列挙型 HOWTO

Enum は、ユニークな値に束縛されたシンボル名の集合です。グローバル変数に似ていますが、 repr() がより便利だったり、グルーピングの機能、型安全などいくつかの機能があります。

これらは、限られた選択肢の値の一つを取る変数がある場合に便利です。例えば、曜日情報があります:

>>> from enum import Enum
>>> class Weekday(Enum):
...     MONDAY = 1
...     TUESDAY = 2
...     WEDNESDAY = 3
...     THURSDAY = 4
...     FRIDAY = 5
...     SATURDAY = 6
...     SUNDAY = 7

あるいは、RGB三原色でも構いません:

>>> from enum import Enum
>>> class Color(Enum):
...     RED = 1
...     GREEN = 2
...     BLUE = 3

ご覧の通り、 Enum の作成は Enum 自体を継承するクラスを作成するのと同じくらい簡単です。

注釈

Enumメンバーは大文字/小文字?

列挙型は定数を表すために使われるため、また mixin クラスのメソッドや属性との名前の衝突の問題を回避するため、メンバには UPPER_CASE の名前を使うことが強く推奨されており、例でもこのスタイルを用います。

列挙型の性質によって、メンバの値は重要な場合とそうでない場合がありますが、いずれの場合でも、その値は対応するメンバを取得するのに使えます:

>>> Weekday(3)
<Weekday.WEDNESDAY: 3>

ご覧の通り、メンバの repr() は列挙型の名前、メンバの名前、そして値を表示します。メンバの str() は列挙型の名前とメンバの名前のみを表示します。

>>> print(Weekday.THURSDAY)
Weekday.THURSDAY

列挙型のメンバの型はそのメンバの属する列挙型です:

>>> type(Weekday.MONDAY)
<enum 'Weekday'>
>>> isinstance(Weekday.FRIDAY, Weekday)
True

列挙型のメンバはその名前だけを含む属性 name を持っています:

>>> print(Weekday.TUESDAY.name)
TUESDAY

同じように、値のための属性 value もあります:

>>> Weekday.WEDNESDAY.value
3

多くの言語で列挙を名前と値のペアとしてのみ扱うのとは異なり、Pythonの列挙は振る舞いを追加することができます。 例えば、 datetime.date には曜日を返すメソッドに weekday()isoweekday() の2つがあります。違いは、一方は0から6まで、もう一方は1から7まで数えることです。自分たちでそれらのメソッドの挙動を理解しておく代わりに、Weekday 列挙型にメソッドを追加することで、 date インスタンス から曜日を抽出し、それにマッチするenumメンバーを返すことができます:

@classmethod
def from_date(cls, date):
    return cls(date.isoweekday())

完全な Weekday enumはこのようになります:

>>> class Weekday(Enum):
...     MONDAY = 1
...     TUESDAY = 2
...     WEDNESDAY = 3
...     THURSDAY = 4
...     FRIDAY = 5
...     SATURDAY = 6
...     SUNDAY = 7
...     #
...     @classmethod
...     def from_date(cls, date):
...         return cls(date.isoweekday())

さて、これで今日が何曜日か調べることができます! 見てみましょう:

>>> from datetime import date
>>> Weekday.from_date(date.today())     
<Weekday.TUESDAY: 2>

もちろん、あなたがこれを読んでいるのが他の曜日ならば、その曜日が代わりに表示されます。

この Weekday 列挙型は、変数が1つの曜日を必要とする場合には優れていますが、複数必要な場合はどうでしょうか? 1週間の家事を記録する関数を作成していて、list は使いたくない場合、別の型の Enum を使用することができます:

>>> from enum import Flag
>>> class Weekday(Flag):
...     MONDAY = 1
...     TUESDAY = 2
...     WEDNESDAY = 4
...     THURSDAY = 8
...     FRIDAY = 16
...     SATURDAY = 32
...     SUNDAY = 64

ここでは2つの変更が行われています。Flag を継承している点と、値がすべて2の累乗である点です。

元々の Weekday 列挙型と同じように、1つの要素を持つことができます:

>>> first_week_day = Weekday.MONDAY
>>> first_week_day
<Weekday.MONDAY: 1>

ただし、Flag は複数のメンバーをひとつの変数にまとめることもできます:

>>> weekend = Weekday.SATURDAY | Weekday.SUNDAY
>>> weekend
<Weekday.SATURDAY|SUNDAY: 96>

Flag 変数は反復することもできます:

>>> for day in weekend:
...     print(day)
Weekday.SATURDAY
Weekday.SUNDAY

さて、いくつかの家事を設定してみましょう:

>>> chores_for_ethan = {
...     'feed the cat': Weekday.MONDAY | Weekday.WEDNESDAY | Weekday.FRIDAY,
...     'do the dishes': Weekday.TUESDAY | Weekday.THURSDAY,
...     'answer SO questions': Weekday.SATURDAY,
...     }

指定された日の家事を表示する関数も作成します:

>>> def show_chores(chores, day):
...     for chore, days in chores.items():
...         if day in days:
...             print(chore)
...
>>> show_chores(chores_for_ethan, Weekday.SATURDAY)
answer SO questions

メンバーの実際の値が重要でない場合は、auto() を使用することで手間を省くことができます:

>>> from enum import auto
>>> class Weekday(Flag):
...     MONDAY = auto()
...     TUESDAY = auto()
...     WEDNESDAY = auto()
...     THURSDAY = auto()
...     FRIDAY = auto()
...     SATURDAY = auto()
...     SUNDAY = auto()
...     WEEKEND = SATURDAY | SUNDAY

列挙型メンバーおよびそれらの属性へのプログラム的アクセス

プログラム的にメンバーに番号でアクセスしたほうが便利な場合があります (すなわち、プログラムを書いている時点で正確な色がまだわからなく、Color.RED と書くのが無理な場合など)。 Enum ではそのようなアクセスも可能です:

