fractions --- 有理数

ソースコード: Lib/fractions.py


fractions モジュールは有理数計算のサポートを提供します。

Fraction インスタンスは一対の整数、他の有理数、または文字列から生成されます。

class fractions.Fraction(numerator=0, denominator=1)
class fractions.Fraction(other_fraction)
class fractions.Fraction(float)
class fractions.Fraction(decimal)
class fractions.Fraction(string)

最初のバージョンは numeratordenominatornumbers.Rational のインスタンスであることを要求し、 numerator/denominator の値を持つ新しい Fraction インスタンスを返します。 denominator0 ならば、 ZeroDivisionError を送出します。二番目のバージョンは other_fractionnumbers.Rational のインスタンスであることを要求し、同じ値を持つ新しい Fraction インスタンスを返します。その次の二つのバージョンは、 floatdecimal.Decimal インスタンスを受け付け、それとちょうど同じ値を持つ Fraction インスタンスを返します。なお、二進浮動小数点数にお決まりの問題 (浮動小数点演算、その問題と制限 参照) のため、 Fraction(1.1) の引数は 11/10 と正確に等しいとは言えないので、 Fraction(1.1) は予期した通りの Fraction(11, 10) を返し ません 。(ただし、以下の limit_denominator() メソッドのドキュメントを参照してください。) 最後のバージョンは、文字列またはユニコードのインスタンスを渡されることを想定します。このインスタンスは、通常、次のような形式です:

[sign] numerator ['/' denominator]

ここで、オプションの sign は '+' か '-' のどちらかであり、numerator および (存在する場合) denominator は十進数の数字の文字列です。さらに、 float コンストラクタで受け付けられる有限の値を表す文字列は、Fraction コンストラクタでも受け付けられます。どちらの形式でも、入力される文字列は前後に空白があって構いません。以下に、いくつかの例を示します:

>>> from fractions import Fraction
>>> Fraction(16, -10)
Fraction(-8, 5)
>>> Fraction(123)
Fraction(123, 1)
>>> Fraction()
Fraction(0, 1)
>>> Fraction('3/7')
Fraction(3, 7)
>>> Fraction(' -3/7 ')
Fraction(-3, 7)
>>> Fraction('1.414213 \t\n')
Fraction(1414213, 1000000)
>>> Fraction('-.125')
Fraction(-1, 8)
>>> Fraction('7e-6')
Fraction(7, 1000000)
>>> Fraction(2.25)
Fraction(9, 4)
>>> Fraction(1.1)
Fraction(2476979795053773, 2251799813685248)
>>> from decimal import Decimal
>>> Fraction(Decimal('1.1'))
Fraction(11, 10)

The Fraction class inherits from the abstract base class numbers.Rational, and implements all of the methods and operations from that class. Fraction instances are hashable, and should be treated as immutable. In addition, Fraction has the following properties and methods:

バージョン 3.2 で変更: Fraction のコンストラクタが float および decimal.Decimal インスタンスを受け付けるようになりました。

バージョン 3.9 で変更: 今は math.gcd() 関数が 分子 (numerator) と 分母 (denominator) の約分で使われています。 math.gcd() は常に int 型の値を返します。 以前は、GCDの型は分子と分母に依存していました。

numerator

有理数を既約分数で表したときの分子。

denominator

有理数を既約分数で表したときの分母。

as_integer_ratio()

2 つの整数からなるタプルで、比が Fraction インスタンスと等しく、分母が正になるものを返します。

バージョン 3.8 で追加.

classmethod from_float(flt)

Alternative constructor which only accepts instances of float or numbers.Integral. Beware that Fraction.from_float(0.3) is not the same value as Fraction(3, 10).

注釈

Python 3.2 以降では、 float から直接 Fraction インスタンスを構築できるようになりました。

classmethod from_decimal(dec)

Alternative constructor which only accepts instances of decimal.Decimal or numbers.Integral.

注釈

Python 3.2 以降では、 decimal.Decimal インスタンスから直接 Fraction インスタンスを構築できるようになりました。

limit_denominator(max_denominator=1000000)

分母が高々 max_denominator である、 self に最も近い Fraction を見付けて返します。このメソッドは与えられた浮動小数点数の有理数近似を見つけるのに役立ちます:

>>> from fractions import Fraction
>>> Fraction('3.1415926535897932').limit_denominator(1000)
Fraction(355, 113)

あるいは float で表された有理数を元に戻すのにも使えます:

>>> from math import pi, cos
>>> Fraction(cos(pi/3))
Fraction(4503599627370497, 9007199254740992)
>>> Fraction(cos(pi/3)).limit_denominator()
Fraction(1, 2)
>>> Fraction(1.1).limit_denominator()
Fraction(11, 10)
__floor__()

最大の int <= self を返します。このメソッドは math.floor() 関数からでもアクセスできます:

>>> from math import floor
>>> floor(Fraction(355, 113))
3
__ceil__()

最小の int >= self を返します。このメソッドは math.ceil() 関数からでもアクセスできます。

__round__()
__round__(ndigits)

第一のバージョンは、 self に最も近い int を偶数丸めで返します。第二のバージョンは、このメソッドは self に最も近い Fraction(1, 10**ndigits) の倍数 (論理的に、 ndigits が負なら) を、これも偶数丸めで丸めます。 round() 関数からでもアクセスできます。

参考

numbers モジュール

数値の塔を作り上げる抽象基底クラス。