poplib --- POP3 protocol client

ソースコード: Lib/poplib.py


このモジュールはクラス POP3 を定義しています。 POP3 はPOP3 サーバへの接続をカプセル化し、RFC 1939 で定義されているプロトコルを実装しています。 POP3 クラスは RFC 1939 の最小限のコマンドセットとオプションのコマンドセットをサポートしています。 既に確立されている接続で暗号化された通信を行うために、RFC 2595 で導入された STLS コマンドもサポートされています。

加えて、このモジュールはクラス POP3_SSL を提供しています。 POP3_SSL は SSL を下層のプロトコルレイヤーとして使う POP3 サーバへの接続をサポートしています。

POP3についての注意事項は、それが広くサポートされているにもかかわらず、既に時代遅れだということです。幾つも実装されているPOP3サーバーの品質は、貧弱なものが多数を占めています。もし、お使いのメールサーバーがIMAPをサポートしているなら、 imaplib.IMAP4 クラスが使えます。 IMAPサーバーは、より良く実装されている傾向があります。

Availability: not Emscripten, not WASI.

This module does not work or is not available on WebAssembly platforms wasm32-emscripten and wasm32-wasi. See WebAssembly プラットフォーム for more information.

poplib モジュールは二つのクラスを提供します:

class poplib.POP3(host, port=POP3_PORT[, timeout])

このクラスが、実際にPOP3プロトコルを実装します。インスタンスが初期化されるときに、コネクションが作成されます。 port が省略されると、POP3標準のポート(110)が使われます。オプションの timeout 引数は、接続時のタイムアウト時間を秒数で指定します (指定されなかった場合は、グローバルのデフォルトタイムアウト設定が利用されます)。

引数 self, host, port 付きで 監査イベント poplib.connect を送出します。

全てのコマンドは引数 selfline を指定して auditing event poplib.putline を送出します。ここで line はリモートホストに送信されるバイト数です。

バージョン 3.9 で変更: timeout パラメータが0に設定されている場合、非ブロッキングソケットの作成を防ぐために ValueError を送出します。

class poplib.POP3_SSL(host, port=POP3_SSL_PORT, keyfile=None, certfile=None, timeout=None, context=None)

POP3 クラスのサブクラスで、SSL でカプセル化されたソケットによる POP サーバへの接続を提供します。 port が指定されていない場合、 POP3-over-SSL 標準の 995 番ポートが使われます。timeout については POP3 クラスのコンストラクタの引数と同じです。 context は SSL の設定、証明書、秘密鍵を一つの (POP3_SSL オブジェクトよりも長く存在し続けうる) 構造にまとめた ssl.SSLContext オブジェクトで、省略可能です。ベストプラクティスについては セキュリティで考慮すべき点 を参照してください。

keyfile and certfile are a legacy alternative to context - they can point to PEM-formatted private key and certificate chain files, respectively, for the SSL connection.

引数 self, host, port 付きで 監査イベント poplib.connect を送出します。

全てのコマンドは引数 selfline を指定して auditing event poplib.putline を送出します。ここで line はリモートホストに送信されるバイト数です。

バージョン 3.2 で変更: context 引数が追加されました。

バージョン 3.4 で変更: このクラスは ssl.SSLContext.check_hostnameServer Name Indication でホスト名のチェックをサポートしました。(ssl.HAS_SNI を参照してください)。

バージョン 3.6 で非推奨: keyfile and certfile are deprecated in favor of context. Please use ssl.SSLContext.load_cert_chain() instead, or let ssl.create_default_context() select the system's trusted CA certificates for you.

バージョン 3.9 で変更: timeout パラメータが0に設定されている場合、非ブロッキングソケットの作成を防ぐために ValueError を送出します。

1つの例外が、 poplib モジュールのアトリビュートとして定義されています:

exception poplib.error_proto

このモジュール内で起こったあらゆるエラーで送出される例外です (socket モジュールからのエラーは捕捉されません)。例外の理由は文字列としてコンストラクタに渡されます。

参考

モジュール imaplib

標準 Python IMAP モジュールです。

Frequently Asked Questions About Fetchmail

POP/IMAPクライアント fetchmail のFAQ。POPプロトコルをベースにしたアプリケーションを書くときに有用な、POP3サーバの種類や RFCへの適合度といった情報を収集しています。

POP3 オブジェクト

POP3コマンドはすべて、それと同じ名前のメソッドとして小文字で表現されます。そしてそのほとんどは、サーバからのレスポンスとなるテキストを返します。

POP3 クラスのインスタンスは以下のメソッドを持ちます:

POP3.set_debuglevel(level)

インスタンスのデバッグレベルを設定します。この設定によってデバッグ時に出力される量を調節します。デフォルトは 0 で、何も出力されません。 1 なら、一般的に1つのコマンドあたり1行の適当な量のデバッグ出力を行います。 2 以上なら、コントロール接続で受信した各行を出力して、最大のデバッグ出力をします。

POP3.getwelcome()

POP3サーバーから送られるグリーティングメッセージを返します。

POP3.capa()

RFC 2449 で規定されている機能についてサーバに問い合わせます。{'name': ['param'...]} という形の辞書を返します。

バージョン 3.4 で追加.