>>> Color(1)
<Color.RED: 1>
>>> Color(3)
<Color.BLUE: 3>

列挙型メンバーに 名前 でアクセスしたい場合はアイテムとしてアクセスできます:

>>> Color['RED']
<Color.RED: 1>
>>> Color['GREEN']
<Color.GREEN: 2>

列挙型メンバーの namevalue が必要な場合:

>>> member = Color.RED
>>> member.name
'RED'
>>> member.value
1

列挙型メンバーと値の重複

同じ名前の列挙型メンバーを複数持つことはできません:

>>> class Shape(Enum):
...     SQUARE = 2
...     SQUARE = 3
...
Traceback (most recent call last):
...
TypeError: 'SQUARE' already defined as 2

しかし、列挙型メンバー は、別の名前を持つことができます。 同じ値を持つ A と``B`` が与えられた場合(そして A が先に定義されている場合)、 B はメンバー A に対するエイリアスとなります。 A の値での検索では、メンバー A が返されます。 A の名前での検索ではメンバー A を返します。B の名前での検索も、メンバー A を返します:

>>> class Shape(Enum):
...     SQUARE = 2
...     DIAMOND = 1
...     CIRCLE = 3
...     ALIAS_FOR_SQUARE = 2
...
>>> Shape.SQUARE
<Shape.SQUARE: 2>
>>> Shape.ALIAS_FOR_SQUARE
<Shape.SQUARE: 2>
>>> Shape(2)
<Shape.SQUARE: 2>

注釈

すでに定義されている属性と同じ名前のメンバー (一方がメンバーでもう一方がメソッド、など) の作成、あるいはメンバーと同じ名前の属性の作成はできません。

番号付けの値が一意であることの確認

デフォルトでは、列挙型は同じ値のエイリアスとして複数の名前を許容します。この振る舞いを望まない場合は、 unique() デコレータを使用できます:

>>> from enum import Enum, unique
>>> @unique
... class Mistake(Enum):
...     ONE = 1
...     TWO = 2
...     THREE = 3
...     FOUR = 3
...
Traceback (most recent call last):
...
ValueError: duplicate values found in <enum 'Mistake'>: FOUR -> THREE

値の自動設定を使う

正確な値が重要でない場合、 auto が使えます:

>>> from enum import Enum, auto
>>> class Color(Enum):
...     RED = auto()
...     BLUE = auto()
...     GREEN = auto()
...
>>> [member.value for member in Color]
[1, 2, 3]

その値は _generate_next_value_() によって選ばれ、この関数はオーバーライドできます:

>>> class AutoName(Enum):
...     @staticmethod
...     def _generate_next_value_(name, start, count, last_values):
...         return name
...
>>> class Ordinal(AutoName):
...     NORTH = auto()
...     SOUTH = auto()
...     EAST = auto()
...     WEST = auto()
...
>>> [member.value for member in Ordinal]
['NORTH', 'SOUTH', 'EAST', 'WEST']

注釈

_generate_next_value_() メソッドは他のメンバーよりも前に定義される必要があります。

イテレーション

列挙型のメンバーのイテレートは別名をサポートしていません:

>>> list(Shape)
[<Shape.SQUARE: 2>, <Shape.DIAMOND: 1>, <Shape.CIRCLE: 3>]
>>> list(Weekday)
[<Weekday.MONDAY: 1>, <Weekday.TUESDAY: 2>, <Weekday.WEDNESDAY: 4>, <Weekday.THURSDAY: 8>, <Weekday.FRIDAY: 16>, <Weekday.SATURDAY: 32>, <Weekday.SUNDAY: 64>]

エイリアスである Shape.ALIAS_FOR_SQUARE と``Weekday.WEEKEND`` が表示されていないことに注意してください。

特殊属性 __members__ は読み出し専用で、順序を保持した、対応する名前と列挙型メンバーのマッピングです。これには別名も含め、列挙されたすべての名前が入っています。

>>> for name, member in Shape.__members__.items():
...     name, member
...
('SQUARE', <Shape.SQUARE: 2>)
('DIAMOND', <Shape.DIAMOND: 1>)
('CIRCLE', <Shape.CIRCLE: 3>)
('ALIAS_FOR_SQUARE', <Shape.SQUARE: 2>)

属性 __members__ は列挙型メンバーへの詳細なアクセスに使用できます。以下はすべての別名を探す例です:

>>> [name for name, member in Shape.__members__.items() if member.name != name]
['ALIAS_FOR_SQUARE']

注釈

フラグのエイリアスには、 複数のフラグが設定された値(例えば 3)や、 フラグが設定されていない値(例えば 0)が含まれます。

比較

列挙型メンバーは同一性を比較できます:

>>> Color.RED is Color.RED
True
>>> Color.RED is Color.BLUE
False
>>> Color.RED is not Color.BLUE
True

列挙型の値の順序の比較はサポートされて いません。Enum メンバーは整数ではありません (IntEnum を参照してください):

>>> Color.RED < Color.BLUE
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
TypeError: '<' not supported between instances of 'Color' and 'Color'

ただし等価の比較は定義されています:

>>> Color.BLUE == Color.RED
False
>>> Color.BLUE != Color.RED
True
>>> Color.BLUE == Color.BLUE
True

非列挙型の値との比較は常に不等となります (繰り返しになりますが、IntEnum はこれと異なる挙動になるよう設計されています):

>>> Color.BLUE == 2
False

警告

モジュールは再読み込みすることが可能です。再読み込みされたモジュールに列挙型が含まれている場合、それらは再作成され、新しいメンバーは元のメンバーと同一でない/等しくない可能性があります。

列挙型で許されるメンバーと属性

これまでのほとんどの例では、列挙型の値に整数を使用しています。 整数を使うのは短くて便利(そして、 関数 API ではデフォルトで設定される)ですが、これは強制されているわけではありません。大半の使用例では、列挙値の実際の値が何であるかは意識しません。しかし、値が重要な場合、列挙型は任意の値を持つことができます。

列挙型は Python のクラスであり、通常どおりメソッドや特殊メソッドを持つことができます:

>>> class Mood(Enum):
...     FUNKY = 1
...     HAPPY = 3
...
...     def describe(self):
...         # self is the member here
...         return self.name, self.value
...
...     def __str__(self):
...         return 'my custom str! {0}'.format(self.value)
...
...     @classmethod
...     def favorite_mood(cls):
...         # cls here is the enumeration
...         return cls.HAPPY
...

