marshal --- 内部使用向けの Python オブジェクト整列化


このモジュールには Python 値をバイナリ形式で読み書きできるような関数が含まれています。このバイナリ形式は Python 特有のものですが、マシンアーキテクチャ非依存のものです (つまり、Python の値を PC 上でファイルに書き込み、Sun に転送し、そこで読み戻すことができます)。バイナリ形式の詳細は意図的にドキュメント化されていません; この形式は (稀にしかないことですが) Python のバージョン間で変更される可能性があるからです。1

このモジュールは汎用の "永続化 (persistence)" モジュールではありません。汎用的な永続化や、RPC 呼び出しを通じた Python オブジェクトの転送については、モジュール pickle および shelve を参照してください。 marshal モジュールは主に、 "擬似コンパイルされた (pseudo-compiled)" コードの .pyc ファイルへの読み書きをサポートするために存在します。したがって、 Python のメンテナンス担当者は、必要が生じれば marshal 形式を後方互換性のないものに変更する権利を有しています。 Python オブジェクトを直列化 (シリアライズ) および非直列化 (デシリアライズ) する場合には、 pickle モジュールを使ってください。 pickle は速度は同等で、バージョン間の互換性が保証されていて、 marshal より広範囲のオブジェクトをサポートしています。

警告

marshal モジュールは、誤ったデータや悪意を持って作成されたデータに対する安全性を考慮していません。信頼できない、もしくは認証されていない出所からのデータを非整列化してはなりません。

すべての Python オブジェクト型がサポートされているわけではありません。一般に、このモジュールによって読み書きすることができるオブジェクトは、その値が Python の特定の起動に依存していないオブジェクトに限ります。次の型がサポートされています。真偽値、整数、浮動小数点数、複素数、文字列、 byte 、bytearray 、タプル、リスト、 set 、frozenset 、辞書、コードオブジェクト。ここで、タプル、リスト、 set 、 frozenset 、辞書は、その中に含まれる値がそれ自身サポートされる場合に限りサポートされます。シングルトン NoneEllipsisStopIteration も読み書き (marshalled and unmarshalled) できます。3 未満のフォーマット version では、再帰的なリスト、 set 、辞書を書き出すことはできません (下記参照)。

bytes-like オブジェクトを操作する関数と同様に、ファイルの読み書きを行う関数が提供されています。

このモジュールでは、以下の関数が定義されています。

marshal.dump(value, file[, version])

開かれたファイルに値を書き込みます。値はサポートされている型でなくてはなりません。file は書き込み可能な バイナリファイル である必要があります。

値 (または値に含まれるオブジェクト) がサポートされていない型の場合、 ValueError 例外が送出されます --- しかし、同時にごみのデータがファイルに書き込まれます。このオブジェクトは load() で適切に読み出されることはありません。

version 引数は dump が使用するデータフォーマットを指定します (下記を参照してください)。

引数 value, version を指定して 監査イベント marshal.dumps を送出します。

marshal.load(file)

開かれたファイルから値を一つ読んで返します。 (異なるバージョンの Python の互換性のない marshal フォーマットだったなどの理由で) 有効な値が読み出せなかった場合、 EOFError, ValueError または TypeError を送出します。file は読み込み可能な バイナリファイル でなければなりません.

引数無しで 監査イベント marshal.load を送出します。

注釈

サポートされていない型を含むオブジェクトが dump() で整列化されている場合、 load() は整列化不能な値を None で置き換えます。

バージョン 3.10 で変更: This call used to raise a code.__new__ audit event for each code object. Now it raises a single marshal.load event for the entire load operation.

marshal.dumps(value[, version])

dump(value, file) でファイルに書き込まれるようなbytesオブジェクトを返します。値はサポートされている型でなければなりません。値がサポートされていない型のオブジェクト (またはサポートされていない型のオブジェクトを含むようなオブジェクト) の場合、 ValueError 例外が送出されます。

version 引数は dumps が使用するデータフォーマットを指定します (下記を参照してください)。

引数 value, version を指定して 監査イベント marshal.dumps を送出します。

marshal.loads(bytes)

bytes-like オブジェクト を値に変換します。有効な値が見つからなかった場合、 EOFError, ValueError または TypeError が送出されます。入力中の余分な bytes は無視されます。

引数 bytes を指定して 監査イベント marshal.loads を送出します。

バージョン 3.10 で変更: This call used to raise a code.__new__ audit event for each code object. Now it raises a single marshal.loads event for the entire load operation.

これに加えて、以下の定数が定義されています:

marshal.version

このモジュールが利用するバージョンを表します。バージョン0 は歴史的なフォーマットです。バージョン1 は文字列の再利用をします。バージョン2 は浮動小数点数にバイナリフォーマットを使用します。バージョン3 はオブジェクトのインスタンス化と再帰をサポートします。現在のバージョンは4です。

脚注

1

このモジュールの名前は (特に) Modula-3 の設計者の間で使われていた用語の一つに由来しています。彼らはデータを自己充足的な形式で輸送する操作に "整列化 (marshalling)" という用語を使いました。厳密に言えば、"整列させる (to marshal)" とは、あるデータを (例えば RPC バッファのように) 内部表現形式から外部表現形式に変換することを意味し、"非整列化 (unmarshalling)" とはその逆を意味します。