POP3.user(username)

userコマンドを送出します。応答はパスワード要求を表示します。

POP3.pass_(password)

パスワードを送出します。応答は、メッセージ数とメールボックスのサイズを含みます。注意:サーバー上のメールボックスは quit() が呼ばれるまでロックされます。

POP3.apop(user, secret)

POP3サーバーにログオンするのに、よりセキュアなAPOP認証を使用します。

POP3.rpop(user)

POP3サーバーにログオンするのに、(UNIXのr-コマンドと同様の)RPOP認証を使用します。

POP3.stat()

メールボックスの状態を得ます。結果は2つのintegerからなるタプルとなります。 (message count, mailbox size).

POP3.list([which])

メッセージのリストを要求します。結果は (response, ['mesg_num octets', ...], octets) という形式で表されます。 which が与えられると、それによりメッセージを指定します。

POP3.retr(which)

which 番のメッセージ全体を取り出し、そのメッセージに既読フラグを立てます。結果は (response, ['line', ...], octets) という形式で表されます。

POP3.dele(which)

which 番のメッセージに削除のためのフラグを立てます。ほとんどのサーバで、QUITコマンドが実行されるまでは実際の削除は行われません(もっとも良く知られた例外は Eudora QPOPで、その配送メカニズムはRFCに違反しており、どんな切断状況でも削除操作を未解決にしています)。

POP3.rset()

メールボックスの削除マークすべてを取り消します。

POP3.noop()

何もしません。接続保持のために使われます。

POP3.quit()

サインオフ: 変更をコミットし、メールボックスをアンロックして、接続を破棄します。

POP3.top(which, howmuch)

メッセージヘッダと howmuch で指定した行数のメッセージを、 which で指定したメッセージ分取り出します。結果は以下のような形式となります。 (response, ['line', ...], octets).

このメソッドはPOP3のTOPコマンドを利用し、RETRコマンドのように、メッセージに既読フラグをセットしません。残念ながら、TOPコマンドはRFCでは貧弱な仕様しか定義されておらず、しばしばノーブランドのサーバーでは(その仕様が)守られていません。このメソッドを信用してしまう前に、実際に使用するPOPサーバーでテストをしてください。

POP3.uidl(which=None)

(ユニークIDによる)メッセージダイジェストのリストを返します。 which が設定されている場合、結果はユニークIDを含みます。それは 'response mesgnum uid という形式のメッセージ、または (response, ['mesgnum uid', ...], octets) という形式のリストとなります。

POP3.utf8()

UTF-8 モードへの切り替えを試行します。成功した場合はサーバの応答を返し、失敗した場合は error_proto を送出します。RFC 6856 で規定されています。

バージョン 3.5 で追加.

POP3.stls(context=None)

アクティブな接続にて RFC 2595 で定められた方法で TLS セッションを開始します。TLS セッションはユーザ認証を行う前に開始する必要があります。

context は SSL の設定、証明書、秘密鍵を一つの (POP3 オブジェクトよりも長く存在し続けうる) 構造にまとめた ssl.SSLContext オブジェクトです。ベストプラクティスについては セキュリティで考慮すべき点 を参照してください。

このメソッドは ssl.SSLContext.check_hostnameServer Name Indication でホスト名のチェックをサポートしました。(ssl.HAS_SNI を参照してください)。

バージョン 3.4 で追加.

POP3_SSL クラスのインスタンスは追加のメソッドを持ちません。このサブクラスのインターフェイスは親クラスと同じです。

POP3 の例

以下にメールボックスを開き、全てのメッセージを取得して印刷する最小の (エラーチェックをしない) 使用例を示します:

import getpass, poplib

M = poplib.POP3('localhost')
M.user(getpass.getuser())
M.pass_(getpass.getpass())
numMessages = len(M.list()[1])
for i in range(numMessages):
    for j in M.retr(i+1)[1]:
        print(j)

モジュールの末尾に、より拡張的な使用例が収められたテストセクションがあります。