上記の結果が以下のようになります:

>>> Mood.favorite_mood()
<Mood.HAPPY: 3>
>>> Mood.HAPPY.describe()
('HAPPY', 3)
>>> str(Mood.FUNKY)
'my custom str! 1'

何が許されているかのルールは次のとおりです。先頭と末尾が 1 個のアンダースコアの名前は列挙型により予約されているため、使用できません。列挙型内で定義されたその他すべての名前は、その列挙型のメンバーとして使用できます。特殊メソッド (__str__(), __add__() など) と、メソッドを含むデスクリプタ(記述子)、 _ignore_ に記載されている変数名は例外です。

注意:列挙型で __new__() および/または __init__() を定義している場合、列挙型メンバーに与えられた値は、それらのメソッドに渡されます。例については Planet を参照してください。

注釈

__new__() メソッドが定義されていれば、Enum 番号の作成時に使用されます; これは Enum の __new__() と置き換えられ、クラスが作成された後の既存の番号を取得に使用されます。詳細は __new__() と __init__() のどちらを使うべきか を参照してください。

Enumのサブクラス化の制限

新しい Enum クラスは、ベースの enum クラスを1つ、具象データ型を1つ、複数の object ベースのミックスインクラスが許容されます。これらのベースクラスの順序は次の通りです:

class EnumName([mix-in, ...,] [data-type,] base-enum):
    pass

列挙型のサブクラスの作成はその列挙型にメンバーが一つも定義されていない場合のみ行なえます。従って以下は許されません:

>>> class MoreColor(Color):
...     PINK = 17
...
Traceback (most recent call last):
...
TypeError: <enum 'MoreColor'> cannot extend <enum 'Color'>

以下のような場合は許されます:

>>> class Foo(Enum):
...     def some_behavior(self):
...         pass
...
>>> class Bar(Foo):
...     HAPPY = 1
...     SAD = 2
...

メンバーが定義された列挙型のサブクラス化を許可すると、いくつかのデータ型およびインスタンスの重要な不変条件の違反を引き起こします。とはいえ、それが許可されると、列挙型のグループ間での共通の挙動を共有するという利点もあります。 (OrderedEnum の例を参照してください。)

データクラスのサポート

dataclass を継承する場合、 __repr__() は継承するクラス名を省略します。 例えば:

>>> from dataclasses import dataclass, field
>>> @dataclass
... class CreatureDataMixin:
...     size: str
...     legs: int
...     tail: bool = field(repr=False, default=True)
...
>>> class Creature(CreatureDataMixin, Enum):
...     BEETLE = 'small', 6
...     DOG = 'medium', 4
...
>>> Creature.DOG
<Creature.DOG: size='medium', legs=4>

標準の repr() を使うには、dataclass() の引数 repr=False を使用してください。

バージョン 3.12 で変更: dataclass のフィールドだけが値の領域に表示され、dataclassの名前は表示されなくなりました

注釈

Enum やそのサブクラスに dataclass() デコレータを加えることはサポートされていません。そうしてもエラーは送出されませんが、実行時にそれぞれのメンバが互いに等しいなど、非常に奇妙な結果が起こります:

>>> @dataclass               # don't do this: it does not make any sense
... class Color(Enum):
...    RED = 1
...    BLUE = 2
...
>>> Color.RED is Color.BLUE
False
>>> Color.RED == Color.BLUE  # problem is here: they should not be equal
True

Pickle 化

列挙型は pickle 化と unpickle 化が行えます:

>>> from test.test_enum import Fruit
>>> from pickle import dumps, loads
>>> Fruit.TOMATO is loads(dumps(Fruit.TOMATO))
True

通常の pickle 化の制限事項が適用されます: pickle 可能な列挙型はモジュールのトップレベルで定義されていなくてはならず、unpickle 化はモジュールからインポート可能でなければなりません。

注釈

pickle プロトコルバージョン 4 では他のクラスで入れ子になった列挙型の pickle 化も容易です。

列挙型クラスの __reduce_ex__() を定義することで、列挙型のメンバがどのように pickle 化や unpickle 化されるかを変更できます。デフォルトの方法は値によってですが、複雑な値を持つ列挙型には名前によることを望むかもしれません:

>>> import enum
>>> class MyEnum(enum.Enum):
...     __reduce_ex__ = enum.pickle_by_enum_name

注釈

フラグに名前による pickle 化を使うことは、名前の無いエイリアスが unpickle 化されないため推奨されません。

関数 API

Enum クラスは呼び出し可能で、以下の関数 API を提供しています:

>>> Animal = Enum('Animal', 'ANT BEE CAT DOG')
>>> Animal
<enum 'Animal'>
>>> Animal.ANT
<Animal.ANT: 1>
>>> list(Animal)
[<Animal.ANT: 1>, <Animal.BEE: 2>, <Animal.CAT: 3>, <Animal.DOG: 4>]

この API の動作は namedtuple と似ています。Enum 呼び出しの第 1 引数は列挙型の名前です。

第 2 引数は列挙型メンバー名の ソース です。空白で区切った名前の文字列、名前のシーケンス、キー/値のペアの 2 要素タプルのシーケンス、あるいは名前と値のマッピング (例: 辞書) を指定できます。最後の 2 個のオプションでは、列挙型へ任意の値を割り当てることができます。前の 2 つのオプションでは、1 から始まり増加していく整数を自動的に割り当てます (別の開始値を指定するには、start 引数を使用します)。Enum から派生した新しいクラスが返されます。言い換えれば、上記の Animal への割り当ては以下と等価です:

>>> class Animal(Enum):
...     ANT = 1
...     BEE = 2
...     CAT = 3
...     DOG = 4
...

