック。
- Numerical Python ドキュメント
- Numeric Python 拡張モジュール (NumPy) では、別の方法でシーケンス型を定義しています。 Numerical Python に関する詳しい情報は http://www.numpy.org/ を参照してください。