0 ではなく``1`` をデフォルトの開始番号とする理由は、0 が真偽値としては False であり、デフォルトの列挙メンバーはすべて True 評価されるようにするためである。

機能 API による Enum の pickle 化は、その列挙型がどのモジュールで作成されたかを見つけ出すためにフレームスタックの実装の詳細が使われるので、トリッキーになることがあります (例えば別のモジュールのユーティリティ関数を使うと失敗しますし、IronPython や Jython ではうまくいきません)。解決策は、以下のようにモジュール名を明示的に指定することです:

>>> Animal = Enum('Animal', 'ANT BEE CAT DOG', module=__name__)

警告

module が与えられない場合、Enum はそれがなにか決定できないため、新しい Enum メンバーは unpickle 化できなくなります; エラーをソースの近いところで発生させるため、pickle 化は無効になります。

新しい pickle プロトコルバージョン 4 では、一部の状況において、pickle がクラスを発見するための場所の設定に __qualname__ を参照します。例えば、そのクラスがグローバルスコープ内のクラス SomeData 内で利用可能とするには以下のように指定します:

>>> Animal = Enum('Animal', 'ANT BEE CAT DOG', qualname='SomeData.Animal')

完全な構文は以下のようになります:

Enum(
    value='NewEnumName',
    names=<...>,
    *,
    module='...',
    qualname='...',
    type=<mixed-in class>,
    start=1,
    )
  • value: What the new enum class will record as its name.

  • names: enumのメンバー。 空白またはカンマで区切られた文字列 (値は特に指定がない限り1から始まります):

    'RED GREEN BLUE' | 'RED,GREEN,BLUE' | 'RED, GREEN, BLUE'
    

    または名前のイテレータで指定もできます:

    ['RED', 'GREEN', 'BLUE']
    

    または (名前, 値) のペアのイテレータでも指定できます:

    [('CYAN', 4), ('MAGENTA', 5), ('YELLOW', 6)]
    

    またはマッピングでも指定できます:

    {'CHARTREUSE': 7, 'SEA_GREEN': 11, 'ROSEMARY': 42}
    
  • module: 新しい enum クラスが属するモジュールの名前です。

  • qualname: 新しい enum クラスが属するモジュールの場所です。

  • type: 新しい列挙型クラスにミックスインする型。

  • start:名前だけ渡された場合にカウントを開始する番号。

バージョン 3.5 で変更: start 引数が追加されました。

派生列挙型

IntEnum

提供されている 1 つ目の Enum の派生型であり、 int のサブクラスでもあります。 IntEnum のメンバーは整数と比較できます; さらに言うと、異なる整数列挙型どうしでも比較できます:

>>> from enum import IntEnum
>>> class Shape(IntEnum):
...     CIRCLE = 1
...     SQUARE = 2
...
>>> class Request(IntEnum):
...     POST = 1
...     GET = 2
...
>>> Shape == 1
False
>>> Shape.CIRCLE == 1
True
>>> Shape.CIRCLE == Request.POST
True

ただし、これらも標準の Enum 列挙型とは比較できません:

>>> class Shape(IntEnum):
...     CIRCLE = 1
...     SQUARE = 2
...
>>> class Color(Enum):
...     RED = 1
...     GREEN = 2
...
>>> Shape.CIRCLE == Color.RED
False

IntEnum の値は他の用途では整数のように振る舞います:

>>> int(Shape.CIRCLE)
1
>>> ['a', 'b', 'c'][Shape.CIRCLE]
'b'
>>> [i for i in range(Shape.SQUARE)]
[0, 1]

StrEnum

提供されている2つ目の Enum の派生型もまた、 str のサブクラスでもあります。StrEnum のメンバーは、文字列と比較できます; さらに言うと、異なる文字列列挙型どうしでも比較できます。

Added in version 3.11.

IntFlag

次の Enum の派生型 IntFlag も、int を基底クラスとしています。 違いは、 IntFlag のメンバーをビット演算子 (&amp;, |, ^, ~) を使って組み合わせられ、その結果も IntFlag メンバーになることです。 IntEnum と同様、IntFlag のメンバーも整数であり、int が使用されるところであればどこでも使えます。

注釈

IntFlag メンバーに対してビット演算以外のどんな演算をしても、その結果は IntFlag メンバーではなくなります。

ビット単位演算の結果が IntFlag として不正な値な値の場合、値は IntFlag メンバーではなくなります。 詳しくは FlagBoundary を参照してください。

Added in version 3.6.

バージョン 3.11 で変更.

IntFlag クラスの例:

>>> from enum import IntFlag
>>> class Perm(IntFlag):
...     R = 4
...     W = 2
...     X = 1
...
>>> Perm.R | Perm.W
<Perm.R|W: 6>
>>> Perm.R + Perm.W
6
>>> RW = Perm.R | Perm.W
>>> Perm.R in RW
True

組み合わせにも名前を付けられます:

>>> class Perm(IntFlag):
...     R = 4
...     W = 2
...     X = 1
...     RWX = 7
...
>>> Perm.RWX
<Perm.RWX: 7>
>>> ~Perm.RWX
<Perm: 0>
>>> Perm(7)
<Perm.RWX: 7>

注釈

組み合わせに名前をつけたものはエイリアスとみなされます。エイリアスはイテレーション中には表示されませんが、値による検索では返却されます。

バージョン 3.11 で変更.

IntFlagEnum のもう 1 つの重要な違いは、フラグが設定されていない (値が0である) 場合、その真偽値としての評価は False になることです:

>>> Perm.R & Perm.X
<Perm: 0>
>>> bool(Perm.R & Perm.X)
False

IntFlag メンバーも int のサブクラスであるため、それらと組み合わせることができます(ただし、 IntFlag 型ではなくなる可能性があります):

>>> Perm.X | 4
<Perm.R|X: 5>

>>> Perm.X + 8
9

注釈

否定の演算子 ~ は、常に正の値を持つ IntFlag メンバー を返す:

>>> (~Perm.X).value == (Perm.R|Perm.W).value == 6
True

IntFlag メンバーは反復処理することもできます:

>>> list(RW)
[<Perm.R: 4>, <Perm.W: 2>]

Added in version 3.11.

Flag

最後の派生型は Flag です。 IntFlag と同様に、 Flag メンバーもビット演算子 (&, |, ^, ~) を使って組み合わせられます。 しかし IntFlag とは違い、他のどの Flag 列挙型とも int とも組み合わせたり、比較したりできません。 値を直接指定することも可能ですが、値として auto を使い、 Flag に適切な値を選ばせることが推奨されています。

Added in version 3.6.

IntFlag と同様に、 Flag メンバーの組み合わせがどのフラグも設定されていない状態になった場合、その真偽値としての評価は False となります:

>>> from enum import Flag, auto
>>> class Color(Flag):
...     RED = auto()
...     BLUE = auto()
...     GREEN = auto()
...
>>> Color.RED & Color.GREEN
<Color: 0>
>>> bool(Color.RED & Color.GREEN)
False

個別のフラグは 2 のべき乗 (1, 2, 4, 8, ...) の値を持つべきですが、フラグの組み合わせはそうはなりません:

>>> class Color(Flag):
...     RED = auto()
...     BLUE = auto()
...     GREEN = auto()
...     WHITE = RED | BLUE | GREEN
...
>>> Color.WHITE
<Color.WHITE: 7>

"フラグが設定されていない" 状態に名前を付けても、その真偽値は変わりません:

>>> class Color(Flag):
...     BLACK = 0
...     RED = auto()
...     BLUE = auto()
...     GREEN = auto()
...
>>> Color.BLACK
<Color.BLACK: 0>
>>> bool(Color.BLACK)
False

Flag メンバーは反復処理することもできます:

>>> purple = Color.RED | Color.BLUE
>>> list(purple)
[<Color.RED: 1>, <Color.BLUE: 2>]

Added in version 3.11.

注釈

ほとんどの新しいコードでは、 EnumFlag が強く推奨されます。 というのは、 IntEnumIntFlag は (整数と比較でき、従って推移的に他の無関係な列挙型と比較できてしまうことにより) 列挙型の意味論的な約束に反するからです。 IntEnumIntFlag は、 EnumFlag では上手くいかない場合のみに使うべきです; 例えば、整数定数を列挙型で置き換えるときや、他のシステムとの相互運用性を持たせたいときです。

その他

IntEnumenum モジュールの一部ですが、単独での実装もとても簡単に行なえます:

class IntEnum(int, ReprEnum):   # or Enum instead of ReprEnum
    pass

ここでは似たような列挙型の派生を定義する方法を紹介します; 例えば、FloatEnumint ではなく float で複合させたものです。

いくつかのルール:

  1. Enum のサブクラスを作成するとき、複合させるデータ型は、基底クラスの並びで Enum クラス自身より先に記述しなければなりません (上記 IntEnum の例を参照)。

  2. 複合させる型はサブクラス化可能でなければいけません。例えば、 boolrange はサブクラス化できないため、複合させるとEnum作成時にエラーが発生します。

  3. Enum のメンバーはどんなデータ型でも構いませんが、追加のデータ型 (例えば、上の例の int) と複合させてしまうと、すべてのメンバーの値はそのデータ型でなければならなくなります。この制限は、メソッドの追加するだけの、他のデータ型を指定しない複合には適用されません。

  4. 他のデータ型と複合された場合、 value 属性は、たとえ等価であり等価であると比較が行えても、列挙型メンバー自身としては 同じではありません

  5. A data type is a mixin that defines __new__(), or a dataclass

  6. %-方式の書式: %s および %r はそれぞれ Enum クラスの __str__() および __repr__() を呼び出します; その他のコード (IntEnum の %i%h など) は列挙型のメンバーを複合されたデータ型として扱います。

  7. フォーマット済み文字列リテラルstr.format()、および format() はenumの __str__() メソッドを使います。

注釈

IntEnumIntFlagStrEnum は、既存の定数のドロップイン置換として設計されているため、それらの __str__() メソッドは、それらのデータ型の __str__() メソッドにリセットされている。

__new__()__init__() のどちらを使うべきか

__new__()Enum メンバーの実際の値をカスタマイズしたいときに利用します。他の変更を加える場合、 __new__()__init__() のどちらを利用するかは、__init__() の方が望ましいでしょう。

例えば、複数の値をコンストラクタに渡すが、その中の1つだけを値として使いたい場合は次のようにします:

>>> class Coordinate(bytes, Enum):
...     """
...     Coordinate with binary codes that can be indexed by the int code.
...     """
...     def __new__(cls, value, label, unit):
...         obj = bytes.__new__(cls, [value])
...         obj._value_ = value
...         obj.label = label
...         obj.unit = unit
...         return obj
...     PX = (0, 'P.X', 'km')
...     PY = (1, 'P.Y', 'km')
...     VX = (2, 'V.X', 'km/s')
...     VY = (3, 'V.Y', 'km/s')
...

>>> print(Coordinate['PY'])
Coordinate.PY

>>> print(Coordinate(3))
Coordinate.VY

警告

Do not call super().__new__(), as the lookup-only __new__ is the one that is found; instead, use the data type directly.

細かい点

__dunder__ 名のサポート

__members__ は読み込み専用の、 member_name:member を要素とする順序付きマッピングです。これはクラスでのみ利用可能です。

__new__() が、もし指定されていた場合、列挙型のメンバーを作成し、返します; そのメンバー の _value_ を適切に設定するのも非常によい考えです。 いったん全てのメンバーが作成されると、それ以降 __new__() は使われません。

_sunder_ 名のサポート

  • _name_ -- メンバー名

  • _value_ -- メンバーの値; __new__ で設定できます

  • _missing_() -- 値が見付からなかったときに使われる検索関数; オーバーライドされていることがあります

  • _ignore_ -- 名前のリストで、 list もしくは str です。この名前の要素はメンバーへの変換が行われず、最終的なクラスから削除されます。

  • _generate_next_value_() -- 列挙型のメンバーの適切な値を取得するのに使われます。オーバーライドされます。

  • _add_alias_() -- 既存のメンバーのエイリアスとして新しい名前を加えます。

  • _add_value_alias_() -- 既存のメンバーのエイリアスとして新しい値を加えます。例は MultiValueEnum を参照してください。

    注釈

    標準の Enum クラスの場合、次の値として選択されるのは、定義された最大の値に1を加えたものです。

    Flag クラスでは、次に選ばれる値は、次の最大の2のべき乗となります。

    バージョン 3.13 で変更: 以前のバージョンでは最大の値ではなく最後に定義された値を使っていました。

Added in version 3.6: _missing_, _order_, _generate_next_value_

Added in version 3.7: _ignore_

Added in version 3.13: _add_alias_, _add_value_alias_

Pythono 2 / Python 3のコードの同期を取りやすくするために _order_ 属性を提供できます。実際の列挙値の順序と比較して一致してなければエラーを送出します:

>>> class Color(Enum):
...     _order_ = 'RED GREEN BLUE'
...     RED = 1
...     BLUE = 3
...     GREEN = 2
...
Traceback (most recent call last):
...
TypeError: member order does not match _order_:
  ['RED', 'BLUE', 'GREEN']
  ['RED', 'GREEN', 'BLUE']

注釈

Python 2のコードでは _order_ 属性は定義順が記録される前消えてしまうため、重要です。

_Private__names

Private names は列挙型メンバーには変換されず、通常の属性となります。

バージョン 3.11 で変更.

Enum メンバー型

列挙型メンバーはその列挙型クラスのインスタンスであり、通常は EnumClass.member としてアクセスされます。 振る舞い メンバー しかし、メンバー の名前と、属性/methodsが混在しているクラスとの名前の衝突を避けるために、大文字の名前を使うことを強く推奨します。

バージョン 3.5 で変更.

Creating members that are mixed with other data types

When subclassing other data types, such as int or str, with an Enum, all values after the = are passed to that data type's constructor. For example:

>>> class MyEnum(IntEnum):      # help(int) -> int(x, base=10) -> integer
...     example = '11', 16      # so x='11' and base=16
...
>>> MyEnum.example.value        # and hex(11) is...
17

Enum クラスとメンバーの真偽値

(int, str などのような) 非 Enum 型と複合させた enum クラスは、その複合された型の規則に従って評価されます; そうでない場合は、全てのメンバーは True と評価されます。 メンバーの値に依存する独自の enum の真偽値評価を行うには、クラスに次のコードを追加してください:

def __bool__(self):
    return bool(self.value)

プレーンな Enum クラスは True として評価されます。

メソッド付きの Enum クラス

enum サブクラスに追加のメソッドを与えた場合、後述の Planet クラスのように、そのメソッドはメンバーの dir() に表示されますが、クラスの dir() には表示されません:

>>> dir(Planet)                         
['EARTH', 'JUPITER', 'MARS', 'MERCURY', 'NEPTUNE', 'SATURN', 'URANUS', 'VENUS', '__class__', '__doc__', '__members__', '__module__']
>>> dir(Planet.EARTH)                   
['__class__', '__doc__', '__module__', 'mass', 'name', 'radius', 'surface_gravity', 'value']

Flag のメンバーの組み合わせ

Iterating over a combination of Flag members will only return the members that are comprised of a single bit:

>>> class Color(Flag):
...     RED = auto()
...     GREEN = auto()
...     BLUE = auto()
...     MAGENTA = RED | BLUE
...     YELLOW = RED | GREEN
...     CYAN = GREEN | BLUE
...
>>> Color(3)  # named combination
<Color.YELLOW: 3>
>>> Color(7)      # not named combination
<Color.RED|GREEN|BLUE: 7>

Flag and IntFlag minutia

例として以下のスニペットを使用します:

>>> class Color(IntFlag):
...     BLACK = 0
...     RED = 1
...     GREEN = 2
...     BLUE = 4
...     PURPLE = RED | BLUE
...     WHITE = RED | GREEN | BLUE
...

the following are true:

  • 単一ビットのフラグは正規形です

  • 複数ビットや0ビットのフラグはエイリアスです

  • 反復処理では正規形のフラグのみ返却されます:

    >>> list(Color.WHITE)
    [<Color.RED: 1>, <Color.GREEN: 2>, <Color.BLUE: 4>]
    
  • negating a flag or flag set returns a new flag/flag set with the corresponding positive integer value:

    >>> Color.BLUE
    <Color.BLUE: 4>
    
    >>> ~Color.BLUE
    <Color.RED|GREEN: 3>
    
  • 名前のないフラグについては、そのメンバーの名前から名前が生成されます:

    >>> (Color.RED | Color.GREEN).name
    'RED|GREEN'
    
    >>> class Perm(IntFlag):
    ...     R = 4
    ...     W = 2
    ...     X = 1
    ...
    >>> (Perm.R & Perm.W).name is None  # effectively Perm(0)
    True
    
  • multi-bit flags, aka aliases, can be returned from operations:

    >>> Color.RED | Color.BLUE
    <Color.PURPLE: 5>
    
    >>> Color(7)  # or Color(-1)
    <Color.WHITE: 7>
    
    >>> Color(0)
    <Color.BLACK: 0>
    
  • メンバーシップ/包含 のチェックでは、値が0のフラグは常に含まれるものとして扱われます:

    >>> Color.BLACK in Color.WHITE
    True
    

    それ以外では、一方のフラグの全ビットが他方のフラグに含まれる場合のみ、Trueが返されます:

    >>> Color.PURPLE in Color.WHITE
    True
    
    >>> Color.GREEN in Color.PURPLE
    False
    

There is a new boundary mechanism that controls how out-of-range / invalid bits are handled: STRICT, CONFORM, EJECT, and KEEP:

  • STRICT --> 無効な値が指定された場合に例外を発生させる

  • CONFORM --> 無効なビットを破棄する

  • EJECT --> フラグのステータスを失い、指定された値を持つ通常の int となります。

  • KEEP --> keep the extra bits

    • keeps Flag status and extra bits

    • extra bits do not show up in iteration

    • extra bits do show up in repr() and str()

The default for Flag is STRICT, the default for IntFlag is EJECT, and the default for _convert_ is KEEP (see ssl.Options for an example of when KEEP is needed).

EnumとFlagはどう違うのか?

Enum は Enum 派生クラスやそれらのインスタンス (メンバー) 双方の多くの側面に影響を及ぼすカスタムメタクラスを持っています。

Enum クラス

EnumType メタクラスは、__contains__()__dir__()__iter__() および標準的なクラスでは失敗するが Enum クラスでは動作するその他のメソッド (list(Color)some_enum_var in Color など) を責任を持って提供します。EnumType は最終的な Enum クラスのさまざまなメソッド (__new__()__getnewargs__()__str__() および __repr__()) が正しいことを責任を持って保証します。

Flag クラス

Flags have an expanded view of aliasing: to be canonical, the value of a flag needs to be a power-of-two value, and not a duplicate name. So, in addition to the Enum definition of alias, a flag with no value (a.k.a. 0) or with more than one power-of-two value (e.g. 3) is considered an alias.

Enum メンバー (インスタンス)

enum メンバーについて最も興味深いのは、それらがシングルトンであるということです。EnumType は enum クラス自身を作成し、メンバーを作成し、新しいインスタンスが作成されていないかどうかを確認するために既存のメンバーインスタンスだけを返すカスタム __new__() を追加します。

Flag メンバー

フラグのメンバーは、Flag クラスと同様に反復処理することができ、正規のメンバーのみが返されます。 例えば:

>>> list(Color)
[<Color.RED: 1>, <Color.GREEN: 2>, <Color.BLUE: 4>]

BLACKPURPLEWHITE は表示されないことに注意。)

フラグのメンバーを反転させると、負の値ではなく、対応する正の値が返されます:

>>> ~Color.RED
<Color.GREEN|BLUE: 6>

フラグのメンバーは、それが含む2のべき乗の値の数に対応するlengthを持ちます。 例えば:

>>> len(Color.PURPLE)
2

Enum クックブック

Enum, IntEnum, StrEnum, Flag, IntFlag は用途の大部分をカバーすると予想されますが、そのすべてをカバーできているわけではありません。ここでは、そのまま、あるいは独自の列挙型を作る例として使える、様々なタイプの列挙型を紹介します。

値の省略

多くの用途では、列挙型の実際の値が何かは気にされません。 このタイプの単純な列挙型を定義する方法はいくつかあります:

  • 値に auto インスタンスを使用する

  • 値として object インスタンスを使用する

  • 値として解説文字列を使用する

  • 値としてタプルを使用し、独自の __new__() を使用してタプルを int 値で置き換える

これらのどの方法を使ってもユーザーに対して、値は重要ではなく、他のメンバーの番号の振り直しをする必要無しに、メンバーの追加、削除、並べ替えが行えるということを示せます。

auto を使う

auto を使うと次のようになります:

>>> class Color(Enum):
...     RED = auto()
...     BLUE = auto()
...     GREEN = auto()
...
>>> Color.GREEN
<Color.GREEN: 3>

object を使う

object を使うと次のようになります:

>>> class Color(Enum):
...     RED = object()
...     GREEN = object()
...     BLUE = object()
...
>>> Color.GREEN                         
<Color.GREEN: <object object at 0x...>>

また、これは自分で __repr__() を書きたくなるケースの良い例でもあります:

>>> class Color(Enum):
...     RED = object()
...     GREEN = object()
...     BLUE = object()
...     def __repr__(self):
...         return "<%s.%s>" % (self.__class__.__name__, self._name_)
...
>>> Color.GREEN
<Color.GREEN>

解説文字列を使う

値として文字列を使うと次のようになります:

>>> class Color(Enum):
...     RED = 'stop'
...     GREEN = 'go'
...     BLUE = 'too fast!'
...
>>> Color.GREEN
<Color.GREEN: 'go'>

独自の __new__() を使う

自動で番号を振る __new__() を使うと次のようになります:

>>> class AutoNumber(Enum):
...     def __new__(cls):
...         value = len(cls.__members__) + 1
...         obj = object.__new__(cls)
...         obj._value_ = value
...         return obj
...
>>> class Color(AutoNumber):
...     RED = ()
...     GREEN = ()
...     BLUE = ()
...
>>> Color.GREEN
<Color.GREEN: 2>

AutoNumber をより広い用途で使うには、シグニチャに *args を追加します:

>>> class AutoNumber(Enum):
...     def __new__(cls, *args):      # this is the only change from above
...         value = len(cls.__members__) + 1
...         obj = object.__new__(cls)
...         obj._value_ = value
...         return obj
...

AutoNumber を継承すると、追加の引数を取り扱える独自の __init__ が書けます。

>>> class Swatch(AutoNumber):
...     def __init__(self, pantone='unknown'):
...         self.pantone = pantone
...     AUBURN = '3497'
...     SEA_GREEN = '1246'
...     BLEACHED_CORAL = () # New color, no Pantone code yet!
...
>>> Swatch.SEA_GREEN
<Swatch.SEA_GREEN: 2>
>>> Swatch.SEA_GREEN.pantone
'1246'
>>> Swatch.BLEACHED_CORAL.pantone
'unknown'

注釈

__new__() メソッドが定義されていれば、Enum 番号の作成時に使用されます; これは Enum の __new__() と置き換えられ、クラスが作成された後の既存の番号を取得に使用されます。

警告

Do not call super().__new__(), as the lookup-only __new__ is the one that is found; instead, use the data type directly -- e.g.:

obj = int.__new__(cls, value)

OrderedEnum

IntEnum をベースとしないため、通常の Enum の不変条件 (他の列挙型と比較できないなど) のままで、メンバーを順序付けできる列挙型です:

>>> class OrderedEnum(Enum):
...     def __ge__(self, other):
...         if self.__class__ is other.__class__:
...             return self.value >= other.value
...         return NotImplemented
...     def __gt__(self, other):
...         if self.__class__ is other.__class__:
...             return self.value > other.value
...         return NotImplemented
...     def __le__(self, other):
...         if self.__class__ is other.__class__:
...             return self.value <= other.value
...         return NotImplemented
...     def __lt__(self, other):
...         if self.__class__ is other.__class__:
...             return self.value < other.value
...         return NotImplemented
...
>>> class Grade(OrderedEnum):
...     A = 5
...     B = 4
...     C = 3
...     D = 2
...     F = 1
...
>>> Grade.C < Grade.A
True

DuplicateFreeEnum

値が重複するメンバーがある場合に、エイリアスを作成するのではなくエラーを発生させます:

>>> class DuplicateFreeEnum(Enum):
...     def __init__(self, *args):
...         cls = self.__class__
...         if any(self.value == e.value for e in cls):
...             a = self.name
...             e = cls(self.value).name
...             raise ValueError(
...                 "aliases not allowed in DuplicateFreeEnum:  %r --> %r"
...                 % (a, e))
...
>>> class Color(DuplicateFreeEnum):
...     RED = 1
...     GREEN = 2
...     BLUE = 3
...     GRENE = 2
...
Traceback (most recent call last):
  ...
ValueError: aliases not allowed in DuplicateFreeEnum:  'GRENE' --> 'GREEN'

注釈

これは Enum に別名を無効にするのと同様な振る舞いの追加や変更をおこなうためのサブクラス化に役立つ例です。単に別名を無効にしたいだけなら、 unique() デコレーターを使用して行えます。

MultiValueEnum

Supports having more than one value per member:

>>> class MultiValueEnum(Enum):
...     def __new__(cls, value, *values):
...         self = object.__new__(cls)
...         self._value_ = value
...         for v in values:
...             self._add_value_alias_(v)
...         return self
...
>>> class DType(MultiValueEnum):
...     float32 = 'f', 8
...     double64 = 'd', 9
...
>>> DType('f')
<DType.float32: 'f'>
>>> DType(9)
<DType.double64: 'd'>

Planet

__new__()__init__() が定義されている場合、列挙型メンバーの値はこれらのメソッドに渡されます:

>>> class Planet(Enum):
...     MERCURY = (3.303e+23, 2.4397e6)
...     VENUS   = (4.869e+24, 6.0518e6)
...     EARTH   = (5.976e+24, 6.37814e6)
...     MARS    = (6.421e+23, 3.3972e6)
...     JUPITER = (1.9e+27,   7.1492e7)
...     SATURN  = (5.688e+26, 6.0268e7)
...     URANUS  = (8.686e+25, 2.5559e7)
...     NEPTUNE = (1.024e+26, 2.4746e7)
...     def __init__(self, mass, radius):
...         self.mass = mass       # in kilograms
...         self.radius = radius   # in meters
...     @property
...     def surface_gravity(self):
...         # universal gravitational constant  (m3 kg-1 s-2)
...         G = 6.67300E-11
...         return G * self.mass / (self.radius * self.radius)
...
>>> Planet.EARTH.value
(5.976e+24, 6378140.0)
>>> Planet.EARTH.surface_gravity
9.802652743337129

TimePeriod

_ignore_ 属性の使用方法のサンプルです:

>>> from datetime import timedelta
>>> class Period(timedelta, Enum):
...     "different lengths of time"
...     _ignore_ = 'Period i'
...     Period = vars()
...     for i in range(367):
...         Period['day_%d' % i] = i
...
>>> list(Period)[:2]
[<Period.day_0: datetime.timedelta(0)>, <Period.day_1: datetime.timedelta(days=1)>]
>>> list(Period)[-2:]
[<Period.day_365: datetime.timedelta(days=365)>, <Period.day_366: datetime.timedelta(days=366)>]

EnumType のサブクラスを作る

While most enum needs can be met by customizing Enum subclasses, either with class decorators or custom functions, EnumType can be subclassed to provide a different Enum experience.